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OOO ~Original Objective Online~ 称号に振りまわされる者  作者: 1048
第1部 第3章
24/65

白(しろ)× 黒(くろ)

『おい白、流石にそれは冷静過ぎないか………それとも、何か良い案が有るのか?』

かなり長期戦になるだろう。なるべく、銃弾の節約と効率化を兼ねて〈零距離射撃〉で攻撃はしているのだが、攻撃を優先している風のビークィーンですらHPは5割程残っている。


雷のビークィーンに至っては、まだ1割も削れていない。本当に最近は【魔銃】に頼りっきりだったよな。明らかに、銃弾の残りが心許ない。風雷?雷風?の合体ビークィーンの事を考えると全然足らないだろうな。合体後は《旋風魔法》も属性的に全く通用しないだろうからな………


『主よ、ワシは先程絶体絶命と申したと思うのじゃが………』

無いらしいな。肝心な時に頼りにならない白はともかく、新入りの黒には悪い事をしたよな。


『黒、悪かったな。初戦は、どうやら負け戦になりそうだ』


『……………』

黒に話しかけても相変わらず返事は無いが、伝わった事だけは分かる。喋りながらも射撃&リロードの手は止めていない。木の陰も巧く使って回避もしていく。僕には、まだダメージは無いのだが、このままでは体力的よりも精神的にもたないだろうな。


『…………白』

うん!?黒が初めて喋ったのか?白と何か話してるのか?


『なるほどの………主よ、黒からの提案なのじゃが、射撃での攻撃と共に周りの木を魔法か【疾風】で斬り倒してダメージを上乗せしてはどうかの?』

白には《心話》で話をしていたようだな。少しは、良い傾向かな。だけど……そんな事は、実際に可能なのか?


『大丈夫じゃ。黒の言う内容なら出来るはずじゃ。これは、1種の地形ダメージ扱いになるらしいのじゃ。それと合体クィーンだったかの?合体したら特殊な弾で攻撃すれば良いそうじゃ。どうやら、黒は人見知りではあるのじゃが頭は賢い(キレる)ようじゃの』

なるほど、最近は全く使用してないので、僕ですら存在を忘れていた状態異常弾を戦略に入れてくるとはな。恐れ入りました。


『了解した。取り敢えず、目の前の風のビークィーンを倒すぞ』

僅かの、極々僅かだが、勝機が見えた事でやる気も出てくる。まずは、木でダメージが出るのかも試しておくかな。


『〈ウインドカッター〉×3』

《風魔法》を《旋風魔法》に進化させて、Lvも少しずつだが上がってはいるのどが、新しい魔法は覚えていない。その代わりと言うか同時撃ちは可能になっている。連続撃ちでは無く同時撃ちだ。これの長所は、回避が難しくなる事と魔法での牽制と攻撃が同時に出来る事だな。


『うわっ!?』

思った以上に………って言うか僕の射撃以上にダメージが出てるよな。最近は便利になっていて忘れていたが、やはり銃の攻撃力の無さは相変わらずだよな………バージョンアップで種族よりも、先にこの点をテコ入れして欲しいな。


『黒、上手くいきそうだよ。ありがとう』

〈零距離射撃〉と木の地形ダメージの連続で風のビークィーンを削り切った。やはりというか、当然の様に雰囲気が変わり、雷と風のビークィーンが合体していく………名前は風雷(ふうらい)のビークィーンか。左手の【雷鳴】を【白竜】に持ち変える。まぁ、ここからが本当の開戦だよな。


『〈零距離射撃〉〈ウインドカッター〉』

〈零距離射撃〉でクィーンを〈ウインドカッター〉で近くの木を巻き込み伐採していく。あとでちゃんと素材として回収して使わせて貰うからな。決して自然破壊をしている訳ではありませんよ。


徐々にだが戦闘以外の事も考えれるようになっているな。それにしても、MPの回復速度が速くないか?いつもよりも《付与術》と《旋風魔法》とで、かなりの数を放っている筈なのだがMPの消費が少ない。寧ろ全く減っていないんじゃ無いのか?


〔『……………竜の力』〕

竜の力って、確か【白竜】と【黒竜】のセットボーナスだったよな。内容は自己回復力強化だったかな?


えっ!?もしかして魔力回復の事だったのか………黒が《心話》でコクッて頷いた。


『主よ、少し違うのじゃ。魔力だけでなく身体もじゃ、自己回復力強化を分かりやすく説明するなら瞬時回復じゃな。仮にも竜の力なのじゃ。それくらい出来無い方が不思議なのじゃ』


『マジか!?』

最近、僕の中の常識がおかしくなりつつあるが、これは別格だよな。つまりは、即死(オーバーキル)以外なら、徐々に回復してしまうのか?これって死なないって事じゃないのか。


『そ、そんな事が有っても良いのか?』

今の状況が不思議過ぎて、完全にレア中のレアボスMOBである風雷のビークィーンは置き去りにしている。全く豪華な話だと思う。


『『…………』』

白よ、お前もか………ついに、白までが黙秘を決め込んだ。


『と、取り敢えず、先に倒すぞ。〈ウインドカッター〉×4』

まずは周囲の木々を斬り倒して、ダメージ+動きを限定させる。更にクィーンの懐に潜り込んで………


『〈零距離射撃〉これで、どうだ?』

木の地形ダメージと【毒弾】の射撃でのコンボで一気に大ダメージを叩き出す。


よし、ようやく毒になってくれたぞ。合体してからは【毒弾】で撃ち続けていたが、全然状態異常になってくれなかった。クィーンは毒の耐性は持ってないはずなんだがな。《見破》で確認しているので間違いは無い。ここでも運か?


『主よ、そうじゃの………あと4、5回は同じ攻撃(クリティカル)が必要じゃな』

黙秘していても、しっかりツッコミだけは入れるんですね。


『いや、ここからは【宝石弾】(取って置き)を使用するからな。もう少し早く片付くはずだ』

コストパフォーマンスが非常に悪いので1回も使った事は無かったのだが、今こそ使い時だよな。【宝石弾】は攻撃力+40と【デルタシーク】本体並の攻撃力を誇っている。回避をしながらマガジンを変更して距離を詰めていく。


『喰らえ〈急所撃ち〉〈跳弾〉』

近付いて〈零距離射撃〉を、もう1度と思っていたが、クィーンもHPが減ってきているので戦闘のパターンが変わっている。


クィーンの回りにも風の壁が出来て近付けない様になっている。壁と言っても攻撃は通るので、僕にとっては大きな問題にはならないんだがな。


近付けなくなったので、ある程度の距離から〈跳弾〉を繰り出していく。OOOには、それなりの時間は使ってきているんだ、それ相応に様々な戦い方は経験している。


『…………白』


『主よ、黒が風の盾と言っておるの』

白を通してアドバイスはくれるが、まだ僕の名前は呼んでくれないようだな。黒は《心話》で白だけに分かる様に伝えているようだな。


『風の盾?これの事か〈ウインドシールド〉』


『……………そう』


『なるほどの。黒が言うにはじゃ。最後の一撃をそれで耐える作戦なのだそうじゃ』

確かに、最後はどんな一撃はどんな物が来るかは分からないし準備を怠る訳にはいかない。そもそも、氷炎のビークィーンと同様に最後の一撃が来るのかも分からない。それなら、念には念を入れて…………


『〈ウインドシールド〉×2』

白と黒にも〈ウインドシールド〉をかける。


『主よ、どうしてじゃ?』

白が驚いて問いただしてくる。


『もしも、だ。僕の予想通りに最後の一撃が有った場合、攻撃を受けるのは3人共(全員)だ。白も黒も痛いのは嫌だろ?だからだ』

そろそろ、来ても良い頃だよな。


おっ!!魔力を溜めだしたな。念の為に〈魔法防御力上昇〉と〈防御力上昇〉の《付与術》をもう1度掛けておくか。


『おいおい、今度は嵐かよ………』

本当にこの戦場は地獄になる事が多い。雷を伴った暴風がクィーンを中心に巻き起こる。これでは回避をする隙間が全く無いぞ。僕は、白と黒を抱えてしゃがみ込んだ。頼む瀕死(HP1)でも良い、耐えてくれ………


僕は、余りの威力に死に戻りも覚悟した………






『……うん、終わったのか?』

実際には、どれくらいの時を耐えていたのだろうか、僕の体感時間では10分位か?実際は、そんなに長くは無いだろうな。地獄のような時間を耐えた抜いた?


今は、さっきまでの暴風や雷が嘘のように静かになっている。そして、そこには風雷のビークィーンの姿も無い。


僕は、かなりダメージも受けているはずなのだが、HPが全く減って無い。


『…………!?』

そんな事が有る訳は無い。暴風に叩き付けられて痛かったし何度も雷を肌に感じている。本来なら、こうやって生きているのも不思議なのだ。気が付いた時には神殿でもおかしくないダメージは受けているはずだ。


『主よ、大丈夫だったかの?』

腕の中に抱え込んでいた白と黒がいない。


それもそのはずだ。声は僕の図上から聞こえている。見上げて見るとそこには白と黒の2匹の竜がいた。


『な、何で!?』

守ったはずだった2匹に、逆に守られていたのか?


『……………お礼』


『主の防御魔法のお礼なんだそうじゃ』

一体僕が攻撃に耐えている間に、何が有ったんだ?


『ワシも、知らなかったのじゃが、黒が言うには銃の状態では竜の力は10%位しか発揮してないそうじゃ。(本来)の姿になって本当の力が発揮されるみたいじゃの』

えっ~と、頭の回転が追い付かないぞ。


ちょっと待てよ。僕が、死なないと思い込んだ竜の力は10%だったと………じゃあ、100%って何なんだよ。


『それはじゃの………これは、何時でも簡単に使える力では無いのじゃが、痛みは感じるのかも知れんが、防御面では無敵と言う事じゃ』

確かに、白の言う事が本当なら、こんな力が簡単に使えては堪ったものではない。今回のこれは、白と黒の意思が有って偶々(たまたま)発揮された奇跡みたいなものらしい。


『そうか………ありがとうな白、黒』

って言うか………今、後ろ向きだが、黒が竜の姿になってるよな。初めて見たが白と同じ様に綺麗だよな。そんな事を僕が思うと、黒は恥ずかしかったのか?すぐに銃の形態になりホルスターに戻っていった。


『黒、ありがとうな』

もう1度お礼を述べながら撫でてやる。


『主よ、過保護じゃの。まだ素材の回収が残っておるぞ』

そう言いながら、白もホルスターに戻っていった。


『おう。白も、ありがとうな』

白にも、もう1度お礼を述べながら撫でて採取に入る。戦闘中に攻撃手段として伐採した木材が、かなり有るので思ったよりも時間が掛かった。


『あれ!?これって御神木じゃないよな………御神巨木(ごしんきょぼく)?』

また新しい木材の様だな。素材的には、1ランクアップってところかな。御神巨木も御神木同様に10本回収出来た。これは、また《造船》で使えるかも知れないよな。帰ったらヒナタに渡そうか。






『マスター、お帰りなさいです』


『ただいま。ケイト、さっきは連れて行ってやれなくて悪かったな。ヒナタはいる?』


『私なら大丈夫なのです。ヒナタは、工房で木材の加工してますよです』


『そっか、ありがとうな』




『ヒナタただいま。これ、御神巨木(お土産)《造船》で使ってくれ。それと、さっきは悪かったな』


『あっ、大丈夫です。それは、気にしないで下さい。えっ!?お土産って、えっ!?』

手渡された御神巨木を見て驚いているようだ。なにしろ、今までの素材と違いかなり大きい。持ち運ぶのも、加工するのも大変なサイズだからな。


『少し休憩しないか?説明もいるだろ?フレイも一緒にどうだ?』

あとホームに残っているのは、フレイしかいない。どうせなら、纏めて話しておきたいからな。


『なんや?面白い話か?』

フレイが鍛冶の工房から出てくる。おいおい顔が煤だらけだぞ。一体何時間魔高炉の前に込もってたんだ。




リビングでは、ケイトがお茶の準備をしていたので、僕らの分もお願いした。ちなみに、アキラとカゲロウは部活なので今日はログインしていない。ケイトによると、雪ちゃんはさっきまでは元気よく遊んでいたが、今は疲れ過ぎて眠っているらしい。


『それで、何か変わった事でも有ったんか?』

ヒナタが、取り出した御神巨木を見せながら、僕が|さっき有った出来事《風雷のビークィーンの事》を話す。竜の力の事は、まだ伏せておいた方が良いかな。


『マスターは、大丈夫だったんですか?です』


『僕は、白と黒のお陰で大丈夫だったよ』


『『『黒!?』』』


『もしかして、シュン【黒竜】も造ったんか?』

頷いて、【白竜】と【黒竜】をテーブルの上に出す。白は、すぐに竜の姿に具現化するが、黒は…………


【黒竜】()は、かなりの人見知りだから、姿をなかなか見せてくれないが、良いやつだから仲良くしてやって欲しいな』

各々が黒に名前を告げて自己紹介をしていく。相変わらず黒の方はノーコメント………


『…………黒』

………かと思ったが、喋ったな。この調子で人見知りも治ってくれたら良いんだけどな。



『それにしても、氷炎に続いて風雷もシュンが発見するとはな、。自分レアボス運が、かなりええんとちゃうか?そやなかったら逆に呪われとるで、1回お祓いでもした方がええんやないか?』

このOOOの世界に、神社かお寺が在れば既に行っているよ。世界の拡大で追加お願いします、切実に………


〔『主よ、主は気苦労が多いの』〕


〔『そこは、触れないで欲しかったよ』〕


『あの~、この御神巨木なんですが本当に頂いても良いんですか?少し調べて分かったんですが、御神巨木は《造船》でも使えるんですが、御神木とは違って《木工》でも使えそうですけど………』


『えっ!?そうなのか………えっと、じゃあ、ヒナタは《造船》で何本必要なんだ?何本でも良いぞ、遠慮は要らないからな』


『そうですね………マストの部分で使えたら良いと思うので、5本ですかね』

結構余るな。余った御神巨木で杖と弓でも作ろうか。あの大きさの木材なら1本で2つは作れるからな。


『それなら、2本だけ貰っても良いか?』


『いや、もともとシュンさんの採取してきた木材ですから、貰うって言うのは私のセリフですよ』

確かに、そうなんだが………1度あげた素材なんだから、今はヒナタの物だと思うのだがな。


『じゃあ、2本だけ工房に残しておいてくれ、今度加工(テスト)してみるわ』

風雷のビークィーン戦での木の伐採で《調合職人》と《木工職人》のLvも上がっているからな。あれ?複合スキルの《合成》が出現してるぞ………2つ共にLv20を越えたからかな。まぁ、取得したかったスキルなんだ。ここは、迷わず取得はしとこうかな。条件は不明だが、複合スキルの複数取得は難しいのかも知れないな。






「駿、バージョンアップの仕様がアップされてるぞ」

金曜日の昼休み。蒼真が、おにぎり片手に携帯で情報サイトの確認をしている。どうせログインしたら分かる事なんだし、急がなくても良いんじゃないか?気になるのは分かるがな。


「それで、何か分かったのか?」

携帯を僕の方に向けて見せてくる。何々………



・地球6分の1サイズのOOO世界の完成

・アメリカ、ドイツ、中国にサーバーを完備

・複数のダンジョン、街の追加

・海を渡る事が可能

・種族Lvと種族専用アーツの追加

・ファミリアの公表



「ぶっ~、ゴホッゴホッゴホ」


「おい、駿、急にどうした?大丈夫か?」


「大丈夫。少し驚いて蒸せただけだ」

ファミリアの公表って、どう言う事なんだ?帰ったらすぐに確かめないとな。


「今回のバージョンアップは、気合いが入ってるよな。これで、色々な場所に行けるぞ」

相変わらず楽しそうで羨ましいぞ。


「ただ、ファミリアの公表って何なんだろうな?駿は、分かるか?」

お前、こう言う時だけは、妙に鋭いよな………本当に良い勘してるよ。


「さぁ、何なんだろうな………公表って事は、前から隠して有った事を表に出すんじゃないか?」

たまには、とぼけておいても問題無いだろう。


「駿、今日はどうするんだ?俺達は、ホームで会議の予定なんだが、その前に【noir】寄って良いか?」

それは、困るな。さっきの嘘がバレてしまうし。


「今日、はギルド内で予定が有るからダメだ。また今度な」

晶にもメールで釘を差しておくか。


………って、返信早いな。メールには、純とファミリアの話をして雪ちゃんの事を話したって書かれている。早くも予定外な事が………取り敢えず、この場から逃げようか………って、何故僕を捕まえるんだ、蒼真くん。


「何か分からんが、純から駿の事を捕まえろってメールが来たんだが………お前、何かしたのか?」

流石に、我が双子のお姉様だな。僕の考えは、筒抜けのようだな。


「いや、何もしてないぞ。少しトイレに行きたいから離してくれないかな?」

嘘をついて蒼真の拘束から逃れる。取り敢えず、昼休みの間は逃げようか………そのあとの事は知りません。


純から逃げまくっていたので、今日は、まだログイン出来ていない。学校では、なんとか逃げきれれたのだが、当然家で捕まってしまった。純は雪ちゃんに会わせて貰う約束をしたようだ。


そのお陰と言うか、ファミリアに対する事情聴取は無かった。晶も白の事は話していないらしい。いずれは、バレるかも知れないが暫くは秘密にしておこうかな。





『今日は、みんな早いな』

僕がログインすると、既に全員がギルドにいた。


『ギルマス、バージョンアップだぜ。当たり前だろ』


『皆は、もう広場に行って来たのか?』


『私とヒナタは、まだ行ってませんです』

他の3人は、既に見て来たようだな。


『ウチらは、もう見て来たからシュンもヒナタ達と一緒に見ておいでや』

そろそろ、ジュネも来る頃だからな。広場に逃げておいた方が良いかも知れないな。


『じゃあ、ちょっと行って来る。白、黒、行くぞ』

黒は何時も通りホルスターの中でじっとしているが、白は竜の姿でソファーで寝そべっていた。


『主よ、ここで待っていてはダメかの?』

白は、目を擦りながら起き上がってきた。ここまで、堂々としているのを見ると、本当はプレイヤーじゃ無いのかと疑ってしまう時があるよな。


『今日は、ダメだ。今から多分ここに客が来るからな。置いて行く事は出来ない。それに、バージョンアップの内容が白達(ファミリア)に関係してるしな』


『……了解じゃ』

白は、スッと飛んで来て、銃になりホルスターに収まる。


『お待たせ、じゃあ行こうか』

ヒナタとケイトの3人で広場を目指す。





『いつものバージョンアップより人が多いですね………』

やっぱり、そうだよな。内容が重要なだけに、人がなかなか捌けて行かないんだろうな。


『並んで待ちますです』

並ぶのも仕方ないよな。アキラにメールで人が多いから帰りが遅くなる事だけを伝える。


20分くらいは、並んでいたか?ようやく前が空いて僕らの番になった。



基本的には、昼に情報サイトから見た内容と変わりないな。新しく分かったのは、既存プレイヤーの種族Lvは、現在のプレイ時間や経験(実績)を元に算出してくれてるらしい事とスキルLvとは違い進化や派生が無い為、Lv自体が上がりにくい事くらいかな。


あと、世界地図機能が追加されてるんだな。行った事の無い場所は、何が有るかは分からない様になっているが、大陸や島の形だけでも分かるのは便利だな。


ここからが今日の本命なのだが、ファミリアの項目(箇所)で書かれているのは、数名のプレイヤーがファミリアの主になった事で、使い魔(ファミリア)と言う概念を発表する内容だった。


白と黒も、自分達が関係しているだけに、ファミリア関係の内容は気になっている様だな。内容までは分からなかったが、2匹が何か話しているのは分かった。


『それにしても、まだ行ってない世界は広いよな………』

世界地図を確認すると地球の6分の1サイズと言っても今の僕らの活動範囲から比べると全然広い。一気に世界が大きくなったな。


『マスター、まだ後ろに並ばれてますし、ホームに戻りませんか?です』


『そうだな。神殿からゲートで戻ろうか』

3人でゲートを使いホームに戻った。ちなみに、行きはゲートを使わず歩きで向かっている。【シュバルツランド】内での移動では殆んどゲートは使っていない。歩いた方が、色々新しい物が見付かるからだ。


今日ゲートを使ったのは、単に人が多過ぎて移動に時間が掛かりそうだからだ。ただでさえ、既に20分以上待たせているのだ。少しでも早く帰るのが、せめてもの礼儀だろう。




『ただいま』


『お帰り。待っとったで。それでシュンは天狐のLvは、なんぼや?』

フレイも同じ天狐族だから、気になってたんだろうな。


『少し待ってくれ。確認してみる………Lvは32、専用アーツで〈乱〉と〈朧〉っての覚えているみたいだな。どちらも攻撃系では無いようだな。フレイは?』



種族専用アーツ

〈乱〉消費MP 15

標的を撹乱させる幻術

習得条件/天狐族Lv15


〈朧〉/消費MP 25

標的の視界から人や物を隠す幻術

習得条件/天狐族Lv30



『ウチは、Lv29やったわ。まだ〈乱〉しか覚えてないわ』

少しの差だな……生産に時間を費やした分の差だろうな。


『〈朧〉は、Lv30で覚えるみたいだぞ。このアーツの構成なら天狐族と言う種族は補助(サポート)主体(メイン)かも知れないな。他の皆は、どうなんだ?』


『私は、虎猫族Lv19だったよ。アーツは1つだけ覚えてだけど、これは身体強化系かな』

アキラは、部活でログイン時間が少ないから成長が遅くても仕方ないだろうな。身体強化系のアーツは《付与術》と重複するのかな?試してみたい案件が増えたな。


『俺は、ダークエルフLv14でアーツは覚えて無いな』


『私はエルフのLv15で、〈ホーミング〉って言う魔法の完全追尾アーツを覚えていました。消費MPは激しいですが、色々と便利そうです』


『私は月兎族Lv14になっていましたです。アーツは、まだ覚えてませんでしたです』

まぁ、3人は第2次参加(後発組)なので、Lvが低くても仕方が無いだろうな。


『マスター、ちょっと良いですか?です。私の母国の親友がOOOを始めましたです。日本のサーバーエリアまで来たら仲良くして下さいです』

このバージョンアップでケイトの母国もOOOの普及が始まったんだな。友達に会えるようになるのは良かったよな。


『勿論だ。近くまで来たらホームに寄って貰って良いぞ』

ケイトの親友なら良い人だろうし、問題無いな。




『主よ、少し良いかな?』

白が、急に竜の姿に具現化して喋りだした。


『白、どうした?』


『黒と話していたのじゃが………出来る事なら、他のファミリアにも会いたいのじゃ』


『何か有ったのか?』


『うむ、ワシと黒、雪は主人が主達なので幸せなのじゃが、他のファミリアの扱いがの、少し気になったのじゃ………あの掲示板とか言う物に、ファミリアが使い魔や使役精霊・魔物扱いで書かれていたのが気になっての………』

確かに、それは僕も気になっていた。僕らにとって、白や黒、雪ちゃんは仲間(家族)であり友達だ。今更、使役MOBとして扱う事等出来る訳がない。


『分かった。僕も探すのを手伝うよ。具体的には、どうすれば良いんだ?』


『特に変わった事は必要ないのじや。近くに行けばファミリア同士なら分かるしの。それに、そんなに数もいないだろうからの。見付かった時に力を貸してくれれば良いのじゃ』


『分かった。見付けた時は遠慮なく言ってくれよ。黒もだぞ』


『………………』

そろそろ、もう少し慣れてくれても良いと思うのだがな。


『アキラ、ジュネは、もう来たのか?』


『まだだよ。先にギルドの会議に出席してから来るみたい』


『白、黒、もう少ししたら客が来るから竜の姿は禁止だ。会話も《心話》で頼む』

白は、竜の姿から銃に変わりホルスターに収まる。


〔『了解じゃ、黒も分かったと言っておるのじゃ』〕

黒は白とは普通に話すのか?ちょっと羨ましぞ。


『シュン、今日は会いづらかったら工房にいても良いよ』


『良いのか?なら、お言葉に甘えさせて貰うか。ありがとう、アキラ』

リビングを出て、一目散に工房に行く。覚えているうちに【魔銃】を作っておきたい。土日は《造船》に励む予定だ。それを挟むと、また忘れかねないしな。


僕と一緒にフレイとケイトも工房に移動する。カゲロウは素材の仕入れと採取に向かった。結果的にリビングには、アキラとヒナタだけが残されてしまった。押し付けた形になった2人には、少し悪い事をしたかもな………





『主よ、手遅れなのじゃ。今更、気にしても仕方がないのじゃ』

白のツッコミは、相変わらずグサッと僕の心を抉ってくるよな。工房には、ギルドメンバー以外入れない様にしているので、白は竜の姿に戻っている。


『まぁ、そうなんだがな。まずは【魔銃】を2本だな』

メニューから製作出来るし素材も揃っているのだ。さっさと作ろうかな。


『…………リスト』


『リストがどうかしたか?黒』

黒に言われてリストを確認すると【???】以外に2種類の銃が表示されている。


これは、【疾風】と【雷鳴】の新型(後継)か?素材に各々の銃も使用するし、【魔銃】のカテゴリーに、なっているんだが…………


『主よ、心配しなくても魔獣器では無いのじゃ。魔獣器はそんなに簡単には(ホイホイ)造れたりせん』

そんな事を言われても、僕は簡単に造ったんだがな………


『…………作って』


『えっ~と、素材も有るからな。良いぞ』

魔獣器では、無い様だし、素材の方も買取り専門店【By buy】のお陰で多少のレア素材なら在庫に困っていない。何故なら【by buy】で素材を売って、暫くすると変わった武器が【noir】で売り出されると言う情報()が流れているからだ。


フレイが試作した武器も販売しているし、僕の作った杖や弓もそこそこ売れている。今のところ刀を作れるプレイヤーはフレイしかいないので独占状態になっている影響も有るだろうな。


ちなみに、オークションで売れ残った【狙撃銃】と【機関銃】だが、オークション後に売りに出したら速攻で売れてしまった、これは、かなり嬉しかったな。



【雷光・魔銃】攻撃力65〈特殊効果:雷属性〉


【光風・魔銃】攻撃力65〈特殊効果:風属性〉



『作ろうとしていた【魔銃】よりも性能が良いよな。黒、ありがとな』


『…………《合成》』


『《合成》?』


『黒が言うにはじゃ、【雷光】【光風】は《合成》出来るらしいのじゃ』

色々ツッコミたい事は有るんだけど…………白の知識量も凄いと思っていたが、黒の知識量は一体何なんだ?


『一応、《合成》は取得してるんだが、使った事無いんだよな………』

まぁ、《見破》が使えるからスキルの効果も解るんだがな。左手と右手で《合成》したいアイテムに触れて念じるか………なるほど、《付与術》の合体魔法のアイテム版ってとこだな。素材が無くなる事もないはずだし、1回やってみるかな、左手に【雷光】右手に【光風】を持って………


『《合成》』


一瞬ピカッと光ったのだが、手元の2丁に変化は無さそうだよな。


『黒、悪いな。失敗したみたいだわ』

黒のお願いだったので叶えたかったが、《合成》は失敗に終わった様だな。


『……………失敗?(成功)


『主よ、武器の性能を見てみるのじゃ』

僕が?を頭に浮かべていたからだろう、白がアドバイスをくれる。始めは、どう言う事だと思ったが………



【雷光風・魔双銃】攻撃力80〈特殊効果:風雷属性〉



『【魔双銃】?って言うか【双銃】って作る事も出来たのか?成功したのが分かれば、微妙に形も変わっている気がするけど…………《合成》って思っていたのと少し違うかな』

外見は、ほぼ変わって無いのだが、今までの2丁持ちとは違い2丁で1つの武器になっている。


別々で装備は出来なくなったようだが、攻撃力自体は上がっているし、風雷のビークィーンと同じ上位属性も付いているみたいだな。意外だったのは、光と名前が入っているが光属性は付いていない事かな。


【魔銃】なので銃弾は必要無い。つまり、〈零距離射撃〉は使えないが、リロード不要になるなら結果的にお得だよな。僕の場合は、竜の力の恩恵でMPの回復速度も尋常じゃないからな。


『黒、ありがとう。凄いな』

ホルスターの中にいる黒を撫でやる。見た目では、全く分からないが、気持ち良さそうなのは飼い主()である僕には伝わってきた。


黒のお陰で、夢の銃弾要らず生活に入れるな。








装備

武器

【雷光風・魔双銃】攻撃力80〈特殊効果:風雷属性〉

【白竜Lv14】攻撃力0/回復力124〈特殊効果:身体回復/光属性〉

【黒竜Lv8】攻撃力0/回復力108〈特殊効果:魔力回復/闇属性〉

防具

【ノワールシリーズ】防御力105/魔法防御力40

〈特殊効果+製作ボーナス:超耐火/耐水/回避上昇・大/速度上昇・極大/重量軽減・中/命中+10%/跳躍力+20%/着心地向上〉

アクセサリー

【ダテ眼鏡】防御力5〈特殊効果:なし〉

【ノワールホルスター】防御力10〈特殊効果:速度上昇・小〉〈製作ボーナス:リロード短縮・中〉

【ノワールの証】〈特殊効果:なし〉



天狐族Lv31

《双銃士》Lv49

《魔銃》Lv48《双銃》Lv43《拳》Lv35《速度強化》Lv76《回避強化》Lv78《旋風魔法》Lv32《魔力回復補助》Lv74《付与術》Lv44《付与銃》Lv53《見破》Lv68


サブ

《調合職人》Lv24《鍛冶職人》Lv27《革職人》Lv47《木工職人》Lv26《鞄職人》Lv48《細工職人》Lv24《錬金職人》Lv24《銃製作》Lv35《裁縫職人》Lv2《機械製作》Lv1《料理》Lv33《造船》Lv8《家守護神》Lv6《合成》Lv3


SP 42



new魔法

〈ウインドバースト〉範囲魔法/消費MP 50

習得条件/《旋風魔法》スキルLv30



称号

〈もたざる者〉〈トラウマ王〉〈略奪愛?〉〈大商人〉〈大富豪〉〈自然の摂理に逆らう者〉〈初代MVP〉〈黒の職人さん〉〈創造主〉〈なりたて飼い主〉

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