表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
OOO ~Original Objective Online~ 称号に振りまわされる者  作者: 1048
第1部 第4章
33/65

第3回公式イベント 1

先ずは、アクアに罰を与える前に確認だけは済ませようか、ほぼ確定しているとは言え、万が一だが………本当に万が一だが、アキラの勘違いって事も有るからな。


と言うか、本当に万が一が有ります様に………僕は神に願いながら広場に張り出されている出場者一覧を確認する。


………うん。万が一など微塵も無かったな。それとも世界に神はいないのか?今回の罰は過去最高になりそうだ。2・3日メシ抜きが妥当なところかな。


今、僕の見た目は凄く笑顔だろう。しかし、心は荒れに荒れている。


何故、あの時………誘われた時に確認しなかったのか………過去の自分を責めてもいる。確実に、事情を知らないであろう他のプレイヤーさん達も僕の進む道を分けて通っている。まるでモーゼの十戒だよ。怒気ってOOOでも伝わるんだな。もし、オーラ等が見える世界なら確実に僕の背後には仁王像が見える事だろう。


まぁ、そんな事よりも詳細の確認が大事だよな。一応抵抗はしてみる予定だが、本当にキャンセル出来ないなら耐えるしかない。


耐えるって考えが、もう既に負けているのかも知れないが………




12時間魔裸存(ハーフマラソン)詳細



Lv、スキル、武器の制限は有りません

制限時間は12時間を予定しています

2人でのパーティー登録限定になります

防具の持ち込み不可とさせて頂きます

※こちら側で防御力0の物を用意致します

アイテムの持ち込み不可とさせて頂きます

※エリア内で獲得した物は使用可能です

鞄、武器の器となる物は持ち込み可能です

得点上位9組までに報酬が出ます


ルール


これは、制限時間内にイベント特設エリアで無制限に出現する魔物を狩り続け、獲得した得点を競う競技になります

イベント専用のゴーグルを装備してもらい、ゴーグル越しに見て赤く反応が有る標的はプラス得点で、青く反応が有る標的はマイナス得点になります

12時間以内に倒されたパーティーの得点も有効になります

なお、この競技は特別報酬として12時間生き残ったプレイヤーは競技中に獲得した全アイテムも獲得出来ます




『………酷いな。過酷過ぎる』

確かに、生産系の職人としては報酬に魅力は感じるのだが、防御力0の装備とかは反則だよな。途中退場になった場合の得点は生きるみたいだが、入賞するのは無理になるだろうな。


一体、この競技は誰が考えたんだ?絶対に頭がおかしいだろうな。だが、他の競技と比べても事前の情報が多すぎないか?少し気になるところだよな。


このルール、いくら僕に竜の力が有ると言っても紙装甲の僕にはつらいぞ。何故なら1撃で死ねるダメージを受けると竜の力は関係無いからだ。


それに、このルールは銃や弓を使うプレイヤーには絶対的に優しく無いよな。多分だが………装備出来るからと言って消耗品扱いになる銃弾や矢ってアイテム持ち込め無いだろうな。武器の器となる物だけを聞けば銃弾や矢を入れるマガジンや矢筒も相当する様に見えるが中に入る物が消耗品だからな。


どうしても、弓や銃を使いたければイベント中に獲得するかイベント前に出来るだけ銃の中につめておけって事だと思う。まぁ、逆に言うと銃弾も矢も獲得するチャンスは有るって事だな。


参加プレイヤーが少ないのも分かるな。


えっ~と今のどころ参加パーティーは117組で334人か、これだけいれば、多少抜けても盛り上がるには十分な人数いるんじゃ無いのか?キャンセルさせてくれないかな。念の為に受付のNPCに確認だけはしてみようかな………




『申し訳ございませんが、この競技のキャンセル不可は規定で決まっておりまして………』


『そこを何とかなりませんか?』

分かってるよ。こっちだって無理は最初から承知なんだよ。でも、譲れない戦いがここにあるんだ。


『残念ながら、無理です』


『あれだけ参加者いるじゃ無いですか、お願いしますよ』

僕にこの手の交渉能力は無いが、不戦敗は主義に反する。


〔『…………主、情けない』〕


〔『今は、情けなくても良いよ。背に腹は変えられないんだよ』〕


『無理です』


『そこを何とか、お願………


『無理、無理、絶対に無理、お引き取り下さい』


………はい、諦めます』

最後は、喰い気味に断られたな。流石に、これ以上は無駄な抵抗だよな。


さっきも言ったが不戦敗は主義に反するからな、こうなったらイベントを生き残る為の準備はさせて貰おうかな。






『主よ、ホームに帰ってきたのは良いのじゃが、ここで何の準備をするのじゃ?』


『今回のイベントだが、ちょっとだけルールの盲点を突かせて貰おうかと思ってな』

ハーフマラソンまでには約1週間有るが、バージョンアップとイベント開催は明日からだからな。可能な限りは仲間の参加種目くらいは応援したい。その為には出来る事から済ませていかなければ時間が足りなくなる事だろう。


『ルールの盲点じゃと?黒は分かるかの?』


『………武器の器となる物?』

確かに黒の言う通りで、僕が目を付けたのは武器の器となる物の部分だ。


黒も白の言葉でハッとしているので気付いた様だな。2匹共に本当に頭が良い…………いや、回転が早いんだな。


実際に、武器の器となる物って幅広いと思うんだよな。武器の器の代表的な物は鞘になると思うんだけど。以前カゲロウに作った【シールドバーニッシュ・盾】も【シールドバーニッシュ・剣】を収納出来る鞘の役目も兼ねている。と言う事はだ、これも防具扱いだが武器の器にもあたるよな。僕の装備で言うなら【ノワールホルスター】は銃の収納が出来るので武器の器にあたるだろう。


『取り敢えずら、ホルスターからかな』


今のホルスターは4丁しか収納出来ない。【白竜】【黒竜】魔双銃の【雷光風】で4丁になる。今までは、これで十分だと思っていたのだが【雷光風】が魔双銃の為に2丁の同時使用しか出来ない。必然的に【白竜】と【黒竜】の同時使用しか出来なくなる。


これが案外、戦略的にバランスが悪い事に気付いたのだ。竜の力はホルスターに収納している時点で発動するので、【白竜】か【黒竜】と普通の銃と言う組み合わせも出来るようにしたい。なので、もう2丁位はストック出来る位に新調しておきたい。


場所的には、この辺がバランス良さそうだな。僕が手に取りやすいようにホルスターの位置を決めていく、右と左で若干位置が違うのも利き手や利き足、構えや動き易さの観点からだ。


素材も新しく入手した海の魔物シードラの皮を使用する。シードラはタツノオトシゴに似た魔物で、基本は海上で出会えるのだが【ポルト】周辺の海辺に夜限定でレア出現もする。強くは無いが落とす素材は一級品と言う事で人気のMOBだ。しかし、なかなか出会えないのが、たまに傷ってところだよな。当然製作ボーナスも一新する。



【ノワールホルスターズ】防御力20〈特殊効果:速度上昇・大〉〈製作ボーナス:武器修復・中〉

※6丁収納可能



『主よ、製作ボーナスなのじゃが武器修復って銃に必要有るのかのう?』

白の言う通りで、普通なら武器修復は遠距離で戦う銃とは無縁の能力と言えるのだが、僕が考えた通りにいけば重要な能力になり得る。いや、銃だけに()要な能力かな。


『…………残念』

寒いと言われるならまだしも、黒に残念とまで言われてしまった。声に出した事にツッコむのは構わないのだが、心で密かに思った事にもツッコむのだけは止めて欲しいな。



ホルスターは十分な物が製作出来たので、次はホルスターに入れる新しい銃を作る必要がある。僕の考えている武器のベースに使う銃は、どんなものが合うのかは試作してみないと分からないので、製作可能な物はどんどん製作していく。以前に作った6属性の銃達もLv上げを兼ねて久々に製作してみた。まぁ、これらは攻撃力的に出番の可能性は低いのだが、属性やスリップダメージ的には需要が有るかもしれない銃だな。倉庫に置いて置けば取り出せるかも知れないしな。


幸いな事に最初から出る予定にしていた射撃競技は、ハーフマラソンよりも1日早く行われるので、ハーフマラソンで新作の銃達の実戦テストをさせて貰う予定だ。


ちなみに、試作のテストはバージョンアップ後2・3日を予定している。まぁ、当然、最初はこんな予定では無かったのだがな。むしろ、射撃競技は僕のメイン種目だったはずなのにな…………


『主よ、竜髭の在庫だけは増えてないのじゃ。在庫が無いので魔銃は作れないのじゃ』

それは仕方ないだろうな。竜髭を得たのはイベントの時だからな。増えてなくて当たり前だ。まぁ、またイベント後に開催されるオークションに期待すると言う方法も有るには有るんだが、現状では可能性は薄いだろうな。


『大丈夫だ。一応、今回は実弾銃でも問題無いんだよね』

白と黒は、主は何を言っているんじゃ?さっき銃弾の持ち込みが難しいと話していたのじゃとでも言いたげな顔をしているが、出来上がった武器を見たら納得する事だろう。


多くの銃を作った事で《銃職人》のLvも上がり製作可能リストもどんどん増えていく。必要な素材のレア度も上がっているが、現状で手に入らないLvの素材は無い。どれも1度は自分の手でも、採掘した物だ。増えたところから片っ端に製作している時だった………


『うげっ!!』



【アルファガン】攻撃力=魔力〈特殊効果:光属性/レイザー〉



これは、全く予想外の代物が出来てしまったな。やけに、宝石類の数が必要になるなと思ったよ。これって多分SF映画とかで良く見るヤツだよな。こう言う銃が手に入るなら予定がかなり狂ってくるんだがな。どうしようかな?それに、まず攻撃力=魔力の意味が分からないよな。MPの事なのか?


『主よ、それは、多分じゃが主の魔法攻撃力と同じと意味じゃ』

なるほどな。確かに、装備すれば魔魔法攻撃力と同値が攻撃力として表示される。これは、僕の成長で攻撃力が上がるって事になるのかな?


『…………格好良い』

デザインもシンプルだがシャープで格好良いし、能力も素敵だと思うが………この銃をイベント中に使うのは悪目立ちしそうだよな、今回は保留だな。まぁ、取り敢えず、テストだけはしてみたい代物だよな。


だが、僕の欲しい銃はこう言うのじゃ無いんだよな。もう少し銃身が長くて持ち易くガッチリしたタイプの銃が欲しいんだが………


『おっ!!これは……なかなか良い感じじゃないか』



【トライセス】攻撃力75〈特殊効果:2弾同時発射〉



形状的には銃身が長くて軽い………理想的だよな。特殊効果の方は実際に使ってみないと分からないが、これをベースにさせて貰おうかな。


次は久しぶりの《鍛冶》《細工》だ。想像通りに上手くできると良いんだがな。、最近は、フレイに任せっぱなしに成子ともだった為に自信がない。基本に返ってサンプルからだな。


僕は、基本となる素材に水晶を使い長めの短剣を作っていく。刃にあたる部分は、なるべく透明に近くて強度の強い物が望ましいだろう。


しかし、本当に久しぶりだったので《鍛冶》の下加工の段階で素材をいくつか無駄にしてしまったし、製作したサンプルの水晶の短剣も少し薄過ぎたかもな。


確かに、久しぶりで自信は無かったのだが、ここまで失敗する気も無かったんだけどな………


『………素材』


『主よ、黒の言う通りでもう少し素材を採掘してきた方が良いのじゃ、宝石類の消費も激しいのじゃ』

まぁ、確かに在庫はまだ有るのだが、僕だけが使いすぎる訳にはいかないよな。


しかし、時間的に採掘に行けば、今日これ以上《鍛冶》は出来そうも無いよな………しかし1人か。、本当に悩ましい状態だな。


『なんや、シュンも採掘に行くんか?場所どこや、洞窟ダンジョンなら一緒に行かへん?シュンおると採掘お得やからな』


『行く、行くぞ。お願いします』

かなり悩んでいた僕に鶴の一声が掛かる、フレイに背を押して貰った感じになるが、2人で行けるのなら行くしかないよな、本当に感謝だよ。






『なんや、それで素材が一気に減っとったんかいな。犯人はシュンやったんかいな。それで何を作る気なんや?』

洞窟ダンジョン内の採掘ポイントを2人で掘りながら、採掘しなければならなかった理由を話していた。チラッと横を見るとフレイは山の様に素材を掘り出している。


これも仕方ない事だがフレイと僕では1回に掘れる量が違う。軽く見ても倍ほどに………ちなみに、言っておくがフレイが凄すぎるだけで、僕の採掘量も並みよりは上だ。


『バージョンアップで、使わなくなったスキルをチェンジ出来る様になるだろ。それで《短剣》スキルを取得しようと思ってるんだよな』


『???なんや、今更ながら《拳》を捨てて銃と短剣の二刀流でもするんか?最近は《拳》使って無かったもんな。それもカッコウ良いやんか』


『いや、ちょっと違うんだよな。実は………』


『主、狐の姉さん、お喋りは終わりなのじゃ。お客さんのご来場なのじゃ』

白の言葉で振り返ると岩系のMOBご一行様が現れている。


『コツコツ採掘するんも良いんやが、やっぱりこっちの方が上手いよな。ナイスやで白、黒』


『白、黒サンキュ』

白と黒に頼んで、僕達が採掘している間に周辺の岩系のMOBを集めてきて貰ったのだ。これぞ、一石二鳥って感じだな。


『えっ~と、銀鉱石が2体と宝石が3体やな』


『フレイ悪いが宝石系を多目で頼む』


僕とフレイは武器を構えて、なるべくヒット数を稼ぎながら数を減らしていく。フレイに至っては、わざわざ武器のランクまで下げてヒット数の多いアーツを多用する念の入れようだ。


前から《鍛冶》や《細工》スキル取得していれば、戦闘中でも岩系の魔物から鉱石が採掘出来る事は分かっていたが、今はヒット数に応じて獲得出来る鉱石の数が増える事も分かっている。体感的には、なるべく連続の方が多く採掘出来るって感じだな。


フレイに至っては、既に魔物の名称では呼ばずに取れる素材名で呼んでるからな。きっと素材にしか見えないんだよな………僕もなるべく急所を外し攻撃したり、わざと【白竜】で回復すると言う行動をとっている。


まぁ、これがフレイの言っていた僕が採掘にいるとお得な理由だ。フレイ命名ループ採掘。実際に採掘ポイントを探して回るよりも遥かに効率が良い。


普通の生産系のプレイヤーは、滅多に洞窟ダンジョンでガチの狩りをしないので、気付いて無いようだがな。ちなみに、木系のMOB相手にもループ採取は可能である。


これは、お得な技術なので、対象MOB相手の狩りで採掘や採取が出来る事だけは、生産ギルド組合の面々には会議で伝えてある。ループの方は白の様な存在がいないと無理なので秘密にしているのだけどな。




『今日もシュンのお陰でたんまりやわ。シュンは、本当に水晶だけで良かったんか?』

七福神(恵比寿)でも乗り移ったかの様な満面の笑顔だな。あれから5回ほどループ採掘をしたので、多くの自然素材、ドロップ素材を入手している。まぁ、嬉しいのは僕もなんだけどな。


『うん。僕も助かったよ。誘ってくれてありがとな』

ループ採掘や採取の場合、1人だと効率が悪いからな。1度でも2人以上でのループを体験済みだと1人で採取や採掘に行く気がな………はっきり言って無くなる。






バージョンアップが終わり僕がログインすると、ホームのリビングでフレイが待っていた。


『おかえり。シュン、待っとったで。これは、昨日のお礼や。使ったてな』

フレイが工具を渡してくる。


『これ、どうしたんだ?全部未使用な気がするんだが』


『そやで、昨日あの後に採掘してきた素材使って《鍛冶》用の工具を作ったんやわ。この前の鞄のお礼みたいなもんやわ。だいぶ使い易くなってるはずやで』

軽く手に持った感じだけでも感じるのだが、市販の物より圧倒的に軽くて持ち易い。


『刃の付いた武器を作るんやったら、最後の最後にもう1度焼き入れたら輝きと強度が増すで。あと、これも使ってみ。カゲロウに《調合》して貰ったカゲロウ印のイオン水や。名前はともかく性能が1段階は上がるのは保証するわ。それと、もしエフェクト欲しいならウチが作るで』

カゲロウよ、そのネーミングセンスは僕よりも酷いぞ………


『色々とありがとな。このカゲロウ印のイオン水?も有り難く使わせて貰うな。エフェクト効果も魅力的だけど………もう少し頑張ってみるわ』

アイテム名を言うだけで笑いそうになるので………今度カゲロウの顔見るのが辛いかもな。


最後の焼き入れか、新しい生産系の情報だな。フレイが勧めてくる技術なので、試してみる価値は有りそうだな。


『そうか、頑張りよ。そや、バージョンアップ情報も更新されてたで、1回見ときよ。広場凄い事になっとるからな』

そう言ってフレイは工房の奥に引っ込んで行く。




『主よ、下加工には、オート加工機能を使ってはどうかの?』


『それでも良いんだけどな。なるべく刃の部分を透明で強度を上げたいだよな』

オート加工機能は便利で有能だが、細かいところで設定が出来ない。これは、まだ設備が上級になってないからだと思う。薄さ等に拘りが有る場合は自分の技術()で頑張るしかない。


『一体、主は何を作りたいのじゃ?』


『………剣銃(ソードガン)銃剣(ガンソード)?』

流石は、黒だな。何処で気付いたのかは分からないが………いや、黒の事だから始めから気付いてたのかもな。


『黒の言う通りだ。【トライセス】の下側に刃を付けたいんだよな』


『主よ、銃に加工は出来なかったのではないかの?』


『そこは、やっぱりアレだろ。ほら《合成》のゴリ押し?』

最近、ちょっと《合成》に頼り過ぎなのかも知れないが、アレだけ色々と凄い事が可能なんだ。銃と短剣を合体させる事くらい出来無い訳は無いだろう。


『先ずは、先に神殿に行くぞ』






『本当に多いな………』

広場では、既に開催されている種目を外部から見れる様に巨大なモニターが用意されていた。今は、オープニング種目の5人1組のムカデ競走?だったかな。


だが、アレはムカデ競走と言って良いのか?モニターに映し出されている映像には、5人の足は確かに板と結ばれていてムカデ競走の感じは出ているが、競走している場所が………競技とは場違いな岩だらけの山岳エリアだ。


上空にいる鳥MOBから襲われているし、この種目も過酷だな。足が全員で固定されているので個人の機動力が無いに等しいし、プレイヤー同士の距離も一定だから武器を振るうにも難しいよな。上手く仲間と協力しないと仲間割れになりそうな競技だな。


やっぱり、どの種目も過酷なのか?明日カゲロウとヒナタが出場する採取系種目の棒倒しやフレイの出場する採掘系の牙戦も怪しくなってくるよな。果たして、大丈夫なのだろうか…………


それにしても、何処を見ても人、人、人………いくら土曜日とは言え皆そんなに暇人なのか?


『…………人の事は言えない』

黒が周りの人には聞こえないくらいの小さな声でボソッと喋った。まぁ、確かに僕もだよな。普段ゲームと縁の無い僕が、本当にOOOにはハマッたよな。


うん!?モニターの周りとは別に長蛇の列が神殿まで続いているが………あぁ、スキルチェンジ機能の列かな?やっぱり皆も使わなくなったスキルとか有るんだな。僕は、あとで並ぶ事にしようかな。流石に、今あの列に並ぶ気はしないからな。予定通り僕は掲示板を確認する為に移動する。掲示板の前は空いていて助かったな。



確認してみたが、今回のバージョンアップは、ほぼ事前の情報通りと言った感じだな。よく分からない部分が有ったのはスキルチェンジ機能の事だが………まぁ、変更する直前に確認すれば良いかな。





工房に戻って来て、武器の製作に取り掛かる。水晶を加工し短剣の片刃の部分を作っていく。昨日の失敗を糧に、今日は少しだけ厚目にする。更に、銀と鋼の合金で柄の部分を形成していく。


『…………柄が変』


『黒の言う通りじゃ。鍔は無いようじゃし、柄の部分が長いのじゃ』


『問題無いな。これで良いんだよ。完成後に《機械製作》で作った部品も組み込む予定だからな。今作っているのは、刃の部分が反転するギミックナイフ擬きだからな。まぁ、あとは出来てからのお楽しみだな。白、黒、今日は狩りに行かないから、雪ちゃんと遊んで来ても良いぞ』

そう言って白と黒を解放する。イチイチ説明していたら時間が足りそうも無いからな。今日のところは、静かに作業させて貰おうかな。


さて、次はギア・小を組み込んで、ワンタッチで刃が180度回転する様に微調整していく。このギミック作りでも《機械製作》のスキルLvが上がるのが美味しいよな。



【ギミックナイフ仮】攻撃力25〈特殊効果:可変〉〈製作ボーナス:強度上昇・中〉



『まぁ、こんなところかな。《合成》』

昨日作った【トライセス】と【ギミックナイフ仮】を《合成》してみる。これが出来ないと、これまでの苦労は水の泡になる。



【剣銃】攻撃力90/攻撃力65〈特殊効果:可変/2弾同時発射〉〈製作ボーナス:強度上昇・中〉

※剣銃モード



良かった~何とか出来たな。《合成》によって銃単体では付く事の無かった製作ボーナスを生かしたまま《合成》出来てる様だな。この剣銃モードは、銃のトリガーガードの部分に逆手持ちのダガーが付いた形状になっている。これで〈零距離射撃〉の後に斬撃で追撃出来るし、標的に近付く時にも相手の攻撃を刃の部分で受け止めて〈零距離射撃〉のカウンターで射撃出来る。かなり便利になったなよ。これは、超近距離タイプってところかな。



それに………



【銃剣】攻撃力65/攻撃力90〈特殊効果:可変〉〈製作ボーナス:強度上昇・中〉

※銃剣モード



ワンタッチでモード変型すると名称と武器に表示されている攻撃力が逆になる様だな。変型後の銃剣モードは刃が反転して銃身を半分覆い、ショートソードの様な形状になる。標的を刺した後に〈零距離射撃〉で追撃可能になる。急所に直接〈零距離射撃〉を撃てるのがメリットかな。近距離タイプってとこだな。ただ特殊効果の2弾同時発射は、銃剣モードで使用出来ない様だな。刃の部分が銃身を半分くらい覆っているのが原因なんだろうな。


どちらのモードも中・遠距離からの射撃は可能なので今までのスタイルも維持出来るな。MOBやもう片方に持つ武器に合わせてモードを使い別ける方が良さそうだな。


その場で軽く振ってみるが、見るに耐えない感じになる………多分、対応するスキルが無いからだろうな。まぁ、こっちの方はスキルチェンジ機能で対応だな。


『うん。試作品としては十分だな。あとは刃の部分をもう少し透明にして、製作ボーナスを付けれるだけ付けて、少しでも性能の良い短剣を《合成》だな』


取り敢えず、鞄の共有部分に【銃剣】を入れる。更に、フレイにメールで評価を頼むと送信する。僕的には良い感じだが、新しい種類の武器を作るときは、人の意見も有った方が良いと思ったからだ。三節棍を作った時もフレイと形状について色々話したしな。まぁ、昨日出来たら見せると約束したからでも有るんだけどな。




フレイからの評価が来るまでの時間を使って、再び神殿まで訪れている。スキルチェンジ機能を利用する為だ。さっきよりはマシになった列に並んでいると…………


『お、俺の複合スキルが無いぞ。無くなった』

どうにも穏やかではない声が聞こえてくる。


きっと、掲示板の説明文を読まなかったプレイヤーだよな。って言う事は、僕が疑問に思った事通りだったって事かな。掲示板には〔スキルチェンジ機能で変更したスキルは、2度と取得出来ません。スキルの派生元等も考えてご利用下さい。〕と注意事項が書かれている。僕は派生元等も考えてと言う部分が気になり受け付け時に質問する予定にしていた。


きっと、今のプレイヤーは複合スキルに取得に必要なスキルを変更してしまったのだろうな。ご愁傷様です。


受け付け時に確認してみると、やはり思っていた通りで複合スキルの元スキルをチェンジすると複合スキルまで無くなる仕様らしい。それだけ複合スキルの効果が高いって事だからな。それと新しく分かったのは習得したアーツや魔法も無くなるらしい。自分で編み出した合体系も同様だ。まぁ、これは仕方ないよな。〈ウインドミスト〉系だけは痛いが、〈朧〉も有るので何とかなるだろうな。


『じゃあ、すみませんが《旋風魔法》を《短剣》に変更して貰えますか?』


『《旋風魔法》スキルが中位スキルにあたり、Lv33まで成長していますので《短剣》スキルの中位スキル《短短剣》スキルと《短剣技》スキルからお選び頂く事が出来ますが、如何致しましょうか?』


『では《短剣技》でお願いします』

作った【銃剣】でもショートソードの長さなので《短短剣》スキルは必要無いだろうな。それよりも《短剣》の正統進化スキルの《短剣技》スキルの方が必要になるだろうな。ちなみにだがアキラは《短短剣》スキルに進化させている。


『分かりました。では、こちらにサインをお願いします』

言われた通りにサインすると書類が青く燃えて消滅し契約が終了する。


『ご利用有り難う御座いました』


ステータスを確認すると《旋風魔法》が消えていて《短剣技》スキルがLv5の状態で取得され新たなアーツが登録されている。当然だが、覚えていた魔法は消えている………



newアーツ

〈スルーダガー〉攻撃力×1.5 /消費MP 10

クリティカル補正+50%

習得条件/《短剣》スキルLv???


〈アイスダガー〉攻撃力×2 /消費MP 20

氷属性

習得条件/《短剣》スキルLv???


〈フレイムダガー〉攻撃力×2 /消費MP 20

火属性

習得条件/《短剣》スキルLv???


〈受け流し〉攻撃力0 /消費MP 15

短剣で受けた打撃を受け流しダメージを減らす

習得条件/《短剣》スキルLv???



神殿の中で人の居ない場所を探して、試しに……


『〈ウインドミスト〉』

を唱えてみるが発動しない。そうしてやっと《旋風魔法》を使えない事を実感する。さっきまで使えた魔法が使えないのは、多少違和感が残るが………それよりも新しい武器へのワクワク感の方が強いよな。


今までお世話になっていた《旋風魔法》に感謝を述べて《短剣技》にいらっしゃいませと心で思っている。


ふと、気付くと鞄の共有部分に入れた武器まで無くなっていてフレイからの返信まで来ている。内容はと言うと………工房で待つ………えっ!!それだけ?僕は、このあとも武器の製作を続ける予定なので待ってるのは良んだけど、一言だけって何か恐いな。取り敢えず、急ぐとするかな。







装備

武器

【雷光風・魔双銃】攻撃力80〈特殊効果:風雷属性〉

【白竜Lv31】攻撃力0/回復力161〈特殊効果:身体回復/光属性〉

【黒竜Lv29】攻撃力0/回復力149〈特殊効果:魔力回復/闇属性〉

防具

【ノワールシリーズ】防御力105/魔法防御力40

〈特殊効果+製作ボーナス:超耐火/耐水/回避上昇・大/速度上昇・極大/重量軽減・中/命中+10%/跳躍力+20%/着心地向上〉

アクセサリー

【ダテ眼鏡】防御力5〈特殊効果:なし〉

【ノワールホルスターズ】防御力20〈特殊効果:速度上昇・大〉〈製作ボーナス:武器修復・中〉

【ノワールの証】〈特殊効果:なし〉



天狐族Lv40

《双銃士》Lv63

《魔銃》Lv62《双銃》Lv58《短剣技》Lv5《拳》Lv35《速度強化》Lv88《回避強化》Lv90《魔力回復補助》Lv89《付与術》Lv57《付与銃》Lv64《見破》Lv93


サブ

《調合職人》Lv24《鍛冶職人》Lv32《上級革職人》Lv4《木工職人》Lv30《上級鞄職人》Lv5《細工職人》Lv28《錬金職人》Lv24《銃職人》Lv19《裁縫職人》Lv12《機械製作》Lv12《料理》Lv40※上限《造船》Lv15《家守護神》Lv19《合成》Lv20《楽器製作》Lv5


SP 43


称号

〈もたざる者〉〈トラウマ王〉〈略奪愛?〉〈大商人〉〈大富豪〉〈自然の摂理に逆らう者〉〈初代MVP〉〈黒の職人さん〉〈創造主〉〈やや飼い主〉

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ