僕が今を永遠に生きてるという事と世界との関係性
僕は今日の新聞を見て、驚いた。昨日と同じ新聞だったからだ。
いや、厳密に言えば昨日と一言一句違わぬ新聞だったからだ。
配達した人が金田さんかも金田一さんかも知れない。
一があるかないかのちょっとした違いかもしれない。
そんなちょっとした違いで世界は回っているのだ。
そんな、僕以外の霊長類に興味ないことを考えていたら、今日は4月1日だと気付いた。
すると無意識のうちに、電話を取っていた。僕はまた気付いた。自分は何をしているのかと。
ついでに、電話番号を知らないという事を。
ここで電話を置き、新聞に向けて、軽蔑を込めた目で見る。
それがいつもの自分だ。
約1年は使っていないのだろう、タウンページを使い、新聞社の電話番号を探し電話をした。
そして、電話をかけた。が、何度もコールしても出なかった。
たぶんこの件に対しての抗議の電話で回線が混み合っているのだろうと、自分で納得し、
ソファに座る。そして、ソファに寝転がる。そして、目を瞑る。
いつもとは違う僕だった。でも僕以外の誰でもない。つまり、僕なのだ。
僕は目を覚ました。外を見ると、星が輝いていた。いつもより明るかった気がした。
喉が渇いたので、コップに入れて、水を飲んだ。そして、もう1杯飲んだ。
それから、また、寝る。
今、何時なのか気にはなったが、見ることもなく目を瞑った。
朝、起きると、新聞を見た。僕は、驚くという言葉では表せない程、驚いた。
なぜなら、新聞は、一昨日、昨日とも同じ新聞だったからだ。
一面は、総理重体。そして、その下には330事件と書かれていた。漢数字ではなく、アラビア数字であるのは、時代のせいか、それとも0が入るからか?
そんな事を真剣に考えていたのを思い出した。
そのことを、2日前のことに30分前の事のように鮮明に覚えていた。
自分の頭がおかしくなったのかと思った。
が、この2日間、ほとんどの時間を寝て過ごした事を思いだした。
僕はどうなってしまったのだろう。
僕は昨日のほとんどの時間を過ごした、安物のソファに寝転びながら、そんなことを考えていた。
今日は目をつぶらなかった。
自分もなぜなのかは分からない。でも、何となく、嫌な予感は現実になる可能性は極めて高い。
僕は少しでも現実から離れたいという気持ちからか、音楽を聴き始めた。
イヤホンを耳に入れ、前奏が始まった途端、電話が鳴った。
僕は慎重に電話を取る。
「もし、あなたは世界が止まったとしたら。何をしますか?」と相手は言った。人間味がない声だった
「いつもと変わらず、生きてゆくだけだ。世界が止まろうとも、終ろうとも、進もうとも。」
と僕は答えた。一言一言ゆっくりと。
「残念だ。世界は止まっても、終わってもいない。ただ君の人生が止まって、終わっただけだ。」
でも僕は僕なのだ。
いつもと変わらず、僕なのだ。世界が止まろうとも、終ろうとも、進もうとも。