by buy
今日は晶のバスケの試合を応援に来ている。まぁ、この強さなら応援なんか必要無かったんだがな。
「ウチの学校の女バスって強いんだな、トリプルスコアだぞ」
「晶に話は聞いていたが、流石にこんなに強いと思ってなかったな」
インターハイ東京都予選3回戦 102-32 大差がついて試合が終わった。晶達の叩き出した得点は男子並のスコアらしい。
「晶に一声かけてから帰ろうぜ」
蒼真に促されて、晶が出てくるのを待つ。
「お疲れ晶、目茶苦茶強いんだな」
「駿くん達、来てたんだね。ありがとう。勝ったよ」
笑顔が素敵だと思う。晶達は、これからまた学校で練習だそうだ。僕らを見付けて少しの時間だが寄って来てくれた様だな。あまり後の上級生を待たせるのも悪いからな…………
「部活頑張れよ、またメールするわ」
「うん、また後でね」
「それにしても凄かったな、3ポイントがバンバン決まってたもんな」
蒼真は少し興奮気味だな。ゲーム以外で興奮するのは珍しいな…………いや、バスケの試合もゲームの1種か、相変わらずブレ無いな。
「うん。凄かったな、晶のレイアップも良かったな」
「さっさと帰ってOOOでもするか」
「そうだな。僕も生産しなくちゃいけないからな」
「おっ!!鞄の依頼か?」
「いや、《木工》だ。この前採取した素材なんだが、スキルLvが低くて素材の使い道が分からないからな、Lv上げだ」
この前の合体クィーンと御神木の話をする。
「そのボスは知らないぞ。駿、詳しく話せ」
「今、話した事以外分からない。最後の1撃だけは多分回避不能だから狩りに行くなら気を付けろよ」
蒼真は狩りに行く気だと伝わってくる。クィーンは空中にいるんだぞ、対空攻撃が無いと苦しいぞ。まぁ、無理せずに頑張れ。蒼真が、どう戦うのか?ちょっと結果が楽しみだな。
ログインした後は、《木工》を鍛えている。素材は多目に採取してきていて、売り物用の弓を作って絶賛Lv上げ中だ。
製作して使わない物なら売らなければ倉庫の邪魔になる。と言うのも【noir】への依頼は、リツ以降全く来ていない。鞄はそれなりの物が店舗で買えるので、依頼をするまでもないのが現状だ。もっとも【noir】が鞄以外を作れる事を知っているプレイヤーが少ない事が1番の理由なのだがな。
『シュンさん、こんにちは』
『おう、あれ?今日はカゲロウは一緒じゃないのか?』
『さっきまでは3人で狩りに行ってました。今はカゲロウとケイトは足りない素材集めに行きました。私は今から《木工》です』
『なら一緒にやるか?僕も《木工》だ』
『はい』
嬉しそうにしてるので、誘って良かったな。
『そう言えば、ヒナタ達は武器は何を使ってるんだ?』
まだ一緒にパーティーを組んだことが無いので、ヒナタ達の武器が分からないよな。ギルド加入クエストで杖を提出してたから、杖は確定だと思うが…………
『私とケイトは杖ですね。カゲロウは盾と剣です』
ヒナタは自分の杖を見せてくれた。性能は低いが丁寧に作ってあるのが伝わる。以前にクエストで提出してくれた物より性能も上がっているな。
『それ良い杖だな。丁寧に作ってあるのが分かるよ』
『そんな、まだまだですよ。凄く綺麗な杖をこの前見たんですよ』
その時、たまたま撮ったらしいスクリーンショットを見せてくれる。後で、盗撮はダメだと念を押しておくかな。
『…………』
スクリーンショットには【アイス&ファイア】を持ったジュネが写っていた。これは、どうしたものか………う~ん、リアクションに困るな。
『どうしました?綺麗じゃなかったですか?』
ヒナタがあれ?って顔をして僕を見ている。
『いや、そうじゃなくてな。リアクションに困っただけだ。それは、僕の双子の姉で持ってる杖を作ったのは僕なんだよね』
『えっ………!?』
『あの杖は、ちょっと特殊だ。《鍛冶》《錬金》《細工》スキルの組み合わせて作ってあるからな』
実際、僕の自信作だし。手間隙が掛かっているからな。
『やっぱり、アレは《木工》では作れないんですよね』
凄く残念そうにしているな。
『どんな杖が良いんだ?ヒナタが《木工》で作った杖を《錬金》《細工》で加工しても良いぞ。だから落ち込むな』
急に目を輝かせている。1から作らないから【アイス&ファイア】程の時間もかからないだろうしな。
『本当に良いんですか?だったら私が《雷魔法》をメインで使うので雷属性の杖が良いです』
『了解だ。それとケイトのメインは《水魔法》か?』
『はい。あと《風魔法》も使ってますよ』
《回復士》と言っていたので《水魔法》は使うと思っていたが、《風魔法》も使うとはな。水と風なら綺麗な杖が作れるかも知れないな。ヒナタには悪いがケイトの杖の方が製作意欲が湧くな。
『了解した。ヒナタはベースの杖、時間かかっても良いから納得のいく物を作れよ』
『はい。頑張ります』
僕は、木材の下処理や加工をしながらヒナタの作業を見守る。ケイトの杖は、ヒナタの杖の後になるかな。今、手元には無いが使いたい素材も有るからな。最近は弓ばかり作っていたので、たまには杖も作っても良いかな。練習を兼ねて杖を製作していく。
弓とは違い、調整や加工する箇所が少ないので、殆どが素材依存の能力になる。作った杖の頭に余っている宝石を付けて完成させていく。ありきたりなデザインだが、性能は属性と製作ボーナスが付いているのでそれなりに良い。売れる物にはなりそうだな。
それが判れば、どんどん製作していく。目的は《木工》のLv上げなので、数をこなさなければならないからな。まぁ、それでも丁寧な作業はそれでも忘れていないがな。
ログアウトまでに12本の杖を作り、店舗に並べていく。前に作った弓の方は、何個か売れているようだ。売れているのは正直嬉しいな。また頑張ろうという気になるからな。
翌日は昼からのログインで、今は鉱山ダンジョンで宝石を採掘している。さっき迄は川で水晶を採掘していた。鉱山での目当てはアメジストとエメラルド。まだ、ここしか採掘出来る場所を知らない。
『結構、採掘出来たな。これなら2人分の杖は十分に作れるかな。後は、銀鉱石が少し欲しいところなんだが………』
ログインした時に、ホームの工房で作業していたフレイに盾の製作を頼んでいる。素材を持ち込めば依頼料は要らないそうだ。
依頼したのは、全属性魔法防御に特化した盾。地属性の宝石だけは見付かって無いので、すぐに完成させるのは無理だがベースの盾と地属性以外の5属性部分は作れる。地の宝石を嵌める部分を空けておけば、後々に完成させる事も出来るからな。
これは、当然カゲロウ用の盾だ。2人に武器を作ってカゲロウには無しと言うのはギルドとして………いや、人として有り得ないだろう。フレイなら僕より盾の製作に慣れているので、きっと良い物が出来るはずだ。
銀鉱石は、鉱山ダンジョンのMOBからドロップで回収する方が採掘するより確率が良い事は最近分かった。それなので、MOBを探しながら採掘を繰り返している。
最近はソロ主体が多いので、ダンジョン探索にも慣れて来ているよな。岩系のMOBも1体なら問題が無くなっている。まぁ、岩系のMOBは感知系を持っていないので〈ウインドミスト〉が効くからだがな。
20個程銀鉱石を採取出来たのでホームに戻ってきた。フレイの方は、僕が出て行った時と変わらず作業中だった。
『フレイ、お土産だ』
採取してきた素材の詰め合わせを渡す。
『お疲れさん、それにしても一杯採れたみたいやな』
『僕も、色々作りたい物が出来たからな。じゃあ盾の方はお願いするぞ』
僕もフレイの横で《鍛冶》を始める。杖のベース部分の製作だ。ヒナタの杖が思ったよりも時間掛かっているので、先にケイトの杖に手をつける事にした。
デザイン案は、杖の頭の部分が2つに別れて、2つが木の蔦の様に絡まり捻れた両手持ちの杖だ。それを銀塊と鉄塊の合金で製作する。
『ベースは、こんなとこかな』
当然、2種類の宝石を嵌め込む部分は空けてある。
次は《錬金》と《細工》を組み合わせて、水晶を加工して風と水の流れをデザインして加える。そこに、エメラルドとアクアマリンを《細工》を使い形を調えて嵌め込む。
うん、なかなか素敵な物が出来たな。デザイン案とは少し違うがな。
『名前は、どうしようかな…………』
【風華水流】攻撃力35/防御力25〈特殊効果:水属性+10%/風属性+10%〉〈製作ボーナス:魔法回復力+20%/重量軽減〉
僕にしては、なかなかセンスのあるネーミングだな。性能も良いな。両手持ち用にしたのは、防御に使う事を想定しているからだ。ケイトが気に入ってくれるかは別だがな。
『シュンさん、ベースの杖が出来ました。見て下さい、名前は仮ですが』
【ベリーウッドの杖】攻撃力20〈特殊効果:なし〉〈製作ボーナス:魔法攻撃力+10%〉
『綺麗に出来てるな。じゃあ、少し預かるぞ』
『はい。お願いします。うん!?この杖はシュンさんが作ったんですか?』
『あぁ、ケイト用にな。さっき出来たところだ』
『ケイトの分ですか、とっても綺麗ですね』
手に取ってじっくりと見ているな。《木工》では作れない杖だから気になるんだろうな。
『ありがとう。ケイトが気に入ってくれたら良いんだけどな』
ヒナタから預かった杖を、ヒナタに合うように水晶を加工していく、雷の造形は分かりやすく簡単なのだが、杖にするとなると難しいよな。
さて、どうしようかな?作り直しが利かないモノは怖いな。ある程度のプランは用意して有るが、その場限りのインスピレーションも大事だよな。
杖の先端部分には小さな雷形の水晶を付けて、反対側には大きめの雷形の水晶を付けるかな。それと、大きめの水晶の方にはアメジストを小さな雷形に加工して付けると…………うん。雷からの放電している様に見えるな。
あとは、数ヶ所にケイトの杖を製作した時に余った合金を補強材として加工を加えておくか。勿論、《錬金》と《細工》でデザインもしている。
その工程を、ヒナタは横で静かに完成まで見ていた。
『名前はどうする?』
『そうですね………シュンさんが付けてくれませんか?』
『僕がか?う~ん………
【鳴神】攻撃力40〈特殊効果:雷属性+15%〉〈製作ボーナス:魔法攻撃力+15%〉
とかどうだ?』
『はい、とっても良い名前だと思います。綺麗に作って頂いたので大切にしますね』
それなら良かったかな。
『洞窟ダンジョンを越えて【ポルト】行く時は頼りにするからな。あと、この杖はケイトに渡しておいてくれ。なかなかログイン時間が合わないからな』
また弓の製作に戻る。店舗の在庫が減っているから、結構売れているみたいだな。
杖や弓を複数作った事により《木工》のLvもカンストして《木工職人》に進化させた………ってか、今《木工》を進化させて気付いたが《付与魔法》もカンストしてるよな。
進化先に《付与陣》《付与術》が現れている。最近は生産が第一になっていたので全く気付かなかったな。
・《付与陣》は《付与魔法》が範囲の指定も出来る
・《付与術》は《付与魔法》を合成が出来る
『どっちも魅力的だよな。範囲は使い勝手が良さそうだし、合成は魔法効果の向上が見込めそうだよな………』
かなり悩むな………パーティーなら間違いなく《付与陣》なんだろうな。僕は、ソロ主体なのと選ぶ人が少ないだろという事で《付与術》を選ぶ。近いうちに練習に行かなければな。
使ってみないと魔法の合成の仕方が分からない。色々な想像が膨らんでいく、こう言う時は楽しくてテンションが上がるな。
『今は《付与術》は一端置いておいて。さて、御神木は加工出来るかな………』
『………無理だ。まだ無理なのか』
どうしたら、加工出来るのか………多分、他の複合スキルか上位スキルがいるのだろう。これも当分、倉庫の在庫だな。どんどん使用出来ないレアアイテムが増える。何か良い方法でも考えなければならないな。
『シュン。今、忙しそうやけどかまへん?相談なんやけど』
『大丈夫だよ』
特に急いでいる訳ではない。《銃製作》を取得した事によって【銃弾Lv3】が製作可能になっていた為、ストックを増やしていただけだしな。
『ギルドでドロップ素材の買取りを始めへんか?ウチらも狩りにしたりして集めるんやけどな。最近は人数も増えたし、すぐに在庫が切れるねん。狩りに行けばええだけやねんけど、新しくNPC雇って買取り屋したらどないかな?って思てんよ。もちろん狩りにも行くし、作った物も売って資金も自分らで作るんやで、ギルドの金を充てにしてる訳やないで……』
なるほどな。それなら普段集まりにくい素材も集まるかもしれないな。同時に依頼も増えそうだが、確かに必要の無い素材を売りたいプレイヤーもいるだろうし、支援系ギルドとしてはやってみる価値は有るかもな。
それと、どうせなら………
『良いぞ。それと定期的にオークションもしたらどうだ?土地は有るから会場も作って、僕らが使えない素材や製作した店舗で売るには、値付けに問題の有るレアなアイテムや武器を本当に欲しいプレイヤーに買って貰いたいしな。それなら安定して資金も作れるだろ?』
『それ、ええ案や採用、採用や。他のプレイヤーも出展側に参加出来る様にしたら、なお面白いで。この規模の拡張なら多分神殿やろ?ウチがNPC受け持つから、拡張は任せてええか?ついでにホームの拡張をヒナタ達にも見せたったらどないや』
既に、フレイも〈大商人〉の称号を得ているので神殿でNPCを雇える。
『了解だ。支払いはギルドからにしてくれて良いからな。少し待ってくれ、3人に確認してみる』
新人3人がログインしてるのを確認してコールする。
『どうした、ギルマス何か用か?』
『たいした用じゃないがな。3人一緒か?』
『おう、今から狩りにでるとこだ』
ギリギリセーフだったな。
『それなら、少し時間に余裕があるか?皆に確認してくれ。今からホームを拡張するんだが見にくるか?拡張する規模を選ぶだけだからすぐに終わるが、なかなか見れるものではないからな』
『行く、絶対行くぞ。どこに行けば良い?』
他の2人に確認しなくても大丈夫なのか?反対されなければ良いんだがな。
『多分、神殿だと思う。10分後に神殿でどうだ?』
『分かった。じゃあ神殿で』
『カゲロウ達も大丈夫みたいだな。お待たせ、神殿行こうか』
フレイと色々なプランを話ながら神殿を目指す。僕らが神殿につく頃には、既に3人が待っていた。
『早かったな、近くにいたのか?』
『はい。ゲートの側にいたので、すぐに来れました』
『マスター、この杖ありがとうございますです。beautifulです。大切にしますです』
早速、装備して使ってくれているみたいで嬉しい。
『おう。ヒナタもケイトも使い勝手が悪かったら改良するから気軽に言ってな。じゃあ、行こうか』
フレイと別れて、神殿の受付で申請を済まして奥に進む。
進みながらフレイとしていた話を掻い摘んで話す。僕は、何回も来ているが新人達は始めて見る。神殿の奥に興味津々で話し半分な御様子だ。ちなみに、カゲロウ用の盾は完成していないので秘密にしている。
ホーム拡張用の部屋に着き、カタログから拡張したい設備の規模を選ぶ。オークション会場という分類の建物は無いので、舞台と観客席が付いている劇場からの選択になる。
『この辺りかな?観客席は1,000人も入れたら十分だろ。好きなの選んで良いぞ』
1,000人規模を収容する劇場を見せて3人に選ばせる。もし収容人数に問題が有っても後で拡張すれば良いだけだ。
『………これ、とんでもない金額なのですがです』
『お金の方は、大丈夫なのですか?』
ケイトとヒナタはギルドのお金を心配しているようだ。確かに普通なら30,000,000フォルム規模の買い物は無理だろう。お金の事を気にしている様なので、ギルドの預金通帳を見せる。
『『『………』』』
『そう言う事だから金額は気にするな。それに言っておくが、このお金は【noir】の為か、困った人の為にしか使わないからな、普段の買い物は、ちゃんと自分の所持金からしてるぞ』
言葉を失うのも、無理無いのだろうけど………早く戻ってこい。
暫くして3人で相談を始める。
好みが様々な様だが、座席の広さや快適性等のお客様目線で劇場を選んだ様だ。一括でポンと買う僕にまた言葉を失っていたが、今更だろうと思う。既に【noir】のホームの方が異常だと言う事を理解して欲しい。
購入した劇場は1階席1,000人、2階席200人収容出来る劇場になっている。侵入可能エリアの個別設定が可能な劇場にした為、予定より値段は上がっているが満足だな。
名前を【オークション会場】と設定しなおした。劇場では覚えにくいからな。
『ホームに戻るともう拡張は終っているぞ。狩りの後でも寄ってみてくれ』
狩りに向かう3人と別れてホームに戻る。既にホームの裏に大きな建物が出来ている。フレイは店舗の方も拡張したのだろう。店舗の中は、カウンターが2つになっていてNPCが2人になっている。
『シュンの方が早かったんやな』
背後からフレイに話しかけられる。
『店舗の方も良い感じだな』
『そやな。【素材買取専門店 by buy】で登録してんで、売買とかけてあんねん。また、店舗のヤツみたいに格好良い看板作ったってな。今、ログアウトして情報サイトに書き込みしてきたわ』
関西人らしいシャレの利いた店舗になった様だ。しかも、商売が早い。
『オークション会場も3人に選んで貰ったから良い感じになってるぞ。後は、オークションに必要な道具の作成かな………』
『それならオークション開催は暫く先やな。夏休みの終わりくらいの開催なんかどないや?』
それくらいが無難だろうな。ルール決めとかも有るしな。
『夜、アキラに電話して報告と相談しとくわ』
アキラもギルマスだから知らせておかなければならない。皆で一緒に楽しみたいしな。まぁ、次にログインした時にホームの外見が、また大幅に変わっているのを見て驚くだろうけどな。
フレイと一緒にオークション会場に足を運ぶ。中はカタログで見た以上に素晴らしかった。高貴な感じがする西洋の城の様だな。真っ白なのでアキラに似合いそうだ。
元が劇場なので、控室が複数ある事は幸いだと思う。別途で出展者の待機場所を用意しなくて済むからな。
問題は、司会をする場所等を作らなければならないだろう。落札した時に叩くハンマー等、想像以上に備品がいるかもな………出展の件もあるので、他の生産系のギルドやプレイヤーにも声をかける必要があるかな。まぁ、この辺はネイルさんに頼らせて貰おうかな。
『シュン、【by buy】やけど、素材の買取り価格を決めとかへんか?もめ事が起きへんようにしとかなあかんやろ』
2人でレア度や在庫、入手困難度合い等を参考に価格を決めて行く。決めると同時に店舗のカウンターの横にリストが表示されていく。フレイも僕も欲しい素材だった宝石サンゴは高価格に設定させて貰った。
サンゴが有れば、カゲロウ用の盾の完成系と短銃【皇土】が作れる。まぁ、他力本願になってしまうが仕方ないな。アキラのインターハイが終わるまでは【ポルト】に行かない事を決めているからな。カゲロウだけを待たせ過ぎるのは嫌だからな。
『こんな感じでええやろ。NPCのショップより高い買取り価格にしてあるし、問題は無いやろ』
基本的に高めの買取り価格に設定している。素材の在庫が一定以上になると、買取り価格が自動的に下がる設定も組み込んだ。こうしておけば、大量の在庫を抱える事も無くなるはずだからな。
価格を高めに設定していても、買い取った素材で生産した武器やアイテムは、店舗で売るので元は取れる予定だからな。
これで作りたい物を気兼ねなく作れるようになれるとフレイは喜んでいる。今までは、ギルドメンバーに遠慮もあったのだろう。まぁ、確かにこれで素材が足りなくなる事は少なくなるよな。
狩りや採取をしなくても素材が集まる様になるが、当然、狩りには行く。試作品のテスト等が必要になるからな。今は、中位設備を使っているが、これから先は上位設備も必要になってくるからな。それには拡張クエストをクリアしなければならない、その為のLv上げも必要になるな。
ついでだがショップ【noir】でも1週間に1個の限定で製作依頼も受ける事にした。素材の持ち込みが最低条件になる。多くの依頼を請けても製作が追いつかないと思う。これにはフレイも同意見だった。
その日の夜は晶に電話してOOOで有った事等を報告している。最近は、いつも電話している気がするな。
「そんな事になってるんだ。オークションとか面白そうだね、私も早くログインしたいよ」
「オークションは8月最後の日曜日を予定してるから大丈夫だよ。まぁ、晶がいないと少し寂しいけどな。そう言えば今日の試合はどうだったんだ?」
「えっ!?あっ、うん。今日も勝ったよ。ベスト8、あと3回勝ったら全国だよ」
何故か晶は動揺している。一瞬負けたのかと思ったぞ。
「本当に凄いな、この前も格好良かったよ」
「あ、ありがとう。あの、駿くんは私がいないと寂しいの?」
まだ晶は動揺しているのか?普段は絶対に聞かない事を聞いてくる。
「あぁ、何となくだが………寂しいぞ。まぁ、もう少しだ。明日も頑張れよ」
「うん。頑張ります。じゃあ、おやすみ」
なんか元気になったようだ、明日の試合も期待出来るだろう。今晩はゆっくり休んで欲しいな。
翌日は、ログインして直ぐに【プレパレート】のホームにお邪魔している。
『………という事なんですよ。参加して貰えませんか?』
オークションを開きたい事等を話していく。
『シュン君は、相変わらず面白いね。良いよ。僕達のギルド【プレパレート】は参加させて貰うよ。僕等も新しく作った回復アイテムを広めたいしね。他にも懇意にしてる生産系のギルドにも声を掛けるよ』
『ありがとうございます。一応8月最後の日曜日の午後からを予定してます』
『あと一月くらいだね。妥当なとこだろうね、出展者側の説明会もした方が良いかもね』
なるほどな。ルールとかは細かく決めた方が後々の事を考えると良いだろうな。
『ですね。来週の日曜日の午後からオークション会場でどうでしょう?僕等も準備しておきますよ』
『分かった、それで進めよう。プレイヤー側が行う始めてのイベントだから次に繋がる物にしよう』
ネイルさんにお礼を言って【プレパレート】のホームを出る。ギルドメンバーに、メールで他の生産系ギルドにも協力をお願いした事や今後の予定を伝える。生産活動も頑張ってオークションに出せるアイテムも1つは用意するように伝えた。
僕も《木工》を使って会場の備品類の準備をしていく。当然、出展用のアイテムも用意しなくてならない。銃と鞄を製作する予定だ。今までは短銃しか作ってないが、《銃製作》では機関銃や狙撃銃等の製作も可能だ。
Lv上げも兼ねて製作して、良いものはオークションに出す予定にしている。鞄の方は、今作れる最高品質の物を4・5点は用意したいと思う。
『あれ?』
ギルドに依頼が届いたようだ。依頼は【ハルバード】槍と斧が一体になったような武器だ。素材は鉄塊と銀塊と宝石か。
『フレイ、すまない。早速依頼が来たようだ。依頼は【ハルバード】。素材も有るけど、どうする?僕が作っても良いけど』
コールを入れてフレイに確認する。まだ、ケイトに任せるのは早いので、僕かフレイの担当になるだろうな。
『それはウチがやるわ。変わった武器は面白いからな。ホーム帰ったら依頼確認するから置いといてくれてええよ』
『了解だ。作る時は是非見学せてくれ』
変わった武器なので後学の為にも製作時に見せて貰おうかな。
ついでに【by buy】の状況も確認してみる。
『まだ、無いだろうけどな………えっ!!はやっ!!』
そんなに珍しいものではないが、既に2個の素材が買取されていた。なかなか良い出だしだろうな。
装備
武器
【烈火】攻撃力50〈特殊効果:銃弾に火属性が追加〉
【霧氷】攻撃力50〈特殊効果:銃弾に氷属性が追加〉
【雷鳴】攻撃力50〈特殊効果:銃弾に雷属性が追加〉
【銃弾Lv3】攻撃力+15〈特殊効果:なし〉
【魔銃】攻撃力40〈特殊効果:なし〉
防具
【ノワールブレスト】防御力25〈特殊効果:なし〉〈製作ボーナス:重量軽減・小〉
【ノワールバングル2】防御力15〈特殊効果:回避上昇・小/耐水〉〈製作ボーナス:命中+10%〉
【ノワールブーツ】防御力15〈特殊効果:速度上昇・中〉〈製作ボーナス:跳躍力+20%〉
【ノワールクロース】防御力20/魔法防御力15〈特殊効果:なし〉〈製作ボーナス:耐火/重量軽減・小〉
【ノワールローブ2】防御力15/魔法防御力20〈特殊効果:回避上昇・中〉〈製作ボーナス:速度上昇・中〉
アクセサリー
【ダテ眼鏡】防御力5〈特殊効果:なし〉
【ノワールホルスター】防御力10〈特殊効果:速度上昇・小〉〈製作ボーナス:リロード短縮・中〉
【ノワールの証】〈特殊効果:なし〉
《双銃士》Lv18
《魔銃》Lv17《双銃》Lv15《拳》Lv32《速度強化》Lv55《回避強化》Lv58《旋風魔法》Lv13《魔力回復補助》Lv56《付与術》Lv1《付与銃》Lv34《見破》Lv39
サブ
《調合》Lv19《家事》Lv49《鍛冶職人》Lv14《革職人》Lv44《木工職人》Lv5《料理》Lv23《鞄職人》Lv47《細工職人》Lv13《錬金職人》Lv9《銃製作》Lv16
SP 14
称号
〈もたざる者〉〈トラウマの殿堂〉〈略奪愛?〉〈大商人〉〈大富豪〉〈自然の摂理に逆らう者〉〈初代MVP〉〈黒の職人さん〉