西の湖
翌日、GWも今日を含めてあと2日か。僕は、待ち合わせ場所の西門を目指している。僕は待たせるくらいなら待つ派なので、なるべく10分前には着いておきたい。
そこには、すでにアキラが待っていた。
『待たせてしまって、すまない』
『私も今来たところ。シュンさんも早いね』
男っぽい見た目の印象と違い、細かい気遣いができるのはやっぱり女の子だと思う。まぁ、細身で背が高く格好良いから色々な意味で男っぽく見えるんだがな。
『まぁな、待たせるくらいなら待つ派だからな、それとシュンでいいぞ』
さん付けとか慣れないしな。
『私も似たようなものだよ。私もアキラでいいよ。改めてヨロシクね』
しばらくアキラと話していたらドームとレナがやって来てタイムアップ……やはりアクアが最後だった、若干の遅刻付きで。
『すまん。遅刻した』
『今日はゲストがいるんだ。許さない』
さっきと違い見た目通り男らしい態度のアキラ。アキラはアクアのパーティーのサブリーダー的な存在らしい。ちなみにアクアがリーダー。そのアクアを躾ているんだとドームが教えてくれた。
『あのさアキラ、今日はシュンもいるんだぞ、ちょっとは女の子らしくしろよ』
『アクア!!それは失礼だぞ。アキラは十分魅力的だろ。遅刻するお前が悪い』
頬を少し赤くして恥ずかしそうに何か言いたげなアキラを後目に怒る。身内の悪いところは、叱らなければ。まぁ、皆から注目を集めて若干恥ずかしいのだがな。
『アキラ、すまなかった』
うん、うん。素直なのは美徳だ。アキラが恥ずかしそうにしてる、やっぱり女の子だよな。
『もういい、行くぞ』
そう言って颯爽と門を出るアキラを皆で追いかけた。
街の外に出てからの隊列はドーム、アクア、アキラ、僕、レナの順だった。
《盗賊》のアキラも《探索》スキルを僕より高Lvで持っていたので魔物、発見、先制、殲滅と順序よく繰り返せた。殲滅が早かったのは、アクアパーティーの皆が高威力だったからだけどな。途中、何度か採取を繰り返して湖を目指す。
まぁ、採取を挟んだのは全員のMP回復もあるのだけが、《調合》持ちのレナが工房でゴリゴリする為の採取も兼ねていた。まぁ、僕も喜んで採取していたのだけど………
『広いし、綺麗だな』
湖に着いて自然と言葉が出る。
『そうだね。私も初めて見た時は、そう思ったよ』
誰もが1度は通る道と言ったところかな?
湖には他にもパーティーが来ており、お互いに邪魔しないように散って行く。湖の北側が、目的の魔物が多く出るらしく、僕らはそちらを目指す事に。北側には森も有るので休憩中には採取もする予定の様だ。
反対の南側は草原が広がっていて山が有り、対岸の西側は未開らしく情報がない様だ。
森の近くで探索を始める。メインはリザード系、シェルホークはアクアのパーティーに遠距離攻撃の方法が少ない為、効率が悪いらしいので今回はパスだ。
『リザードが5、湖側から来るよ』
アキラが皆を促し戦闘準備に入る。
僕はドームに〈防御力上昇〉、アクアに〈攻撃力上昇〉、アキラと僕に〈速度上昇〉、そして、レナに〈魔法攻撃力上昇〉の《付与魔法》を使う。
安定した壁役のドームが魔物のを惹き付け、アキラと僕が削って、アクアがトドメを刺す。ダメージを受けたらレナが回復をする。と言う安定した戦闘方法をリザード相手に何度も繰り返した。パーティーだとソロとは安定感が全然違うよな。
すでに狩った魔物はリザードだけでも3桁を軽く越える。ボアやウルフ等はアクアに一撃で無双されていた。その間は、前衛2人以外は殆どダメージを受けていない。改めて壁役の凄さを肌で感じるよな。
『シェルホークと来たよ。森側から7、う~ん……ちょっとキツイかも』
アクアとドームは中距離以上を攻撃する方法がない。アキラは《投擲》スキルでレナは《水魔法》。
一緒に戦っていて分かったが、まともな遠距離攻撃手段が僕以外は無い。まぁ、銃を使う僕もまともとは言いにくいんだがな。
《水魔法》は、対空も狙えない事とも無いらしいが難しらしい。
逆に《投擲》は、狙いやすいが威力の方が投げるモノに依存する為、コストと威力がそぐわない。石を投げる方法がコスト的に最も無難なところだな。
『アキラ、この石を使って牽制をお願い』
鞄から石を大量に取り出す。僕は、片方の【デルタシーク】のマガジンを【銃弾・麻痺】に切り替える。
『アクア、ドーム、今からシェルホークを落とす、追撃を頼む』
話し終わるよりも早く、シェルホークに近づき〈必射〉を使いシェルホークを2匹落とす。
『麻痺している時間は、短いから手早く攻撃して』
銃を持ち代え通常の銃弾で上空のシェルホークを牽制していく。アキラも牽制と僕の援護をしてくれているので後衛のレナまで魔物の攻撃が届いていない。
『〈スラッシュ〉シュン、次だ。次を落としてくれ』
2匹のシェルホークは無残にも引き裂かれていた。また銃を持ち代え、2匹のシェルホークを落とす。
今度は〈ウインドカッター〉も交えて牽制する。その間にとレナの《水魔法》〈スプラッシュ〉で1匹シェルホークが仕止められる。アクアやドームも追加の2匹を仕止めていた。
残りの2匹の処理は早かった………僕が落として4人で仕止めた。
『ありがとうアキラ。牽制のお陰で狙いやすかった。ドーム達もさすがだよね。威力が違うよ』
通常の銃弾に戻して【デルタシーク】をしまう。
『いや、あの麻痺弾が全てだ。あれのお陰で戦闘が安定した』
ドームに言われるが、僕1人だと死に戻りは否めない。こんなやり取りをしていて………警戒を怠ったのだ、湖から忍び寄る蛸の脚に気付かなかった……
『きゃぁぁぁ~』
アキラの身体が蛸の脚に絡まり逆さに吊らされている。
『アキラ』
僕は〈ウインドカッター〉を〈詠唱破棄〉でMPが尽きそうなぐらい連発し、1本の脚をぶち切る。そして落下していくアキラの下にダイブする。
キャッチこそ出来なかったが、なんとか間に合ったな。アキラの下敷きになっているので、まったく締まらないんだがな。
『大丈夫?』
アキラが頷き、ケガを確認して〈ウインドヒール〉を掛け。既に攻撃して、牽制しているドーム達の援護にまわる。
『アクア、どうすればいい?』
射撃しながら訪ねる。
『あの蛸はレクトパス、出現率の低い強MOBだ。まず脚を断って攻撃の回数を減らすぞ。悪いが俺達も戦った事が無いから、掲示板の情報しか分からない』
そう言いながらもドームの陰からアーツを繰り出し続ける。
僕は、マガジンを【銃弾・凍結】にか代えてアクアの攻撃する脚を凍らせていく。効果の有りそうな雷属性は、パーティーメンバー誰も使えない。もう1つの【デルタシーク】に【銃弾・毒】に代え、毒による行動低下とスリップダメージを狙う。
よし、少しは効果が有るみたいだな。ドームを襲う蛸足の数が少なくなっている。
『凍結と毒で援護するが、数はそんなに無い。効果時間も短かいし、ダメージの方は全く期待しないでくれ』
そう言いながらも射撃の手は緩めない。
5人でアーツや魔法を連発してなんとか半分の4本、脚を断っているが、MPもアイテムもほとんど無い……
『逃げるか?』
『情報では、全員は逃げれない。脚が伸びて何人か引き込むらしい』
有り得そうな話だな。完全に手詰まりである。こう言う時は、仕方がないよな………
『僕が残る。銃弾がもう残り少ないからな。ドロップ素材は十分有ると思うし、生産するにはデスペナは関係が無いからな。それに遠距離まで攻撃でき、回避して生き残れる可能性が最も高いのは僕だ』
そう言いながら蛸足の攻撃を回避して頭部に射撃していく。
『女の子を残すわけにはいかないしな。だから早く行け、僕も死ぬつもりは無い』
更に回避をしていく。アクアが、
『ふざけるな。シュン』
と言いい怒るが……
『女の子が変なトラウマ系の称号貰うよりは、僕1人を残す方が遥かにましだ。僕は、既に持っている』
これには、説得力があったらしく、アクアとドームが他のメンバーの撤退を促す。
2人共逃げようとはしないが、アクアとドームが無理矢理に後退させて行く。
4人が、かなり後退したのを確認して、レクトパスの攻撃を受けながらも特攻。そして、渾身の〈零距離射撃〉と〈急所撃ち〉の同時発動で撃ち抜く。
レクトパスの頭に風穴は開ける事は出来たが、僕は湖に引き込まれていく。
………残された記憶はここまでだ。
最後に一矢を報いれたのか?は謎だった。気付いた時は2度目の、見知った光景だった。
『死に戻りか……』
先程の出来事を思いだし身震いがしてくる。当分、湖は行きたく無いな。
暫くして、アクア達は無事だったのかな?等と思っているとコールがくる。
『シュン、無事か?何をした?今何処だ?』
『いや、ダメだった。死に戻りで神殿の中だ』
『はっ!?どういう事だ?レクトパスのドロップ類が手に入ったから倒したのだろ?』
アクアの言葉を聞き、少し考える…………ドローか?それしか考えれないよな。
『なんとなくだが分かった。でも説明しにくいな』
『30分くらいで街に戻るから、その後皆で説教だ。待ってろ』
正直に言うと待っていたくは無いのだが、逆の立場なら、アクア達が怒るのも分かるからか。甘んじて説教を受ける事にするか。待っている間にドロップ類の確認をすると、確かにレクトパスのドロップが3種類あった。当然称号も成長していた………
称号成長
〈改めてトラウマを得た者〉
1度トラウマを乗り越えたのに違うトラウマを進んで得た者への称号/成長称号
30分がたちアクア達が街に戻ってきた。
『本当にすまなかった』
顔を見るなり謝罪を口にする。皆はすぐ許して……くれるほど甘くはなかった。説教は30分にも及ぶ。もう2度としないと約束する事で場を収める事にした。途中からはアキラが優しく庇ってくれたのも大きかったよな。
『それで、あの後どうなったんだ?』
『多分だが、最後の攻撃で相討ちになったんだと思う』
考えられる事を話す。しかし、アクア達は納得しないようだ。まぁ、仕方ないけどな。
『えっ~と、最後の記憶があるのは、最後の一撃でレクトパスの頭部に風穴を開けて、その後レクトパスに湖に引き込まれるところまでだから………僕が考えられるのは、特殊なアーツを使った事と多分最後の1撃にクリティカルが出たんだと思う。それと、毒によるスリップダメージも多少は有るんだと思う。そんなところかな。特殊なアーツの内容については秘密だ』
これ以上は、分からないと伝える。
『納得はいかないが、ドロップを入手しているし、そうなんだろう。でもそれなら何故、その特殊なアーツは最初から使わなかったんだ?』
リスクが大きく、相手の攻撃を貰い易い事とあまり知られたく無い事を話す。
『取り敢えず、当初の目的である鞄の依頼の話しをしようか』
話しを変えた方が良さそうだな。
オーダーを取るが、皆バラバラな内容なのでメールで送って貰う事にした。レクトパス以外のドロップ素材は全て貰ったので、素材はかなりの量になっている。鞄の製作費は貰わない事にしようかな。
『それと宝石は持っているか?有るなら効果を余分に付けれるぞ。ちなみに、僕のは防水が付いている』
ドームとレナは宝石のストックがあったらしく僕に渡してきた。残念ながらアクアとアキラは武器に使ったところで持ち合わせが無いそうだ。
『学校が始まる前に作り終えたいし、明日の夕方には完成させて渡せるようにするが、皆は時間有るかな?なかったら全部アクアに渡しておくが……今回は素材をたくさん貰ったし、迷惑もかけたのでお代は頂かない。出来上がった後でも調整は可能だから少し使ってみて問題が有れば、コールをくれたら直しに行くぞ』
皆、タダと言う事に何か言いたそだったので、次は貰うよと一言付け加える。ドームとレナは、予定があるらしくアクアに預ける事が決まった。アキラは直接受け取りに来るらしく、夕方5時に約束する。アクアの時間は、当然聞く必要も聞く気もない。
皆と別れて、使わない素材を露店で売り銃弾と必要な素材を購入した。とにかく量が多いので夕食まで皮の鞣し作業に費やす事になり、《鞄製作》と《革製作》のスキルがフル活用だった。
最初はリザードの皮加工に失敗もあったが、慣れたらミスなく鞣し作業が出来た。スキルLvも大きく上がっていた事も理由の1つだが、まだまだ素材のランクが低いのが大きな理由みたいだな。
リザードの鞣し皮と鞣し皮を合わせて合皮にしていく、少しでも頑丈で持ちやすい良いものを作りたい。失敗した皮は、また練習用に使あとするか。
夕食を食べて、再びログインをして工房を目指す。
工房の前には1人佇むアキラがいた。
『どうかしたのか?鞄はまだ出来てないぞ』
声をかけてみると、アキラはかなり驚いて焦っている。アキラらしくないよな。
あれ!?声をかけたのは失敗だったか?謝って立ち去った方が良いかな?
『何か邪魔したみたいだな?すまん』
『あっ!!待って。さっきは、その、助けてくれてありがとう。お礼を言えてない事を思いだして、それと遅くなってごめん』
アキラは勢いよく頭を下げる。どうやら、律儀にお礼に来たらしいな。
『気にしないで大丈夫だぞ』
『ダメだよ、こういう事はちゃんとしないと』
これ以上否定しても逆に気不味くなるだけだよな………
『そっか、それもそうだね。分かったよ』
『あの……それと、鞄つくるの見てても良い?』
『別にいいけど、見てて楽しいものではないよ』
そう言って2人で工房に入る。先程の続きで合皮を作っていく。アキラは無言で手元を見ている。若干、いや、かなり気まずいな、
適当に話題を振ってみるか?
『アキラは生産系は取得してないのか?』
当然、手元は動かしたままだ。
『あぁ、興味は有るけど……その、手先が、少し苦手なんだ』
なるほどな。指先をモジモジしているのを見ると確かに苦手そうだよな。
『スポーツの方が得意?』
『そだね、部活でバスケをしてる』
『もしかしてアキラも学生か?』
周りに聞こえないように小声で聞く。
『高校生になったばかりだけどね、シュンも?』
『僕も高1だ。東京都練馬区在住。アキラは?……あぁ、悪い。リアルの事を聞くなんてマナー違反だったな。ネットに慣れてなくてな、アクアにも言われてたんだが………すまない』
はい、失敗しました。アキラが笑っている。
『私も慣れてないから大丈夫だよ、それに私も練馬だよ』
おぉ、同郷らしい。世界は狭いらしいな。
『それは奇遇だな。次の作業工程《鞄製作》に入るけど時間は大丈夫?ここからは少し長いよ』
『まだ大丈夫かな』
本当にこう言う作業を見ているのが楽しいのだろうな、さっきからずっと笑顔だ。それがちょっと可愛いく思う。
まずは、試作品からだな。合皮は使った事が無かったが問題無く縫えている。これなら形状の方も自由が利きそうだな。きっと丈夫なモノが出来るぞ。この調子ならいきなり作っても問題なさそうだな。
『最初は、アクアの分から作るか。多少失敗してもアクアの分だからな』
アキラも隣で笑いながら頷いている。
【アクアの鞄】アクア専用
〈特殊効果:重量軽減/自動回収・ドロップ素材〉〈製作ボーナス:容量拡張・中〉
ウエストバッグタイプ
アイテム名は、当然製作者名が付けれる。アクアの分は適当だ。メールでオーダーを確認して続けざまにドーム、レナの分を作る。
【ウエストバッグ】ドーム専用
〈特殊効果:重量軽減/自動回収・ドロップ素材/防御力上昇・微〉〈製作ボーナス:容量拡張・中〉
ウエストバッグタイプ
【ショルダーバッグ】レナ専用
〈特殊効果:重量軽減/自動回収・ドロップ素材/回避力上昇・小〉〈製作ボーナス:容量拡張・中〉
ショルダーバッグタイプ
宝石の効果でアクアより良いものが出来ているな。
全てに専用のタグを打って他者の使用を禁止しておく。これで盗まれる事も無いだろう。
鞄が出来て行く工程、僕がチクチク縫っていくのを見てアキラは目をキラキラさせている。とても楽しそうだな。実際に縫っている僕以上に………
『そう言えば、アキラはメールくれてないよね?どんな内容にするんだ?』
『シュンが使ってるものと同じ形が良い、色も黒にして欲しい』
『了解、アイテム名はどうするか考えておいてくれ』
これは既に型が有る為、早い。どんどん縫あい進めていけて、結果的には他の鞄の半分くらいの時間で縫い終わる。まぁ、ここまで付き合ってくれたからな、少しオマケをしておこうかな。
『出来たぞ、アイテム名は決まったか?』
『シュンならどう付ける?』
『僕はネーミングにもセンスないから、【ボディバッグリザード】とかかな』
『それでいい、私も思いつかないから』
【ボディバッグリザード】アキラ専用
〈特殊効果:重量軽減/自動回収・ドロップ素材/速度上昇・小〉〈製作ボーナス:容量拡張・中〉
ボディバッグタイプ
アキラに手渡す。気にいってくれたら良いのだけど………
『どう?使ってみて。何か問題が有ったら、今直すから』
使用を促してみる。
『ありがとう。凄く使い易いよ。凄く満足してる……だけど、シュンこれって、もしかして宝石使ってないかな?』
オマケの存在が早速バレたようだな。流石に早過ぎないか?
『もうバレた?かなり長い時間付き合ってくれたからお礼だ。気付いてるか?もう6時間は経ってるぞ。日付も変わってるし。それに、今日は僕も1人じゃなくて楽しかったからな。そのお礼だと思ってくれたら良いよ』
『あっ!!』
アキラはやっと時間に気付いようだな。
『まぁ、そういう事だ』
そろそろログアウトしようとアキラを促し工房を片付ける。
『何か問題が有ったら何時でも連絡してくれ。またな、おやすみ』
『おやすみなさい』
2人そろってログアウトする。
翌日のログインは、昼をかなり過ぎてからだった。まずは、アクアと待ち合わせをして出来上がった鞄を渡す。少し元気が無いような気もするが、シュンの気のせいだとアクアに言われ、ジュネの鞄を作りに工房へと足を進める。
工房の中には、何故か作業中のアキラがいた。
『やぁ、シュン、おはよう。昨日の作業を見てて、私も生産系のスキルが欲しくなったから《革製作》を取得したよ。自分で短剣を入れる鞘や防具を作ろうと思う。また、色々教えてね』
どうやら生産の世界にハマったらしいな。生産仲間が増えるのは本当に嬉しいな。
『おはよう。って言うか僕は、教えれる程スキルLv高くないぞ。でも良いのか?生産系をガチにやりだすとアクア達とパーティー組みにくくなるぞ』
僕だって、まだ生産を始めたばかりなのだ。教えれる程の技術を持っていない。それにパーティーの方は大丈夫なのだろうか?これでパーティー解散とか寝覚めが悪いんだが………
『それは大丈夫。ドームとレナは今年から社会人でGWが終わったら、βの時みたいに皆でなかなか同じ時間に集まれないの。だから、昨日皆で話し合って時間が合えばパーティーを組む事に決まったの。アクアは新しくパーティーを集めるそうだよ』
それでアクアは朝から元気が無かったのか………お疲れ様だな。
『それは、仕方ない話しなのかも知れないが、寂しくなるんじゃないか?』
『まぁ、永遠にサヨナラって訳ではないし、それに工房にはシュンがいるし』
恥ずかしそうに照れながら言う。少しアキラに気を遣わせてしまったかな。
『それなら改めてヨロシクだ。素材集めなら手伝うからな、何時でもパーティーに誘ってくれ』
『ありがとう。よろしくねシュン』
嬉しそうな笑顔を見せる。
『じゃあ、僕はジュネの分の鞄作るから、アキラも頑張って』
作業を始めようと準備する。
『……ジュネって?』
あぁ、アキラは知らなかったんだっけ。
『銀髪美女エルフの?』
アキラが聞いてくる。
あれっ!?アキラさんなんか目が怖いんですが………
『……多分そうだと思うけど、知ってるのか?』
『βで何回かパーティー組んだ事あるし、リアルでも………それより、仲良いの?』
だから、目が怖いです。
『仲は悪くないと思うが………一応、双子の姉だし。全く似てないけど』
『双子?姉?えっ!?ちょっと待って……』
アキラが困惑しているが、どこか嬉しそうだ。それに目が優しくなって良かった。あのままの目で見られ続けると僕の身が持たないからな。
『ちなみに、アクアは隣の家に住む幼なじみだ』
『………シュンの名字はもしかして颯馬?』
今度は、僕が驚く。かなり………
『私とジュネは同じクラスで友達なんだよ。βで知り合って高校で再会』
うわっ!?アキラは同じ練馬区の中でもご近所らしい。
『それって、かなりリアクションに困るのだけど……』
実際に、かなり驚いている自信が有る。
『だよね……』
だが、彼女は嬉しそうだ。決して僕みたいに困っては無いだろう。
『取り敢えず、鞄作ってジュネとアクアを呼ぶか?』
アキラに確認して、2時間後に《革製作》の工房に集合して欲しいとメールを打つ。
僕達は気を取り直して作業を進めていく。
『シュン君』
『シュン、アキラ来たぞ』
2人は揃って時間通りに現れる。
『呼び出して悪いな……ジュネ、その顔は呼び出された理由もう分かってるよな』
僕とアキラは顔を見合わせて、溜め息が出そうになる。
『もう、バレた?』
『あぁ、バレたな』
ついでに依頼の鞄を渡す。ジュネは本当に楽しそうだな。
『どういう事だ、俺にも分かるように話してくれ』
『簡単に言うぞ、ジュネとアキラの2人はクラスメイトだ。つまり、僕達は同じ高校に通っている』
アクアの開いた口が塞がらない。普通はそうだろうな、僕もアキラも同じ道を2時間前に味わったからな。
『ジュネは何時から気付いてたんだ?』
『正式稼働日、街で、アクアのパーティー、見た時』
はい。ここに、確信犯がいました。
『まぁ、そう言う事だよな。おい、アクア、そろそろ戻ってこい』
『改めて、ヨロシク』
ジュネのあっさりとした言葉に、虚をつかれて3人で頷く事しかできなかった。
装備
武器
【デルタシーク】攻撃力30〈特殊効果:なし〉×2丁
【銃弾Lv2】攻撃力+10〈特殊効果:なし〉
【ハンドガン】攻撃力15〈特殊効果:なし〉×2丁
【銃弾Lv1】攻撃力+5〈特殊効果:なし〉
防具
【ゴーグル】防御力3〈特殊効果:命中補正・微〉
【レザーブレスト】防御力15〈特殊効果:なし〉
【布製の服】防御力5〈特殊効果:なし〉
【レザーバングル】防御力8〈特殊効果:なし〉
【レザーブーツ】防御力5〈特殊効果:なし〉
【ローブマント】防御力10〈特殊効果:なし〉
アクセサリー
【ウルフダブルホルスター】防御力5〈特殊効果:速度上昇・微〉〈製作ボーナス:リロード短縮・小〉
【左狼脚ホルスター】防御力2〈特殊効果:回避上昇・微〉〈製作ボーナス:リロード短縮・小〉
【右狼脚ホルスター】防御力2〈特殊効果:回避上昇・微〉〈製作ボーナス:リロード短縮・小〉
《銃士》Lv38
《短銃》Lv43《速度強化》Lv28《回避強化》Lv26《風魔法》Lv31《魔力回復補助》Lv30《付与魔法》Lv29《鞄製作》Lv32《錬金》Lv9《探索》Lv39《家事》Lv22
サブ
《調合》Lv8《鍛冶》Lv6《革製作》Lv12
SP 31
newアーツ
〈跳弾・短銃〉攻撃力×2/消費MP 50
銃弾を壁や地面、天井などに反射させて攻撃する
習得条件/《短銃》スキルLv40
new魔法
〈ウインドシールド〉魔法を1回だけ防ぐ風の盾が現れる/消費MP 15
習得条件/《風魔法》スキルLv30
称号
〈もたざる者〉〈改めてトラウマを得た者〉
new称号
〈略奪愛?〉
他人の仲間を愛の力で奪った者への称号
取得条件/他のパーティーメンバーを全く勧誘せずに魅力だけで奪う