初めてのVRMMO
GWの始まる4月29日am10時……
本日、いよいよβテストが終わりVRMMO 【Original Objective Online】通称OOO(トリプルO) の正式稼働まで2時間をきっていた。
普段はゲームをしない僕がOOO専用のヘッドギアを付けて初期設定やキャラメイクに勤しんでいるのは、双子の姉と幼なじみのお陰である。
では何故、僕が正式稼働当日の2時間前にあわててキャラメイクをしているのかと言うと…………それは、約1時間前に遡る事に。
「駿、おはよ。さぁ、準備。急いで」
訳の分からない事を喋りながら入ってくる人物によって、僕の部屋の扉は開かれた。
僕は、何が起こったか分からないので、布団を深くかぶり睡眠を決め込む事にする。どうせ、ろくな事にはならないからな。
「………おやすみなさい」
誰にも安眠を邪魔されてなるものか。
僕のささやかな抵抗は無駄だった。既に、布団はなかったのだから…………
普段はおとなしい姉が、こう言う張り切る時には余り良い思い出が無い。少なくとも過去数年間は…………
僕が、覚悟して目を開けると、目の前にはOOOのヘッドギアが有った。
何故ヘッドギアだと理解出来たかと言うと、2人がβテストでかなりOOOにハマっていて、ことある毎にプレイの素晴らしさやVR を通して見る風景を自慢気に話していたからだ。
まぁ、自慢されただけでなくOriginal Objective Onlineの謳い文句の【独自の目的】にならい現実の世界に有るモノでも、無いモノでも作る事が出来る自由気儘なシステム。
オリジナルの武器や防具を作れるのは勿論、技を編み出したりも出来る事や、ゲーム初心者にも安全かつ優しい睡眠誘導タイプに引かれたと言うのもあって僕も気になってはいた………訳だが、1台十万円と高校生の僕には、かなり高価な品で、現在は初期ロットと言う事も有り、貴重で数が少ない物なので入手は諦めていた。
ちなみに、2人はβテストからのテストプレイヤーでOOO専用のヘッドギアをOOO社からプレゼントされている。貴重な物を、メーカーから直接プレゼントされているのは、ただ単に2人が日本で有数のゲーマーだったからだ。
僕の姉である颯馬 純は、メジャーな某オンラインゲームのトッププレイヤーらしい。らしいと言うのは、僕自身が全く興味が無く、幼なじみ伝手に聞いたからだ……
その幼なじみである水野 蒼真はVRを使った格闘ゲームの世界ランカーだ。こちらの方は、TVのニュースでも紹介されていた為に知っていた。
更に言えば、2人共に容姿が端麗な為、目立つ、かなり目立つ。そして、かなりおモテになる。
僕こと颯馬 駿は、双子にも関わらず姉には余り似ておらず容姿は、良いところで中の上だと思っていたい。切実に………
僕ら3人は、同い年で家が隣通しと言う事もあって家族ぐるみで付き合いが有り、兄弟みたいに過ごしてきた。
ちなみにだが、僕らは高1になったばかりの十五才。
そんな2人が何時も一緒にいる為、色んな苦労が付きまとう………主に他人からの嫉妬関係でな。その辺りは察して頂きたいものだな。余り考えると余計に辛くなるからな。
話を戻すが、OOOをプレイするには専用のヘッドギアが必要で、前評判の良さにより次回生産分までが予約抽選になっている為に初回からのプレイは諦めていたのだが、目の前にヘッドギアを持ちながら…………
「設定、設定」
と連呼する姉がいる………容姿が素敵なだけに、残念で仕方が無いよな。
「駿の為に用意したぞ」
部屋の入口で蒼真が喋る。
「はぁぁ!?入荷待ちでネットでも5~6倍のプレミア価格。それでも買えないってニュースで言ってたぞ!?」
「そこは運だ。コイツも懸賞で頂いた」
簡単に言ってのける蒼真に若干引くな。
当選確立1,000,000の1の某雑誌プレゼントに当たってしまったのだ……まぁ、当てたのは蒼真ではなく、僕の姉らしいのだが………
こう言うところでも、僕とは違って無駄に運が良い。
「まぁ、3日前には手元にあったみたいだけど」
はっ!?蒼真の言ったことの意味が分からない。
ポカーンとしている僕を後目に姉が、
「ギリギリまで秘密に」
無い胸を張って偉そうにしている。全くもって残念な姉だ。
まぁ、あとから分かった事なんだが、3人でOOOを遊ぶ為に姉と蒼真が2人して、色々な懸賞に応募しまくっていたらしい。そこには感謝したいな。
と、まぁ、そんな感じで時間が流れ、冒頭に至っている。せめて昨日の時点で渡されていたら………こんなにあわてなくても済んだはずなのだが。
予め2人から簡単にシステムやスキル等の説明と2人のキャラの種族やジョブ、スキル等は聞いている。
純は後衛、それも魔法に特化したキャラらしい。種族は魔力が強いエルフで、ジョブは|《魔術師》《マジシャン》。
初期で選べる十個のスキルも全て魔術関係で、何より驚いたのは、貴重なスキル枠を六個も使い【炎・水・風・雷・氷・地】選べる六属性全て選んでいた事である。
その代わり物理面は、攻撃も防御も壊滅的らしいが………何故そんなピーキーな仕様にするのか疑問で仕方がないよな。
蒼真は、逆に完全な物理万能キャラに、魔術の要素はからっきしだが前衛なら壁役から遊撃役まで幅広くこなせるスキル構成らしい。
種族は人間、物理系に強い補正が掛かる獣人系と迷ったそうだが装備の幅が広い人間にしたそうだ。
それで、やっぱりジョブには|《騎士》《ナイト》を選択。蒼真曰く当然らしい。回復手段がアイテムだけと言うのは、初心者からすると大丈夫なのか!?と疑ってしまうのだがな。
まぁ、本人達はβテストからその仕様らしいから問題は無いのかも知れないし、ゲームを楽しめるなら良いのだけど。
初心者の僕には、ゲーマー達の考えには到底ついていけないし。
初心者の僕が、一緒に遊ぶのならサポートメインの方が良いのか?等と考えながら種族やジョブを選ぶ事に。まぁ、基本的にゲーマー達には、付いていけないと思うのでまったりプレイが出来たら良いけどな。
ちなみに、種族の変更は出来ないがジョブは変更可能で、Lvによってはランクアップもでき、複数のジョブやスキルをマスターすればレアなジョブやスキルも選択可能になるらしい。
OOOでは、コンセプトを独自の目的と謳っているだけに、ジョブによる縛りが少ない。縛りの有る項目は武器スキル系だけで、その殆どはステータスの成長補正の選択みたなモノだと思ってもらいたい。
『うわっ!?』
種族だけでも10種!!
ジョブに至っては初期にも関わらず、ざっと見ただけでも20種以上はある。スキルに至っては数えるのを早々に諦めた。賢明な選択だよな。かなり悩まされそうな感じがするのだが、意外にあっさり決まる。
僕の種族は獣人種の速度に優れている天狐族。ケモミミ・尻尾のモフモフに一目惚れだ。ジョブは中衛・遊撃向けの|《銃士》《ガンナー》を選ぶ。響きが良いし、銃系の武器スキルは銃士限定装備と言うのが素敵すぎる。特に限定と言う言葉に…………
キャラメイク等は時間が無いので、身体スキャンに任せる事にした。髪や目も黒髪・黒目だ、日本人として此処だけは譲れない!!
普通は、細かく変更可能で拘る人は別人を作り上げるらしい。まぁ、拘った分相応に時間は掛かるのだがな。
スキル構成は…………
・武器《短銃》
・身体強化《速度強化》《回避強化》
・魔法《風魔法》《魔力回復補助》《付与魔法》
・生産《調合》《鍛冶》
・その他《探索》《家事》
《短銃》は、銃士なら必要なスキルで命中やリロードに補正が掛かる。他にも初期で選べる銃関係のスキルは、《狙撃銃》《砲》等も有るが、使い易さの観点から選んだ。
《速度強化》は、スピードの成長や移動時間短縮等メリットが高い!!
《回避強化》は、文字通り回避に補正が掛かる。
《風魔法》は、《水魔法》同様に攻撃・回復両方使えるのが魅力だよな。
《付与魔法》は、各種エンチャントが使用が出来る。
《魔力回復補助》自然の魔力回復能力に数%の補助が掛かる。初めは+5%と微々たるモノだがスキルレベルを上げれば最大+100%……すなわち魔力回復能力が倍になるのだ。当然、魔法を使うキャラ必須スキルになる。当然、純も選択している。
《調合》では、自分で弾用の火薬やポーション等の液体類の調合が出来たら良いなと思っている。なんせ弓や銃は矢や弾の消費があるので費用対効果が悪いらしいからな。ついでに回復アイテムを作ってお金を稼ぎたいところでも有るよな。
《鍛冶》は、自分の武器を自分で造るってのに憧れたから選んだ。
《探索》は、罠や隠されたモノの発見や敵を察知してくれるサポートスキルだ。
《家事》は、今までプレイした数少ない他のゲームでは、見た事がなく珍しかったので…………
しかも、洗濯や料理は勿論の事、なんと!!ギルドやホームを持つと掃除も出来る。別スキルの料理に比べてスキル成長は遅いのだけど……綺麗は、正義。
以上10種。
急に選んだわりには、万能キャラに出来たのではないかと笑みがこぼれる。なかなか満足な選択をしたとも思っているかな。
「……なんとか間に合ったな」
初期設定から現実に戻ると正式稼働の正午まであと20分……
既に、2人は部屋から居なかった。
先に昼ご飯を済ませようとしたら純にログインしてからの集合場所を告げられた。遅刻は厳禁らしい…………
軽く昼ご飯を食べ、ログインをする為の準備をすます。
………5………4………3………2………1………0
Original Objective Online正式稼働
〔ようこそOOOの世界へ〕
〔この世界をご自由にお楽しみ下さい〕
音声と共に視界が晴れて行く………
『………すっげ!!……これ本当にゲームなのかっ!?』
そこには中世ヨーロッパを模した街並みが……少し離れた場所にはお城まで見える。不覚にもしばらく呆然と立ち尽くしてしまった。近くの壁に触れてみる……ひんやりとした石壁の感覚が伝わってくるな。
足元の小石を拾ってみる。モノを掴む感覚までリアルだな。鞄に入れると、石・小がアイテム欄に追加されている。
『……これは、純達がハマる訳だな』
2人の事を考えていると、約束を思い出した。
えっ~と、東の方に教会みたいな神殿が在るらしいのだが………
キョロキョロしていると、僕みたいに立ち尽くしているプレイヤーも多く見られる。既にパーティーを募集したり、街の外に向かっているのはβテスターか?
とにかく今は神殿を目指さねば。
『自分、何か探してとるんか?』
背後から声をかけられて振り返ると、そこには同じ天狐族の関西弁を喋る女性がいた。ただし、向こうは僕と違って狐っぽい金色をしているのだがな。
『あっ、えっ~と、知り合いと待ち合わせをしてまして神殿を探しています』
『そらなら一緒に行かへんか?ウチもチュートリアルを受ける為に神殿に行くから、案内すんで』
いきなり優しそうな人に出会えとは運が良いな。
『良いんですか?ありがとうございます。あっ、僕はシュンっていいます』
『かまへんかまへん。ウチはフレイや。よろしくな』
フレイさんはβからのプレイヤーで|《格闘士》《モンク》武器はトンファーらしい。メインは生産系の《鍛冶》で素材を集める為に冒険をするらしい。僕も鍛冶のスキルを取っている事を伝えると、それなら時間が合えば素材を取りにいこうとフレンド登録する事になった。幸先の良い出会いに感謝だな
フレイさんに、お礼を言い別れ待ち合わせ場所に行くと……若干、髪や目の色や耳の形が違うが、見慣れた2人が……かなり目立っていた。
何故か何時もより目立って見える…………と言うか、かなりの人混みの中で勧誘されたりしている。どうやら少し待たせてしまったみたいだが、あの中に割って入るのは勇気がいるよな。
確認すると、待ち合わせ時間を20分は過ぎている。
『悪い、また……
『遅刻』『遅いぞ』
お待たせ致しました』
僕が喋り終えるまでに、2人に突っ込まれてしまった……
『ご、ごめんなさい』
『とりあえず、先にチュートリアル済まそうぜ』
『うん。説教は、その後』
『了解』
チュートリアルは受けても、受けなくてもゲームを進める事が出来るらしいが、1時間のチュートリアルを受ければジョブLvが5まで上がり、戦闘の仕方や街の施設の説明を受けれる。チュートリアル中はスキルも上がり易いのも魅力なんだそうだ。
更に、初期の防具を1つ貰えるので大抵のプレイヤーはチュートリアルを受けるらしい。初心者には、特に嬉しい仕様だな。
受けないのは、誰よりも最前線を攻略したい、通称【攻略組】の皆さんだけみたいだがな。
チュートリアルが終わって、すぐに…………
『では、シュン言い訳をきこうか?』
『シュンくん、何故?』
怪訝な顔の2人に詰め寄られ、まだ遅刻の事を怒っているのか?
『純、蒼真、遅刻したのは、OOOの世界が凄くて呆気にとられて迷子になってたからなんだ。本当にごめん』
『違う』
『いや、まぁ、それも有るんだが、俺達が聞きたいのは何故そんなジョブとスキルを選択したのかだ』
『!?…!?…』
何を言っているんだ?
『《銃士》は死に職、不遇の固まり』
『!?…!?…』
純からの有り難くないご指摘に泣きたくなってくる……まぁ、実際に左目からは涙が出ているのだけどな。
『シュン、攻略サイトや情報サイトを見たら分かる事だが。まず、《銃士》の銃を使用するアーツには属性系がない。他のゲームでは、不遇の代表的な弓でさえ〈火の矢〉や〈氷の矢〉等の属性系のアーツがあるのにだ。中・遠距離の武器で物理的な威力しかないのは、かな不利だ。次に、これはさっきのチュートリアルの戦闘で気付いたかもしれないが、《短銃》は対象から離れれば離れるほど攻撃力が低下する。《短銃》とは逆に遠距離で攻撃力が増える《狙撃銃》《砲》を使っていたプレイヤー達も威力の問題で少し強いMOBでは、技をフルに使用してギリギリ倒せるぐらい。ちなみに命中率は、どの銃も離れるほど低下する。最後に攻撃の弾に対する費用対効果が悪い。βテスターも初期には《銃士》もいたのだが軒並みジョブチェンジしているか、魔法系のスキルを取りなおしていた。唯一、ステータスの上昇が悪くないのが救いだっただけだぞ』
『……一応最後の費用対効果については考えていて《調合》《鍛冶》のスキルは取得済だよ』
『!?…!?…シュン、一度スキルを、取得した全てのスキルを教えてくれないか?』
蒼真が驚いているので許可してスキルを提示する。スキルを見た瞬間に2人は、何も言う事ができずに固まってしまった………
『シュン、お前は何を目指すんだ!?』
『シュンくん、目的は何!?』
純と蒼真曰く《風魔法》の回復は、同じ回復系の《水魔法》と比べても微々たるものらしい。攻撃魔法は高威力のモノはあるのだが、消費の多さと呪文の詠唱が長い為、属性魔法では地属性と並んで不遇になるらしい。利点は高Lvで習得できる〈風の加護〉ぐらい。
《付与魔法》は前衛壁キャラには好まれてはいるが、使用効果範囲が3mと狭い為、中衛・後衛キャラには向いてないらしい。
生産系は最初から生産メインのキャラ以外は装備出来るスキル枠が10しかないので取得しても1種類で、初期での2種類は負担にしかならないとの事…………
それで、一番の問題は《家事》だがメリットがない。と言うか使っているプレイヤーを見た事がないらしい。掃除・洗濯はNPCに委託できるのでβテスターでスキルの検証していたプレイヤー達ですら利点が料理をする事も出来るしか思いつかなかった………らしい。
唯一の救いの《速度強化》《回避強化》《探索》は優秀なスキルらしく、取得者も多いらしい。
遂に右目からも一筋の涙がでる………
悔し涙も出るのかと、ちょっとした感動を味わう。その感動だけが利点だったのかもな。
『まぁ、悪い事は言わないから、早めにスキルLv上げて新規で使いがっての良いジョブやスキルを取得を薦めるわ、スキルLv10上がる毎にSPが1~5P貰えるから。それとゲーム内での俺はアクアと呼んでくれ!!』
SPはスキル毎に上がるSPが違うらしい、不遇スキルほど上がりが良いのが救いだな。
『私はジュネ』
『了解』
『じゃ2人ともフレンド登録ヨロシク、このあとβからの仲間と待ち合わせだから、そのうち紹介するわ』
『登録完了、私もこのあと予定』
『こっちも完了だ』
『じゃ、またな。シュン、ジュネ』
『うん、また』
『またな』
さて、これからどうしたものかな?とりあえず街ブラしながら、アイテム購入。あとはアドバイス通り早めにスキルを変えたいところだな。
最低限の武器と防具は支給されているので……あとは、回復用アイテムとチュートリアルで使った弾の補充と調合用のキットと鍛冶用のキットか、意外と買う物が有るな。現在の所持金はチュートリアルで得た分を合わせて5,000フォルム弱。足りると良いのだがな。
他には、気の良い仲間探しなのだが………
これに関しては、周りを見回しても銃を装備しているプレイヤーはいない………むしろ、若干引き気味にこちらを見ているプレイヤーが多数だ。
出来たら良いよな。最悪ソロプレイか………まぁ、ソロも良いかも知れないな。自由だし!!
チュートリアルの最中に2人から、簡単な説明を受けた内容を思い出していた。
この世界は、日中5時間・夜3時間の8時間で1日が経過する。現実の1日がOOOの中では3日分になる計算だ!!
これは、日中と夜では出現する魔物が違う為、ログインする時間が限定しない用にする運営側の配慮だ。
これには納得だな!!24時間が1日だと大抵の社会人は夜しかプレイできなくなるからな。
ちなみに24時間表記で4時~9時・12時~17時・20時~1時が日中で、それ以外が夜にあたる。中途半端な時間になっているのは、正午を基準にした為らしい。そして、夜の方が魔物の数も多くLvも高くなる。
次に、死亡時の復活は神殿になる。したがって、多くの露店は神殿付近に点在しているよな。
ちなみに、このゲームのデスペナルティ、通称デスペナだが魔物に倒された場合は現実時間で1時間のステータス半減と戦闘系スキルの使用不可になる。
他のゲームより若干優しい程度なのだが……PVP以外でプレイヤーに倒される、通称PKの場合は少し変わってくる。
倒されたプレイヤーは所持金の半減のみなのだが、倒したプレイヤーにはログイン時間で2時間のステータス半減と全スキルの使用不可とかなり厄介なペナルティーが待っている。
それだけして得られるモノが所持金だけなのだから、OOOではPKの確率は、かなり低くなるのだろうな。まぁ、完全に無い訳では無いのだがな………
道具の方は、幸いにもNPCの露店で一通り揃った。
調合と鍛冶用の入門キットが各1,500フォルム。
回復用のポーションが100フォルムを10本。
短銃用の銃弾が1マガジン10発で50フォルムを10セット。
所持金は既に500フォルムきっている。確かに、僕のキャラは使い勝手が悪いのかも知れないな。
装備
武器
【ハンドガン】攻撃力15〈特殊効果:なし〉
【銃弾Lv1】攻撃力+5〈特殊効果:なし〉
防具
【布製の服】防御力5〈特殊効果:なし〉
【リストバンド】防御力3〈特殊効果:なし・チュートリアルをクリアした証〉
《銃士》Lv5
《短銃》Lv3《速度強化》Lv2《回避強化》Lv2《風魔法》Lv1《魔力回復補助》Lv1《付与魔法》Lv1《調合》Lv1《鍛冶》Lv1《探索》Lv1《家事》Lv1
ある程度の時間も経ち、周りにはプレイヤーは少なくなっている。既に、パーティーの募集等も終わっているようだな。
『取り敢えず、外に行って色々確認してみましょうか』
街には、北・西・南に門が有り、北は、森が広がっている。森の中では、魔物の出現率が高い為、パーティーでのLv上げに向いている。また薬草や木材の収集にも向いている為、生産系の職人プレイヤーも多い。
西は、草原や湖が有る。湖の周りで出現するMOBから、ちょっと良い素材が出るらしく、βからのプレイヤー達やある程度Lvが上がったら目指す場所になっている。
南は、少し進むと川がある。大きな岩がゴロゴロしていて身を隠すのに向いている、それに岩場に採掘ヵ所が多い為、ソロプレイヤーや鍛冶師達に人気がある。
まぁ、全てチュートリアルの受け売りなのだがな。
取り敢えずは、南の門を出て《探索》を使い魔物やプレイヤーがいない事を確認しながら、少し進んだ場所で動作の練習でもするか。攻略に急いでない僕は、慣れるまでは無理をしないつもりだ。
出来るだけ効率良くスキルを上げたいので、魔法、魔力回復に銃、魔法の順に練習を始める。今、使えるのは《付与魔法》の〈攻撃力上昇〉〈魔法攻撃力上昇〉・《風魔法》の〈ウインドカッター〉だな。
取り敢えず〈ウインドカッター〉を練習して魔力回復後に《付与魔法》の練習と上昇率を確認する事にする。幸いな事に、的となる木や岩には困らないからな。
まずは、木に向かって魔法を放つ。
『う~ん……』
詠唱に少し時間が掛かるが、50cmほどの風の刃が飛んで行く。これなら多少狙いがあまくても的に当てれるな。詠唱は呪文を覚えなくても頭に浮かんでくる、カラオケみたいな感じだったのも大きいな。この仕様は製作者様に感謝です。
しばらく魔法を放ってみて、射程は20m前後・多少のホーミング補正がある事も分かった。あと、魔法名だけでも威力は3割ほど下がるが詠唱可能。これは〈詠唱破棄〉という特殊アーツらしい、地味に便利だな。今後覚えた魔法でも確認していきたいところだか。
〈詠唱破棄・初級〉
魔法名のみで初級魔法を詠唱できる
ただし威力は通常の30%減少
習得条件/意識的に魔法名のみで初級魔法を放つ
魔力が尽きたので、魔力回復中に《短銃》の練習に切り替える。
まずは、20m離れたところにある木を狙ってハンドガンを構える。チュートリアルでも思ったが、射撃の反動がしっかりある。20発撃って5発しか当たらないのでは話しにならない…………しかも、20mでは当たったとしても、かすり傷ぐらいしか残らない。
『マジでか!?』
低い、流石に攻撃力低すぎでしょ。
15m・10mと近寄りながら撃ってみて、15mで10発中6発。10mで10発中8発。威力の方も聞いていた通り、近寄るほどに上がった感触がある。
ここで少し気になった事がある。威力は、どこまで上がるのか?である。1mずつ近寄りながら射撃をしていく、木までの距離が3mくらいになってからは威力の上昇値が異常な感じになっている気がする。
残り1mで遂に貫通してしまった。
試しに10cm くらいからも撃ってみる…………
『……………はぁ~!?』
木は激しい音を立てて砕けた。
自分の目と耳を疑ってしまう。
ステータスを確認しても特に目立った変化はない…多少の練習でスキルLvの若干の上昇はあるが………よく見ると先ほど迄なかったアーツが追加されている。
〈零距離射撃〉攻撃力×10/消費MP 0
標的の50cm以内で射撃する・自動発生
他の銃スキルでも使用可能/連射不可/他のスキルと併用可能
習得条件/《短銃》スキル所持者が、マガジンのラストの弾で50cm以内での標的を撃ち抜く
『攻撃力×10!?!?……消費MP 0…!?……自動発生!?これ、内容が無茶苦茶強力過ぎるよな。でも、まぁ50cm以内は、実戦だとかなり無理過ぎるような………』
習得条件を見て、習得出来たのが偶然だと分かった。
蒼真からは無かった情報なので、もしかしたらβテスターさんも知らないのでは?ないかと思ってしまう。知っていたなら不遇とまでは、言われてない気がするからな。あとで情報サイトを見てみようかな。
防御力が薄い為、魔物にそこまで接近して撃つのは、かなり難しい。SPが溜まったら不意討ち系のスキルが欲しくなるな。
しばらく色々な距離からの射撃を練習する。感覚的には、10m以内なら、ほぼ狙って当てれるようになった。まぁ、相手は動かないのだが……
マガジンのストックが無くなったので、また魔法の練習に切り替える。
完全に魔力が回復しているのを確認して、〈魔法攻撃力上昇〉をかける。右腕に黄色の光の輪が出来る、全身が光らなくて良かったと心から思う。20分して効果が切れたのを確認して〈攻撃力上昇〉をかける、今度は赤色の光の輪だ。光の輪の色で判別出来るようだ、続けて再び〈攻撃力上昇〉〈魔力上昇〉をかける。〈魔法攻撃力上昇〉は掛ける事は出来たが〈攻撃力上昇〉は発動しなかった。
同じ《付与魔法》の重ね掛けは現時点では出来ないらしい。当然MPの消費も無かったがな。これなら無駄なく魔法を掛けれるので大変嬉しい設定だよな。
ちなみに、〈攻撃力〉が赤色〈防御力〉が青色〈魔法攻撃力〉が黄色〈魔法防御力〉が水色〈速度〉が緑色、〈回避〉がオレンジ色、右腕が上昇で左腕が減少になっているので分かり易くなっている。
MPが無くなるまで《付与魔法》の練習や性能チェックをしてみた。〈魔法攻撃力上昇〉での上昇率は5%ぐらいだった。今のスキルLvでは、どれも上昇率5%ぐらいなの?かな。スキルのLvでパーセンテージが上がるのかは、今後確認していきたいところだな。
MPが回復するのを待っていたら、ログインから既に4時間以上が経過しているのに気がついた。
『そろそろ夜になるよな』
夜は魔物が強いらしいので街に戻ることにするか。
散らばっている、木材や木片を回収する。木に関するスキル《木工》だったかな?が無いので、どうやら鑑定が必要なようだ。回収したのは木材が5個、木片が24個もあったので街で売れたら売る事にしよう。それにしても今日は、チュートリアル以外でまともな戦闘をしていないよなぁ。
こんな事を考えていると魔物に出会うフラグが立……
《探索》スキルに魔物の反応がある。
……った。予想通りすぎるな。
幸い魔物は1匹。チュートリアルでも戦った雑魚MOBのミニボアだ。まぁ、チュートリアルはパーティー戦だったけど少しはLvも上がっているし大丈夫かな。
…………結果は大丈夫じゃなかった。神殿への死に戻りである。
先制しようと、〈攻撃力上昇〉を使って後ろから静かにミニボア近づきハンドガンをかまえて射撃したのだか、弾が出なかったのだ。あとで思い出した事だが、マガジンは練習で空になっていた。そして、焦っているところを気付かれ逆に先制されてしまったのだ。後は防御力の低さも有り、一方的な蹂躙である。魔法を使うという発想も余裕もなかったからな。
デスペナ中で、さらにテンションが落ちたという事もありステータスを確認してログアウトする事にする。ログインする時はホームやギルドがない限り中央広場固定なのだが、ログアウトは街中ならどこでも可能らしい。
装備
武器
【ハンドガン】攻撃力15〈特殊効果:なし〉
防具
【布製の服】防御力5〈特殊効果:なし〉
【リストバンド】防御力3〈特殊効果:なし・チュートリアルをクリアした証〉
《銃士》Lv8
《短銃》Lv11《速度強化》Lv6《回避強化》Lv2《風魔法》Lv6《魔力回復補助》Lv5《付与魔法》Lv5《調合》Lv2《鍛冶》Lv1《探索》Lv8《家事》Lv2
SP 2
newアーツ
〈必射・短銃〉攻撃力×1/消費MP 5
クリティカル補正+10%
命中率を無視して必中の射撃をする
習得条件/《短銃》スキルLv10
new称号
〈もたざる者〉
初めての戦闘で仲間も、攻略する手段も、心構えも持ってなかった者への称号
取得条件/最初の戦闘でのノーダメージ敗北・ソロ限定
〈勝てなかった者〉
初めての戦闘での敗北者への称号/成長称号
取得条件/最初の戦闘での敗北
『ゲッ!?』
かなり不本意な称号をあたえられてるよな。
やっぱり銃弾無くなったら辛いな。やっぱり、サブ武器も必要だな。銃士ってサブ武器は、何が使えるんだろう?あとで蒼真にオススメでも聞いてみるか。
まだ、純はログアウトしていない。朝のバタバタでヘッドギアのお礼を言えて無い事を思い出す。お礼の代わりに晩御飯は純の好きなオムライスでも作ろうかな。冷蔵庫に鶏肉は無かったよな………買いに行くか。
「今日は悪かった、すまん」
帰ってくると蒼真が家の前で待っていた。
「は?」
「初めてプレイする駿に好きなようにプレイさせず、ろくな説明もしていないのに不遇とか言って悪かった。本当にすまん」
どうやら、僕がログアウトしているのに気付いて蒼真もログアウトしてきたみたいだ。しかも、大きな勘違いをして。
「今日は、色々とありがとな。晩飯食べてくだろ」
「!?……怒ってないのか?」
「当たり前だ。早く入れよ」
「あ……あぁ」
「OOOをログアウトしたのは、デスペナ中だからだ。それに夜のソロプレイはまだ無理だからな。伊達に不本意な称号を貰ってないぞ」
「もう死んだのか?」
蒼真が驚く。
「まぁ……な。最初の戦闘で死亡した」
「……!?」
今度の驚きは、言葉にならなかったようだな。
僕は、蒼真に今日チュートリアル後にあった事を簡単に説明する。蒼真は不本意な称号に興味を示していた。見た事の無い称号らしい。それは、そうだろうな。普通は、どんなゲームでも最初の戦闘では死なないし…………
3人分のオムライスを作りながら話をする。
僕の家は、両親がイベントを運営する会社を経営しているので休みが不定期で、残業で遅くなる事も多い。蒼真の家は親父さんの仕事の関係で両親が海外に赴任中だ。蒼真1人を残している為、ほぼ毎日晩御飯は僕の家で食べている。ちなみに、純と蒼真は料理が出来ない。いや、違うな。する気がないだけだな。
蒼真にサブ武器の事を相談すると、銃士で選択可能なのは《小盾》《短剣》《細剣》《爪》《小太刀》《片手斧》らしい。
《小盾》盾としての効果はもちろん、近接打撃も可能。
《短剣》速度に依存しやすく、小回りがきき扱いやすい。
《細剣》切るよりも突きに特化した剣。
《爪》腕全体を覆っている物が多いので、攻撃だけでなく防御も可能。
《小太刀》攻撃よりも牽制や防御向きの刀。
《片手斧》比較的軽く取り回しが良く、威力も高め。
紙装甲な為、《小盾》に魅力は有るが基本は回避重視な為、速度に依存する《短剣》にも心を奪われそうになる。
まぁ、もう少しSPが溜まったらの話なのでとりあえず候補にしておくか。
既に、蒼真は武器スキルが上位に派生したらしい。一体どんなスピードでLvを上げら、そんな事が可能なのかを小一時間問い詰めたいところだな。
派生した恩恵で二刀流も可能になったみたいだ。僕も二刀流の響きには引かれる物が有る。銃も二丁持ちで攻撃したいです。幾ら《銃士》が不遇でも銃の2丁持ちは出来るよね?本当に頼むよ。
蒼真にオススメの狩り場を相談して、あとでパーティーを組む約束をしていると純もログアウトしてきたみたいだな。結果的に晩御飯後は、3人でパーティーを組むことになった。
洗い物をすませてログインすると、昼間とは全く違う装備をした2人は待っていた。
『露店に寄るから、少し待ってて』
『いや、俺らも行くわ』
顔を見合せて答えて2人はついてくる。
昼間取れた素材を売ったら、意外とお金になったのは嬉しかった。今度は、マガジンを20セット買うか。弾切れは、もうご免だからな。
『お待たせ、何処に行く?』
『3人だから、南の川』
『そうだな。シュン用の素材も取れそうだし……そうするか』
悪気は無いのだろうが、2人に先程のトラウマをえぐられる。
『……了解』
川に着くまでに、数回の戦闘をこなしたが2人は頼もしすぎた。
アクアの前衛での安心感。ジュネの後衛からの魔法は、全てタイミングが良くて僕も連携が取り易かった。戦闘連度が全然違うよな。かなり見習わなければならない事が多い様だな。
称号成長
〈初めて勝てた者〉
苦労を経て初めて勝利した者への称号/成長称号
取得条件/最初の戦闘での敗北
『シュン採掘するんだろ?』
『良いのか?』
『経費、削減』
そう言って、ジュネは採掘ポイントを探してくれる。
採掘ポイントは、いくつかは隠されていたのだが、僕は《探索》スキルのお陰で隠されたポイントを見付ける事が出来た。多くの鉄鉱石の中に多少の銅鉱石や宝石も出る。暫く採掘に勤しんでいると、
『視認で3、水精霊だ』
僕は、採掘にテンションが上がり《探索》を怠っていた。
『素材、魅力的』
『すまない。アクアどう対処すれば良い?』
『俺が壁になる。ジュネとシュンは魔法を頼む』
どうやら精霊系には、物理が効きづらいらしいな。
取り敢えず、ジュネと僕に〈魔法攻撃力上昇〉の《付与魔法》を掛けて、《風魔法》の〈ウインドカッター〉で攻撃していく。ジュネの《雷魔法》は、属性の相性が良いらしく一発で蹴散らす。
『くっ!?、追加5増援だ』
『範囲魔法、時間稼いで』
『了解。〈ウインドカッター〉…………』
ハンドガンで牽制しながら、詠唱破棄で〈ウインドカッター〉を連発する。
『……?』
『……!?』
MPが尽きるところまで魔法を撃ち続け、
『追加で4、すまんカバーしきれ………』
『準備完了、離れて』
その言葉でアクアが離れ、それと同時に11体の精霊を巻き込んで範囲雷魔法が放たれる。
『〈サンダーストーム〉』
辺りには、何も残らなかった。
『すっげ!?流石に《魔術師》の魔法は半端ないな』
《探索》スキルを使い周辺の確認をする。
どうやら増援も終わったようだ。魔力を回復する為に休憩を取るか。
『シュン、お前に確認したい事が有るのだが………何故、お前は高Lvアーツの〈無詠唱〉が使える?』
『〈無詠唱〉?違うぞ。今のは〈詠唱破棄・初級〉だ』
〈詠唱破棄・初級〉の内容と習得条件を教える。
『そのアーツ、知らない』
ジュネも知らなかったらしい。ジュネも試してみると習得できる。しかも、ジュネは中級まで習得できた。今日から正式稼働なのにすでに中級魔法を習得してるとか……引くよね、マジで。
ちなみに中級は威力約40%減少らしい。
『これ、便利』
まぁ、喜んでいるみたいだからな。そこは、良かったな。
『その習得条件なら、他にも使えるプレイヤーいるかも知れないな。威力は減少するが〈無詠唱〉より習得が早いのが便利すぎる。これは知ってて黙ってるヤツもいるな』
『やっぱり便利だよな。アーツには応用出来ないのか?』
『溜め系のアーツなら、出来るかもな……って試してないのか?』
『今、思いつた。それに《短銃》のアーツで習得してる分に溜め系は無い』
『あ、あぁ、《短銃》だったな……すまん』
もう《短銃》の存在を忘れられていた。
『まぁ、試してみるわ』
……結果的に出来てしまったみたいだ。
〈起動破棄・初級〉と言って、溜め時間が要らなくなるらしい。結果的には、魔法以上に便利だったな。取り敢えず、仲間内で秘匿する事にする。魔法系のプレイヤーが無双になりうる可能性があるからだ。
かなりの量の鉱石が得られたので、Lv上げに切り替える。さっき習得したスキルのおかげでサクサク戦闘が進む。
その後の20回ぐらいの戦闘で初めて見る魔物も多くいたが、ミニボアにもリベンジ出来たのは嬉しい事だ。ジュネやアクアよりLvが低かった事も有り、僕が一番美味しかったな。
川の側と言う事も有って水系の素材がたんまりと手に入った。1人では、ここまでの成果は望めないからな。パーティープレイは成功だったみたいだな
街に戻るとアクアが、
『取得物の分配しようぜ。魔物のドロップ素材以外は、シュンが持ってけ』
『魔物の素材、3等分』
『良い?のか…』
2人が同時に頷く。
『アーツの、お礼』
『それとスキル構成や習得条件がLv以外のアーツの情報は、あまり言わない方が良いぞ。アドバンテージがなくなるからな』
アクアに教えられ納得する。
鉄鉱石42個、銅鉱石12個、宝石3個、水精霊の核18個、水精霊の雫1個、亀の甲羅5個、亀の血8個、ミニボアの肉2個、石78個、結果的にかなりのアイテムを得たな。
中には水精霊の雫というレアドロップも含まれていた。
『Lvしっかり上がってたか?採掘でも《鍛冶》のLvも上がってるはずだぞ』
アクアに言われてステータスの確認をする。
《銃士》Lv13
《短銃》Lv19《速度強化》Lv11《回避強化》Lv7《風魔法》Lv12《魔力回復補助》Lv10《付与魔法》Lv11《調合》Lv2《鍛冶》Lv3《探索》Lv15《家事》Lv5
SP 9
称号成長
〈トラウマを乗り越えし者〉
トラウマを克服した者への称号/成長称号
取得条件/最初の戦闘での敗北
『十分過ぎる。さりげなく称号も成長してるし……なぁ、《家事》のLvがちょいちょい上がるんだけど』
『《家事》?多分、採取や採掘している時の作業が掃除に割り与えられてるんじゃないのか?』
確かに言われてみれば、片付けている様にも見えるよな。
『それでだ、このあとどうする?』
『もうかなり、良い時間』
確かに日付が変わりそうだ。明日も休みなのでまだログインしていられるのだが……
『僕は大丈夫だけど?』
『だったら北の森に言って見ないか?』
『何かあるのか?』
『魔物のドロップ素材に欲しいモノがあって、ちょっと手伝って欲しい』
『オケ』
『採取もしていいなら良いよ』
『サンキュ』
3人で、北門をでて森を目指す事に。
『それで、どんな魔物を狩るんだ?』
北には行った事がないので情報が欲しいからな。
どうやら、森にいるウルフ系のレアドロップが欲しいらしい。出現率も低いらしく、昼間は会えなかったみたいだ。
森には初めて入ったのだが、採取ポイントが多くある。薬草や状態異常になりそうな各種毒草等をごっそりと回収する。明日は《調合》や《鍛冶》のLv上げようかと思う。
3時間ほど戦闘と採取を繰り返したのだが、結局は通常のウルフやボア等しか出て来なかった。まぁ、かなりの数は狩れたのだが……しかも《探索》《短銃》スキルが活躍した。《探索》で見つけて、背後からハンドガンで強襲、魔物を引き付ける事でパーティーの役に立てた。森は障害物が多いので、中距離はともかく遠距離の魔法は、余り役に立たなかった。ちょっとだけジュネに対して優越感がある。
『《銃士》も噂ほど悪くないのかもな』
アクアがさりげなく呟く、さりげなかったから余計に嬉しかった。僕自身が誉められるより嬉しいな。
街に戻りドロップを分けて解散しログアウトする。
昼までは寝よう、ログインは午後からだ。
装備
武器
【ハンドガン】攻撃力15〈特殊効果:なし〉
【銃弾Lv1】攻撃力+5〈特殊効果:なし〉
防具
【布製の服】防御力5〈特殊効果:なし〉
【リストバンド】防御力3〈特殊効果:なし・チュートリアルをクリアした証〉
《銃士》Lv18
《短銃》Lv25《速度強化》Lv16《回避強化》Lv13《風魔法》Lv15《魔力回復補助》Lv13《付与魔法》Lv14《調合》Lv4《鍛冶》Lv3《探索》Lv20《家事》Lv8
SP 13
newアーツ
〈曲射・短銃〉攻撃力×0.9 /消費MP 10
クリティカル補正+20%
銃弾が曲線を描く・障害物を回避する
習得条件/《短銃》スキルLv20
new魔法
〈ウインドヒール〉回復率10%/1人/消費MP 20
習得条件/《風魔法》スキルLv15
称号
〈もたざる者〉〈トラウマを乗り越えし者〉