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OOO ~Original Objective Online~ 称号に振りまわされる者  作者: 1048
第1部 第2章
14/65

ギルド活動再開

ここ3日間は、オークション会場の設備を作る事に専念していた。お陰様で会場の準備は完了している。次の日曜日には、オークションの説明会も開催される予定で、ネイルさんの呼び掛けで【noir】と【プレパレート】以外にも5つの生産系ギルドが参加してくれる。全て僕でも知っているOOOでは有名なギルドばかりだ。今から楽しみだよな。


ログインする前に晶から携帯に連絡があったが、女バスは決勝で負けたようで、残念ながら全国大会には出れないらしい。次は冬のウインターカップ?だったかなを目指すようだ。今日はログイン出来ないみたいだが、明日の午後からは久しぶりにログイン出来るようだ。変わり過ぎたホームを見たらびっくりするだろうな。


今日は、久しぶりにまともな製作でもするか。オークションの準備用の生産はしていたが、自分のタメの生産は久しぶりだからな。


まずは、以前からやっておきたかった【銃弾Lv3】の量産。作れる時には、在庫も含めて多目に作って置きたい。アキラがログインして来たら洞窟ダンジョンの攻略も待っているのだ。準備するに越したことはないだろう。


これくらい有れば当分は大丈夫だろうな。100マガジン分が用意出来ている。【銃弾Lv3】は銀塊から《錬金》と《銃製作》スキルの組み合わせで製作するのだが、メニューから作れる事と必要な素材が少ない事で、思いのほか量産は楽だった。


次は【狙撃銃】を初めて作ってみようかな。製作リストに載っている事は知っていたが、今までは、僕に必要が無かった事ので製作は放置していた。


しかし、オークションが開催しようとしている今は、出展するアイテムが多いに超した事は無いだろうな。幸い【狙撃銃】リストの1番上に有る【ライフル】は在庫の素材から作る事が出来る。まぁ、1番上と言ってもこれしか表示されて無いけどな。



『初期武器だしな、露店でも売ってるし、こんなとこだろうな………』

初期武器らしい微弱な性能だった。やはり、リスト上の銃を製作したら作れる銃が増える。上から順に素材が有って製作出来る物は作ってみる事に…………


『【狙撃銃】は、ここまで………だな』

在庫の素材で8種類製作出来た。1番性能が良いのは最後に製作した、



【ロングリーロング】攻撃力75〈特殊効果:超遠距離射撃〉



当然だが、威力、効果共に露店で買う事は出来ない武器だな。


これは、出展候補だな。次は【機関銃】を作ってみるか。同じ様にどんどん製作していく。こちらは、6種類製作出来た。中でも……



【マルチブレイク】攻撃力10~20〈特殊効果:広角攻撃〉

※1秒間に10発射撃可能



連射性能がエグいな。その代わり、弾のコストも半端ないだろうけどな。便利だとは思うが………僕には向かないかな。これも一応出展候補になるかな。


銃系は、これで新しいものは作れなくなったな。おっ!!Lvが12も上がってる。なかなか良い経験を積ませて貰ったな。これは、製作品の出来よりも満足感の方が強いぞ。





『マスター、今良いですか?です。《細工》が職人まで進化しましたよです』


『頑張ってるな。あとは《錬金》と《鍛冶》で複合スキルのベースが取得出来るな』


『はい。《鍛冶》は、まだ始めたばかりですが、《細工》はもう少しですよです』


『なら少し一緒に《鍛冶》してくか?』


『マスター、銃の方は良いのですか?です』

ケイトは、さっきまで僕が銃を作っていたのを見ており、一段落ついたのを確認して声をかけてきた様だな。気遣いが出来るのは魅力的だな。


『もう終わったから大丈夫だぞ。一応、出展用の候補分も出来たしな』


『では、お願いしたいのです』

一緒に《細工》をしても良かったのだが、ケイトは《細工》のLvが高いので1人で生産しても失敗する確率が低いからな。一緒に出来る時はLvの低い方が良いだろうしな。


『うん。OKだ』

ケイトと《鍛冶》を始める。まず、ケイトは鉱石を塊にするところから始める。その間に、僕は魔高炉の準備をする。


『ケイト、僕より上達が早いんじゃないか?僕はかなり失敗したんだよ』

過去の自分の失敗談を思い出し、泣けてくるな。


『そんな事ないですよです。たまたまなのです』

嬉しそうだな。この成功率なら早めに《鍛冶職人》に進化出来るるかな。


『ヒナタやカゲロウもこんなに順調なのか?』

ケイトが、この成長率ならあの2人も職人クラスに進化出来ていそうだ。


『Noです。まだ職人に進化してませんです。何故か成長速度が遅いのです。同じくらいには生産してるのですが………謎が有りますです』

そうなのか?確かに見かけた時は頑張って作業している。ケイトだけが成長が早いのは謎だよな?


そう言えば、僕の成長もアキラより早かったな。アキラにも同じ様な事を言われたな。その時は、気にならなかったけど、ケイトと僕の共通点と言えば…………


『ケイト《家事》のLvはいくつになった?』


『《家事》ですか?です。《家事》はホームの掃除もしたりしてるのでLvは28になってますです』

【noir】が3人だった頃は、ホームの掃除を僕1人がしていたのだが、最近はケイトも手伝ってくれている。もしかしたらだが《家事》に生産系の成長ボーナスとか有るのか?表示されていない隠されたボーナスとか有りそうだな。《家事》スキルを《見破》スキルで調べてみるか。



『…………有った。ケイト、取り敢えずはギルド内で秘密にして欲しい事だが、今《見破》で確認して分かったんだ。《家事》スキルには、生産系の成長ボーナスが付いているみたいだ。次に会った時にヒナタとカゲロウにも伝えてやって欲しい』

生産の準備や片付けで《家事》のLvが上がるのも無関係じゃ無いんだろうな。これなら《家事》は全く不遇じゃないな。寧ろ、生産系のヒッスと言っても良いよな。


『謎が解けてスッキリしましたです。《家事》の件は秘密もOKしましたです。ヒナタ達にも連絡しときますです』


僕とケイトは、運が良かったみたいだな。それにしても《見破》は、スキルの表示されていない効果まで見れるんだな。かなり便利な気がする。


チートって言うやつか?気が付かなければ普通に見る(・・)だけのスキルだが、その特異性に気が付けば視る(・・)診る(・・)に変わるような感じがするな。早速、フレイにもメールで伝える。アキラには明日ログインして来てからで良いだろう。


今日の残りの時間はケイトと《鍛冶》を鍛えていった。店舗で売れる物もそこそこ出来ているからな。





アキラを含む皆に、今日の集合時間は連絡済みだ。実のところはアキラのログイン時間に合わせただけなのだが。


『ただいま。2週間ぶりくらいかな……ちょっと懐かしい気もするよ。家に買えって来たって感じがするし』

アキラがログインして来たようだ。


『おかえりアキラ』


『ただいま、オークションの会場は裏庭の方だっけ?』

事前に教えていた裏庭の方に進んで行くが、会場を見て言葉を失ったようだ。


『だいたい初見は、そんなリアクションだな。選んだヒナタ達ですらそんな感じだったからか。そろそろ、ログインして来ると思うから正気に戻れよ』

アキラを促しリビングで紅茶を入れる。入れながら《家事》スキルの件を話す。最初は驚いていたようだが納得出来る内容だったらしい。鞄を一緒に作っている時に感じていた、成長の違和感に答えが出たみたいだ。


『あと、生産系の複合スキルが判明してるぞ』

《銃製作》《機械製作》の件も話していく。


『それなら、私は《鞄製作》所得するから、シュンも《裁縫》を取得して一緒に検証しようよ』

僕が提案しようと思っていた事を先に提案されたな。


『了解。取得する』

アキラの方は《家事》と同時に取得しているようだ。複合スキルの検証体制もかなり整ったな。


あっ!!もしかしたらネイルさんの【プレパレート】なら複合スキルの取得者もいるかも知れないな。次に会うときに情報を交換でもしようか………





『皆揃ったね、お久しぶりです。長らく私用を優先させてごめんね。今日から、また頑張るよ。でも最近の事は、あまり分からないので皆で教えてね』

ギルドメンバーがリビングに揃い、アキラの一言でミーティングが始まる。


『明後日はオークションの打ち合わせなので、今日と明日は前からの予定通りに洞窟ダンジョンの攻略を目指す?それとも他に予定が有るかな?』


『ギルドの最初の予定やからな。ウチは賛成やで』

フレイの一言に皆頷く。早くも本日の予定が決まった。


『一応確認したいが、ヒナタ達のパーティーはカゲロウが前衛で、後衛がヒナタ、回復役がケイトで良いのかな?』

多分、そうだと思うが確認は大切だからな。


『はい。時々ケイトが中衛をするパターンも有ります』


『??ケイトは《杖》スキル以外に武器スキル有るのか?』

それは聞いたことがない。やっぱり確認は必要だな。


『私は《水属性》と《風属性》なので余り攻撃向きの魔法が有りませんです。だから攻撃手段が殆んど有りませんでしたです。なので、《棒術》も取得したのです。カゲロウの後ろから隠れて杖で攻撃してますです』

《棒術》か、杖でも使えるのは便利だな。武器を持ち変えなくても良いからな。


『分かった。ヒナタ、ケイトありがとう。僕らはフレイが前衛で僕とアキラが中衛をしてる』


『それなら、ウチとカゲロウが前衛で……』


『私とシュンが中衛かな』


『それでは、私が後衛でケイトが回復役ですね』

皆で話し合ってポジショニングを決めていく。


『いや、今回はフィールドじゃなくてダンジョンの攻略だ。フィールドなら、それでも大丈夫だと思うけど。ダンジョンでは後ろからの襲撃も有る。後衛に魔法職は危険だと思う。だから中衛は遊撃を兼ねてアキラと回復役のケイトと魔法攻撃役のヒナタで後衛は警戒を兼ねて僕が受け持つよ。カゲロウ、盾役が中衛を守るんだぞ。期待してるからな』


『おう。任せとけ』

まぁ、その点はフレイが隣にいるので問題ないだろう。


『それじゃあ、行こうか。今日は、パーティープレイの練習を兼ねてダンジョンの浅いところを回ろうか』


『賛成です。私たち3人はまだ経験が浅いので、ミスして足を引っ張らないように練習したいです』

やはり真面目な意見がヒナタからでる。しかし大きく間違っている。


『ヒナタ、それは間違ってるぞ。お互いのミスは皆でフォローしていくのがパーティー(仲間)だ。足を引っ張るとかは考えなくても良いんだよ。もしミスが有るとしたら、それはパーティーのミスだ。お互いがベストを尽くしたら、それが自然とチームプレイになるんだよ』


『シュンは、相変わらず天然ジゴロやな。また惚れるプレイヤー増えるで』

フレイに不本意な事を言われたな。


『僕に惚れるとかはないだろ。ジュネやアクアに聞いてみろよ。それに僕は普通の事を話しただけだぞ』

何度も言うがアクア達じゃないんだぞ。僕はそんなに簡単に惚れられたりしない。ほらみろ、フレイのせいで、皆が顔を赤くして照れてるじゃないか………余計に恥ずかしくなるぞ。


『まぁ、ええわ。でもなシュン、ウチは自分に惚れとるんやで』

女性陣の視線がフレイと僕に集まっている。若干の居心地が悪さを感じるな。


『まぁ、フレイの冗談は置いといて。そろそろ洞窟ダンジョン行こうか』

冗談は軽く流す事にした。その手の冗談は苦手だからな。


『ギルマス、鈍感は罪だぞ』

側に寄ってきたカゲロウにまで、全くもって不本意な事を言われたのだが………もう、この件は忘れよう。






洞窟ダンジョンの中は意外に広く明るかった。フレイの惚れとるで発言で若干ぎこちない感じがしなくも無いが問題なく連係はとれている。発言者の態度が堂々としているので、やっぱり冗談だったんだろうな。


まだまだ、詰めが甘いとこもあるが、カゲロウの前衛は安定感が有る。もっと成長したら良い盾役になるだろう。まぁ、安定感が有るのはケイトの回復魔法のお陰で有るがな。回復量は低いのだが、回復するタイミングが上手いよな。


ヒナタは僕達には殆んど縁が無かった範囲攻撃魔法で余裕をもたらしてくれる。もう1人攻撃系のプレイヤーが入ると、新人3人のバランスは、かなり良いのかも知れないな。


『なかなか上手くいってるな、この調子で狩りを続けよう』


『次の曲がり角を左に曲がった所で、これはゴブリン?かな8体いるよ』


『魔法で先制しますね』

細かいところでも連係がとれている。これなら明日は奥まで進めるかもな。


僕も考え事をしながらでも、《付与術》による補助は忘れていない。ついでに合体も試してみるか。


『〈魔法攻撃力上昇〉〈魔法攻撃力上昇〉合体………〈魔法攻撃力増大〉』

同じ《付与魔法》を左右の手に詠唱して合体させてヒナタにか掛ける。魔法名は合体と同時に脳裏に浮かぶ。


『いきます〈レイニングボルト〉』

ヒナタの使える範囲魔法で1番威力の高い魔法なのだが…………杖の効果を含めても1撃でゴブリンの群れを蹴散らせる威力は無いはずだ。


だが、その場に在るのは、真っ黒に焦げたゴブリンの死体だけだった。MPの消費は激しいが《付与術》による合体魔法の効果は半端ないようだな。さらに〈魔法攻撃力増大〉はnew魔法としてアーツの欄に登録されている。魔法を合体させる時間が短縮出来るみたいだな。


『何だったんですか?今のは』

魔法を撃ったヒナタが1番驚いて僕に迫ってくる。最近、進化させた《付与術》について説明する。僕も使うのが初めてで威力にビビったと補足したがな。


『《付与魔法》って、こんなにも便利なんだな』

カゲロウがボソッと呟いた。


それは違うと思う。使ってみて分かったのだが、合体魔法は両手を空けないと使えないし《付与銃》でも使えない。もしかしたら【魔銃】2丁持ちなら使えるかも知れないが………それに、いくら強くても使い勝手が悪いのだから戦闘中に使うのは難しそうだ。


取り敢えずはアーツ登録(ショートカット)の為に他の上昇系の《付与魔法》も合体させて使ってみる事に。ギルドメンバーを実験台にしてるようで気が引けるが、どれも今までの倍以上の効果があった。狩りの速度もかなり早くなったな。


《付与術》は、基本ソロの僕には都合が良いスキルだな。事前に全て使っておけば、死に戻りは格段に減るだろうな。




この日の狩りは新人達を含めてかなりの収穫が有った。新人達は6人パーティーでの戦闘のお陰で、かなりの数の魔物を狩れたようだ。ケイトの回復魔法の出番が少なかったのは良いことなのだがLv上げ的には美味しくなかったようだな。まぁ、《棒術》の方は良い経験を積めたみたいで良かったと思う。



『今日は、そろそろ終わりにしようか?明日は、もう少し奥を目指そうね』

確かに戻る時間を考えたら………良い時間かもな。回復アイテムは使って無いから補充は必要無いだろうし。晩御飯を食べ再びログインしたら1人で狩りでもしようかな。減少系の《付与魔法》も合体させてみたいし。


『そだな、僕はアキラに賛成だが、皆はどうだ?』


『ウチもOKやで、ただ戻る時に採掘しながら帰らせてな』

今日はパーティープレイの練習を目的としたため、途中見つけた採掘ポイントは無視していたのだがフレイは気になって仕方がないようだな。


『私も少し採掘してみたいなです』

これで2票か、僕も特に反対する気はないので手を上げて賛成する。合計3票、結果フレイの願いは叶ったな。


たった3票だが、ギルドの半数だからだ。それに今日の狩りの中で青虫系のMOBや蔦系のMOBも多く出た。ドロップ素材が新種の糸や草だったのでアキラやヒナタ、カゲロウも満足している。だから、フレイ達が《鍛冶》系の素材が欲しいのもアキラには伝わった様だな。


『了解。あんまり遅くならないように、気を付けてくれたら大丈夫だよ』

帰り道は採掘ポイントを発見する度に止まり、採掘出来なくなるまで掘った。今日は3人いるので、1ヶ所ずつは時がかから

なかったのだが………意外に採掘出来るポイントが多かった為、予定以上の時間が経過していた。まぁ、それに見合うモノが採掘出来たのだが…………





『化石が出た時は、ビックリしましたです』

ホームに戻りケイトの第一声がこれだ。まぁ、皆が驚きすぎてテンションが上がり無言で採掘を続けていたのだから………最初に掘り出したケイトに至っては、更に仕方がない事だが。最終的には1人1個ずつの計3個に掘れた。


工房の中で3人による鑑定を進めている。ちなみにアキラ、ヒナタ、カゲロウはログアウト済みだ。


『あぁ、驚いたな。だが問題は、フレイすら鑑定不能のとこだよな』


『ウチが鑑定出来なくて、シュンの《見破》でも無理なんやから、上位の生産スキルか?《調合》系か複合スキル?なんて事もあるやろな』


『暫くは採掘出来ても、倉庫行きだな』


『とっても残念なのです』

ケイトは化石を手に取り、残念そうに眺めている。僕も同様にワクワクしていた分、その気持ちは分かるがな。


『化石は、ひとまず置いといてだな。まずは、この宝石サンゴだな。7個掘れたから、1人2個ずつで分配だ。残った1個はフレイ、アレに使って完成させようか』

フレイは直ぐに気付いたようだが、ケイトはアレの存在すら知らないので、首を傾げている。


『そやな。今日これから完成させれば、明日テストも出来るやろ』


『アレとは何の事ですか?です』


『この前、ケイトとヒナタには杖プレゼントしたよな。勿論カゲロウの分も作ってたんだが、素材が足りなくて止まってたんだ。宝石サンゴのお陰で完成させれると思う。ケイトも手伝うか?』


『はい。私もやる気になったのです』


『じゃあケイトには、宝石を加工して貰おうかな。ここに嵌まる大きさでお願い』

ケイトは早速、加工に入るが削る大きさを失敗してしまった。自分のサンゴを取り出し、また加工を始める。


大きさを失敗したサンゴは、僕の銃【皇土】には、問題無く使えそうだな。あとで取りかえようか。おっ!!次は上手くいったようだ。


『ほな。最後はウチにお任せや』

ケイトから宝石を預かり、空いていた箇所に嵌め込み回りを仕上げていく。6個の宝石が調和していて輝いている。


『どや、出来たで。なかなかええ盾やろ、ケイト、自分この盾に名前を付けたり』


『私がですか?です。困りましたです』

ケイトは悩み出した。ブツブツと何か呟いている。


『気軽でええねんで』


『それはダメだと思いますです。フレイとマスターが心を込めて作った物だからです。え~と………決めました』



【ヴァランサ】防御力10〈特殊効果:耐火/耐水/耐地/耐氷/耐雷/耐風〉〈製作ボーナス:耐光/耐闇〉



『どうですか?です。バランスからとってみましたです』

耐光に耐闇までボーナスで付けれたのは大きいな。ヴァランサと言う名前も素敵だと思う。


『ウチはええと思うで。なぁ、シュン?』


『だね。ありがとうケイト、良い名前だよ』

何より格好良いから、カゲロウも気に入るだろう。明日3人からカゲロウに渡す事にする。思ったより、かなり時間を取られたな………夜、予定していたソロ活動は止めるかな。





次の日、集合時間より早くログインしている。昨日は、作れなかったが【皇土】を作る為だ。昨日の内にケイトが失敗したサンゴを僕の分と交換して貰っている。サンゴ以外の素材は、既に揃っているのでメニューからポンなのだが…………



【皇土】攻撃力50〈特殊効果:銃弾に地属性が追加〉



6属性の武器が揃う、これで戦闘の幅が大きく広がるな。そして、リストの次へと進む事が出来る。


『次は………やった!!』

もう1丁どうしても欲しかった【魔銃】だ。かなりテンションが上がったのも束の間で………素材が足りない。


それと、今までとは違って製作した属性の付いて無い銃をベースにするみたいだ。それをベースに必要素材を足していくみたいだが………素材が1つ足りない。


唯一の救いは、1度だけ見たことがある素材が足りない点か?しかも、持ち主も2人知っている。龍髭、先月の公式イベントで、ツインテールドラゴンのドロップでレジーアとガイアが獲得していたはずだ。打ち上げで見せて貰ったからな。使って無かったら、何かのアイテムと交換して貰おうかな。僕の持ってるアイテムなら何でも良い。取り敢えずメールだけ入れておく事に。



…………返事は早かった。二人とも防具の素材に使ったそうだ。それも仕方ないだろうな。使えるチャンスが有れば使うのが普通だし。


それに、入手チャンスがあの1度きりしかない訳では無いだろうし………仕方ないな。その内ドラゴンがMOBとして出てくるのを待つか。





今日は、かなり奥までダンジョンの中を進んでいる。出てくるMOBも新たにスライム系が加わっている。スライム系はアメーバ状態なので物理があまり効かないようだ。初級だが属性魔法まで使ってくる。


『そいつは、通さない』

スライム系の属性魔法には、カゲロウが楽しそうに対処している。【ヴァランサ】の効果を存分に発揮してくれているみたいだな。物理的な防御力は低いが、魔法に対しては強い。ダンジョンに入る前のテストでヒナタが今使える中で1番強い雷属性の単体魔法〈ボルト〉を、ほぼノーダメージで凌げた。この出来には、フレイも満足していたからな。今もカゲロウが魔法を盾で防ぐ度に、ニヤリと笑っている。戦闘中なので、僕しか気付いていないだろうけどな。


『視認で右に地属性スライム3、カゲロウ頼む。アキラ周囲に増援は?』

僕は、後方からの遊撃と《付与術》、戦場の整理、背後の警戒をしている。Lv上げ的には美味しく無いが、ダンジョン攻略には必要な役割だ。


『わかった』


『この近くはこれで最後かな』


『了解。フレイ牽制、ヒナタ魔法』

カゲロウとアキラの声を聞き、次の指示を出す。スライム相手では、フレイの良さが発揮出来ない。その代わりと言うかゴブリン系との戦闘では、思う存分頑張って貰っている。慣れてきたのかヒナタは指示の前に魔法の詠唱に入っていた。僕の言葉と同時に、


『〈レイニングボルト〉………あれ?』

殆んど効いて無いようでヒナタ本人が驚いている。


『ヒナタ、このスライムは地属性だ、さっきと違い雷属性は効きにくいぞ、他の属性魔法だ。行け〈ウインドカッター〉』


『私も〈ウインドカッター〉です』

今使える風属性魔法の中で唯一の攻撃魔法を放つ。続いてケイトも同じ魔法を放った。余り見せ場の無かったケイトにも、見せ場がやって来た。


回復が余り必要無い為、MPが余っているのか?連発で〈ウインドカッター〉を放ち、魔物を殲滅した。


『すみませんでした。私………』

頭を下げてくる。誰も気にして無いのだがヒナタは別のようだ。


『気にしなくて良いよ。属性は覚えておいた方が良いけどね、魔法を使うのなら特にね。火は氷に、氷は風に、風は地に、地は雷に、雷は水に、水は火に強い、まぁ、弱点を狙う方が効率が良いしね。落ち着いたら先に進もうか』

ヒナタを気にかけて先に進む。暫くの間は少し進む度に戦闘が続いたが、その度にヒナタは属性を考えて魔法を使っていた。



『もう、かなり奥まで来たよね?そろそろ休憩しようか?』

既にダンジョンに潜って2時間が経っている。休憩には良いタイミングかも知れない。少し広い小部屋で休憩をとろうかな。


『この先どうしようか?進む?戻る?』

アキラが皆に訪ねてくる。ダンジョンのマップはかなり埋まっている。あと1時間も有れば【ポルト】側にも出れると思うが………確実では無い。この位置から来た道を戻っても1時間はかかるだろうし。判断をするには、丁度良いかも知れない。新人達は明らかに疲れが見えているからな。



『俺は、先に行きたい』

カゲロウが1番に反応した。皆を見るとフレイはどちらでも良いといった感じである、僕もどっちでも良い。質問したアキラもそうだろう。残るは………


『私達も新しい街を見てみたいです』

ヒナタとケイトも続いた、反対する者がいないのなら先に進もうか。


『わかったよ。じゃあ、しっかり休んで先に行こうか』

アキラの一言にホッとして休憩に入るヒナタ達、僕とフレイは採掘に入っている。採掘中にフレイと龍髭の話をするが、残念ながらフレイも持ってるプレイヤーを知らないようだ。




『なぁ、ギルマス達は、ちょっと異常じゃないか?』


『はいです。私は採掘する元気が残ってませんです』


『MPは私たち以上に使ってたのに、もう回復してるみたいだね』


『それもだけど、ギルマス達は戦闘中ずっと僕等のフォローしながら、戦場以外の場所まで気にしてたんだぜ』


『………本当ですか?です』


『あぁ、今もギルマス達は、警戒を怠ってないぞ』


『私たちも、あんな風になれるかな?』


『『……………』』

カゲロウとケイト、2人の瞳にはなりたいと言う意志が込められているようだった。






休憩も十分に取り、先へと進んでいる。スライム系は出なくなった。どうやら中間付近のみの出現なようだ。これなら出口も近そうだな。


『ストップ、ちょっと待って』

アキラが険しい顔で、皆を止める。暫く考え込み………


『………多分、この先の広場を越えたら出口があると思う』

ケイト達3人は笑顔になる。やはり疲れてはいたようだ。


『ボスはいないみたいだけど………魔物がかなりいるね』

僕も確認してみる…………いるな。《見破》で確認して見たがどの魔物もステータス的には、問題無さそうだ。しかし今のパーティーの現状では厳しそうだな。



『どうしようか………シュン、何か作戦ある?』


『無い事も無いが………今の状態だと、かなり無理するぞ……それでもやるのか?』

皆が黙って頷く。


『まず、広場への入口に陣取る。カゲロウは、攻撃をせずに防御に徹する壁役に専念して、ヒナタはその間に範囲魔法を唱えれるだけ唱える。アキラは扇を装備して後衛からの遠距離攻撃と背後を警戒。フレイはカゲロウの側で魔法で削れた魔物に止めを刺す。ケイトはカゲロウとフレイの体力を見ながら回復魔法でHPをコントロールしてくれ。あと〈ウインドミスト〉が使えるのなら状況を見て使って欲しい。最後に僕だが皆に必要な《付与術》をかけた後、あの中に突っ込み反対側に陣取り、魔物を引き付ける』


『『『『えっ!?』』』』


『そんなの絶対にダメ。また………ダメ』

アキラが1番最初に否定してきた。きっと、レクトパスの件を思い出して入るのだろうな。


『アキラは、そう言うと思ってだけど………一斉に攻撃されたら多分カゲロウがもたない。カゲロウが倒れたら………どうなるかは分かるよね。だから、絶対に囮役がいるんだ。回復が出来て回避に優れるのが誰か分かるよね。今回は、前みたいに死ぬ気は無いから大丈夫。その為にアキラにお願いがあるし』


『何!?』

ちょっと怒っているようだな。


『扇を使うのは〈紫雷扇〉限定で、僕が魔物に囲まれた時だけにして欲しい。幸いな事に魔物はゴブリンが多いから属性は無視出来るし。【雲水】【霧氷】とのコンボにも使えると思うし。ぶっつけ本番だけど、1番長く一緒にいるアキラになら任せられるからね』

説明しながらも皆に必要な《付与術》をかけていく。取り敢えずは、アキラも一応は納得したようだ。後が怖いけど………



『カゲロウ、フレイ皆を頼むね』

両手に銃を持ち、息を調える。


『まずは、ヒナタ魔法をお願い。ヒナタの魔法で開戦だ』


『分かりました。皆さんいきますよ〈レイニングボルト〉』

かなりの数の魔物を巻き込めている。


『じゃあ行ってくる。また後でな』

僕は射撃しながら広場の反対側を目指す。〈ウインドミスト〉をかけて魔物達の命中力を下げながら、アキラの〈紫雷扇〉の援護を受けて、素早く反対側に陣取れた。近付く魔物は〈零距離射撃〉を繰り出し倒していく。背後は壁なので前だけに集中出来る。カゲロウが攻撃を引き付けているのも見えた。〈レイニングボルト〉も定期的に放たれていく。フレイによる追撃も決まり。数を減らしていく。僕は攻撃よりも牽制や回避に全力を尽くしていた。とにかく、1匹でも多く数を引き付けなければ、戦局が崩壊しかねないからな。


牽制に使う【雲水】で辺りを濡らして【霧氷】で一気に凍らせる。凍った魔物にはアキラの〈紫雷扇〉の止めが刺さる。


『〈ウインドヒール〉』

回復魔法を唱える時間は、アキラの〈紫雷扇〉に稼いで貰っている。もう何体倒したのかもわからない。〈跳弾〉による弾幕を展開していく、数は少しずつ減っているようだが………目の前にはまだまだいる。少しでも数を減らすしかないな。




『あと100を切ったよ。落ち着いて1体ずつ』

アキラからの嬉しい知らせと指示がくる。そろそろ銃弾の残りが怪しくなってきた。【霧氷】を【魔銃】に持ち変えて、射撃を続ける。


『シュン、ここ手伝いに来たで』

魔物の数が少なくなり、フレイが僕の側までやって来ている。助かったな………フレイのお陰でギリギリ銃弾を持ちそうだ。魔物を引き付けながら来ているため。カゲロウの負担も減っている。フレイのいたのポジションにはケイトが収まっている。〈棒術〉を使い魔物に止めを刺している。まぁ、アキラのフォローが有るので安心して前に出れるようだ。ヒナタはMPが尽きて入るようでアイテムで擬似的な回復役をこなしているようだな。


『フレイ助かった。ありがとう』

僕が射撃で削って、フレイが止めを刺していく。なかなか良い連繋ではなかろうか。牽制に費やす回数が減ったこともあり殲滅速度が格段に上がっている。数が減ったことも有り、カゲロウにも攻撃する余裕があるようだ。こうなれば時間の問題だろうな。





『ドロップが、えげつない事になっとるな』

ドロップを確認してフレイが喋った。確かにドロップの量はかなり有るが、戦闘後の第一声がドロップとは、全くブレていないな。


『皆、お疲れ様。お陰で助かったよ』


『シュン、次にこんな無茶したら絶交だからね』

アキラさんのお怒りは収まらないようだ。ここは………


『分かりました、ごめんなさい。本当に2度としません』

謝り倒す作戦にでる。やっぱりこれが1番だろう。


『………分かったなら、もう良いよ。本当に無事で良かった』

めっちゃ抱き締められてしまった。これは恥ずかしいな。だが、かなり心配をかけたみたいだな。それは伝わってきた。反省する必要があるよな。



『じゃあ、皆でダンジョン出よ。多分出たら海だよ』

潮の匂いがしているので間違いない無いだろう。港湾の街【ポルト】やっと来ることが出来たな。皆で一斉にダンジョンを出る。



『うわっ!!すっげ、夕陽じゃんか』

カゲロウは反応できたようだが、僕らには無理だ。何も言えない。水平線に夕陽が沈む瞬間だ。リアルでも見たことがない光景に我を忘れて、夕陽が沈みきるまで見入ってしまった。




『…………取り敢えずギルドの最初の活動は大成功だよね。そろそろ街に行こうか?多分あそこだよね』

アキラの一言で戻ってくる、スクリーンショット撮れば良かったと後悔が同時にやって来たが、ギルドの活動は大成功だろう。こんな光景に出会えたプレイヤーは数少ないだろうな。OOOを初めて本当に良かったな。


【ポルト】に着き、ゲートの登録を済ませてログアウトする事に。街の探索は後日、各自で適当に行う事になった。










装備

武器

【雲水】攻撃力50〈特殊効果:銃弾に水属性が追加〉

【霧氷】攻撃力50〈特殊効果:銃弾に氷属性が追加〉

【雷鳴】攻撃力50〈特殊効果:銃弾に雷属性が追加〉

【銃弾Lv3】攻撃力+15〈特殊効果:なし〉

【魔銃】攻撃力40〈特殊効果:なし〉

防具

【ノワールブレスト】防御力25〈特殊効果:なし〉〈製作ボーナス:重量軽減・小〉

【ノワールバングル2】防御力15〈特殊効果:回避上昇・小/耐水〉〈製作ボーナス:命中+10%〉

【ノワールブーツ】防御力15〈特殊効果:速度上昇・中〉〈製作ボーナス:跳躍力+20%〉

【ノワールクロース】防御力20/魔法防御力15〈特殊効果:なし〉〈製作ボーナス:耐火/重量軽減・小〉

【ノワールローブ2】防御力15/魔法防御力20〈特殊効果:回避上昇・中〉〈製作ボーナス:速度上昇・中/〉

アクセサリー

【ダテ眼鏡】防御力5〈特殊効果:なし〉

【ノワールホルスター】防御力10〈特殊効果:速度上昇・小〉〈製作ボーナス:リロード短縮・中〉

【ノワールの証】〈特殊効果:なし〉



《双銃士》Lv26

《魔銃》Lv23《双銃》Lv22《拳》Lv32《速度強化》Lv59《回避強化》Lv62《旋風魔法》Lv15《魔力回復補助》Lv59《付与術》Lv17《付与銃》Lv39《見破》Lv45


サブ

《調合》Lv19《家事》Lv52《鍛冶職人》Lv19《革職人》Lv44《木工職人》Lv8《料理》Lv24《鞄職人》Lv47《細工職人》Lv18《錬金職人》Lv15《銃製作》Lv30《裁縫》Lv1


SP 38


new魔法

〈ウインドスラスト〉範囲魔法/消費MP 20

習得条件/《旋風魔法》スキルLv15


称号

〈もたざる者〉〈トラウマの殿堂〉〈略奪愛?〉〈大商人〉〈大富豪〉〈自然の摂理に逆らう者〉〈初代MVP〉〈黒の職人さん〉

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