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OOO ~Original Objective Online~ 称号に振りまわされる者  作者: 1048
第1部 第4章
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日常 1

翌日、ログイン後に鉱山ダンジョンで試作鞄のテストをしていた。


『これは、ヤバいな………』

自動回収・自然素材の効果は、昨日確認していた能力で間違い無かった。


採掘用のピッケルで素材を掘り出した瞬間に、一瞬キラリと光り鞄に吸い込まれていく。鞄サイズ以上の素材でも問題無く回収しているのは流石だよな。まぁ、ちょっとした違和感は有るけどな。


ちなみに、このピッケルはフレイに作って貰った物で、市販の物よりも1回で掘れる鉱石の量が多くなる製作ボーナスが付いているこで、以前よりも簡単に採掘が出来ている。


容量拡張・最大の方は、底知れない感じだな。既にドロップ素材、自然素材共に、そこそこの量を回収しているのだが、まだ鞄の容量は最大値(MAX)の3%にも達していない。一体どれくらい入るんだ?


こうなると逆に、あとで整理する方が手間かも知れないな。


ヤバいな。これならプレゼントとしても確実に喜ばれるはずだ。実際に能力には文句の付け所は無く、笑いも止まらない。能力面では完璧に近い作品だと思う。さっさとホームに帰ってプレゼント用鞄の製作にかかろうかな。


うん!?


『ギルマス、今は大丈夫か?』

カゲロウからのコールだ、何か焦っているような気がするな。


『あぁ。大丈夫だ。今は鉱山ダンジョンだが、もう少ししたらホームに戻るぞ。何か急ぎの用か?』


『いや、急ぎと言う訳では無い………戻ったら、工房の方に寄ってくれるか?』


『OK。了解だ』

それでコールが終わったのだが、本当に何が有ったんだ?少し急いだ方が良いかもな。


ダンジョンから出ようとしたら………今度は、メールだ。


こちらは、マリアからの返信だな。新作銃の製作依頼だが、両方欲しいらしい。製作するのは、簡単なので問題ないが2丁分のお金は有るのだろうか?それよりも、今はカゲロウの用件だな。さっさとホームに戻るか。





ゲートから転送してホームに戻る。既に、ゲートの前ではカゲロウが待機していた。


『ただいま。どうした?カゲロウ、そんなに慌てて』


『ギルマス、俺の事は後で良い………それよりも、お客様だ』


『客?誰?』

わざわざ呼び出す程の客?誰なんだ?


『会えば分かる』

僕をホームのリビングに押しやるが、カゲロウは付いて来ることすらしない。取り敢え、ず客にお茶は出している様なので良しとしようかな。



『お待たせしました。僕が【noir】のギルドマスターをしております。シュンです』

カゲロウさん………会っても、全く分からないんですが?って言うか、この人NPCだよな。NPCに知り合いは多い方だとは思うが、それでも全く見覚えが無い。それにしても、立派な格好だな。どこかの富豪さんか?それとも貴族?


『いえいえ、こちらが貴方様の御都合も考えずに勝手に伺わせて頂いたのです。待つぐらいは、覚悟の上でございますよ。申し遅れました。私は【シュバルツランド】の城で大臣をしておりますカイロと申します』


『はい!?…………この国の大臣さんですか?…………それで、一体どういったご用件なのでしょうか?』

軽くとんでもない事をぶっ込んで来たな。


カゲロウよ、こう言う大事な事は前もって話すべきだと思うぞ。お陰で若干パニックだ………



『早速ですが、こちらの用件を………僅か1年半程で【シュバルツランド】の発展に貢献し、財産面でもこの国で1番の〈大富豪〉。更に、先日に至りましては、我が国で数年来の問題になっておりましたクラーゴンを討伐なされました。既に、この国に無くてはならない存在に成りつつあるギルド【noir】の〈大商人〉兼ギルドマスターのシュン様ならびにギルドの皆様に、我が王シュバルツ3世が是非とも会いたいと申しておりましす。、よろしければ【シュバルツランド城】へ、お越し頂きたく存じまして、こちらに参った所存にございます』

あの白い城への招待か……………


う~ん、はっきり言って面倒臭さそうだよな。 それは、別としてだが、あの城に入る方法って有ったんだな。エリアが街から隔離されている為、通常は入れない仕様になっているので、プレイヤー間では背景扱いだったのは有名な話だ。どうにか入ろうと挑戦したプレイヤーもいたらしいが………無駄に終わっている。


それにしても1年半ってどう言う事だ?………ギルドを作ってまだ5ヶ月も経って無いよな。あぁ、そう言えばOOOの世界は現実と時間の経過が違っていたよな。現実の1日がOOOでは3日………それでかな?それなら、確かに1年半程くらいは経過しているからな。


わざわざ大臣クラスの人間を、こんな街外れまで(おつかい)させると言う事は………かなりの確率で厄介事だろうな。



『すみませんが【noir】のギルドマスターは僕だけでは無いですし、クラーゴンの討伐に関しては他のギルドの協力が有ったからです。それに、今は少し忙しくしておりますので、今回は御遠慮させて頂きます』

出来る事なら、厄介な面倒は全力で回避したい。


『そちらにも御都合が有るのは理解できますが、こちらとしても引けぬ事情が御座いますので……』


『………申し訳ございませんが、その引けぬ事情と言うのも、こちらは分かりませんし、こちらの予定よりも優先させる理由もありませんので、今回は………』


『そこを何とかして頂けませんでしょうか?実は………』

大臣が僕に内緒話をする様な感じで耳打ちしてくる。


『………ここでは言えない御依頼がございまして………』

ほら、やっぱり厄介事だ。


王様が僕達に会って直接依頼したいと言うのが、問題だよな。また、変なイベントやクエストで無ければ良いんだけどな………


『仕方ありませんね。分かりました。ただ、この件は僕だけでは判断できませんし、暫く時間を頂いても宜しいですか?良い返事が出来るかどうかはわかりませんが………』


『申し訳ございません。では、そうですね3週間後にまた来させて頂きます』

そう言い残して大臣さんは、お城に帰って行く。当然ゲートは使えないので玄関からになっているがな。


リビングにまで入って来た客が、玄関から帰るのは珍しいよな………来る時は玄関からでも、帰りはゲートって言うのが【noir】では、当たり前になっていた。


ホームに有るゲートは、主要ヶ所には大概繋がっていて便利になっている。それに、ホーム内から使う分の使用制限は緩く設定しているので使いやすいからだ。



それにしても、3週間後って事は現実時間で1週間後って事だよな。微妙にだが、こちらの都合が考えられているよな。念の為に、皆の意見は聞く必要が有るかな。1週間後ならケイトの誕生会は終わっているし、時間に余裕も有るかも知れないからな。


プレイヤーの殆どが始めてOOOにログインした時、あの綺麗な白い城に目を奪われたものだ。一度は入ってみたいと言う気がするのも事実だ。た・だ・し、厄介事が無ければだがな。


『主よ、ワシも、黒も手伝っても良いのじゃ。仮にも一国の王ならファミリアの有益な情報を持っておるかも知れないしのう』

白や黒は賛成のようだが、果たしてそう上手くいくのかな………





『ギルマス、終わったか?』

客が帰ったのを見計らい、カゲロウがリビングに顔を出してきた。


『あぁ、カゲロウ、出来ればコールの時に教えて欲しかったぞ、軽く慌ててしまったからな』


『残念ながら、それは無理だ。あの客が来たのは、俺のコールのあとだからな』


『???』

どう言う事だ。客が来たからコールをしたんじゃ無いのか?


『ギルマスをコールで呼んだのは………これの件だ』

若干。青白い顔をして焦りながら、ケイトの誕生日プレゼントの為に製作していた杖を見せてくる、ただし…………


『………どうしたんだ?これ』

既に、原型を留めていない。って言うよりも明らかに壊れている。


製作していた杖自体には、丁寧な作業の後も見受けられるし、何回も繰り返し試作を重ねていたので作業を失敗したとかでは無さそうだよな。時間をかけて、デザインから試作品までコツコツと作業していたのだから尚更だろう。


『強度のテストで………真っ二つだ』


『おい、真っ二つって、強度のテスト?一体何をしたんだ?』

杖のテストで真っ二つって言うのは、全く想像出来ないんだが………


『ケイトは、杖を棒や槍みたいにも使うだろ。だから、強度のチェックもしてたんだよ。それでな………』

カゲロウが言うには御巨神木は、しなりも有るし、魔力への補助も有るので木材の素材的には、かなり優秀らしいが、どうにも強度の面が脆弱らしい。今日出来たばかりの杖を、北の森の中で木系最弱魔物相手に強度で負けたようだ。つまり、打撃系の武器には向いていないと言う事だ。魔術専用の杖としては、魔力を溜めたり出来る為、使い道が有るかも知れないが………いや、無いな。いくら、魔術専用の杖でも防御には使う場合が有るからな。


『強度か………カゲロウ、すまない。僕がテストもせずに新素材を渡したからだな。本当にすまない。一応まだストックは有るんだが………』


『いや、ギルマスは全然悪くないから気にするな。それに、スキルLvも上がったからな問題無い。これ以上、その素材は遠慮しておくよ。多分だが、御神巨木には、別に相応しい使い方が有ると思うんだ。それよりも、今の問題はケイトの誕生日に何プレゼントしたら良いかな?あまり日にちが残ってないから………それで、ギルマスは何をプレゼントするんだ?』

なるほどな、杖が壊れた事よりも、こっちの方がピンチで若干青白い顔をしているんだな。


『僕か?僕は新作鞄だな。試作品がこれだ』


『………ギルマス、これに勝てる凄いプレゼントって無いのか?』

僕も、悩んだ末に鞄って言う原点に戻ったんだけどな。


これより、凄いプレゼントか…………防具類はシリーズボーナスが有るものを新調したばかりだからな。何か有ったかな?そう言えば、武器は前にヒナタと一緒に製作した物を使ってるよな。夏のイベントで手に入れた【七星杖】を使っているところは見た事が無いよな。あれもユニーク武器で性能が凄かったんだけどな………


『夏のイベントでヒナタが手に入れた【七星杖】って武器が有るんだが、これは属性を7つまで追加出来るんだよ。手に入れた時にケイトと色々試してみたんだが、あの時は風属性しか付けれなかったんだよな。本当に、もしかしたらだが、今なら他の属性が付けれるかも知れない。あとは日本的なプレゼントとかどうだ?以前、裏庭に枯山水を作ったんだが、かなり気に入ってたからな………土地は有るから日本庭園とか作ってみるとかかな。ししおどしとか風流じゃないか?その他は船が有るから釣竿とか?かな』


『ギルマス、少しギルマスの趣味が入ってような気もするが日本庭園は良いかもな。それに、釣竿って言うのも新鮮かもな………念の為に【七星杖】方も、もう少し詳しく教えてくれないか?』

確かに、日本庭園は僕の趣味が大いに入っているかもな。僕が【七星杖】の性能を伝えると、カゲロウは誰かにコールして狩り?採取?に出掛けて行った。あと5日しかないからな。頑張れよ。何をプレゼントするか楽しみにしてるぞ。




さて、僕は手っ取り早くマリアの依頼から終わらせようかな。《銃製作》用の工房でメニューから【インビジブル】と【俊転】を選択して製作する。マリアには、メールで完成した事と店舗で、現金と引き換えで受け取れる事を伝える。これで直接会わなくても済むので、かなり気が楽になったな。



次は、いよいよプレゼント用と僕用の鞄の製作する番だ。


うん!?いつのまにか《鞄職人》《革職人》のLvが上限になってるよな、えっ~と次は《上級鞄職人》《上級革職人》か、おっ!!《銃製作》も、さっきの作業でLv40になり《銃職人》に進化出来るようになっている、ここは迷う事無く3つ全て進化を選択する。貯めていたSPがごっそり40Pもっていかれたが、最近は進化や派生する事が無かったので蓄えが有った。


しかし、そろそろ身体強化系スキルや《見破》等もLvが上限に達しそうなんだから、SPの貯蓄を怠る訳にはいかないよな。《見破》は僕のメインスキルと言っても過言でないくらいの活躍を見せている。最低限、他は置いといても《見破》だけは進化?もしくは派生をさせなければな。


まぁ、今は鞄を作る事が先決かな。スキルも進化しているので、新しい製作ボーナスが付けれるかもな。そして、それに気付いたのは自分用の鞄を製作してボーナスを選ぼうとした時だった。


『…………主、ずるい』


『主よ、その製作ボーナスは凄いのじゃ』


『やっぱり?多分、そう言う事なんだよな。これが有ったら、もう容量拡張って必要無くなるよな』

まぁ、実際に試してみないと、真実は分から無いので試してみるんですが…………僕らの想像通りなら価値が計り知れないよな。取り敢えずは、製作してみるかな。



【ノワールバッグゼロ】

〈特殊効果:透明化/共有化/自動回収・ドロップ素材/防水〉〈製作ボーナス:倉庫直通/自動回収・自然素材〉

ボディバッグタイプ



完成した鞄に付ける事が出来た新しい製作ボーナスの倉庫直通は、その名の通り鞄と倉庫を繋げる機能が有る。進化した《上級鞄職人》恐るべしだな。テストがてらに簡単にアイテムを出し入れしてみたが、倉庫に有るアイテムを取り出す事が出来たし、逆に鞄の中に入れたアイテムは綺麗に整頓された状態で収納されていた。


『あれ!?………』

ここで僕に、ちょっとした疑問が浮かぶ…………


『白、鞄から入って倉庫から出て、ここに戻って来る事って出来る?』

プレイヤーには当然出来ないだろうけど、武器扱いになる魔獣器の【白竜】や【黒竜】なら可能では無いのか?


『なるほどのう………了解じゃ』

僕の心を読んで考えを理解した白は、すぐに銃に姿を変えて鞄に収納されて、暫くすると工房の入口から竜の姿の白が戻って来た。




『主よ、大変じゃ。凄いのじゃ。ワープなのじゃ。ゲートみたいな感覚じゃ。ワシと黒は気軽にホームに戻れる様になったのじゃ』

嬉しそうに、楽しそうに話す白に若干だが嫉妬するよな。これで白達はゲート要らずになったんだから。本当に羨ましい事だ。


僕は、事前に白や黒と予想していた通りの機能で満足していたのだが………


『主よ、特殊効果の共有化とは何じゃ?』

白に言われて、新しい製作ボーナスばかりに気を取られていて完全に特殊効果の確認を忘れていたな。共有化って効果は聞いた事が無いよな。まぁ、PC使ってるから現実では、よく耳にするんだけどな。流石に、そんなとんでも機能は付いてないだろうし………



すいません。とんでも機能が付いてました。《見破》でも確認出来たので間違い無いだろう。共有化の特殊効果を持つ鞄同士を選択して共有化出来るらしい。簡単に言うとPCと同じだよな。これは倉庫に常備する用の鞄を作って試すしかないよな。



【ノワールバッグゼロ2】

〈特殊効果:共有化/自動回収・ドロップ素材/防水〉〈製作ボーナス:倉庫直通/自動回収・自然素材〉

ショルダーバッグタイプ



形状の違いか?透明化の特殊効果は付いていなかったが、他は同じ機能で製作出来たので早速共有化を試してみる。僕の鞄の中に共有エリアが表示されている、どうやら成功したようだな。


ちなみに、この共有化の機能を実際に確認して分かったのは、鞄の中にもう1つ別の鞄がある様な感じだ。これが有れば、離れていてもアイテムの受け渡しが楽になるし、戦闘中等でも鞄を通じてアイテムを受け渡せる様になるのは便利だし有用だろう。


しかも、同じ鞄を倉庫に置いていけば、共有機能を使って魔獣器である白地黒は、ホームから僕達の場所迄瞬時に来れると言う事だよな。


これは便利に使わせて貰おうか…………勿論、今思ったのは冗談だが、緊急の場合には頼りにしたい。


『主よ、これを誕生日プレゼントにすると、主の1人勝ちになってしまうのじゃ』

何に勝つのかは分からないが、白の言いたい事も分かる。始めに黒がずるいと言った本当の意味が、やっと分かったな。他の皆のプレゼントが、霞みすぎるのは誕生日的にはよろしく無いよな。


『そうだよな。鞄は皆に一括でプレゼントにするか』

その内、クリスマスもやって来るからな。でも、そうなると今度は誕生日プレゼントに困るんだのな。


カゲロウにもアドバイスしたので自分用のネタが無い。はっきり言って手詰まりになる。


『主よ、装備品に拘るからプレゼントに困るのでは無いのかの』


『えっ!?』

そう言われるとそうかも知れないよな。実際にカゲロウのアドバイスで、ししおどしや釣竿を薦めたりもしている。


装備品以外となると…………専用の家具や特別な料理、趣味に関する物あたりか?家具類なら、イスとか、リビングの広さに余裕も有るのでハンモックとかも有りか?


料理は、当然作る予定になっているからプレゼント的にはダメだよな。もし作るとしするならケイトの郷土料理とかが喜ばれるかも知れないよな。ケイトの趣味は詳しくないが、ボランティアと音楽は好きらしい。音楽が好きなら楽器類でも喜んでくれるかも知れないな。楽器なら《鍛冶》《木工》《錬金》《革製作》の複合スキル《楽器製作》も取得が出来る状態になっている。


《楽器製作》は取得に手間がかかる複合スキルなのに、完全な趣味スキル扱いで、必要SPが25Pもいると言う事で取得すらしていなかった。ちなみに、完全な趣味スキル扱いされていた理由は楽器に関するジョブやスキルが今現在全く存在して無いからだ。《歌手》【シンガー】や《詩人》【バード】と言うジョブは有るが、楽器に頼らず自らの声で応援歌や補助歌を唄うジョブになっている。まぁ、勿論補助として楽器を使う事も可能だがな。


少しSPが勿体無い気もするし、SPの貯蓄がかなり心配になるのだが取得してみるか。ギルドメンバーの誕生日プレゼントの為だ。それくらい奮発しても良いだろう。それに、楽器が有れば色々な事が楽しくなるかも知れないしな。主に打ち上げ等の面でだが………



………なるほどな。取得してみると、これは《鍛冶》や《木工》等と同じで全て自作しなければならないようだ。自分勝手な事だが《銃製作》みたいにメニューから製作出来ると思っていたのは、考えが甘かった様だな………今からで間に合うのか?とも思う。


それと、これはスキルを取得したからだと思うが、楽器の作り方が分かるのは利点だな。まぁ、作り方が分かっても綺麗な音が出るとは限らないけどな


『……………弦楽器』


『黒は、弦楽器が良いのか?』

作り方が分かると金管楽器よりは、作り易いのかも知れない。アコースティックギターなら多少は弾いた事(心得)も有るので調律は出来る。それに、最低でも音は出る物は出来るかな。





『うわっ!!人がいっぱいだな………』

久しぶりに訪れた《木工》の工房はプレイヤーで溢れていた。僕らはホームに工房が在るため、最近は工房機能の追加時にしか御世話になる必要が無い。


それなので、生産系のプレイヤーがこんなに増えて来ている事は知らなかったな。いつものNPCのおじさんに話して《楽器製作》の工房を追加してもらう。


オプションでオート乾燥機能やオート加工機能とかも付けれるんだな………まぁ、結局オプション類は金に物を使って言わせて全部追加するんだがな。特にオート加工機能は便利そうだよな。


オート加工機能はパーツ毎に、こちらが意図した形に成型してくれる機能らしい。これは、地味にありがたい機能だよな。


よく確認してみると《木工》や《造船》等の他のスキル用にもオート加工機能が追加されている。バージョンアップした時か?それともスキルLvの成長の恩恵か…………理由は、どちらでも良いんだがな。この際なので、それらも追加しておくか。


〔『…………他の工房』〕


〔『そうだよな。他も回った方が良いかもな』〕

黒の言う通りだと思う。これからは定期的に街の工房を見て回る方が良いかも知れないよな。




工房を巡るついでに、神殿にも寄り道をしてホームの工房スペースを拡張している、《楽器製作》工房等でスペースが狭くなりつつあったからだ。まだ他に比べると十分に広いのかも知れないが、中級工房に拡張した時に増えた設備が1つ1つ大きい物だったので圧迫感が有ったからだ。圧迫感は出来るだけ少ない方が良いだろう。それに、ギルドメンバーのいくつかの生産スキルは上級になってきている、そろそろ上級工房のクエストも受注できる筈だ。



『シュン様、お待ち下さい』

神殿で申請を終えて帰ろうとした時に、神殿の受付さんに呼び止められた。何かしたかな?


『はい、どうしました?』


『ホームの申請が、お済みでない物件が御座いますので、ご申請をお願いします』


『えっ!?ホームも造船所も店舗、オークション開場も申請済みだと思いますが………』


『はい、そちらの申請は確かに受理されております。未申請は船の事です』

………知らなかったな、船もホームになるんだな。


『船もホームになるんですね。全く知りませんでした。では、申請をさせてもらいます』


船をホームに申請した事で、ホームの機能も使えるようになった。つまり、ゲート機能を船に付ける事が出来る。


実際、かなり便利になるよな………船で遠出しても適当な場所で停泊してログアウト出来るようになる。いちいち街やホームまで戻って来なくて済むのは素敵だよな。更に、船の使い勝手が良くなったと思う。これは、しばらく皆に内緒にしておくか………バレた時は、きっと驚くだろう。ちょっと楽しくなってきたな。





ホームの工房は拡張したので、更に広くなっていた、《楽器製作》の工房を増やしても十分にスペースが余っている。高さも拡張したので圧迫感も以前よりは無くなっていたので作業の進行も早いかもな。


『工房の拡張したのはシュンか?アレはアカンで、事前に連絡くれな。ウチだけが中におったから、かなりビックリやわ………』


『それは、本当にすまなかったな』

フレイが《刀鍛冶》をしていると、急に見慣れない工房が増えていて、呆気に取られていると工房が縦にも横にも高さにも大きくなりビックリしたらしい。確かに中で体験するとカオスかも知れないよな。


『悪かったって、次からは気をつけます。その代わり、お詫びと言うか………各工房に新機能を追加しておいたから試してみてよ』


『なんや、新機能って?』


『ほぼ全ての工房に共通してオート加工機能、あとは各工房で違う機能が有るぞ』

ほぼ全てと言うのは《銃製作》は元々オート加工みたいなものなので、オプション機能が無かったからだ。


『ほほう、それはまた面白いもんを見付けてきたんやな。あとで試させて貰うわ』

気に入って貰えたら良いんだがな。




さて、僕も生産しますか。先ずはギターに使用する木材を選ばないとな。武器に使う予定にしていたが武器には向いて無かった御神巨木を使ってみようかな。御神巨木が楽器に相応しいかは全く分からないがな。当然、練習用には余っている木材を使う。


木材をギターのボディーの形に合わせて2枚切り出し、その内1枚には丸く穴を空ける。サイドの部分に使用する木材は、切り出した形に合わせてオート加工機能で曲げていく。実際に作るなら、こんな単純に曲がらないんだろうけど…………流石は、ファンタジーの世界だな、簡単に曲がっていく。


オプションで付けたオート加工機能の恩恵が十分過ぎるか。オート加工機能を使っている間に自分で加工したネックと切り出したパーツを接着して、オート乾燥機能を使って乾燥させる。


『あとは、ブリッジとペグと弦だな』


『主よ、ブリッジとペグと言うのは何なんのじゃ?』


『えっ~と、ブリッジは弦のボディー側の端にある駒の部分の事で、ペグは弦を固定し音程調整をするための部分。簡単に言うと先端に付いている糸巻きの事だよ』


『…………物知り』

買いかぶりだと思う、僕よりも圧倒的に黒や白の方が物知りだと思うからか。


『選択授業の音楽で使ったから、多少はな………少しなら弾く事も出来るぞ』

黒と喋りながらも、手を止めず楽器を組み立てていく。最後に弦を6本張れば……


『完成だな…………ははっ、それにしても酷い音だな』

完成したギターを鳴らしてみるが、いくら音を調律しても変な音しか出ない、かなり笑えてくる。


少し離れた場所から、フレイが吹き出した音まで聞こえてくる。変な音が出るのは、僕の演奏力の問題では無いんだけどな………まぁ、こればかりは、数を作ってLvを上げるしかない無いんだよな。今までの生産経験から、そこだけは分かっている。何事も練習有るのみだ。



あのあと、十数本作って少しLvが上がったお陰か、作る毎に製作スピードも性能も良くなった。なにしろ音がまともに出ているんだからな。これなら、あと数本も作ればギターとして最低限は使えるよな。なんとか誕生日プレゼントの目処が立って良かったかな。







装備

武器

【雷光風・魔双銃】攻撃力80〈特殊効果:風雷属性〉

【白竜Lv24】攻撃力0/回復力144〈特殊効果:身体回復/光属性〉

【黒竜Lv21】攻撃力0/回復力141〈特殊効果:魔力回復/闇属性〉

防具

【ノワールシリーズ】防御力105/魔法防御力40

〈特殊効果+製作ボーナス:超耐火/耐水/回避上昇・大/速度上昇・極大/重量軽減・中/命中+10%/跳躍力+20%/着心地向上〉

アクセサリー

【ダテ眼鏡】防御力5〈特殊効果:なし〉

【ノワールホルスター】防御力10〈特殊効果:速度上昇・小〉〈製作ボーナス:リロード短縮・中〉

【ノワールの証】〈特殊効果:なし〉



天狐族Lv36

《双銃士》Lv57

《魔銃》Lv57《双銃》Lv52《拳》Lv35《速度強化》Lv83《回避強化》Lv85《旋風魔法》Lv33《魔力回復補助》Lv84《付与術》Lv51《付与銃》Lv60《見破》Lv80


サブ

《調合職人》Lv24《鍛冶職人》Lv27《上級革職人》Lv2《木工職人》Lv30《上級鞄職人》Lv3《細工職人》Lv24《錬金職人》Lv24《銃職人》Lv1《裁縫職人》Lv8《機械製作》Lv1《料理》Lv36《造船》Lv15《家守護神》Lv14《合成》Lv18《楽器製作》Lv5


SP 16


称号

〈もたざる者〉〈トラウマ王〉〈略奪愛?〉〈大商人〉〈大富豪〉〈自然の摂理に逆らう者〉〈初代MVP〉〈黒の職人さん〉〈創造主〉〈なりたて飼い主〉

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