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OOO ~Original Objective Online~ 称号に振りまわされる者  作者: 1048
第1部 第2章
17/65

第2回公式イベント 2

イベント1日目 ~フレイ編~



少し早かったかな………


フレイとの待ち合わせ時間に合わせて、5分前にはログインをしている。普段ならもう少し早くログインして待っているのだが、イベントが肝試しだった時の事を考えると、やる気満々みたいな感じは避けたかったからだ。


コールリストを確認するが、フレイはまだログインして来てないようだな。紅茶でも飲みながら精神を落ち着かせて待つかな。機嫌度システムが導入された為、趣味スキル扱いだった《料理》も若干だが日の目をみている。機嫌度を上昇させるのに、飲食が最も手っ取り早かったからだ。


まぁ、上昇値は低いがクエスト達成やLvアップに比べると遥かに手頃だよな。それなので、新しく修得したプレイヤーも増えたみたいだな。



『シュン、お待たせ。ちょっと待たせか?堪忍な』

フレイもログインして来たようだ。


『気にするな。僕も来たとこだ。準備は出来てるか?それじゃあ、広場に行くぞ』

フレイが頷くのを確認して広場を目指す。





『………えげつない人やで、これ』

イベント用転送ゲートの前には鞄事件並、いや、それ以上か………人が溢れている。かなりの列が出来ているが、どんどん前に進んでいるので、そんなに待つ必要は無さそうだな。


『そうだな。まぁ、行ってみようか。問題は、どんなエリアがあるのかだからな』

お互いをパーティー登録して専用ゲートから転送していく。ちなみに、今日のパーティーリーダーはフレイになっている。






『………定番だな』


『定番やな』

転送されたエリアは、ザ・日本のお墓。予想通り肝試しの様だな。ご丁寧な事に、わざわざ深夜に設定されているしな。


僕が、来たく無かった場所No.1だよな。リアルでも深夜のお墓には行かない、絶対に行かない、何が有ってもだ。


『どうすれば良いんやろな………って言うか、シュン、若干顔青いで大丈夫?かいな』


『まだ、大丈夫かな。多分この指令ってのをこなせば良いんだろうな』

転送された場所に、都合良く落ちていた指令と書かれた封筒を手に取り、中身を確認する。中には指令書と地図、マッチが入っていた。



指令①

地図に記された5つの灯籠に火を灯せ



『この5ヶ所に灯籠があるみたいだな。そんなにエリア広く無さそうだし、さっさと終わらせようか』

警戒しながら、最初の灯籠を目指す事に。今ほど前衛で無くて良かったと思う事は無いだろうな。


さりげなくフレイを盾に………もとい影に隠れながら進んでいる。本人はさりげなくと思っていたが、フレイにはバレバレだったがな。


それにしても、深夜のお墓ってこんなに気味悪いのか?火の玉がゆらゆら揺れていたり、ひんやりとした空気が漂っている。《見破》のせいで余計な物まで見えている気がしている。実際はそんな事は無いのだが………そう思えて仕方がない。幾ら現実では無いと言ってもやりすぎだろ。


こんな状態で僕は終わりまで待つのだろうか?それは神のみぞ知る事だろうな。




最初の灯籠に着き、フレイは素早くマッチで火を灯す。僕はフレイの影にいたので、いつ火を灯したか分からなかったけどな。


『シュン、良い話と悪い話が有るんやけど、どっちが良い?』


『う~ん、良い話からでお願いしたい』

僕としては、少しでも現状の気分を上げたいからな。


『良い話は、MOBは予想通り幽霊系やけど見た目はめっちゃ普通やわ』

僕としては、あまり喜ばしい事では無いんだが…………


『悪い話は、灯籠に火を着けたら幽霊が出るわ』


『それは、早く言え!!』

灯籠に火を灯すと同時に目の前に現れた多くの幽霊は、アニメや漫画に出てきそうな幽霊だった。幽霊の見た目に、かなり救われた気もするが、フレイちょっと冷静過ぎないか?


『取り敢えず、物理攻撃からテストするで』

フレイが三節棍を手に駆け出していく。かなり男前だな。吊り橋効果か?現実なら好きになりそうだよな。いや、好きになっていただろうな。


エリアがお墓の為、かなり見通しが良いのは戦闘面では有利かも知れないな。僕も援護をしながら《付与術》をフレイにかけていく。2人パーティー(ペア)用のイベントなので、魔物もそんなに強い設定では無いようだな。


『物理攻撃も効くみたいやな』

そう言いながら、幽霊の群れを殲滅していく。



…………異変があったのは残り1体になった時だった。


『うわ、こいつ分裂しおったで、気い付けや』

幽霊は、分裂して数が増えて行く。


また1から倒していく………残り1体まで減らすと、また分裂する。さっきからそれの繰り返しだった。



『シュン、次は残り2体になったら同時に仕止めるで。ダメージ調整頼むわ』

僕はフレイの指示に従って幽霊を削っていく。ダメージ調整は《見破》を持つ僕向き仕事だな。


『今だ!』

僕とフレイは同時にアーツを放つ………今度は、どうやら分裂前に倒せたようだ。って言うか、これが、あと4回も続くのか?マジで逃げ出したいな。




幽霊の倒し方が判っているので、思っていたよりも簡単に残っていた4ヶ所の灯籠にも火を灯す事が出来た。思っていたよりもと言うのは、先の展開が分かっているのに灯籠に火を着ける行為だけで僕の心は一杯一杯だったな。


5ヶ所の灯籠に火を灯すと指令書に次の指令が浮かび上がる。



指令②

お寺の境内でお札を2枚手に入れろ



『お寺って、地図のこの場所やんな』

僕は黙って頷く。既に、言葉を発する余裕は欠片も無いからな。


『シュン、手出し、ウチと繋いどきや、少しはマシなはず

やで』

手を繋ぎ、フレイの温かさを感じる事が出来て少しリラックスする。フレイに感謝だな。


手を繋いだまま、お寺まで辿り着く。


また、いかにもな廃寺だな。障子はボロボロに破れていて、瓦も何枚か無くなっているし、今にも倒壊しそうだ。


『やっぱり中に入らなアカンみたいやな。シュン、外で待ってるか?』

僕は、無言で首を振るう………どう考えても1人で外で待つ方が恐ろしいよな。


僕らは、恐る恐る中に入り2枚のお札を手に入れる。次の指令が浮かび上がる。



指令③

鬼門(北東)と裏鬼門(南西)をお札で同時に封印しろ



『べ、別行動だと………』

涙目になる。手を繋いだ事でリラックス出来たのか、少し声を出す力が有った。今までは、怖すぎて声を出す余裕も無かったからな。


『シュン、本当に大丈夫なんか?ウチはリタイアしても大丈夫やで』

フルフルと首を振る。


『が、頑張る。これ以上は情けないから………な』

これ以上フレイに迷惑をかけては、僕が僕自信を嫌になるからな。


北東と南西に別れて行動する事に。僕は南西、裏鬼門を目指す。僕は、なるべく周りを見ない様にして進んで行く。


『怖くない……怖くない……怖くない……』

呟きながら、ゆっくり1歩1歩進んで行く。



『シュン、こっちは着いたで。そっちは焦らずゆっくりでええからな』

こう言う時にコールで声が聞けるのは、凄く安心出来るな。


『……了解………こっちも、着いた。うん!?少し待っててくれ』

あそこに誰かいないかったか?人影が見えた気がするよな。本来なら絶対に近寄りたくないが………恐る恐る近付いてみる。


あきらかに透けているよな。しかも、今までのアニメチックな幽霊とは違い、はっきりと女の子の姿をしている。90%以上の確率でろくでもない未来が見えるよな。


はっきり言って怖い………が、何故か無視するって考えはなかった。


『僕もフレイに助けれてるからだろうな。仕方ないよな』

《見破》で確認しても、悪い感じはしていないしな。


『………ど、どうしたの?』

女の子の幽霊は、驚き左右を見渡している。


『君の事だよ。ここは、怖いところだから何処か別の場所に行った方が良いよ』

女の子の幽霊は、警戒しているようだな………僕も大絶賛警戒中だけどな。


『それとも一緒に来る?向こうに有る、まぁ、あまり綺麗では無いけど、お寺までは連れて行ってあげれるよ』

おっ、喜んでるぞ。まだ、僕に対して大絶賛警戒中だけとな。これは何か特殊なイベントなのか?まぁ、今更深く考えても仕方ないので無視だな。


『先に僕の仲間と合流した後になるけど大丈夫?』

頷いたので、待たせていたフレイにコールで連絡をとる事にする。




『フレイお待たせ、ゴメンね』


『シュン、本当に大丈夫なんか?無理したらあかんで』


『ありがとう、取り敢えず大丈夫だよ』

フレイは、なんだかんだで優しいよな。


『じゃあ、いくで。いっせ~の~で』

2人同時にお札を貼り付ける………徐々にお墓全体が封印されていくようだ。


『………これで終わりか?


『きゃぁぁぁぁ~』


………えっ』

遠くでフレイの悲鳴が聞こえてくる。コールもつながらない………僕は、既に悲鳴が聞こえた方に駆け出している。幽霊の女の子も僕の後から、遅れずに宙に浮きながらついてきている。やっぱり人に見えるけど幽霊なんだよな…………


『ゴメンな。仲間がピンチみたいだ。あとで必ずお寺に連れて行くから、今は先を急ぐね』

女の子に一声をかけ、更にギアを上げて走り続ける。


フレイの、仲間のピンチだ、怖いなどと言ってられないだろ。遠目からでも大きな魔物がいる事が分かる。ラージゴーストか………ボスMOBなのだろう。


『フレイ、大丈夫か?〈ウインドヒール〉〈防御力上昇〉』

不意打ちを喰らったのだろうか?既に、瀕死になっている。アイテムを持ち込めない為、回復が出来ていない。


『アイツ、急に背後から現れおったんや。シュン、回復………サンキュやで』

僕の後ろに隠れている幽霊にも気付いたようだな。


『この子は、多分、大丈夫。あとで説明するから』

僕が援護に入り、フレイがアーツで攻撃していく。僕も牽制や攻撃を入れてボスの注意を引き付けていく。その間にもフレイに向けて〈ウインドヒール〉を唱えるのは忘れていない。今のフレイに攻撃をさせる訳にはいかない。今まで、色々と助けて貰ったのだ、最後くらいは頑張らなければならない。


…………最後だよな。そこだけは、本当にお願いしますよ。


『〈防御力激減〉それと〈曲射〉〈必跳弾〉〈零距離射撃〉、フレイ止めは任せた』

完全に僕にロックオンしている様だな。ラージゴーストはフレイに背中を向けてこちらに近付いて来ている。


『了解や。喰らいな〈水面蹴り〉〈熾烈脚〉〈三連突〉』

蹴り、蹴り、蹴り、蹴り…………蹴りの連打から最後は三節棍による三段突き。フレイ渾身のコンボが決まり、ボスの息の根を止める。


『シュン、本当に助かったわ』


『いや、僕の方こそ色々助かった。ありがとな』

1人なら絶対速攻でリタイアしている自信が有る。いや、参加すらしてないだろうな。


妖怪や化け物は平気だが、日本の幽霊だけは耐えれない。指令書には、新しい指令が発生している。


『新しい指令やな』

おい、まだ続いているのか?今ので完全に終わったと思っていたぞ………



指令⑤

お寺でお参りする



『あれ指令④は?』

何故か指令③の後が指令⑤になっている。


『もしかすると、さっきのボスを倒すのが指令④やないかな……』

なるほど、それなら納得出来るな。


『まぁ、それよりもやな………後ろのは何や?』

僕はフレイに事情を説明する。


『流石やなシュン、幽霊の子まで落とすか………』

何か凄く不本意な事を言われてるが、


『まぁ、約束も有るからな。さっさとお寺に行こう』

僕としては、さっさと話題を変えたい。3人?でお札を見つけたお寺を目指す。お札の封印のお陰か?火の玉等が消えていて、あまり怖く感じなくなっているのが救いだな。




お寺に着き、フレイに作法を教えながらお参りを済ませる。

まずは境内の手水舎で両手と口を清めて、賽銭箱に5フォルムを入れる。次に鈴を鳴らして、ニ礼、二拍手、一礼の作法だ。


『シュン、お寺の参り方とか知ってるんやな。凄いな』


『いや、お寺の参り方は分からない。これは神社のお参りの仕方なんだけど………この際、仕方がないかなって………やらないよりはマシだろうし。おっ!やっとクリアみたいだな』

賽銭箱の横に宝箱が現れた。幽霊の女の子も、いつのまにか消えているよな。成仏できたのかな?それなら、ここまで連れて来て良かったかもな。


この宝箱は、クリア報酬だろうな。開けてみると【アーツの書・結界】と【スキルの書・武器】が入っていた。



【アーツの書・結界】は魔物を近寄らせない〈結界〉と言うアーツを覚えれる。


【スキルの書・武器】は武器スキルのLvを10上げれる。



『確かに報酬はレアアイテムだな。フレイ好きな方を選んで良いぞ』

どっちを選んでも、使って良いものかどうかを悩みそうだけどな。


フレイは【スキルの書・武器】を選んだ。理由はフレイの武器スキルは生産スキルに比べて育ってないらしい、生産スキルが育ち過ぎなだけだと思うんだがな。


指令書にも完了と言う文字が浮かび上がっている。お寺の横にゲートも出現した。ゲートから広場に戻る事にする。





広場にいるプレイヤーの皆さんは、とても楽しそうにしているよな。楽しいエリアもあったのだろうか?僕は有る事を切に願っている。幽霊を怖がっていたので、トラウマの称号も成長している………これ以上はマジで勘弁して欲しいな。




称号成長

〈トラウマ王〉

数々のトラウマを得た者への称号/成長称号




『フレイ、今日は色々と迷惑かけてすまなかったな』


『大丈夫やで、それにウチはシュンと手を繋げて楽しかったで。デートみたいやったやろ。ウチこそ役得やわ、ありがとうな。それよりもあの幽霊の子はどないなったんやろな?ちょっと気になるわ』


『あの子は、お参りしてたらいなくなってたから、成仏したんじゃないかな。それとお墓でデートとかは嫌すぎるぞ………』

夜のお墓だけは遠慮したい。


『そやな。デートなら別の場所がええな。またどっかでウチとデートしよな』

約束やでと小指を立てて指切りをしてくる。


『お、おう、他の場所なら良いぞ』

フレイがかなり嬉しそうにしている。まぁ、僕もフレイと一緒に冒険するのは楽しいからな。それは、他のギルドメンバーも同じなのだがな。


ホームに戻り、防具と武器のメンテナンスをしてログアウトするか。今日は本当に疲れた。風呂に入ったら直ぐに寝てしまうだろうな…………早く寝て今日の事は忘れたいからな。







イベント2日目 ~ヒナタ編~



指定された広場の前でヒナタを待っている。広場は、今日もプレイヤーで溢れているか。昨日は、フレイと僕はお墓エリアだったが、カゲロウとヒナタ組は洞窟エリアで脱出ゲーム、アクア達は廃墟で肝試し、ドームとレナ組は病院でゾンビ退治だったらしい………しかも全て深夜。


ログインするとメールがきていたので、僕らの事も返信しておいた。僕だけで無くアクアも肝試し系だったので、アクアには悪いが少し良かったよな。


『もう、肝試し系だけは無しにして欲しいな……』

わざわざOOOの世界に現実の建物エリアとか作らないで欲しいな。


幽霊と違いゾンビなら怖くないし、脱出ゲームとかなら逆に嬉しいな。噂ではクイズエリアも有るらしい。僕にとって肝試し系は絶対にハズレだよな…………




『お待たせしました』


『おう、ヒナタ今日はやけに軽装じゃないか?』


『あっ………はい、昨日の脱出ゲームで大変でしたので………』

ヒナタも何かしでかしたようだな。だが、僕よりはマシだろうな。


『シュンさんも大変だったみたいですね。フレイさんに聞きました』

フレイ、一体何を………何処まで話した。


『ま、まぁな……い、一体、何を聞いたんだ?』

思い出しただけでも動揺が隠せない。


『ボスに襲われたときに颯爽と駆けつけてくれたって聞きましたよ』

あれ?予想と違うな………


『そ、それだけ?たったの?他には聞いてないの?』


『はい。あと手を繋いだそうですね、ちょっと羨ましいですよ』

フレイは、へたれな僕の部分は話していないようだな。あとで、お礼をしなければな。それにしてもフレイは同姓にも人気が有るんだな。


『フレイなら、頼めば手を繋いでくれると思うぞ』

フレイだけでなくアキラ達もだろうけど………


『そうですね』

ヒナタは少し残念そうだな。僕は何か間違ったのだろうか?


『………鈍感』

ヒナタが小さく言い放った鈍感は、僕には聞こえなかった。



『そろそろ行こうか?準備は出来てるか?』

大丈夫みたいだな。はたして、今日はどのエリアに飛ばされるのか…………楽しみよりも不安だな。


僕達はゲートから転送されて行く。





『………ここは森の中か?』

鬱蒼と生い茂る森の中だ。


夜中で真っ暗と言うのも有り気味が悪いな。ただ、幽霊は出そうに無いエリアだな。顔の表情とは裏腹に心の中ではホッとしている。


『ですね。あっ!!指令書ありましたよ』

ヒナタが指令書を見つけて近寄ってくる。



指令

樹海の中心を目指せ



『今回の指令は1つなのか?昨日と違って番号が付いて無い………って言うか、中心とか無理ゲーじゃないか?しかも、樹海って………』

どんだけの広さを想定してるんだ?それとも、迷子になる事が前提なのか?開始いきなりだが完全に手詰まりだよな………


『困りましたね。何処かにヒントとか有るのでしょうか?』

辺りを見渡しても木、木、木、木しかない………まぁ、木の大小や種類の違いは有るけどな。


『取り敢えず、進むか。ヒナタ、何が有るか分からないし、危ないから僕から離れるよ』

ヒナタは、嬉しそうに後ろからついてくる。


暫く歩いてみるが、木以外は本当に何も見付からない。魔物すら出てこないからな。


『何も無いよな。何か条件が足りないのかな?』


『あの~、気付いたんですが、この木って採取出来そうですね』

ヒナタに言われて《見破》スキルを使って確認する。


確かに採取出来るな、しかも、魔物が擬態している木も有るぞ。


『それだ。ヒナタ、ナイスだ。木材を採取しまくるぞ、ただ魔物が擬態している木も有るから気を付けろ。《見破》で見た感じだが、レアな木材が多い方が中心だろうな』

《見破》を使用して見た結果、歩いて来た方角よりも今向かっている方角の方がレア度が高いようだな。


採取出来る木材の名前までは、分からないがレア度は判る。僕やヒナタは生産系を取得しているので、採取した木材を鑑定出来るが、鑑定や採取出来ないプレイヤーは詰むんじゃないのか?


それとも《木工》を取得しているから、このエリアになったのか?



『ヒナタ、避けろ〈速度上昇〉』

採取を始めた途端に、それまで擬態していた木系の魔物が一斉にヒナタを襲ってきた。僕は、木系の魔物の蔦とヒナタとの間に体を入れてヒナタを庇いながら、両手に持つ【烈火】と【雷鳴】で射撃していく。


木系には火が良く効く、次いで雷かな………転送されたエリアが森だった為、火属性と雷属性の武器に変えていたが幸いだったな。装備の持ち込みが出来て助かったよな。


『ヒナタ、落ち着いてからで良いが魔法で援護頼む、回避重視で数を減らすぞ』

ヒナタは急に襲われたので、まだ正気に戻って無いようだ。ヒナタ1人くらいなら庇いながら戦えそうだしな。


牽制と攻撃を織り混ぜて射撃している。木系の魔物は蔦での攻撃が有る。リーチは長いが移動出来ない事も僕に味方しているよな。まぁ、【烈火】が効きすぎているのが1番大きいのだがな。


『すみません。お待たせしました、いきます〈レイニングボルト〉』

木MOBを4体位倒したところでヒナタも正気に戻ったようだ、それにしても範囲魔法は便利だよな。今の一撃で5体は巻き込んでるよな。今のを見ると範囲魔法が欲しくなるな。


『大丈夫だ。援護は任せるぞ。それと、蔦の攻撃には気を付けて。〈魔方攻撃力上昇〉〈防御力上昇〉』

ヒナタに《付与魔法》を掛けて1歩ずつ1歩ずつ前進していく。近寄れば近寄る程、攻撃力が上がる。


回避重視は変わらないが蔦の単調な攻撃にも、かなり慣れてきた。端から見ればダンスを踊っているように見えそうだな。それくらいリズミカルだ。


『鮮明なる光を持って貫き響け………』

ヒナタが強力な魔法の詠唱に入ったようだな。それなら、僕の役目はヒナタを守る事だけだ。【雷鳴】を【魔銃】に持ちかえて射撃を続けている。はっきり言うとリロードしていく余裕が無いだけだがな。


『………大気が震える雷よ轟け〈ボルティックスパーキング〉』

白い雷光がヒナタを中心に放射状に放たれる。味方を巻き込む魔法じゃなくて本当に良かったな。


………辺りにいた木系の魔物は燃えながら全滅していた。残ったのは炭くらいか。このイベント中は、まともな素材の回収は諦めた方が良いだろうな。それと、ヒナタを怒らせるのは止めよう、炭にはなりたくないからな。



『………凄いな。これ』


『〈ボルティックスパーキング〉初めて使いましたが、とんでもない威力ですね。詠唱に時間がかかるので余り使う機会が無さそうですけどね』

あれ!?ヒナタは〈詠唱破棄〉を知らないのか?そう言えば………新人組には教えて無いかも知れないな。


ヒナタに聞いてみると知らなかったので教えてみる。


『こんなの有ったんですか?これ便利過ぎますよ』

ケイトも知らないらしいので明日教えておこうかな。


『まぁ、威力は下がるけど、緊急時には効果的だからな』




それから暫くは、レア度の高い素材が出る方角に採取、戦闘、回復、採取、移動の繰り返しだった。


《木工》と《調合》を取得しているお陰か、採掘の時と同じ様に木系の魔物から採取する事も出来るみたいだな。そのお陰で、かなりの量の素材が手に入っている。中には、新しい木材や上位木材まで有った。イベント後の生産活動が今から楽しみで仕方ないな。少し現実逃避気味だ………


『やっぱり、やり過ぎたかな』

進んで来た方向を振り返ると、何処を通ってきたのかが良く見渡せる。採取をしすぎた結果、通って来た道には何も残って無いからだ。1部分では山焼きでも有ったかの様な惨状に………〈詠唱破棄〉を覚えた《魔術師》のえげつなさを改めて思い知ったな。


『すみませんでした』

かなりヒナタは恐縮しているようだな。


『違う、違う、採取の方だよ。ヒナタの魔法はかなり助かったぞ。ありがとな。MPは大丈夫か?』

考えが見透かされたかな?取り敢えず、形だけでもフォローはしておこうかな。


『あれ?シュンさん、あそこ見て下さい。何か有りますよ』

確かに、ヒナタが指差す方向に何か建物らしき物が見える。あそこが中心か?昨日の指令よりは呆気ない気もするが………



近付いて見ると大きな岩があった。周囲にも変わったところは無さそうだな。ヒナタと別れて岩の周囲を調べてまわる。


『新しい指令書みたいですね』

ヒナタの手には新しい指令書兼地図が有った。



指令

地図に記された☆の場所を目指せ



『今回は1回ずつ指令書が出るパターンみたいだな』

今、僕らのいる場所は地図の中心部分のようだ。多分、南にあるS印がスタート地点なのだろうな、地図には☆印が3ヶ所記されている。まぁ、近場から回って見るしかないか……


『ヒナタは疲れてないか?大丈夫か?』


『はい!まだまだ、大丈夫ですよ』


『なら1番近いここからでどうだ?』

現在地から1番近い☆印を目指す事にする。その間も採取は忘れない。さっきまでと違い、木系の魔物の量が減ってる気がするな。多分だが、中心から遠ざかっているからだろな。やっぱり中心部分には何か有るのか?ちょっと気になるよな………



『この辺りだと思うけど何か有るか?』

最初の☆印に着いたが、何も無さそうだな………


『変わった物は無さそうですよね』


『うん。何も無いな』

暫く辺りを探して見るが何も見付からないので、先に他の☆印を目指そうかと、地図を見てみると☆印がEに変わっている。


『なるほどな………』


『シュンさん、何か分かったんですか?』


『多分な、次はここを目指して見ようか、Wになると思うぞ』

次は地図で今いる場所の反対側に有る☆印を目指す。採取もしたいのだが、そろそろ鞄に入りそうも無いので中心部分の近くレア素材が取れる部分以外は無視する事にした。



『やっぱりだな、Wになったわ。ヒナタも分かったんじゃないか?』


『地図にS・E・W………もしかして方角ですか?』


『うん。僕もそう思ってる。残ってるここはNじゃないかな、多分これは宝探しイベントじゃないか』

Sはスタートだけで無く、南の意味も有ったんだな。なかなか考えられているよな。


残っている☆印の場所を目指すとやはりNに変わる………が新しい指令書が見付からない。




『やっぱり、ここにも新しい指令書無いみたいだな』

中心部分に戻ってみたが何も見付からない………


『やっぱり無いですよね。何か地図に見落としが有るのでしょうか?』

ヒナタと一緒に地図を見ながら考えるが………


『あっ、あ~~~~有った、分かった、ここだ』

地図の有る場所を指差す。


『えっ……ここですか?』

ヒナタに今僕が気付いた事を説明していく。説明していく度にヒナタも、僕の考えが正しい気がしてきた様だな。


『じゃあ、やっぱり最後は中心にあたるここですか?そしたらさっきのアルファベットは?』

ヒナタが指差した場所は大岩がある中心部分だ。だが、疑問も残るようだな………


『多分、ミスリードだろうな………運営は妙なところで意地が悪いからな。取り敢えずここに行って見ようか』

僕らの目指す場所は〔地図に記された☆の場所を目指せ〕の文章中の☆印だ。


『やっぱり、ここの☆印もそうだったな………』

ここはアルファベットが表示せれずに★に変わった。そして予想通りだが、今まで寄った場所が線で繋がって地図に大きな☆印が表示される、当然その中心は大岩がある場所だ。


地図の空きスペースにわざわざ文章が書いてある理由は、これだったんだな。2人で意気揚々に大岩を目指す。そこには宝箱が2個とゲートが有った。



『やっとクリアみたいですね。クリア出来たのはシュンさんのお陰です。ありがとうございます』


『2人で頑張ったからだよ。こっちこそありがとな。ヒナタ』

2人で同時に宝箱を開ける………中には、【アーツの書・浮遊】と【スキルの書・魔法】が入っていた。



【アーツの書・浮遊】空を飛ぶ〈浮遊〉と言うアーツを覚えれる


【スキルの書・魔法】は魔法スキルのLvを10上げれる



『どっちもかなりレアだな。好きな方を選んで良いぞ』

こう言う時は、レディファーストだろう。僕が先に選ぶ事は有り得ない。


ヒナタは【スキルの書・魔法】を選ぶ。《魔術師》なら当然かな。


まぁ、僕も変わったアーツが覚えれるので嬉しいのだがな。このイベントエリアで手に入る【アーツの書】のアーツをイベント前に覚えていたら、便利な物ばかりだよな。お墓エリアの時に〈結界〉が有れば、あんなに恐がる必要なかったかもな。樹海エリアなら〈浮遊〉で空を飛んでいたら楽勝だっただろうな。



2人でゲートから転送しようとした時に、ヒナタは顔を赤くして僕の手を握ってきた。そうか、樹海エリアは暗くて怖かったんだな。女の子だもんな………もう少し気を配っていれば良かったな。次は気を付けようかな。そう思ってヒナタの手を強く握りしめてやる。




あとは、ケイトとアキラの2人か。ここまで来ると、もう二度と幽霊系が出ない事を祈るしかないな………今日みたいな冒険なら僕も一緒に楽しめるからな。








装備

武器

【烈火】攻撃力50〈特殊効果:銃弾に火属性が追加〉

【霧氷】攻撃力50〈特殊効果:銃弾に氷属性が追加〉

【雷鳴】攻撃力50〈特殊効果:銃弾に雷属性が追加〉

【銃弾Lv3】攻撃力+15〈特殊効果:なし〉

【魔銃】攻撃力40〈特殊効果:なし〉

防具

【ノワールブレスト】防御力25〈特殊効果:なし〉〈製作ボーナス:重量軽減・小〉

【ノワールバングル2】防御力15〈特殊効果:回避上昇・小/耐水〉〈製作ボーナス:命中+10%〉

【ノワールブーツ】防御力15〈特殊効果:速度上昇・中〉〈製作ボーナス:跳躍力+20%〉

【ノワールクロース】防御力20/魔法防御力15〈特殊効果:なし〉〈製作ボーナス:耐火/重量軽減・小〉

【ノワールローブ2】防御力15/魔法防御力20〈特殊効果:回避上昇・中〉〈製作ボーナス:速度上昇・中〉

アクセサリー

【ダテ眼鏡】防御力5〈特殊効果:なし〉

【ノワールホルスター】防御力10〈特殊効果:速度上昇・小〉〈製作ボーナス:リロード短縮・中〉

 +【マガジンホルスター】防御力5〈特殊効果:なし〉〈製作ボーナス:リロード短縮・中〉

【ノワールの証】〈特殊効果:なし〉



《双銃士》Lv35

《魔銃》Lv32《双銃》Lv30《拳》Lv32《速度強化》Lv65《回避強化》Lv68《旋風魔法》Lv18《魔力回復補助》Lv66《付与術》Lv32《付与銃》Lv45《見破》Lv53


サブ

《調合職人》Lv8《鍛冶職人》Lv24《革職人》Lv45《木工職人》Lv12《鞄職人》Lv47《細工職人》Lv20《錬金職人》Lv20《銃製作》Lv30《裁縫》Lv19《機械製作》Lv1《料理》Lv28《家事》Lv55


SP 33


newアーツ

〈チャージ・魔銃〉攻撃力×溜めた分だけ※最大3倍/消費MP 溜めた分だけ

魔銃の銃弾を溜める事が出来る

習得条件/《魔銃》スキルLv30


〈トライアングル・3点バースト〉攻撃力×3/消費MP 45

3点同時撃ち

習得条件/《双銃》スキルLv30



称号

〈もたざる者〉〈トラウマ王〉〈略奪愛?〉〈大商人〉〈大富豪〉〈自然の摂理に逆らう者〉〈初代MVP〉〈黒の職人さん〉

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