第2回公式イベント 1
定期バージョンアップ情報
・NPCに人格AIの追加
・武器/防具の耐久度追加
・機嫌度追加
・バージョンアップ後に第2回公式イベント発表
「駿くん、バージョンアップ情報確認出来た?」
携帯に晶から着信が有った。僕から電話しようと思ってたのでタイミングが良かったな。
「おう、メールありがとな。今パソコンで純と一緒に確認してる、晶は内容分かるか?」
あらかじめ、晶からバージョンアップの事をメールで連絡を貰っていた。イベントの件は置いておくとして、問題は他の3つだな。耐久度は何となく分かるが、他の2つは殆どゲームをしない僕には馴染みがないからな。
「耐久度は分かるかな?他のゲームを参考にするなら、武器を使ったり、防具にダメージを受けたら消耗していくんだと思う。人格AIは、NPC相手でも普通の会話が出来るようになるだと思う。その都度考えて、オリジナルの答えや意見が返ってくるんじゃないかな。今の状態でも相当高いAIだったと思うけど………それ以上になるのかな。機嫌度はちょっと分からないかな」
「なるほどな………」
純も隣で同じような事を呟いているし、だいたいそんな感じなんだろう。
「教えてくれてサンキュな。ログイン出来る様になったらバージョンアップの詳しい内容を確認しような」
今は、機嫌度よりもイベントが気になるなよな。今回はどんなイベントを用意してくれているのか、楽しみだな。
バージョンアップが終了して、ログインしてきたアキラと共に神殿を目指している。
OOOでは、他のゲームと違いイベントの告知やバージョンアップの詳細情報はゲーム内でしか掲示されない。運営会社や製作会社の公式HPでも掲載されないと言う、かなり特殊な仕様となっている。まぁ、簡単な事前情報程度は公式HPに掲載してあるけどな。
詳細情報は、いち早く内容を確認したプレイヤーが情報サイトに載せてくれるのだが、大抵のプレイヤーは自分の目で確認している。
『アキラ、何か街の中が明るいと言うか、いつも以上に活気が有る様な気がしないか?』
『だよね………多分、これ人格AIが追加されたからだと思うよ』
確かに、それなら理解が出来るな。NPCがプレイヤーのよ様に………つまりは、人間的になっているのだ。プレイヤーとモデリングがプレイヤーに近いタイプのNPCを見分けるのは、難しいだろうな。少なくとも、僕には無理だな。
『取り敢えず、掲示板を確認してみようよ』
・NPCに人格AIの追加
NPCにも人格や記憶等の情報が搭載されます。NPCにも人生がarのです。1人の人間として接して下さい。
・武器/防具の耐久度追加
武器や防具は使えば消耗します。以前は性能の低下程度でしたが、今回のバージョンアップより専門の生産職による専用アイテム・素材でのケアや修理をしないと壊れるようになりました。※壊れた後でも修理可能ですが素材が通常より多く必要になります。
・機嫌度追加
クエストの失敗や死亡、空腹、疲労等で機嫌度が変化します。機嫌が良い状態ならクリティカルが出やすくなる等のボーナス現象が有りますが、悪い状態なら命中率の低下等のオーナス現象がお起こりますので、ご注意下さい。
・第2回公式イベント
お盆の期間8月11日~15日の5日間限定開催
期間中は専用ゲートから特設エリア(ランダム10種)に転送出来ます。
装備以外の持ち込みは不可。
※イベント中に得たアイテムは使用可能です。
報酬はエリアによって違う物をご用意しております。
※各エリアに付き2種類、全部で20種類のレアアイテムをご用意しております。
1日1回まで 男女ペアパーティー限定です。
『大体は理解出来たが………今回の公式イベントは、あまり良い予感がしないよな。特に、男女2人パーティー限定の部分に悪意を感じるな』
運営さん、もう少しソロプレイヤーに優しくなっても良いと思うぞ。
『そう?かな……シュンは、どうするの?』
アキラが、かなり真剣な様子で聞いてくる。
『最大で5種類のレアアイテムが手に入るからな。出来るなら参加したいけど………まずは、ホームで皆と相談かな』
アキラは何故かテンションが下がったみたいだな。どこかに下がる要素が有ったか?
『おい、シュン掲示板見たか?今ジュネ達とも一緒にいるんだが、ホームに行っても良いか?』
アクアがコールを入れてきた。テンションが上がるのは分かるが少しは落ち着いて欲しいよな。
『鈍感』
何かアキラが呟いた様な気もするが、アクアとコールで話しているので、全く聞こえなかった。
『良いぞ。僕もアキラと一緒で広場にいるからすぐに戻る。先にホームに入っていても良いぞ』
コールを終え、アキラとホームを目指す。ちょっとアキラの機嫌が悪い様にも見えるが、ダンジョン・フィールド以外での《見破》が禁止になっている為、真実は分からない。知らない方が身の為かも知れないがな。
ホームに戻って見るとギルドメンバー達もログインして来ていた。まだ、掲示板を見ていないらしいので4人で見て来たらどうだと薦める。あれは、自分で見て色々考えた方が良いだろうな。
今回のバージョンアップで分かったのだが、雇っているNPCにも名前が有った様だ。【noir】で働いて貰っている赤髪のNPCはマナさん【by buy】で働いて貰っている金髪のNPCはミナさんと言うみたいだ。髪の色以外でモデリングに違いは無いので、姉妹にしか見えないよな。性格や声は、それぞれ別になっているみたいだがな。
僕達が、ホームに戻ってきた時に改めて自己紹介されてしまった。普通に挨拶や会話をされるとマジでプレイヤーにしか見えないよな。ホーム内に侵入制限の有る場所が少なからず有る事やNPCとは言え【noir】で働いてくれている仲間と言う事も有りマナさんとミナさんにも【ノワールの証】を配っている。ちなみに、マナさんが6番、ミナさんが7番だ。
皆が戻って来るのを待つ合間に、紅茶の準備をしておく。マナさんとミナさんにも好みを聞いて紅茶を出す。ちなみに、マナさんはストレート、ミナさんは砂糖入りが好みだそうだ。僕とフレイ、カゲロウはストレートが好きで、アキラとケイトがミルクティー、ヒナタは砂糖入りが好みらしい。アクア達に出す分も紅茶の準備をしておくかな。
『それにしても、食器類増えたよな』
『うん。もう1つ食器棚が要りそうだもんね』
ギルドメンバーには、各自が好みのマイ食器、マイカップを用意している。以前の経験から個人用とは別に打ち上げ等のゲスト用として食器類を40セット用意して有る。暇をみて同じようなデザインの食器棚を作るか、それとも新規でリビングに合う大きな物を作っても良いかもな。
『そのうち、ヒナタ達と相談して作ろうかな』
最近は、買うと言う行為が極端に減ってる気がするな。何をしていても、頭に浮かぶのは製作だからな。
『じゃあ、お願いするね』
『シュン、アキラ、来た』
ゲートからジュネ、アクア、ドームが転送てくる。珍しい事に、今日はレナはいないようだな。
『いらっしゃいませ』
僕の入れていく紅茶を、アキラが配っていく。各々が自分のお気に入りのソファーやイスに座っていく。慣れ親しんだと言うか、慣れ過ぎているよな。僕のお気に入りの場所さえ避けてくれたら別に良いんだけど。
『ただいま戻りま…………したです』
ケイト達も戻って来たようだな。フレイは慣れているがケイト達は初めて会うプレイヤーに驚いているようだな。そう言えば、バタバタしていてジュネ達を紹介するの忘れてたな。
『お帰り。まだ、紹介してないよな。右からジュネ、ドーム、アクアだ。で、こっちの今入ってきた3人がギルドの新人でケイト、ヒナタ、カゲロウだ』
簡単に紹介していく。どうせ僕とアキラの兼ね合いで何回も会うことになるのだ、今は簡単で良いだろう。ヒナタはジュネの事を知っていて、チラ見している。
『メンバー増えてたんだな。おっ!!そうだ。俺達もギルドを作ったぞ。一応アクアがギルドマスターだ。レナは今日、他の女子メンバーと狩りに出ている………通称、女子会らしい』
ドームが自分達の近況を教えてくれる。レナが居なくて少し寂しそうだな。それよりも………
『ギルド作ったんだな。おめでとう、名前は?』
『まだまだ小さいギルドだけどな。名前は【双魔燈】だ。ヨロシクしてくれ』
ちょっと怖い名前だな。さりげなく自分の名前入れてるし、知ってはいたが、そうとう自分が好きだよな………アキラも同じ事を思ったのだろうな。目が合ってしまった。
『私も、ギルド【ウィザード】、サブマスター』
ジュネもギルドに入っているみたいだ。魔法をメインに使うギルドらしい。我が姉は人を纏める能力は皆無なのだが、サブマスターとか重要な役職で大丈夫なのだろうか?まぁ、僕も人の事は言えないけどな。
それにしても、皆いつの間にか色々状況が変わっているんだな………新人達は会話についてこれてない様だけどな。
『シュンは、イベントどうするんだ?男女ペアのパーティーだろ。アイテムの持ち込み不可で、イベント中に得たアイテムは使用可能って………良い予感がしないよな』
『本当に、ろくでもない予感しかしないよな』
お盆に、男女ペア、僕らには1つしか思い浮かばない。これは決して僕らのボキャブラリーが少ない訳ではない。
………9割方、僕とアクアの苦手なアレだろう。アクアも同じ事を思い浮かべてテンションが低いな。
『なんで?イベントだよ楽しまなきゃ損だよ』
アキラは公式イベントでテンションが上がっているよな。
『そうです。マスター、イベントは楽しみましょうです』
アキラとケイトは楽しみなようだな。
『シュンとアクア、幽霊苦手』
『えっ、あ、え~~、イベント、肝試し?なんか』
ジュネの言葉でフレイも気が付いたようだ。
『確かに、僕とアクアは、その可能性を1番疑っているな。僕らは日本の幽霊だけはダメなんだ』
僕らは苦手なものには、すごく敏感だぞ。
『まぁな、その可能性があったから今回は寄らせて貰った。気が進まないが、一応俺らはギルドのメンバーでローテーション組んで参加する事にした。気が進まないけどな』
ギルドマスターをしている為、断る事が出来ないようだな。ご愁傷様です。
『そうか、僕らは後で相談して決めるかな』
アクアは、お前も必ず参加だ。と目で訴えてきている気がするな。悪いが、僕は回避出来るなら回避させて貰うぞ。
『それよりも、俺は装備以外の持ち込み不可ってのが気になっている。生産系も取得しているシュン達の意見が聞きたい』
ドームが、ここに来た本命は、この件だったらしいな。
『それは、僕も気になってる。このタイミングっていうのも引っ掛かかるし………』
『シュン、このタイミング?って、どういう事なの』
アキラも気になったようだな。
『バージョンアップで、武器/防具の耐久度追加って有ったよな。修理やケアに専用のアイテムや素材がいるのに、アイテムの持ち込み不可。しかも専門の生産職が………って、何か意地の悪さを感じてるんだよな』
『シュンもやっぱり気になってたんか?ウチも気になってたんよ。まだ、イベントまでに日にち有るんやし検証しようかと思っとったんよ。専用アイテムってのも手に入れないとあかへんし』
生産系のプレイヤーとしては、専用アイテムってのは気になるな。
『それともう1つ、NPCの人格AI追加の件。【noir】にもNPCいるんだが………話してみると、マジでプレイヤーと遜色ない感じだぞ。イベントに関係有るのかも知れないし………』
『驚かす役とか?』
『これが、本当に肝試しなら有りえるかもな。それに肝試しならMOBがゴースト系?いや幽霊系が予想できるかな。もしそうだとしたら、物理攻撃は効くのかも気になるな』
僕が上げた疑問点を皆が真剣に悩んでいるようだな。まだ、肝試しが確定では無いんだが………僕は1割くらいの確率で予想がハズレる事を祈っている。まぁ、ここの運営さんは予想を裏切らないけどな。
『まぁ、無理はするなよ……シュン』
アクア達はそれだけ言ってホームを後にしていく。各ギルドで対策を練るらしいな。
『まぁ、そう言う事だ。肝試しなら気が進まない』
アクア達が帰り、落ち着く為に紅茶を入れ直して一息をつく。
『マスター、肝試しって何ですか?です』
『う~ん、簡単に言うとホラーだな。ホラーホウス?みたいな感じだ』
ケイトは肝試しは知らないようだな。
『Oh!マスター、私とペア組んで下さいです。マスターは私が守りますです』
ケイトにしては異様なほどにテンションが上がっているぞ。珍しいな………
『シュンさん、私とも組んで下さい』
ヒナタもか………
『ウチと一緒に参加せえへんか?』
ケイトにヒナタ、フレイ、皆顔をキラキラさせるのを止めてください。そんなに、怖がる僕を見たいですか?情けない結果になる自信は有るぞ。
『まぁ、イベントは5日間あるから、それはかまわないが………本当に役にたたないぞ、アキラはどうする?』
『大丈夫なの?無理しなくても良いよ』
『この際だから、3回も、4回も変わらないからな………それにまだ、肝試しと決まった訳じゃないしな。皆と参加して、アキラだけ一緒にやらないのは違うだろ』
『なら、私もお願い出来るかな』
アキラも嬉しそうにしている。誘って良かったかな。
『おう。まぁ、イベントだから、出来るだけ楽しもうか。今予定決めて良いか?14日以外ならOKなんだが………皆どうだ?』
11日がフレイ、12日がヒナタ、13日がケイト、最終日の15日がアキラに決まる。時間は午後1時~7時の6時間、これでクリア出来なければ仕方ないと言う事になった。皆、他の日はカゲロウや知り合いと回るようだ。肝試しじゃない事を祈ろうか…………切実にな。
イベントまであと2日………ギルドメンバー総出で各街に出て修理用の道具を集めている。
《鍛冶》用の砥石や携帯炉等、工房設備の携帯版や簡易版が多かった。《木工》用の工具等、元から持ち運べる物も有った。逆に《調合》用は、持ち運べる物が現時点では無い様だ。見付ける事が出来て無いだけなのかも知れないが【プレパレート】のプレイヤーも入手して無いようなので望み薄だろうな。
多分、《調合》アイテムは使い切りが多くて、耐久度が無い事が関係しているのかも知れないな。
『あとは、武器や防具の耐久度テスト………』
『………と消耗修理のテストだね』
独り言を、いつの間にか戻って来ていたアキラに聞かれていたようだな。
『おかえり。消耗修理のテストは、急ぎじゃないが………って武器や防具のテストしたら、結果的に必要になるよな。修理しないと使えないからな。直接打撃系の武器を優先してテストするかな………《見破》使えば消耗率も見えると思うし』
『………それ本当に……ギルドホームでは使って無いよね』
『だ、大丈夫。絶対に使ってない』
アキラの迫力に負けて動揺したな。
すっかり存在を忘れていたが《探索》系や《見破》スキル使えば肝試し怖くないんじゃ無いか?少なくとも急に驚く事はなくなりそうだな。
ちょっとイベントに対して希望が湧いてくる。
久しぶりに川にやってきている。ギルドメンバー全員で来るのは初めてだよな。ここで出てくるのは水精霊、水晶霊、さらに上流の方に出てくる新しいMOBの水想霊、僕が思う対幽霊対策として訪れている。
素材の確保の為もあるが、1番は攻撃についてだ。精霊系のMOBは物理攻撃に耐性がある。って事はここで通用する攻撃は幽霊系にも通用する可能性が高いからな。
アキラ、フレイ、僕の3人はある程度この精霊系と戦った事が有る。しかし、新人達は川には来たことが有るが、精霊系との戦闘をした経験があまり無いようだ。3人パーティーでの戦闘の時は、カゲロウが壁になりヒナタの魔法で倒す形が出来ている。物理攻撃はサポート的にケイトがおこなっているぐらいらしい。
こう言う状況になら1度でも経験が有ると無いのでは、かなり違いが出そうだな。
『まずは、各々の物理攻撃が通用するかのテストやな、アキラ、精霊系の魔物はいてる?』
『ちょっと待ってね………少し先に3体、いや4体かな』
『じゃあ、カゲロウが引き付けてケイト、ヒナタ、アキラ、ウチの順でテストやな。シュンは《見破》で全部確認しててな。カゲロウとシュンは後からやな』
今日は、フレイがパーティーリーダーを務めている。【noir】では、毎回パーティーリーダーを変更している。各々が色々な状況に適応する為だ。でないと突発的な事に対応出来なくなるとアキラから意見が出て皆で採用した。現に、この案のお陰で各々が考える様になり対応も早くなっているからな。
『了解だ』
《見破》を使い後方で待機する。テストがメインの為、《付与術》を仲間には使っていない。魔物には《攻撃力減少》と《回避低減》《速度低減》を使っている。物理攻撃のテストなので、無駄にダメージを受ける必要は無いからな。
ちなみに、防具の耐久テストは、別の場所で行う予定にしている。ここの魔物では攻撃力が低すぎてテストにならないからだ。
物理攻撃は属性が無ければ、精霊系にはダメージが殆ど出ない。属性を付ける事である程度ダメージが出る。
OOOでは、いかに属性が大事か分かるだろう………銃は複数の生産系スキルを取得して、進化させて、複合スキルを取得して、製作しなければ属性攻撃が出来ない。一体どれだけの時間が掛かったんだ?こう言う時に人気が無い事を改めて理解させられよな。
結果的にMPを消費してアーツを使うか、属性が付いた武器を使えば、カゲロウ以外の物理攻撃が通用する事が分かったが………イベント中は装備以外を持ち込めないなら、MPは回復に使わなければならないだろうな。ってか、回復使えないペアは詰む可能性が無いか?それとも戦闘は無いのか?
『カゲロウには、武器を作くらなアカンな』
《防衛士》は防御力は強いが、攻撃力は並だ。属性攻撃が無ければ、ダメージが出ないからな。
『そうだな。取り敢えず、イベント用で光属性付けとくか?』
幽霊系の魔物に効くのは、光属性だろうと言う、ありがちな考えを持っている。
『肝試しならそやな。肝試しやなくても上位属性やし問題ないやろ。宝石も、ここで適当に採掘したらええしな』
3属性の宝石が有れば、光か闇の上位属性が付けれる。強力で便利だよな。狩りの方をアキラ達に任せて、僕とフレイは採掘をしていく。レア度の低い宝石だが、数は採掘出来た。残りは鉱山ダンジョンで採掘すれば良いだろうな。
鉱山ダンジョンでの防具の耐久テストは、ある程度の成果が得られた。金属の鎧や盾系なら、かなりダメージを受けても耐久力の減少は知れていた。革系の装備でも、ダンジョンで2時間戦闘を繰り返して、わざとある程度のダメージを喰らってみたが平気だった。布系の装備だけが、爪等での切り裂いてくる攻撃に耐性が無かった。魔法による攻撃を数十回耐えれたのは大きいな。カゲロウ以外は回避が主な為、ある程度耐久力が有るのが判れば十分だった。カゲロウには、耐久力が高い盾も作っておくか、あとは、毎日小まめにメンテすれば大概は大丈夫だろう。
『防具のテストは終わったから、次は採掘か?』
テストは良い結果が得られたし、あとは採掘で素材集めだろな。
『そやな。採掘の方はケイトに任せといて、ウチらは、少し岩石系でも狩ろうか』
『分かりましたです、この辺りを採掘してますです』
ケイトはカゲロウとヒナタに見守られながら採掘を始めていく。僕らは近場で岩石系のMOBをアキラに探して貰う、見付けたら片っ端から狩り尽くしていった。僕らが大量に魔鉱石を集めている間に、ケイトが必要な宝石や鉱石を採掘してくれたので、カゲロウ用の新しい武器と防具の目処もたったな。
倉庫にある素材を使っても良かったのだが、イベント中の補修や修理用にストックも欲しかったからな。
『まぁ、採掘はこのへんやろな。次はホーム戻って加工、製作やな。依頼も来てるかもしれへんし、他に作って欲しい物が有ったら遠慮せずに言いよ』
1週間に1回だけ受けている製作の依頼も、継続して依頼が来ている。嬉しい限りだのな。これからも続いて欲しいものだな。
ホームに戻ってカゲロウ用の武器と盾を製作していく、盾と武器を僕が受け持つ事になった。テストに使った武器や防具の修理はフレイの担当だ。ギルドに斧の依頼も来ており、そっちもフレイが受け持ってくれる。鉱石の加工はケイトに任せている。魔鉱石の加工は取り敢えず今日のところは保留だな。
『カゲロウ、武器はどんなのが良いんだ?この際、リクエスト聞くぞ』
『それなら、盾の中に収納出来る剣が欲しい。武器が増えても防御の邪魔にならないから使い易そうだ』
なるほどな。カゲロウは防御をメインのプレイをしているので、攻撃は余裕が有る時やトドメを刺す時にしか使わないらしい。簡単に言うとパーティー向きのプレイヤーだ。
カゲロウから、今メインで使っている盾を預かって、形状を参考にさせて貰う、長さ1m幅60cm位で将棋の駒を逆にしたような形状の大盾だ。ちなみに以前プレゼントした【ヴァランサ】は、防御力が低い為、魔法を使ってくる魔物の時にしか使っていない。その変わり属性魔法に対しては強固な防御を誇っているがな。
『形状は殆ど同じにして、金属を銀を、混ぜた合金に変更かな』
盾用に銀合金を多目に加工していく。武器にも銀を、混ぜた合金を使ってみようかな。収納する事を考えると素材は同じ方が良いだろう。剣は練習で何回も打ったことが有るので慣れている。ベースの形状には店売りの【グラディウス】を参考にさせて貰おうかな。
長さを短めにして小回りが効くように改良し、中心部分に3種の宝石を《細工》して加えていく。
『武器は、これで良いとして盾は……』
剣に合うようなデザインの盾を作っていく。叩いては伸ばして叩いては伸ばすの繰り返しで、厚みは無いが硬い盾が出来上がった。
【シールドバーニッシュ・剣】攻撃力33〈特殊効果:光属性〉〈製作ボーナス:速度上昇・小〉
【シールドバーニッシュ・盾】防御力65〈特殊効果:耐久力上昇〉〈製作ボーナス:重量軽減・中〉
1つの武具なのでセットボーナスは付かなかったが、剣を収納している状態でも速度上昇・小の効果が活きているのは大きいよな。
『どうだ、カゲロウ?使ってみてくれ、イベントまでに修理はするから』
『おっ!!軽くて持ち易くて良いな。ギルマス、サンキュ。耐久テストしてくるわ。行くぞ、ヒナタ』
ヒナタを誘ってホームを出ていく。気に入ってくれたみたいだな。耐久力も今までの盾よりは良くなってるはずだからな。
今日の耐久力テストで新たな銃の利点が判明した。
まず、1つ目は銃には耐久力が無い。直接攻撃する武器では無いし、メニューからでしか製作出来ない為、修理が出来ない事が理由の様だな。その代わりと言うかマガジンの方は消耗品で、200発位で破損する。修理不可なので新調しなければならないと言う事も有り、倉庫にはかなりの量を在庫している。
『うん!?………ちょっと待てよ。マガジンは装備に入るのか?』
もしかしたら入らないかも知れないな。イベントの為にマガジン用のホルスターも作っておこうかな。久しぶりに《革製作》を行う事に、久しぶりだが1番親しみの有る革系なので思う様に作業が進む。《裁縫》の効果も相まってミシンの操作が今までより楽になっている。
【マガジンホルスター】防御力5〈特殊効果:なし〉〈製作ボーナス:リロード短縮・中〉マガジンを10本収納可能
まぁ、間に合わせならこんな所だろうな、今装備している【ノワールホルスター】にオプションで追加出来る様に作って有る。取り外し可能なので便利だな。
まぁ、イベントの事前準備は、この辺で良いかな。明日は、カゲロウの盾を修理しながら、ゆっくり過ごさせて貰おうかな。
装備
武器
【雲水】攻撃力50〈特殊効果:銃弾に水属性が追加〉
【霧氷】攻撃力50〈特殊効果:銃弾に氷属性が追加〉
【雷鳴】攻撃力50〈特殊効果:銃弾に雷属性が追加〉
【銃弾Lv3】攻撃力+15〈特殊効果:なし〉
【魔銃】攻撃力40〈特殊効果:なし〉
防具
【ノワールブレスト】防御力25〈特殊効果:なし〉〈製作ボーナス:重量軽減・小〉
【ノワールバングル2】防御力15〈特殊効果:回避上昇・小/耐水〉〈製作ボーナス:命中+10%〉
【ノワールブーツ】防御力15〈特殊効果:速度上昇・中〉〈製作ボーナス:跳躍力+20%〉
【ノワールクロース】防御力20/魔法防御力15〈特殊効果:なし〉〈製作ボーナス:耐火/重量軽減・小〉
【ノワールローブ2】防御力15/魔法防御力20〈特殊効果:回避上昇・中〉〈製作ボーナス:速度上昇・中〉
アクセサリー
【ダテ眼鏡】防御力5〈特殊効果:なし〉
【ノワールホルスター】防御力10〈特殊効果:速度上昇・小〉〈製作ボーナス:リロード短縮・中〉
+【マガジンホルスター】防御力5〈特殊効果:なし〉〈製作ボーナス:リロード短縮・中〉
【ノワールの証】〈特殊効果:なし〉
《双銃士》Lv30
《魔銃》Lv28《双銃》Lv25《拳》Lv32《速度強化》Lv63《回避強化》Lv65《旋風魔法》Lv17《魔力回復補助》Lv63《付与術》Lv28《付与銃》Lv43《見破》Lv49
サブ
《調合職人》Lv4《鍛冶職人》Lv24《革職人》Lv45《木工職人》Lv8《鞄職人》Lv47《細工職人》Lv20《錬金職人》Lv20《銃製作》Lv30《裁縫》Lv19《機械製作》Lv1《料理》Lv28《家事》Lv55
SP 26
称号
〈もたざる者〉〈トラウマの殿堂〉〈略奪愛?〉〈大商人〉〈大富豪〉〈自然の摂理に逆らう者〉〈初代MVP〉〈黒の職人さん〉