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OOO ~Original Objective Online~ 称号に振りまわされる者  作者: 1048
第1部 第3章
21/65

オークション

いよいよオークション当日だな。


オークションの開始は朝9時から開始なのだが、皆で早めの8時に集合している。


『ギルマス、外は長蛇の列だぞ。この分だと、当日券は全然足りそうに無いぞ………』

窓から外を見ながら状況を伝えてくる。普段はお気楽なカゲロウですら若干引き気味だな………まぁ、気持ちは分からなくも無いがな。


でも、きっとオークションが始まれば学園祭みたいなノリになって楽しいと思うぞ。


『まぁ、結局のところ、早く並んだ人から配るしか無いよな。少し予定より早いけど配り始めるとするか。揉め事も有りそうだから、当日券は僕とカゲロウで配る。ヒナタとケイトは、会場への案内人、アキラとフレイは受付で出展者への対応を頼む』


『雪は、何お手伝いすれば良いの?』

流石に、今日はホームで待機してもらった方が良いよな。ちょっと可愛そうな気もするが………


『じゃあ、雪ちゃんは私達と受付に一緒にいる?ただ、今日は他のプレイヤーもいるから、ちゃんと姿を消している事。約束出来る?』

これは、アキラのフォローに助けられたな。ありがとう。


『雪、約束守れるの』

雪ちゃんもアキラと一緒にいることが出来て嬉しそうだ。僕も雪ちゃんを1人ホームに残さなくて済むのは嬉しいよな。




外は、カゲロウの言う通りで、かなりの列になっている。揉め事は、まだ起きてなさそうなので良いのだが………これは、遅いか早いかの問題だろうな。


当日券を渡した人から早めに入場して貰おうか。コールでヒナタ達に予定より早く入場させると伝えて、


『少し早いですが、今から当日入場券を配布します。事前に告知した通り、数に限りがございます事はご了承下さい。午前と午後で各400枚、事前に情報サイトで告知している通り、午前が《調合》《木工》《布製作》《裁縫》系のアイテム。午後からは《鍛冶》《細工》その他のアイテムになっています。列の最初の人から好きな方を選んで下さい。尚、この入場券は転売、強盗等のトラブル防止の為、譲渡不可になっています』

カゲロウが先頭から順に午前、午後を聞きながら入場券を配っていく。400人以上が並んでいる為、どうしてもオークションに参加出来ないプレイヤーも出てくるだろうな。次に開催するときは抽選も採用した方が良いかも知れないな。



比較的午後の方が捌け方が良いな。【鍛冶ゅR】【闇鍛冶店】【サイク=リング】の高製品や新製品が手に入るかも知れないからだ。ちなみに、僕も午後からの出展になっている。


『すみません。午後の分は只今終了しました。残りは全て午前になります』

やはり、午後の分が先に終わったな。まぁ、午後の方が時間も長いから仕方ないけどな。


しかし、思った以上に午前分も捌けている。《魔術師》系のプレイヤーに《木工》《裁縫》も人気みたいだな。人気薄は《調合》か?


『ふ、ふざけるな。こっちは、朝から何時間待った(並んだ)と思うんだ。責任者を連れてこい』


『そうだ、そうだ。責任者をだせ』

責任者は目の前にいるのだが………気付いてもいないらしいな。


1人がクレームを出した事により、それに同調、便乗したプレイヤー数人がチケットを配っていたカゲロウに言い寄り出した。やっぱりこんな奴等が現れたか、鞄事件の時といい………はっきり言って面倒くさいな。


『え~っと、《盗賊》Lv35のステファンさん、《騎士》Lv 28のプリンスさん、…………(etc.)ですね。僕がオークションの総責任者ですが、何か問題でもありますか?』


『な、なんで俺達の事を………』

驚いているようですが、別に知り合いとかではありませんよ。他の皆さんには悪いが、今日は《見破》を使わせてもらっている。あなたのステータスは全て把握させて頂いておりますからね。


『さぁ、何故でしょうかね。事前に告知はさせて頂いておりますので。クレーム等は受け付けておりません。この辺りのエリアは【noir】の私有地です。これ以上、僕の仲間に言い寄るようでしたら、永久的にこのエリアから追放させて貰いますよ。当然次回以降の【noir】主催のオークション参加並びに【noir】系列の店舗のご利用は出来ませんが、いかがいたしましょうか?ただ、こちらと致しましてもステファンさん、プリンスさん達の言い分も分かりますので、次回以降のオークションは抽選方式にさせて頂きます』

この辺り一体が私有地と分かり、列に並んでいたプレイヤーが一斉に引くのを感じた。こんなに一斉に引かれると、最近は慣れてきたとは言え流石に心がもたないよな。


『………そ、それなら、分かった。こ、今回はすまなかった』

あら、予想外に素直に謝ったな。案外まともなプレイヤーかも知れないな………小物臭は否めないがな。


『いえ、分かって頂ければ、こちらとしても幸いです。皆様、ご迷惑をお掛けして申し訳ございません。本日参加して頂ける皆様は、ごゆっくりとお楽しみ下さい。今回は、残念ながら参加出来なかった皆様は、次回のご参加をお待ちしております』

僕が話している間も、カゲロウは脅してきたプレイヤーにも怯まずに一生懸命に当日券を配っていた。普段と違って真面目な一面が見れて良かったかもな。この規模のプレイヤーが参加したかったのなら、次回は会場を建て替えても良いかも知れないな。


『ギルマス、ここで終了だ』


『了解、申し訳ございません。只今、全ての入場券の配分が終了しました。以上で終わらせて頂きます』

入場券を受け取れなかったプレイヤー達を残して、カゲロウと共に会場に向かう。カゲロウは、午前に出展する予定で、【noir】のトップバッターになっている。多少の緊張もあるだろうな……


『少し迷惑をかけたな。悪かった』


『いや、俺の方は大丈夫だ。それよりも、さっきは、ありがとう。シュン』

あれ!?今、ギルマスって呼ばなかったんじゃないか………遂に、僕の願いが通じたのか?


『カゲロウ、今………』


『何かあったか?ギルマス』

どうやら気のせいのようだな………残念だ。


『いや、何でもない。今日は、頑張れよ。まぁ司、会してるからな、近くにいるし困ったら頼ってくれて良いぞ』

これ位のエールがカゲロウにはちょうど良いだろう。それに、どんなに安くても入札してくれる人がたら大成功だろう。頑張れ。





会場の中は、既に満席に近い状態だった。1番手前の席に知った顔がかなりいるな………まぁ、チケットを渡したのが僕達なので当たり前と言えば当たり前なんだが。


まだ、開始までに少しは時間も有るな。挨拶くらいはした方が良いかな。



『よう、来てくれたんだな。ありがとう』


『こんな楽しそうなイベントは逃しませんよ。【ワールド】からは、この4人で伺わさせてもらいました』

ガイア、リツ、レジーア、マナカの4人だ。ツインテールの討伐以来、仲良くさせてもらっている。


『俺に、相応しい武器も有るのか?』


『さぁ、どうだろうな。レジーアの武器は、確か大剣?だったよな。僕は、《鍛冶》の出展品はノータッチだから分からないな。まぁ、【鍛冶ゅR】からも出展してるから、期待しても良いんじゃないか』

レジーアは、自分の相棒(半身)となる武器を探しに来たみたいだな、ワクワクしているのが伝わり過ぎてる。


『シュンは、弓を出展してるんですか?』

リツは、また弓を買いに来たみたいだな。


『残念だが、今回は機関銃と狙撃銃のセットだ。変わった弓が必要ならまた依頼してくれ、杖も始めたからマナカも良かったらな。それじゃあ、今日は楽しんで行ってくれよ。また後でな』

次は、いつものメンバーのとこだな。



『アクア達も来てくれてありがとな』


『こんな楽しそうなイベントに俺達を呼ばなかったら絶交だったぞ』

アクア、お前はいつも楽しそうだぞ。まぁ、どんなイベントでもアクアとジュネは絶対に巻き込むがな。


『ドームとレナも楽しんでね』

そろそろ、時間か?僕も準備をしなければな。さっきからコールで呼ばれているし。




『悪い、お待たせ。ちょっと知り合いに挨拶していた』


『分かったから、シュンは早くこれに着替えて』


『……えっ!?マジで!?』


『大マジ、時間が無いから早くしてね』

アキラから渡された衣装は執事服だ。マナさん、ミナさん用にどうかな?ってアキラに頼んでいたのだが………どうやら、僕用になったようだ。


これ、僕に似合う気が全くしないのだが、今日だけは仕方がないよな。笑いの(中心)になることを甘んじて受け入れさせてもらおうか。3人もいるから少しはマシだろうしな。装備を替えて皆の待つ控え室兼待機場所に行く。




『………その格好、どうした?ギルマス、正気か?』

第一声が、それか?………正直帰りたくなるな。


『シュン、似合ってるよ。頑張ってね』

この格好で頑張れる気はしない………って言うか、


『えっ!?アキラとチャリさんの衣装は?』


『シュンだけだよ。メイン司会だからね』

謀られた。凄くテンションが下がる………それは、裏切りなのではなかろうか。


『マスター、格好良いのです。似合ってますよです』

ケイトに悪意が無いのも、嘘をついて無いのも分かるのだが………流石に恥ずかしくないか、これ。僕の予想の遥か斜め上をいってる気がするぞ。


さっき決意したばかりなのだが、既に心は折れそうだった。


『シュン、まぁ、今回はしゃあないわ。オークション発案者やからな。ウチもイケてると思うで、頑張りよ』

皆にこれだけ言われると、もう後に引けないよな。着替え直す時間も無さそう(有ったとしても、くれなさそう)だし、開き直って諦めようか。


時間も来たことだしな。それと、取り敢えず、オークションが始まる前に会場内のスクショの撮影は禁止設定にしておこうか、万が一だが雪ちゃんが写っても困るからな。………まぁ、それは建前で本音は、執事服姿を撮られたく無いからな。




『お待たせ致しました。只今よりオークションを開催させて頂きます。司会は【noir】のギルドマスター、シュンと……』


『同じく【noir】のギルドマスター、アキラ』


『【サイク=リング】のギルマス、チャリがしますっすよ。今日1日は、黒の職人さんのアシスタントするっす。皆さん、よろしくっす』

チャリさんは今日も軽い(チャライ)な。本人も楽しそうなのも良いが、会場にいる客のウケも良さそうだな。黒の職人さんコールはしないで欲しいが………


『じゃあ、記念すべき1番は【プレパレート】のギルマス、ネイルさんにお願いするっすよ。どうぞっす』


『僕のアイテムはこれ』



2倍にな~る

効果:飲むと一定時間最大HPが2倍になる



『ネイルさん、これマジっすか?』

とんでも無いアイテムがトップバッターだな………次のプレイヤーがかわいそうだな。


『うん、マジだよ。蘇生系のアイテムは、まだ出来て無いんだけどね』

ある意味で蘇生系のアイテム以上に価値が有るんじゃないのか?特にHPが低いプレイヤーには………


『では、最低落札価格50,000フォルムからいくっす』


『『70,000だ』』

『75,000!』

『くっ、80,000』

『90,000、これ以上は………』

『100,000フォルム』

……………

『200,000です』

どんどん上がっていくな。まぁ、あの内容なら仕方ないんだけどな。レアアイテム並の性能だからな。



『ストップ。今の200,000フォルムの方に売ります。お買い上げありがとう。流石にこれ以上は貰えない。ギルドのホームでも、限定で依頼を請けてるから買いに来てね』

ネイルさん自らハンマーを鳴らす。おぉ、上手い終わらせ方だな。高過ぎず、安過ぎず適度な価格で終らせる………ついでに、ギルドの宣伝まで終わらせている。やり手の経営者みたいだ。


『ネイルさん、ありがとうございました。落札者の方はあちらでアイテムをお受け取り下さい』

ヒナタとケイトが出展品の管理をしている。他にも各ギルドから1人ずつ担当者が配置されていた。


『じゃあ、どんどんいくっすよ。次は…………』




オークションもどんどん進んでいく。カゲロウの回復アイテムセットも20,500フォルムで売れている。露店でo同じ物を買ったら5,000フォルム程度なので4倍位の価値を付けて貰っている。確かに、性能面では露店売りを凌駕していたからな。ネイルさんが言うから間違いないだろう。そして次はいよいよ………


『次は、こちらにいる2人組【noir】の天使、ヒナタちゃんとケイトちゃんが2人で杖を作ったみたいっすね。え~最低落札価格は35,000フォル言う僕の杖よりも綺麗だよな。炎の燃えているような形状が水晶で巧く表現されている、僕には《見破》があるので、2人がどれだけ頑張ったのが手に取る様に分かるからな。



【焔】〔ホムラ〕攻撃力45〈特殊効果:火属性+20%〉〈製作ボーナス:消費MP減少・中〉



MP減少の効果が付けれたのか。《魔術師》にとって、それは大きいよな。


ちなみに、製作ボーナスは自由に付けられる訳では無く、製作出来たアイテムの価値で付けれる種類、内容が変化する仕様になっている。その為、高い能力や珍しい能力は、価値や評価の高いアイテムにしか付けれないからな。


『おっ、284,000フォルムかぁ~凄いな。ヒナタ、ケイト頑張ったな。綺麗な杖だったぞ』

ステージの上にいるので、ヒナタ達に小声で伝える。


『『ありがとうございます』です』

2人も小声で返してきた。まぁ、その笑顔を見れば嬉しいのが伝わるけどな。午前の部へは【noir】からもう1人、アキラが出展している、《革製品》と《裁縫》の女性用の防具セットらしく、女性プレイヤー達の意見で午前のラストになっているようだ。どんな防具を作った事やら………気にはなっているんだよな。





『じゃあ、次が午前のラストっすよ。黒の職人さん紹介よろしくっす』

ここで僕に振るのか………今までチャリさんの影で黒子(アシスタント)に甘んじてたツケがやって来たようだな。


『午前のラストは【noir】のギルドマスターで、僕の相棒のアキラさんです。よろしくお願いします』

アキラを紹介して、僕はオークションをサポートする為に横に付く。


『アキラさんは、どんなアイテムを製作したんですか?』

今日は凄く自信に満ち溢れているな、いったい何を作ったんだ?


『私が作ったのはこれです』

一瞬の沈黙の後に、会場中から歓声がどよめく………って言うか、アレはマジか!?



【スケイルビキニ】防御力20〈特殊効果:耐水/速度上昇・中〉〈製作ボーナス:透過防止〉



『み、水着ですか………最低落札価格はいくらになさるのですか?』

女性プレイヤーの皆さんだけでなく、男性プレイヤーの皆さんまで、かなり熱くなっているのが分かる。


アキラさん、流石に、やりすぎでは無いでしょうか?生地の部分が少な過ぎませんか?………でも、これは午前で1番の盛り上がりだよな。


『これは、20,000からで、どうでしょうか?』

まぁ、装備としては妥当なとこだろうけど…………付加価値が計り知れないよな。一体幾らの値がつくんだろうか?


『22,000で』

『『30,000』』

『35,000だ』

『45,000よ』

『50,000フォルム』

『60,000だ』

『70,000よ』

『140,000、倍プッシュでどうだ』

皆………そんなに水着が欲しいのか?


『150,000よ』

『うぅっ、155,000』

『160,000よ』

あの女性のプレイヤー、さっきから淡々と価格を上げてるよな………予算は、幾らくらい用意しているんだろうな………


……………

『300,000よ』

げっ、300,000フォルムを超えてるし………


『305,000フォルム、これ以上は無理だ』

『310,000よ』

もう1人、最後まで頑張っていたプレイヤーは、どうやら諦めたようだな………ってか、価格が凄すぎるな。落札を決定付けたハンマーの音は、何故か孤高の音に聞こえてきた。


『えっ~と、こんな価格で買って貰えて嬉しいです。【noir】で、個別依頼も請けてますのでヨロシクお願いします』

アキラもギルドの宣伝してるし………【noir】では週1しか依頼を請けてないのにどうするんだろうな。このままだと、水着関係の依頼が殺到しそうだな。依頼の枠を増やす事も検討しなければならないかもな。


『以上で午前の部を終わります。午後は1時から再開します』




『皆、午前中はお疲れ様、カゲロウ、ヒナタ、ケイト、あのアイテムは凄かったぞ。アキラのアイテムには、本当に驚かされたわ。午後からも頼むね』

しばしの休憩だな。午後のトップバッターはフレイ。嬉しい事に【noir】大活躍だな。







『皆さん、ご注目。OOO史上初で刀を製作に成功した【noir】のフレイさんっす、フレイさんは2振りの刀を出展してくれてるっす』

午後からのトップバッターのフレイは、いきなり会場の度肝を抜きボルテージを一気に最高潮まで上げている。


まぁ、それも仕方がないだろうけどな。《鍛冶》スキルでは、刀を打つ事は出来なかったのだ。複合スキルの可能性は、以前にフレイと話していたが………こんなにも早く刀の製作を実現するとは思ってなかったからな。発案者の僕ですら驚いているのだ………他のプレイヤーの驚きは計り知れないだろうな。


意外なのは、【鍛冶ゅR】や【闇鍛冶店】のプレイヤーまで驚いているところだろうか………


『ウチが今紹介されたフレイや、複合(NEW)スキルの《刀鍛冶》で刀打ったんや、2本セットで100,000フォルムからやで』

本当、いつのまに《刀鍛冶》スキルまで取得したんだよ。少しは、教えて欲しかったよな。



【氷雨】(ヒウ)攻撃力60〈特殊効果:氷属性〉〈製作ボーナス:防御力上昇・中〉


【蛍火】(ケイカ)攻撃力60〈特殊効果:火属性〉〈製作ボーナス:攻撃力上昇・中〉


※セットボーナス:速度上昇・中



『二刀での名前は【氷雨蛍火】(ひさめほたるび)。一応、二刀流専用の刀やで』

凄い勢いで価格が上昇している。現存する刀で最高の攻撃力だから仕方がない事なんだろうけど………勢いが、今までとは全然違う、全く衰える気がしない。既に500,000フォルムは越えている。皆、オークションの為に大金を用意したんだろうな。次も頑張ろうと言う気がしてくる。


『はい、そこのあなた。本日の最高価格980,000フォルムで落札っす』

アキラの鳴らす落札を決定付けるハンマーの音も高々と会場全体に鳴り響いていく。惜しくも1,000,000フォルム越えはしなかったが、フレイも落札者もかなり喜んでいるな。発案者としては嬉しく思う。


まぁ、次が僕の出番じゃなかったら、もっと喜べたんだろけど………


『さぁ、次は、ある意味で本日のメインイベントっすね。このオークションの発案者で会場のオーナー、黒の職人さんの出展っす』

何故だ、一斉に拍手が巻き起こる。しかも、フレイの後だ。会場全体のテンションが異様な感じだな………


『えっ………っと【noir】のシュンです。僕は狙撃銃と機関銃のセットです。40,000フォルムが最低落札価格です』


『じゃあ、いくっす。欲しい人』

シーン……………会場が一斉に静まり返る、さっきまでのテンションはいったい何だったんだ?って言いたくなる………誰の声も上がらない。


『誰かいないっすか?………』

マジか!?凄く良い物なんだよ………この銃。


『…………』


『………えっ~と、残念ながら、落札者は無しっすね。黒の職人さんには次回は頑張って貰いたいっす…………』

まぁ、《銃士》が不遇で人気が無いのは知っていたし、ある程度の覚悟も有ったが、この会場には1人もいないんだな。


落札者では無く入札者0か、改めて突き付けられた現実には、流石に心が折れる。この後、笑顔で司会を続ける自信が僕には無いな。


『次からは、皆さんがお待ちかねのギルド【鍛冶ゅR】のメンバーの製品が出てきますよ。皆さんお金に余裕は有りますか?まずは、ギルドマスターのナナクサさんお願いします』

自信が無い………今は、そんな事を言っている場合では無いんだけどな、発案者として司会だけは頑張るしかないよな。皆さんには最後まで笑顔で楽しんで貰いたいからな。





あれから、どれくらいの出展品を捌いたのだろうか、全く記憶が無い。かなりの数が有ったくらいしか分からない。僕の欲しかった竜髭も何品か出展されていたが、残念ながら司会をしていた為に落札出来なかった。


忙しかったので落札者の顔も分からない………本当に、凄く残念だよ。



『次が本日のラストっすね。皆、長い間ありがとうっす。最後まで楽しんで行って欲しいっすよ。最後は………【カーペントリ】のギルドマスター、トウリョウさんからの飛び込み出展っす』


『トウリョウです。私とこのギルドは、本日移転したので今までのホームを出展したいんよ。誰か買ったって』

とんでもない出展品が来たな………まさかギルドのホーム丸ごととはな。スケールがデカイ。でも、何処に移転したんだろうな。あとで、聞いてみようかな。


『最低落札価格は100,000フォルムで最高落札価格は500,000フォルムにさせてもらうわ、早いもの勝ちやで』

新しいやり方だな最高落札価格って言うの思い付かなかったな。次回以降は参考にさせて貰おうか。


『500,000フォルム』

開始直後の一声にハンマーが鳴り響く。めちゃくちゃ早い。即決じゃ無いですか。いったい誰が?…………ってお前か。


『落札者の方は、前に出て来てくださいっす』

チャリさんに招かれて、落札者は颯爽とステージに上がって来た。


『どうしてホームを買われたんですか?』

今日は、悪いが司会者としての仕事に徹させて貰うぞ。


『俺は、ギルド【双魔燈】のマスターでアクアだ。ギルドは、作ったんだがホームは無かったんだ。安くて規模的にも丁度良いから買わせて貰った』


『では、譲渡するで。ほい、どや?』


『確かに頂いた。大事に使わせて貰うぞ』

アクア、お前は本当に満足そうだな。まぁ、最初から何も買わずに最後まで参加していたかいが有ったな。



『そろそろ、今回のオークションを締めるっす。各ギルドのマスターさん集合っす』

チャリさんが、7ギルドの8マスターに呼びかけてステージ上に集める。事前に予定で決まっていた事なので、すんなりと集まってくる。


『当然、締めの挨拶は黒の職人さんっすね』


『今日は、ご参加下さりありがとうございました。残念ながら僕のアイテムだけが売れ残りましたが、1日を通して楽しく出来たと思います。至らないところも多々有ったと思いますが、そこは次回開催への課題とさせて頂いて今回のオークションを終わらせて頂きます。本当に今日はありがとうございました』

皆で一斉に頭を下げる、同時に会場から拍手が巻き起こった。スタンディングオベーションとか映画の中の世界だと思ってたわ………なるほど、これはちょっと気持ち良いな。





今日は、オークションに時間がかかったと言う事も有って、反省会等は後日になった。今はギルド内で軽い打ち上げをしている。


『今日は皆お疲れ様でした。雪ちゃんも良い子にしてたね。楽しめたかな?』

アキラが仕切り、僕は皆に紅茶を配って行く。紅茶を淹れる作業は譲れない。


『雪、とっても静かにしてたの。それといっぱいの人に、ちょっとビックリしたけど、皆楽しそうだったから嬉しいよ』

ニカッて笑う雪ちゃんの笑顔で皆の疲れもとんだようだな。雪ちゃん、マジ天使。もはや【noir】のマスコットキャラだな。


『ギルマス、またやろうな。楽しかったわ』


『私も楽しかったです』


『ウチもや!シュンは?』


『僕か?この執事服と入札者0以外は楽しめたかな。まぁ、入札者の件については次回頑張るよ。それよりも、皆のアイテムは凄かったわ。かなり驚かされたぞ。特にフレイ!いつの間に《刀鍛冶》取得したんだ?』

取得していたのにも驚いたが、オークション当日までギルドメンバー全員に隠し通すとわな………その努力に恐れ入りました。


『その方が楽しい思てな。ビックリしたやろ』

なんとも楽しそうなフレイの笑顔。悪戯心満点やね。


『あぁ、驚かされたわ』


『シュンは、何も落札してないやろ?これ、日頃からのお礼や』

フレイからアイテムを渡される。えっ………これって、


『竜髭じゃないか、どうしたんだ?』


『ウチらは、ちょいちょい休憩時間あったからな。たまたま1つ落札出来たんやわ、本当に、たまたまやで』

マジでか!?超感謝したい。あとでお金を払おう。


『『『えっ!?』』』

僕以上にヒナタ、ケイト、カゲロウが驚いている。一体どうしたんだ?


『俺も落札した』


『『私も手に入れました』です』

3人も竜髭を取り出す………どうやら、僕の為に落札してくれていたようだ。皆優しいな、ありがとう。


『皆ありがとう、本当に嬉しいよ。お代は、あとで必ず払うからな』


『ダメだ』


『アカン』


『ダメです』


『Noです』


一気に4人に反対されてしまった。何故だ?かなり高価だと思うのだが………


『ギルマス、多分皆一緒だと思うが、ギルマスには感謝してるんだ。俺らは、色々とギルマスから貰ってる。これは、そのお礼だから黙って貰って欲しい』

ヤバい、ちょっとジーンと来てる。涙がでそうだな。


『ありがとう。じゃあ、これは有り難く貰っておくよ。でも、このお礼は別件でさせて貰うからな。それは受け取って欲しい』

何かしらのお返しはしたいと思う。お金じゃない何かで………


『了解や、気長に頼むわ』

皆も頷いているので良かったのかな。



『私だけ、プレゼント無しだったね。ゴメンね、シュン』

アキラも休憩無しで司会をしてたんだから、仕方ないだろ………って言うか、それくらいで残念がらなくても良いのにな。


『いつも一緒にいて貰ってるかな。それで十分だ』

フォローくらいは、しておこうかな。いつもお世話になっているのは本当だからな。


しばらく、皆で打ち上げを楽しんでログアウトしていった。明日からは、暫く生産活動で忙しいだろうな、【魔銃】に露天風呂、そして……………夢の《造船》。考え出したらキリが無いかもな。









装備

武器

【烈火】攻撃力50〈特殊効果:銃弾に火属性が追加〉

【霧氷】攻撃力50〈特殊効果:銃弾に氷属性が追加〉

【雷鳴】攻撃力50〈特殊効果:銃弾に雷属性が追加〉

【銃弾Lv3】攻撃力+15〈特殊効果:なし〉

【魔銃】攻撃力40〈特殊効果:なし〉

防具

【ノワールシリーズ】防御力105/魔法防御力40

〈特殊効果+製作ボーナス:超耐火/耐水/回避上昇・大/速度上昇・極大/重量軽減・中/命中+10%/跳躍力+20%/着心地向上〉

アクセサリー

【ダテ眼鏡】防御力5〈特殊効果:なし〉

【ノワールホルスター】防御力10〈特殊効果:速度上昇・小〉〈製作ボーナス:リロード短縮・中〉

 +【マガジンホルスター2】防御力5〈特殊効果:なし〉〈製作ボーナス:リロード短縮・中〉

【ノワールの証】〈特殊効果:なし〉



《双銃士》Lv41

《魔銃》Lv40《双銃》Lv36《拳》Lv35《速度強化》Lv70《回避強化》Lv73《旋風魔法》Lv25《魔力回復補助》Lv71《付与術》Lv38《付与銃》Lv48《見破》Lv63


サブ

《調合職人》Lv18《鍛冶職人》Lv26《革職人》Lv47《木工職人》Lv16《鞄職人》Lv48《細工職人》Lv23《錬金職人》Lv24《銃製作》Lv30《裁縫》Lv25《機械製作》Lv1《料理》Lv32《造船》Lv1《家事》Lv59


SP 43


称号

〈もたざる者〉〈トラウマ王〉〈略奪愛?〉〈大商人〉〈大富豪〉〈自然の摂理に逆らう者〉〈初代MVP〉〈黒の職人さん〉

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