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OOO ~Original Objective Online~ 称号に振りまわされる者  作者: 1048
第1部 第3章
22/65

白(しろ)

『………で、どうですかね?』


『結論から言わして貰うと、現時点では無理やな。色々と考えてみたんやけどな………お湯を張る機能だけが付けれへんねん。だから、作っても水風呂(プール)になるわな………』

なるぼどな。それは、考えてなかったな。


オークション終了から5日。トウリョウさんに少し時間をくれと言われて待っていたのだが、トウリョウさんは僕の我が儘を真面目に聞いて、真剣に考えてくれたようだな。


『お、お湯ですか………それは、難問ですね』

いきなり、露天風呂の夢が潰えそうだな。しかし、今回は絶対に諦めたくはない。これから冬もやってくるだろうし、なによりもリラックスしたいからな。まぁ、OOOの世界に(四季)が有るかは別の話だがな


『分かりました。【noir】でも、少し検討してみます』

絶対に方法を見付けてやる。


『本当にすまんな。出来る事なら叶えたかったんやが………これからも手伝える事が有ったら、いつでも言ってな』

トウリョウさんは、【noir】の真正面(…………)に出来た【カーペントリ】の新しいホームに帰って行く。


どうやら【プレパレート】の横に引っ越して来たらしい。始めに聞いた時は、かなり驚いたよな。結果的に僕達としては、かなり便利になったから何も言う事は無いんだけどな。




『ヒナタ、カゲロウお待たせ。じゃあ、造船所に行くか』

色々な意味で、少し待たせてしまったよな。


他のメンバーは、氷炎のビークィーン(レアボス)を狩りに行っている。氷炎(ひょうえん)のビークィーンは、以前に僕が苦しめられた合体クィーンの正式名称だ。


狩りの目的は、御神木の採取。今までは、倉庫で置物可していた御神木だが《造船》スキルで使える事が分かり、Lv上げを兼ねて採取に行っている。いまだに出現条件が確定していないので、採取出来たり、出来なかったりだが………回数をこなすことで、少しずつだが在庫数も増えている。


船本体を製作する《造船》スキルは3人(僕達)しか取得していないが、製作は全員の協力が必要になっている。


錨等の金属部分で《鍛冶》、帆等の革や布の部分で《革製作》《裁縫》が必要になっている。《造船》スキル単独では、今製作している帆船ライトニングは造れないようだ。


帆船ライトニングは、昔のイギリスに実在していた船で、ヒナタが1番好きな船らしい。まぁ、デザイン案を見た時に僕達も気に入ったんだけどな。ちなみに、造船所にもヒナタが【蒼の洞窟】と名前を付けている。



『やっと、基礎部分(ベース)が出来ましたね』


『ヒナタ、これベースって言うか………言いにくいが、ただの骨組みじゃないのか?』

まだ、船の形すら見えてこない。有るのは、大きく交差した木材。確かに、要所要所で曲がっていてベースと言えなくも無いのだろうが………僕ら素人目には、ただの骨組みだ。


『シュンさん、これは竜骨と肋骨と言いまして船で1番大切な部分なんですよ。船の命と言っても過言では無いのです。それに、………』




『ギルマス、前にも言ったと思うが、ヒナタに船の質問をするのはダメ(NG)だ。暫く、止まらなくなるぞ』

確かに、事前に聞いては(説明されて)いたが、こんなに長くなるとは思って無かった。既に、軽く20分は悠長に語っている。弟の意見は、もう少し尊重されるべきだったようだな。


『カゲロウ、悪かった。次からは気を付ける』

まぁ、ヒナタの凄いところは語りながらも手が止まる事がない。女の子にしては珍しいが、小さな頃からプラモデルや模型で慣れているようで造りが細かくなっている。【noir】の規模なら、もう少し小さくても良いと思うのだが、このサイズの方がが速くて色々と便利なのだそうだ。


1番船に詳しいリーダーが言うので間違いは無いだろうな。


『おい、ヒナタ、次は何の作業をすれば良いんだ?』


『………あっ、はい。えっ~と、次は舷。側面の部分ですね。これを下から順に張っていきましょう』

ヒナタから加工された木材を渡される。作業は、ヒナタが木材を加工して僕とカゲロウが組み立てている。ヒナタが、加工するのは鋸等の工具の扱いが上手かったのが理由だ。


ちなみに、釘は一切使用していない。全て木材に窪みを彫り、その木材と木材を噛ませる形で組み立てている。僕とカゲロウはヒナタが書いた設計図すらも理解できていないのだが、《造船》スキルのお陰でギリギリ船の各部の名称や用途が分かるくらいが限界だな。




『ほれ、追加の木材やで。今日は、御神木以外も大量や』

フレイ達は御神木をはじめ、大量の木材を採取出来たようだな。


『皆、お疲れ様。じゃあ、次は僕らが行って来るよ。今日で夏休みも終わりだし、たまには狩りでも体を動かしておきたいしな』


『それなら、ウチらはホームで船のパーツ製作しとくわ』

フレイ、アキラ、ケイトと入れ代わりで、今度は僕たちが採取に向かう事に………



『雪、また蜂さんとこに行ってくるの』

アキラにお出掛けを伝えているので、今度は僕らに付いて来るようだな。


オークションの時に、雪ちゃんがギルド以外のプレイヤーにバレなかったので、アキラは雪ちゃんを採取等に同行させたりもしている。戦闘には参加出来ないが、一緒に冒険する事は出来るからだ。まぁ、一緒にいるのが楽しいのが1番の理由なんだけどろうけどな。僕の方は、防具を新調して始めての狩りだ、効果を試してみようかな。


『ギルマス、早く行こうぜ』

カゲロウは既に準備万端のようだが、ヒナタはもう少しかかりそうか?


『少し待っててくれ、ホームに寄って竜髭(プレゼント)で【魔銃】を作ってく』

特に急ぎでは無かったので、【魔銃】の製作を後回しにしていた。



まぁ、メニューから直ぐに製作出来るから、そんなに待たせる事も無いだろう。


工房でリストから【魔銃】を選ぶ………


『おっ、出来た、出来た。長らくお待ちしてましたよ』

これで念願の【魔銃】2丁持ちで戦える。リロードの事を考えなくても済むな。MPさえ有れば無限に連射が出来る夢の様な仕様だからな。ついでに、新規リストのチェックもしとくか………


『あれ?』



【白竜・魔銃】

必要素材

魂魄

蒼魔石×10

翠魔石×10

緋魔石×10

竜の牙

魔銃

雲水

霧氷




この竜の牙って素材は持って無い筈なんだけど、この銃は作れるよな。これはバグなのだろうか!?


倉庫や【by buy】の買い取ったアイテムを確認しても、やはり在庫は存在しない…………


せっかく作った【魔銃】も材料になるけど………竜髭は、残り3つもあるし、必要ならまた作れば良いよな。


ちなみに、魂魄と言うアイテムは初代MVPの報酬で貰った物だ。今まで全く使いようがなく倉庫で眠っていた。こちらも5つも有るので、1つ位は使ってみてもかまわないだろうな。まぁ、取り敢えずは、作ってみようかな。この場合は、素材の価値も好奇心(ワクワク)には勝てなかったな。



白竜(はくりゅう)Lv1・魔銃】攻撃力0/回復力100〈特殊効果:身体回復/光属性〉※譲渡不可

スキル《魔銃化》《魔獣化》《成長》《心話》※ユニーク



『は、はい!?』

真っ白で、竜鱗のような模様の入った綺麗な銃が出来る………が、なんだ?この銃は攻撃力は0だし、Lvとスキルが有るし、挙げ句の果てには………


『回復力って何なんだ~~~』

思わず叫んでしまった。こんなサプライズを受けて我慢出来る筈がない。


『五月蝿いわい、少しは静かに出来ないものかの』


『………えっ!?』

ちょっと待て、今喋ったのは目の前の銃じゃ無かったか?イヤ、イヤ、そんなバカな話が有るわけ無いだろう………って言うか銃が消えたぞ!?


『………あれ!?あれ!?』


『後ろじゃ』

声の方に、恐る恐る振り向くと………


『………………』

小さな白い竜が宙に浮いている。


『何も言わんのか?ワシは【白竜】の(しろ)じゃ』


『………………』

一体何が起こっているんだろう。理解出来ないよな。これは、確実に雪ちゃん以上の衝撃だ。


『ワシは、創造主の造った銃じゃ。そろそろ、理解しても良いのじゃないかの』


『…………え~っと、僕は、シュン。創造主って僕の事なのか?』


『他に製作者(創造主)がおるものか』

やはり、これは僕の作った銃らしいな………倉庫に眠らせていた【龍殺しの双剣】がnewアイテム【龍殺しの右剣】になっている、どうやら竜の牙の代わりに片方を使った様だな………


『えっと、銃の形態じゃないの?』


『どちらでも、なれるのじゃ。スキル《魔銃化》《魔獣化》が、あるからの』

白は、目の前で銃の形態になってみせる。


『…………』


『創造主、驚くのも無理は無いのじゃが、ワシみたいな魔獣器は他にもおるしの、センスが無ければ創造主になるのは一生無理じゃがの』

他にも、こんなのがいるのか………


『創造主よ、いくらなんでも、こんなのは酷いのではなかろうかの?』

僕の心の声まで判るのか?そう思ったと同時に、白が頷いた。なるほど、これが《心話》の効果なのだろうか?するともう1度白が頷いた、どうやら当たっていたみたいだな。


『うわっ!?』

また新しい称号が増えているし、しかも2つ同時に。



new称号

〈創造主〉

魔獣器を造った者への称号

取得条件/魔獣器を造る


〈なりたて飼い主〉

魔獣器を従えた者への称号/成長称号

取得条件/魔獣器を飼い始める



これまた、面倒くさそうな事になってるいな。


『質問だが………白は《成長》するのか?』


『うむ。Lvが5上昇する毎に出来る事も増えるのじゃ、限界まで成長すると|《聖獣》《せいじゅう》になれるのじゃ』

凄いじゃろと言って胸を張っているが………かなり人間、しかもお爺ちゃんぽいよな。もう諦めて認めるしか無いのだろうな。


『白、白の事は、よく分かって無いんだが………分かる事にする。それと創造主って呼ぶのだけはやめてくれ』

白の話では、僕の言う事は絶対(最優先)で逆らう事は無いそうだ。《心話》の方は白の思った事も僕に伝わる様になっているらしい。これは、案外使い勝手が良いのだろうな。


『では、(あるじ)と呼ばして貰うのじゃ』

はっきり言って、(それ)もやめて欲しいが、創造主()よりはマシだろうな。


『………分かった。今から仲間と狩りに行く。取り敢えずは《心話》で会話して欲しい事と僕が許可した人の前以外では《魔獣化》は使うな。これは約束(お願い)だ。その内ギルドのメンバーには伝えるから、それまでは待って欲しい。それと、仲間をかなり待たせているから急ぐぞ』

白に《魔銃化》してもらい、それを装備して待ち合わせ場所の【ヴェール】を目指す。





『悪い、かなり待たせたな』

僕が【ヴェール】に着くと3人はゲートの前で待っていた。


『大丈夫ですよ。ちゃんと魔銃出来ましたか?』


『まぁ、出来た事は、出来たんだが………まずは、蜂の巣に行こうか。2人共蜂の巣は初めて?』

ヒナタ達が頷くのを確認して。


『…………みたいだな。大量のビーが襲って来るからカゲロウは前衛でヒナタを守って、ヒナタは後衛から範囲攻撃魔法をお願い、雪ちゃんは良い子で見守っててね』


『任せろ』


『はい』


『雪、分かったの』

3人は各々ポジションにつく。雪ちゃんは空から辺りを見てくれている。《探索》のスキルを持つアキラよりもMOBを見付けるのが早いらしく、時間を掛けずに蜂の巣までたどり着いた。雪ちゃんにしてみればMOBの発見は遊び感覚なのかも知れないが大いに助かったな。


ヒナタとカゲロウに《付与術》をかけてビーを狩っていく。今回は範囲魔法が有る為、サクサク狩り進める事が出来る………って言うか、かなり動くのが楽と言うか、1つ1つの動作が早い。反射神経が上昇してる感じがする。


安全マージンを十分に得て回避出来るので、ギリギリで回避すると言う事が無い。これが、シリーズボーナス俊敏の効果か?それとも防具の補正効果か?今度検証する必要が有るな。まぁ、今はそれよりも………



『こいつは、通常のクィーンだ。これを狩ったら休憩(採取)だな』

この場所は、手間の割に経験値的には良くは無い。それなのでプレイヤーはわざわざここまで来ない。独占しても文句を言うプレイヤーもいないのは嬉しいな。既に、かなりの時間をOOOに使っている僕らには、いかに通常クィーンがボスMOBと言っても敵では無かった。ただし、スリップダメージ()を除くのだが。





『やっとか………』

今回は、氷炎のビークィーンが出るまでに3体のクィーンを倒した。時間的にも最後になるだろうな。たんまりと御神木以外の素材も回収出来ているので満足している。


『カゲロウ、まずは赤い方を引き付けろ。ヒナタは《雷魔法》で青い方を攻撃してくれ、2人とも毒には気を付けろよ』

そう言って、効果の切れていた《付与術》をかけ直していく。


思った通りだったのだが【魔銃】の2丁持ちで《付与術》は使えた。僕の場合、正確には【魔銃】と【白竜】の2丁持ちだが、【白竜】も【魔銃】の1種には違いないからな。


あと戦闘が始まって直ぐに白に言われたのだが、【白竜】で攻撃してもダメージが出ずに回復するらしい。試しに自分に撃ってみたが回復した。こう言う大事な事は、もっと早く教えて欲しかったよな。


その為、攻撃には【烈火】を使っている。ホームに戻ったら、もう1度【魔銃】を作らないとダメかもな。竜髭を落札してくれた皆には改めて感謝だな。ちなみに、【白竜】の回復力は〈ウインドヒール〉よりも高い。《拳》に続いて《旋風魔法》も肩身が狭くなってきてるな。まぁ、《拳》と違って《旋風魔法》には〈ウインドミスト〉が有るから不必要な(いらない)スキルでは無いんだけどな。



いくら氷炎のビークィーンが強いと言っても、それは1人で戦ったからだ。今回は3人+αがいるのだ。最後の攻撃以外は問題無いだろう。あっと言う間に炎のビークィーンを片付ける。



〔『主、あの男(ダークエルフ)に向けてワシを使うのじゃ』〕


〔『どうした?何か有るのか?』〕


〔『あの男、上手く隠してはおるが毒を喰らっておるのじゃ』〕

白に言われて、カゲロウのステータスを確認する。確かに、バットステータスで猛毒になっている。僕は、もう少し周りを気にした方が良いかもな。


〔『白、サンキュ』〕


『カゲロウ、毒を喰らったら、すぐに報告しろ』

【白竜】に持ち変えて、カゲロウの体力を回復させる為に撃つ。ビークィーンも片方を倒した事で合体を始めた。


『ギルマス、サンキュ。……えっ!?』


『………えっ!?なんで?………イタッ!』


『シュンさん、カゲロウ、ボーッとしないで下さい』

僕もカゲロウも、あまりの出来事にボスとの戦闘中だと言う事をすっかり忘れていた。


〔『白、どういう事だ、説明しろ。毒まで回復したぞ』〕


〔『主よ、ワシは毒の回復は出来ないとは言ってないのじゃ。回復出来るから、あのタイミングで使えと言ったのじゃ』〕

確かに、聞いてはいないし、出来ないとも言っていないが…………そう言う事は、事前に説明が欲しい。おかげで余計なダメージを喰らったじゃないか。


〔『あとで今出来る事を説明してもらうぞ』〕


『すまない、カゲロウも大丈夫か?』

カゲロウを気遣いながら【白竜】でカゲロウを、【魔銃】で氷炎のビークィーンに射撃していく。少しずつだが相手のHPが減っているのも分かる。


『………ギルマス、あとで話が有る』

カゲロウは、ヒナタを防御しながら問いただしてくる。残念な事に僕も答えれる程に理解していないんだよな。


まぁ、普通はそうなるだろうな………射撃で回復している事自体が、疑問だろうし。それなのに状態異常まで回復したのだ。仕方ないかな。そうなると問題はどこまで話すかだな。


『分かったが、その前に、そろそろ最後の一撃が来るぞ。カゲロウとヒナタは下がって防御に専念だ』

僕は《付与術》で防御と回避を強化して、射撃で削っていく。そして………氷塊が爆発して、またもや地獄のような光景が現れる。しかし、今は速度と回避がかなり成長している。防具の性能とボーナス、《付与術》を含めてだが。だから、問題は無いだろう………



『ウグッ………』

やっぱり、これ全部は回避出来ないよな。かなり惜しかったと思う。以前とは違って喰らったのが一発のみなのでHPは大丈夫だが、防御に専念していたカゲロウは瀕死になっている。取り敢えずは【白竜】の連射で回復しておこうか。流石に、今度はヒナタにも分かったようだな。驚いた顔で固まっている。まぁ、氷炎のビークィーンは倒れているから良いんだが…………ただ皆さん、メインの採取は今からですよ。



実際のところ【noir】のメンバーには、いつまでも隠せないだろうな。皆にまとめて説明しようかな。


〔『白、後で皆に紹介するから、自己紹介でも考えてろ』〕


〔『主、了解じゃ』〕


『カゲロウ、ヒナタ、言いたい事も色々有るんだろうけど、まずは採取してからだな。話しはホームでまとめてするな』

僕も言い訳等を考える時間が欲しいからな。


2人共に納得はしてないようだが黙って頷き、採取に取り掛かってくれた。たまに、チラチラこちらを見るのは仕方ない(ご愛嬌)だろうな。例の如く、氷炎のビークィーン戦後に出現する隠し採取ポイントから御神木も採取出来た。毎回採取出来る数が10本なので、これは10本固定が仕様なんだろうな。さて、皆には何から話そうかな………




ホームに戻ると皆がリビングで待っていた。雪ちゃんもホームに戻るなりアキラの膝の上に行儀良く座った。どうやらヒナタ達のどちらかがコールかメールで連絡したようだな。手間が省けて都合は良いのだが、僕が言い訳を考える時間が減ったようだな。


『さぁ、ギルマス、全てを洗いざらい吐いて貰おうか』

いつになく今日は威圧的だな、あれだけの事が有ったのだから仕方ないと思うけど。


『白、出て来て良いぞ』

【白竜】を皆の前にある机の上に置く。最初は皆、首を傾げていたが…………


『主よ、もう少し丁重に(優しく)扱って欲しいものじゃ』


『『『『『………えっ!?』』』』』

銃が竜に姿を変えたのを見て、唖然として皆一斉に固まっている。雪ちゃんだけは、白に興味を持ったのか?既に自己紹介をしている。本当に小さい子って逞しいよな。


『ワシは、主の造った【白竜・魔銃】の白じゃ。別名、魔獣器とも呼ばれておる』

雪ちゃんと話すのをやめて白が自己紹介をする。それにしてもザックリとした自己紹介だな。全然伝わって無いので補則しないと無理だろうな。そう言う僕も全てを知っている訳では無いんだけどな………


『………えっ~とだな。【魔銃】作りたかったのは知ってるよな。僕の目標だった訳だし、今日めでたく製作したんだが………その次のリストが、この【白竜】だったんだよ。出来てまだ4時間位なんだ。だから僕も良く解って無いんだよな………ただ初代MVPの報酬にあった魂魄を使っているのと、今までに製作した銃も素材になっている。あと白みたいな存在を魔獣器って言うらしくて他にも有るらしい…………それと、白にはLvが有って成長するってとこかな』

僕にも良く解らない存在なので、話す内容も思い付いた内容から話しているので支離滅裂になっている。


『主よ、もう少し分かりやすく話せないものかの』

白がそれを言うのか?誰のせいでこうなってると思ってるんだ。


『………それで、シュン、それは生きてるって事で良いの?』

アキラが、僕に聞いてくるが僕には判断がつかない……


『生きておるのじゃ。使い魔(ファミリア)の1種じゃと思ってくれたら良いのじゃ。そちらの雪じゃったかの?も1種のファミリアじゃ』


『えっ!?』

さりげなく白が新たな事実をぶっこんで来た、これには僕も唖然となる。雪ちゃんも自分の事なので真剣に聞いているようだ。


『主の《見破》なら視えるのではないかの?』


『いや《見破》では見れない』

試してみるが見る事は出来ない。


『主よ、見るのでは無く視るのじゃ。全てを読むような感じじゃ』

白に言われた通りに再度試してみると、時間は掛かるが確かに視る事が出来た。ただ、この視る作業には、かなりの集中力が必要な様だな。以前に気付いてた部分は、《見破》スキルのほんの触りの部分だったようだな。以前に出来た時も、偶々(たまたま)だったのだろうな。


『確かに、雪ちゃんのステータスは霊的ファミリアになっているな。でも、主人の部分が【noir】になっているのは何故だ?』

自分の主人が【noir】だと分かり雪ちゃんは、安心したのかアキラの膝の上で眠ってしまった。ちなみに、白はファミリアの分類で言うと獣器ファミリアらしい。


『何か特別なイベントでも有ったのではないかの?ワシが視る限り元の主人は主君のはずじゃ』

僕が元の主人の理由は、イベントで雪ちゃんに会ったからだよな。


『特別なイベントってアレかな?ほら、雪ちゃんに【ノワールの証】をプレゼントしたからじゃないかな』

なるほどな。それで主人が【noir】なら納得出来るかも知れないな。


『それ|《召喚師》《サモナー》の《召喚獣》とは違うんか?』

【noir】にはいないが《召喚師》は魔物を捕まえ調教して《召喚獣》として扱える。フレイの指摘は至極真っ当だろうな。


『《召喚獣》とは全然違うのう、ワシらは、自由に生きておるからな、それに各々が唯一無二な存在じゃ』

取り敢えずは、フレイも納得したようだな。確かに、白の言いたい事は分からなくも無いからな。


『それでギルマス、回復の件はどうなんだ?』

回復の件は忘れていたな………回復専用の銃ってそもそも有って良いのか?


『それと忘れていたが、【白竜】は攻撃力が0だ。回復専用の銃みたいなんだ。現状では毒の回復も出来る……』


『主、麻痺もじゃ』


『………だそうだ』


〔『白、予め出来る事は言えって言っただろう……他に隠している事や、言って無い事は無いのか?』〕


〔『うむ~心外じゃ、これは、隠していたのでは無いのじゃ、先程の戦いで麻痺も回復出来るようになっただけじゃ』〕

うっ、それが本当なら仕方ないのか。


〔『それは、すまなかったな』〕

成長するのだからそう言う事も有るだろうな…………



『えっ!?回復専用の銃?シュン、それはいくらなんでも規格外過ぎるよ』

それが普通の反応だよな。実際に僕もそう思ってる。だけど使ってみたら便利なんだよな。特に《付与術》とか。




『ギルマス、結果的に俺らはどうしたら良いんだ?』

ヒナタもケイトも、カゲロウの一言に頷いている。


『はっきり言うと全く分かない。何の情報も無いし、どうなるかも解らない。だから本当に悪いが、また迷惑かけるかも知れない』


『マスター、大丈夫なのです。マスターに関しては今更なのです。今までも色々と驚かされていますです。それに、私達はマスターのおかげで毎日楽しく過ごせてますです』


『そうですよ。雪ちゃんも白ちゃんもこんなに可愛いんですよ。こんな体験は、皆さんと一緒の【noir】以外では味わえません』

ヒナタの言葉にはカゲロウも頷いている。


『そやで、命を造るなんて生産者冥利に尽きるってもんやで』

若干1名(ケイト)のかなり不本意な一言も混じっているが、皆の言葉は温かくて何か嬉しいよな。


『皆、ありがとな』

ちょっと涙が出そうだよ。


〔『良かったな、主』〕

《心話》で白が呟いた。僕は何も返さなかったが、どうせ白に心が読まれているから返事は必要ない。


『シュン、1つだけ聞いてもええか?《銃製作》のリスト【白竜】の次って有るんか?』

それは、僕も気になってたんだが、白の衝撃が強すぎて認してないだよな。えっ~と………


『うぇっ!!フレイ、今確認したんだがリストから【白竜】が消えている。どうやら【白竜】は2度と製作出来ないようだな、ただリストに新しく【黒竜】と【???】って言うのも現れてるな、【黒竜】の方は素材が【白竜】に似てるから魔石を回収してくれば製作出来るな。【???】は素材が全然足りない。見た事も聞いた事もない素材の名前がズラリと書いて有るな』


『主、その【黒竜】は魔獣器じゃ。どんな性格かは解らんがの、【???】の方も魔獣器の可能性は有るの、ただ、今のままの主では造れんようじゃ』

何?【???】も魔獣器の可能性があるのか…………魔獣器3つか?流石に、それは僕の手に余るぞ。それと、今のままの()には造れないと言うのも気になるな。


『【黒竜】を作れるなら早めに作ってた方が良いかもしれへんな、この世界に1本だけの武器やろうからな………まぁ、《銃製作》持ってるのはシュンくらいやから心配無いやろうけど。白やん、《刀鍛冶》にもおるんか?魔獣器は』


『確かにおるのう。主にも言ったが作れるかどうかは、素材よりも狐の姉さんそなたのセンスじゃ。センスが有れば素材の方からやってくるのじゃ』

白の発言によって、フレイのやる気がヒシヒシと伝わってくる。





『じゃあ、白君の【noir】加入も決まったし、ケイト、ちょっとマナさんとミナさん呼んできてくれる?』


『分かりましたです』



暫くしてケイトが、2人を連れて戻って来た。


『えっ!?何で?』

2人は、なんと執事服を着ている。アレは僕のオークション用だけでは無かったのか?


『他にも洋服作って渡したんだけど、2人共、制服は執事服が良いらしくてね。シュンが、オークションの時に着てたのが格好良かったんだって。雪ちゃんにも色々作って渡してるから毎日がファッションショーになっちゃうかな』


『2人共、良く似合ってるな。アキラありがとう』

2人は一言お礼を述べて店舗に戻っていく。最初から制服のお披露目だけの予定になっていたらしい。2人共凄く真面目なので、休憩中は普通に僕らと砕けた会話もするが、勤務中は仕事に集中したいらしい。


『それとウチからもええか?明日から皆学校やろ?《造船》は土日に纏まった時間取ってやらへんか?シュンに頼まれた検証やお客さんからの依頼も有るから《造船》の手伝い(サポート)ばっかりは出来へんねん。ヒナタが《造船》したいのも、当然分かってるんやで』

フレイにしては珍しく申し訳なさそうに話す。


『そうですね、それが良いと思います。《造船》は急いでませんからね。私も、少しずつ皆さんと一緒に作る方が楽しいです。それに私とカゲロウも平日はそんなに時間が取れませんし』

ヒナタがそれで良いなら問題ないだろうな。それに平日はログイン時間が合わない事が多いからな。


『フレイ、シュンから頼まれた検証って私達も手伝える事なの?』


『そんな難しい事やないんやけどな………』

フレイが僕が見付けた防具のシリーズボーナスの件を話していく。それで防具を新調する事も………




『……そんな事になってたんだね。シリーズボーナス?確かにそれなら防具の新調は必要かもね、皆の分作るの?』


『一応、オークションの時のお礼も兼ねて全員分作る予定。まぁ、服系はアキラに全員分の型紙作って貰おうと思ってるけどね』

アキラは、直ぐにOKを出してくれた。暫くの間、平日は防具の新調に時間を取られるだろうな。









装備

武器

【烈火】攻撃力50〈特殊効果:銃弾に火属性が追加〉

【雷鳴】攻撃力50〈特殊効果:銃弾に雷属性が追加〉

【銃弾Lv3】攻撃力+15〈特殊効果:なし〉

【魔銃】攻撃力40〈特殊効果:なし〉

【白竜Lv11】攻撃力0/回復力121〈特殊効果:身体回復/光属性〉

防具

【ノワールシリーズ】防御力105/魔法防御力40

〈特殊効果+製作ボーナス:超耐火/耐水/回避上昇・大/速度上昇・極大/重量軽減・中/命中+10%/跳躍力+20%/着心地向上〉

アクセサリー

【ダテ眼鏡】防御力5〈特殊効果:なし〉

【ノワールホルスター】防御力10〈特殊効果:速度上昇・小〉〈製作ボーナス:リロード短縮・中〉

 +【マガジンホルスター2】防御力5〈特殊効果:なし〉〈製作ボーナス:リロード短縮・中〉

【ノワールの証】〈特殊効果:なし〉



《双銃士》Lv44

《魔銃》Lv43《双銃》Lv39《拳》Lv35《速度強化》Lv73《回避強化》Lv75《旋風魔法》Lv26《魔力回復補助》Lv73《付与術》Lv40《付与銃》Lv50《見破》Lv63


サブ

《調合職人》Lv19《鍛冶職人》Lv27《革職人》Lv47《木工職人》Lv20《鞄職人》Lv48《細工職人》Lv24《錬金職人》Lv24《銃製作》Lv35《裁縫》Lv25《機械製作》Lv1《料理》Lv32《造船》Lv8《家事》Lv60※上限


SP 52


称号

〈もたざる者〉〈トラウマ王〉〈略奪愛?〉〈大商人〉〈大富豪〉〈自然の摂理に逆らう者〉〈初代MVP〉〈黒の職人さん〉〈創造主〉〈なりたて飼い主〉

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