生産活動開始?
翌日、ログインは予想通り昼過ぎになる。
『まだここは人でいっぱいだな』
今日は、昨日森で採取した素材で《調合》スキルを鍛える事にする。火薬や銃弾は作れるのか?ワクワクするよな。
生産活動は各々の工房で行うらしく、昨日アクアに教えて貰った場所を目指す。
《調合》を行う工房は、はっきり言ってカオスだった……漫画やアニメで見かける魔女達がソコにはいた。乳鉢と乳棒を使って……
『ゴ、ゴリゴリしてる…』
これは、無理……僕には無理だぞ。これは僕の想像してたのと違う………これではまるで薬局の調剤だよか。
ヤバイな、もう心が折れそうだ………
『基本的に、《調合》はゴリゴリするもの』
《調合》をしてる月兎族の女の子に声をかけられる。
『……すみません。僕も《調合》持ちなんですが、正直に言うと心が折れました』
僕の想像していたのは、赤い液体と青い液体を混ぜて紫の液体を作るみたいなサイエンスチックな調合だ。
『ハハッ。君は面白いねぇ~。それを正直に答えるかい。普通は面と向かっては言えないよ。僕はネイル、見ての通り魔女だ』
どうやら魔術師らしい、黒のローブがそれを更に際立っている。かなりのロールプレイだよな。
『本当にすみません。僕はシュンって言います。一応《銃士》です』
銃士のフレーズで魔女の皆さんの視線を独り占めだ………本当に不本意だがな。
『《銃士》?シュン君、君は本当に面白い。《調合》は本当にやらないのかい?だったら僕が仕事を請け負おうか?素材さえ採ってくれば格安で請け負うよ』
『えっ!?良いんですか?』
『良いよ、僕もスキルLvが上がるからメリットはあるし、素材が無かったら作れないしな。今も幾つか持って来てるのだろう?』
僕は手持ちの《調合》関係と思われる素材を渡して、作って欲しい火薬類の依頼をする。
『わかった、請け負うよ。出来たら連絡する』
ネイルさんとはフレンド登録をして別れる事に。
思わぬところで良い出会いがあったと思う。依頼の報酬の為にも、お金を作らなければならならないな。
《調合》のスキルが要らなくなったので他にスキルを取る事に、昨日ボアやウルフから革系の素材がたんまり手に入ったので革関係のスキルを取りたい《革製作》か《鞄製作》か………迷うところだよな。
《革製作》は、皮製の鎧や盾、腕輪等が作れる。SP 2
《鞄製作》は、鞄や袋、アイテムを入れるモノが作れる。SP 1
手持ちの鞄の使い勝手やサイズ感が悪いので《鞄製作》にする。
必要なSPが少ないのも魅力だし、製作した鞄には所持しているだけで魔物のドロップ素材の自動回収とかなり便利な機能が付けれるみたいだからな。
ちなみに採取や採掘した自然素材は自分で鞄に入れないと回収できない。いずれこれも出来る様になったら良いんだがな。
早速《革制作》の工房にお邪魔する事に。《鍛冶》の工房に行かないのは、火薬が出来た後に行って銃弾を作りたいからだ。
革の工房では、職人達が鎧や盾を作っている。プレイヤー用の装備だろう。1個1個の形や大きさが違うので完全なオーダーメイド品の様だな。
ここは《調合》の工房と違って健全的な様だな。鞄系のアイテムを作っている職人がいないのは偶々なんだろうな。
隅にスペースが空いていたので、工房の使用料300フォルムと初級の道具代金の1,500フォルムを払う。
うっ、また残金が更に残念な感になったな。
隣の職人さんに声をかけ、簡単にレクチャーをして貰う。職人さん曰く、革は鞣すところから始まるそうだ。
数が多くあるボアの皮から鞣し始めるが、失敗する。
スキルLvの低い内は、よく失敗するらしい。1度でも成功したらメニューからも作製する事も可能らしいが、低レベルでは1度成功するまでが長いらしい。
十数回失敗してボアの鞣し皮が出来た。後はメニューで一括作製だな
………失敗した。
『はい!?』
隣の職人がメニューからでも失敗する事が有る事を教えてくれた。………もう少し早く知りたかった。20枚あったボアの皮は1枚の鞣し皮と19枚の残念な皮に変わった。
よし。練習用に使おう………使えるよね?
次はウルフの革だ。これはLvも上がったおかげか?そんなに素材を無駄にせずに済んだ。鞣し作業が終わり、残念な皮を使って試作品を作る事にする。運良く?残念な皮も製作に利用する事が出来たな。
現実でも家庭科は得意科目の僕はサイズを図りベルトタイプのホルスターを作ってみる。
【試作型ホルスター】
防御力2〈特殊効果:なし〉
短銃1丁とマガジンを3個収納可能・ベルトタイプ
やっぱり作る事が出来たな。ホルスターも一応はアイテムを入れるタイプの装備だからな。《革製作》スキルよりも応用の幅が広い気がする。
それでは、ウルフの鞣し皮を使って本番に挑戦する。短銃は2丁収納したいからな。
作製アイテムには、素材の効果とは別に製作ボーナスを素材ランク・スキルLvによって付けれる。勿論、内容は様々でスキルLvによって付けれるモノも変わるらしいけどな。
ただ、残念等の最低素材は無理らしいな。本当に残念な素材だよな。
【ウルフダブルホルスター】防御力5〈特殊効果:速度上昇・微〉〈製作ボーナス:リロード短縮・小〉
短銃2丁とマガジンを5個収納可能・ベルトタイプ
続いて、足用のホルスターを作る事にする。
先程までの経験を活かす。
【左狼脚ホルスター】防御力2〈特殊効果:回避上昇・微〉〈製作ボーナス:リロード短縮・小〉
短銃1丁を収納可能・レッグタイプ/左脚専用
【右狼脚ホルスター】防御力2〈特殊効果:回避上昇・微〉〈製作ボーナス:リロード短縮・小〉
短銃1丁を収納可能・レッグタイプ/右脚専用
これは、満足するものが出来たな。
次は鞄を作製してみるか。今の鞄は初期のモノで大きく、アイテムもいっぱい入るのだか、戦闘中には邪魔になる。戦闘メインのプレイヤー達はNPCの露店で売っている小さいショルダーバッグタイプを使っているらしい、容量は減るのだが便利ではあるよな。
生産メインのプレイヤー達は、逆にかなり大きくて容量も多いデイバッグタイプを使っている。ちなみに鞄は重さにはデフォルトで補正があるらしい。
〈鞄製作〉のスキルが有るなら、良いとこ取りの鞄が作れるのではないのかと思うんだよな。
鞄には、ボアとウルフの鞣し皮を使う予定だ。外側はウルフ、内側はボアを使う、形状はワンショルダーのボディバッグタイプが理想だ。まずは、試作品からだな。
【試作型ボディバッグ】
〈特殊効果:なし〉
ボディバッグタイプ
形状は問題ないな、むしろシャープだ。次は本番なので、ちょっとオシャレに鞄のジッパーの部分に昨日採掘した宝石〈アクアマリン〉をあしらう事にする。
【ボディバッグレザー】
〈特殊効果:重量軽減/自動回収・ドロップ素材/防水〉〈製作ボーナス:容量拡張・中〉
ボディバッグタイプ
よし、成功だぞ。容量拡張も中が付いたのはかなり大きいな。今迄の鞄より小さく、持ち易いのに容量が増えた。ジッパー部分のアクアマリンのおかげで防水機能も付いた。最高の結果じゃないのか。
家庭科の得意な僕には《鞄製作》スキルは、向いているかもしれない。こういう作業は、好きだ。地味に癒されるからな。
同じ種類の鞄をサンプルとしてウルフの鞣し皮だけで、5個作った。アクアとジュネに渡して、モニターをしてもらう予定だからだ。
素材の残りがウルフの鞣し皮5枚になり、残りは保管する事に。また暇を見て回収に行かなければならないな。
まずは、露店に向かって残っているドロップ素材で用途不明の水精霊の核、亀の甲羅でも売ろうかな?他の水精霊の雫、亀の血は《調合》で使えるらしいので、既にネイルさんに渡している。
露店で水精霊の核、亀の甲羅は《鍛冶》で使える事が分かったので売らない事にする。結局お金がないよな………
やっぱり狩りに行くしかないか、例の如く《探索》を駆使して北の森を目指す。多分、僕には《探索》がないとソロは無理だろうな。ホルスターと鞄のテストも兼ねているので、昨日良い値のついた木材狙いだ。ついでに他の素材やドロップも回収したいところだが。
まぁ、今日はソロなので昨日ほどの成果は無理だろうな。
1人で森を目指していると、
『またあったね、シュン君』
背後から声をかけられる、この声はネイルさんだ。
『そうですね。また会いましたね』
振り返りながら、答えると4人パーティーの魔女がいた。魔女と言っても、後ろの2人は男なんだけどね。
『シュン君も森で採取かい?』
『お金も素材もないので、採取やドロップの回収です』
『君はソロ?良かったら僕らとパーティーを組まないかい?僕達は後衛ばかりなんだよね』
後ろの方では《銃士》のソロとか見た事ないとか言っているが、僕はソロどころか自分以外の《銃士》を見かけていないのだが……って言うか、僕も後衛ばっかりで組んだパーティーって見た事ないんですけど。
『皆さんが、よろしければお願いします』
『じゃあヨロシク、自然素材もドロップ素材も均等割りで良いかい?』
僕は了解ですと答えて、再び《探索》を実行する。
ネイルさんともう1人のエルフの女性は《魔術士》で、人間の男性2人は|《弓士》《アーチャー》らしい。ただし、ボウガン系の《小弓》と普通の弓系の《長弓》に分れているのだが。2人が教えてくれた話しでは、他のMMOより弓が優遇させているらしく、弓仲間が何人かいるみたいだ。僕も銃仲間は欲しい。かなり、切実に………
森に着くと昨日より魔物が多かった。マジ1人じゃなくて良かったと思う。《魔術師》に〈魔法攻撃力上昇〉、《弓士》に〈攻撃力上昇〉の《付与魔法》をかける。
『牽制と陽動します。援護お願いします』
右脚のホルスターからハンドガンを抜いて、走り出す。走りながら〈ウインドカッター〉の詠唱を始めるのも忘れていない。
後衛達に魔物が近付かないように心がけて、射撃と回避を繰り返す。合間に〈速度上昇〉の《付与魔法》も忘れていない。弓の援護が地味に有難いよな。そのお陰で回避に余裕が生まれている。
幾ら雑魚MOBのウルフやボアと言っても、僕は紙装甲なので1発1発が命取りになるからな。弓と銃で数匹狩った時、範囲魔法の準備が出来たようだ。
『いくよ!!〈クエイク〉』
『〈アイスレイン〉』
多くの魔物を巻き込んでいく。
『これで終わりだ』
僕は短銃で虫の息になっていた魔物に止めをさす。
『いや~楽だったよ、シュン君。君は《付与魔法》も使えたんだね、あれのお陰で何時もより早く戦闘が終わったよ。ありがとう』
ネイルさん達にお礼を言われる。
『じゃ採取しましょうか、僕は《探索》しながら木材を集めます』
そう言って、〈ウインドカッター〉を放つと、どんどん木が木材に変わっていく。しかも10分ぐらいで新たな木が生えてくる。流石はゲームだよな。
木が生えて、急激に伸びていくところは、なかなかシュールでもあるな。
狩りと採取をしばらく交互に繰り返しながら、少しずつ場所を変えて、なるべく自然素材の枯渇は避ける努力をしたい。独占は問題になるからな。
『……くっ!?……未確認のかなり大型の魔物が接近してます、警戒と戦闘準備を』
例の如く《付与魔法》を皆にかける。
『アレはヤバい奴だね。βの頃からいるけど、レアMOBだよ。雄叫びでボア系を一気に呼び寄せるんだ』
ネイルさんが声をかけてくれる。焦っているようだが、声は余裕しか感じないんですけど。
『僕はダメージ重視の魔法を準備するから、範囲魔法はお願い』
《魔術士》達で簡単な打合せが終わる。
『僕達は陽動します。援護はお願いします』
僕を含めた男達は遠距離、中距離でスキルを混ぜた攻撃をしていく。
『〈フレイムアロー〉』『〈フレイムアロー〉』
左右に別れた弓士達が同時に弱点属性のスキルを発動する。僕は、背後に周りこみ〈ウインドカッター〉と〈必射〉で左右の前足を狙い打つ、弓士達や魔術師には近寄らせない。
『グォォォォォォ~』
雄叫びのようだが、使うの早くないですか?
『チッ!!、ボアの背後、僕の方からボア4、ミニボア5、青いボア1』
僕は回避しながらボアの正面に周り銃を撃つ。近寄らないとダメージが出ないので牽制にしかならない。
『いくよ、〈ロックグレイブ〉』
ネイルさんは《地魔法》が得意なようだ。地面から数本の石柱が出現してレアMOBを貫く。
レアMOBが、貫かれた事で呼び出されたボア達が一ヶ所に集まってくる………
『離れて下さい〈アイスレイン〉』
範囲魔法が放たれてミニボア達は即死だ。ボアは即死は間逃れたが、《弓士》の追い打ちで息を引き取るが……青いボアはノーダメージのようだ。
『すみません、あの青いボア、私の《氷魔法》は効かないようです』
それと同時にレアMOBが石柱から解放される。かなりダメージは受けたようで、先程迄の速さはないな。
『俺達で青いボアは引き受ける、そっちは頼んだ』
2人は火属性のアーツで青いボアに対抗する。
『了
『グォォォォォォ~』
解……またですか?』
追加で、ボア5、青いボア1
『援護します。魔法準備してください』
動きが悪いレアMOBに近づきながら射撃する。今度は近づけるのでダメージがでる。しかし、微妙だが……いっそ《零距離射撃》を………と思ったが止める。追加のボア達が集まった、魔法と射撃で距離が開いていく。
『またいくよ《ロックグレイブ》』
『こちらもです《アイスレイン》』
2人の魔法が咲き乱れる。死ななかったボアには、射撃の追い打ちが襲う。
増援、一掃、増援、一掃を何度か繰り返しながら魔物の数を減らす。残り瀕死?のレアMOBと青いボア3匹、すでに魔術士はMPが尽きかけているようだ。僕や弓士達のHPも既に3割を切っている。
MPは当然カラだ……切り札をだすなら、今しかないのだろうな。
『皆さん青いボアをお願いします』
レアMOBに突っ込み、
『えっ!?』
僕は、仲間の驚くのを無視して《零距離射撃》を発動する。
『えっ!?………えっ~~~!?』
レアMOBは吹き飛び、息を引き取る。
『後は青いボアだけです、慎重にいきましょう』
ほどなくして青いボアは倒された。
『君は本当にいろいろ面白い。さっきのアーツの事も聞きたいのだが、……まぁ、マナーは守るよ』
他の3人も頷く。ネイルさん以外も良い人達みたいだな。
『隠す事ではないのですが……』
アーツの内容を話す。みんな驚いていたが、どうやら秘密にしてくれるみたいだ。ちなみに習得条件はかなり運の良さがいるとしか話していない。
結局魔物はレアMOBことボアオーダー1匹、青いボアことブルボア7匹、ボア25匹、ミニボア41匹と無茶苦茶な内容だった、よく死ななかったものだ。名前はドロップ素材から判明した。ドロップもかなりの量になったな。
街に戻り、工房で分配をする。
嬉しい事に、ボアオーダーのドロップ素材のボアオーダーの牙と爪は人数分あった。どうやらこれは仕様らしく、レアMOBやボスMOBからのドロップ素材はパーティーの人数分入るようだ。本当に嬉しい仕様だよな。
驚いた事にブルボアもレアだったみたいで、ドロップが7×人数分あった。後は適当に分配していく、採取した薬草類はネイルさんに全て渡しておく。依頼は継続中だ。ブルボアのドロップ素材はブルボアの牙4、爪2、皮1だった。
この中にアクアの欲しい素材があったら良いのだが、魔女の皆さんと別れてブレンドリストからアクアを探しコールを入れる。コールとはチャットみたいなものだ。パーティーチャットなら同時に6人まで可能だ。
『今、暇か?』
『今、狩りから戻るとこ15分後なら大丈夫だ』
『じゃあ15分後に神殿の近くの露店で………』
待ち合わせをする。場所は木材を売る露店の近くだ。皆が譲ってくれたの量はある。木材の数は22本、鞄を作っていて本当に良かったな、初期の鞄では入らない量だからな。
では、今回の鑑定の結果をお伝えしよう、樫木材8本×1,000フォルム、檜木材5本×1,800フォルム、欅木材8本×1,500フォルム、林檎の木材1本×5,000フォルム、合計34,000フォルム所持金と合わせて34,200フォルム。ウハウハだぁ~。
武器と防具を新調しようと思う。なんせいまだに初期装備ですから。ネイルさん達にも言われたし、辺りを見回しても初期装備の人いないし……
『武器、高っ!?』
ハンドガンが1,000フォルムしてる、高いものだと50,000フォルム越えてるし……さっきの幸せを返せと言いたい。【デルタシーク】という7,000フォルムの銃を2丁と【ハンドガン】1丁、マガジンを20セットを合計16,000フォルムで購入する。色を変更できるらしく、【デルタシーク】は深紅を選ぶ。
次は防具だな。
【ゴーグル】1,000フォルム、【レザーバングル】2,000フォルム、【レザーブーツ】1,500フォルム、【ローブマント】3,500フォルム【レザーブレスト】5,000フォルムを買う。色は全て黒、残金は……5,200フォルム。
また貧乏になった。つかの間の幸せだったな。
買い物をしていると、アクアから声をかけられる。
『初期装備は卒業か?』
『あぁ、流石に初期装備はな……装備するから少し待って』
買った物を装備してみる。
装備
武器
【デルタシーク・短銃】攻撃力30〈特殊効果:なし〉×2丁
【ハンドガン】攻撃力15〈特殊効果:なし〉×2丁
【銃弾Lv1】攻撃力+5〈特殊効果:なし〉
防具
【ゴーグル】防御力3〈特殊効果:命中補正・微〉
【レザーブレスト】防御力15〈特殊効果:なし〉
【布製の服】防御力5〈特殊効果:なし〉
【レザーバングル】防御力8〈特殊効果:なし〉
【レザーブーツ】防御力5〈特殊効果:なし〉
【ローブマント】防御力10〈特殊効果:なし〉
アクセサリー
【ウルフダブルホルスター】防御力5〈特殊効果:速度上昇・微〉〈製作ボーナス:リロード短縮・小〉
【左狼脚ホルスター】防御力2〈特殊効果:回避上昇・微〉〈製作ボーナス:リロード短縮・小〉
【右狼脚ホルスター】防御力2〈特殊効果:回避上昇・微〉〈製作ボーナス:リロード短縮・小〉
かなり防御力が上がった。外見は漆黒で両脚のホルスターの銃のみが深紅である。黒の【ハンドガン】は、腰のホルスターに収納している。銃を複数持つ理由は、リロードの短縮の為だ。
『お待たせ』
振り返ったらアクアを含めて4人いた。
『おぅ、ずいぶん見た目が変わったなぁ~。それで用って何だ?』
アクアに尋ねられて、先程回収した素材類を見せる。
アクアは目を輝かせて、
『それ、どうしたんだ?』
さっき北の森での出来事を話す。
『ブルボアはボアオーダーの増援か、見つからないわけだ』
やはり、アクアの欲しい素材はブルボアらしい。
『皮以外なら条件付きで1個ずつは譲るぞ、皮は《鞄製作》で使うからダメだが』
『いいのか?………まて、2つ確認したい事がある、1つは譲る条件、もう1つは生産系の《鞄製作》を取得したのか?』
『あぁ』
《鞄製作》を取得した経緯を説明して、条件が鞄のモニターだと伝える。
『これがブルボアの牙と爪で、これが鞄のサンプルだ。使ってみて使い心地を教えてくれたらいいよ』
呆気にとられているアクアを後目に、じゃあとその場を去る。
今日の狩りで上がったステータスを確認する事に、なにしろ長時間の戦闘だったのだ、思わず期待してしまう。
《銃士》Lv28
《短銃》Lv34《速度強化》Lv22《回避強化》Lv19《風魔法》Lv23《魔力回復補助》Lv21《付与魔法》Lv22《鞄製作》Lv18《鍛冶》Lv3《探索》Lv29《家事》Lv14
サブ
《調合》Lv6
SP 23
newアーツ
〈急所撃ち・短銃〉攻撃力×1.5 クリティカル補正+50%/消費MP 50
必ず急所に当たる・急所判明
習得条件/《短銃》スキルLv30
new魔法
〈防御力上昇〉
習得条件/《付与魔法》スキルLv15
〈魔法防御力上昇〉
習得条件/《付与魔法》スキルLv15
〈回避上昇〉
習得条件/《付与魔法》スキルLv15
称号
〈もたざる者〉〈トラウマを乗り越えし者〉
新しいアーツも使いがってが良さそうだった。気になったのは《短銃》スキルが進化できる事だ。《短銃》Lv30で進化先に《機関銃》が発現したのだが、まだLvが上昇している。聞いていた話では、スキルLvカンストで進化可能で、進化すれば元のスキルは無くなる。元のスキルが残るのは、派生スキルが発現した時の筈なのだが……
取り敢えずは進化はせずにおく、武器買ったばかりなのに、武器チェンジとか悲しいし……
あれから3日が経ち、ネイルさんから連絡がきた。
この3日間はソロで素材の採取や狩り、生産に励んでいたのだが、採取や狩りはあまり効率が良くなかった。攻撃力が低くてすぐ弾切れをおこし、街へ引き返すを繰り返していた。パーティーが羨ましくもあるが………まぁ、焦ってはいないからなぁとも思う。
工房には、いつも通りゴリゴリしてる魔女達がいた。いつもの事だが、これから先もも慣れる事はないだろうな。
『早速来たかい。遅くなって済まないね、依頼の品出来たよ』
アイテムをネイルさんから受け取る。
『火薬類は、今のアイテムでは無理だね。その代わり状態異常系は、満足してくれるモノが出来たよ』
確かに露店で売られているモノがLv1しかない中で、毒も麻痺も凍結もLv2のモノが出来ている。攻撃力の低い僕には、本当に有り難い。
『ありがとうございます。お値段は?』
『今回はタダで良いよ。狩りも手伝って貰ったし、取れた素材や製作でのレベリングも良かったからね。お試しだと思って、次からはキッチリとお金貰うからね。それと僕としては珍しい素材等で、これからも依頼して欲しいな』
『では、今回はお言葉に甘えさして頂きます。ありがとうございました。そして、これからもよろしくお願いします』
これからも《調合》の依頼はネイルさんにと心で決める。
工房を出るとタイミングよく、アクアからコールがかかる。
『どうした?』
『シュン、お前に依頼があるのだが……今どこにいるんだ?』
『依頼?……今は《調合》の工房、これから《鍛冶》の工房行くとこだが……あまり、Lvは上がってないぞ』
狩りなら今日は断ろう。
『ちょうど良かった、じゃあ《鍛冶》の工房前で』
通信が切れる。嫌な予感がするのだが、とりあえず予定通り工房を目指す。
工房には、僕の方が先に着いた。工房にいる職人達に《鍛冶》で製作可能なモノや最低限のマナーを聞く。
衝撃的な事が発覚したのは、レクチャー開始から10分後だった………《鍛冶》で銃弾は作れません。
……お疲れ様でした。《錬金》の部類だそうです。また無駄なスキルが出来ました。
しかし、良い事もわかった。もしかしたらとは思っていたのだか《調合》スキルは採取に、《鍛冶》《錬金》スキルは採掘に補正がかかり、レア度の高いモノが採れるようになるらしい。以前アクアに聞いたように採取や採掘でも対応スキルのLvが上がる。
……だから、完全には、無駄にならなかったと思いたい。
呆気にとられているとアクアがやって来た。
『どうかしたのか?シュン』
『どうもしない……《鍛冶》のスキルが御臨終になっただけだ、で、何の用だ?僕は、今から《錬金》を取得したいのだが』
振り返って答えると、以前アクアと一緒にいた3人もいた。
『……また生産系を取得するのか?は、おいといて本題はモニターとして預かった鞄の件だ』
『……何か、問題があったか?』
真剣な顔になる。問題が有ったなら謝らなければならない。
『大有りだ』
血の気が引いて行く…………こんな感覚までリアルだった。
『この鞄、性能おかしくないか?容量かなり入るぞ、小さな倉庫並みだ』
『そうでもないぞ。僕のはもう少し容量が上だ。って言うか、倉庫って何だ?』
倉庫とか有るのか?有れば便利なのだが……
『知らなかったのか?レンタル倉庫は神殿の中にあるぞ。月単位でのレンタルが可能だぞ』
『アクア、そろそろ俺達を紹介してくれないか?』
アクアの隣にいたかなり大柄な魔人の男がしゃべった。
『あっ!?わりぃ。シュン、この魔人がドーム、|《防衛士》《ディフェンダー》だ』
『こっちの虎猫族はアキラ、|《盗賊》《シーフ》だ、見た目は男みたいだが女だ』
『最後がハーフエルフのレナ、|《回復士》《ヒーラー》だ』
『僕はシュン、天狐族の《銃士》だ』
3人と軽く挨拶をかわす。
『それで、なんとなく依頼内容がわかったのだが、もしかして鞄の作成依頼か?』
『そうだ、俺とパーティー3人の計4人分。もちろん報酬は払う』
『作るのは問題無い、僕的にもLv上げれるし。ただ素材が無い。アクアの分もって事は、何か要望が有るんだろう?』
『素材は用意する、要望は……外見や色を変えて作って欲しい』
4人を見て、身長や好みの色が違う事が分かる。なるほどな、オシャレは大事だからな。
『ちなみに素材は何が用意できるんだ?』
アクアが今ある素材を見せてくれる。リザードの皮やシェルホークの羽等見たことない素材が沢山ある。西の湖付近で出現する魔物らしいが、ソロでは難しいみたいだ。
素材の質は良さそうだが数が足りない事を話す。まだ加工した事のない素材なので、かなり数が欲しい事を伝えると、ドーム達が一緒に狩りに行かないかと誘ってくれた。新しい素材の事もあるので有り難いよな。
明日5人で狩りに行く約束とフレンド登録をして今日は解散した。《銃士》の僕を誘ってくれるのは本当に嬉しい。
《鍛冶》の工房で職人に素材を売り、鉄塊や銅塊、鉄銅の合金を少し購入する。《錬金》でも使えるらしい。
僕は《錬金》をする為に工房を目指しながら、新しく《錬金》とついでに《革製作》のスキルをSP 5を使って取得する。《革製作》はホルスターを作る時に多分Lvが上がるから取得した。
工房に着き、作業の説明を聞いて初級の道具を買い工房の使用料を払う。
まずは、銃弾に毒や麻痺、凍結等の状態異常を《錬金》しようと思う。
右手に銃弾、左手に毒薬を持ち手を合わせて《錬金》
………はい。失敗です。甘くないのは予想してました。6回失敗して、
【銃弾・毒Lv1】攻撃力+5〈特殊効果:毒Lv1〉
が出来た。どうやら《錬金》した時に状態異常の効果Lvが下がるようだ。市販されてるアイテムでは、作れない。これはかなりキツイ仕様だ……同様の工程で、
【銃弾・麻痺Lv1】攻撃力+5〈特殊効果:麻痺Lv1〉
【銃弾・凍結Lv1】攻撃力+5〈特殊効果:凍結Lv1〉
各3マガジン分出来た。無駄には撃てないな。マガジン単位でのアイテム作成は嬉しい仕様だよな。
次は、先程買った鉄塊と銃弾を《錬金》するが、これは失敗せず出来た。
【銃弾・Lv2】攻撃力+10〈特殊効果:なし〉
同じ銃弾をどんどん作っていく、銃弾と鉄塊の比率の問題でマガジン3セットに対して鉄塊は1つですむ。5つの鉄塊全て使ってマガジンを15セット作る事に成功した。
次は、銅塊と合金なのだが……これは全く成功しなかった。クズ銅とクズ塊、空のマガジンが出来たよ。
クズ銅とクズ塊は再度精製が可能らしいので、量が増えたら精製してもらおう。【デルタシーク】に【銃弾・Lv2】のマガジンを入れる。状態異常弾系は鞄にしまい、《錬金》用の素材が尽きたので今日は残っている皮を鞣す作業をしてログアウトする事にするかな。
ログアウト後、純に捕まった。
「鞄の事、聞いた、欲しい」
はい、そうなる気はしてました。まぁ、モニター用に作った鞄も有るし、それで良いかと聞いたら……あっさりダメ出しをされました。すでに素材は準備してあるらしいので諦めよう。
「了解。1つ聞きたいのだけど、OOO内で露店だす方法有るのか?」
「クエストか、レンタルで最低100,000フォルム必要」
月単位でのレンタル露店が1ヶ月で100,000フォルムいるらしい、自分の工房等を持つには、その20倍くらいする。金欠の僕には、果てしない夢のようだな。
装備
武器
【デルタシーク】攻撃力30〈特殊効果:なし〉×2丁
【銃弾Lv2】攻撃力+10〈特殊効果:なし〉
【ハンドガン】攻撃力15〈特殊効果:なし〉×2丁
【銃弾Lv1】攻撃力+5〈特殊効果:なし〉
防具
【ゴーグル】防御力3〈特殊効果:命中補正・微〉
【レザーブレスト】防御力15〈特殊効果:なし〉
【布製の服】防御力5〈特殊効果:なし〉
【レザーバングル】防御力8〈特殊効果:なし〉
【レザーブーツ】防御力5〈特殊効果:なし〉
【ローブマント】防御力10〈特殊効果:なし〉
アクセサリー
【ウルフダブルホルスター】防御力5〈特殊効果:速度上昇・微〉〈製作ボーナス:リロード短縮・小〉
【左狼脚ホルスター】防御力2〈特殊効果:回避上昇・微〉〈製作ボーナス:リロード短縮・小〉
【右狼脚ホルスター】防御力2〈特殊効果:回避上昇・微〉〈製作ボーナス:リロード短縮・小〉
《銃士》Lv30
《短銃》Lv37《速度強化》Lv23《回避強化》Lv21《風魔法》Lv24《魔力回復補助》Lv24《付与魔法》Lv24《鞄製作》Lv20《錬金》Lv8《探索》Lv32《家事》Lv17
サブ
《調合》Lv6《鍛冶》Lv5《革製作》Lv3
SP 24
称号
〈もたざる者〉〈トラウマを乗り越えし者〉