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鬼と飼い主  作者: 紅龍
3/3

逃げられぬ拘束、悪意の罠

コメディーでなおかつ短文です。

 「ぐ、いって~」


 雷撃を受け痛む体の節々を押さえながらも身を起こした少女が見た物は、自らの周囲を覆う鋼でできた檻であった。


 「て、どういうことだ~~!?」


 少女が格子を掴んで揺らしながら問いかける先には、優雅に部屋の真ん中に置かれた円卓で紅茶を飲む王子がいた。


 「あ、起きたんだ~」


 「起きたんだ~じゃねぇ、どういうことか説明しろ」


 不機嫌な顔で問いただす少女に王子は首を傾げ。


 「ペットって檻に入れとくものじゃないの?」


 と、少女からしたら信じられない発言が発せられた。


 「誰がペットだ! 俺は鬼だ鬼! ほれ、この角! 角があるだろ!」


 「ホントだね~、て、あれ?」


 ポロッ、コトン、コロコロコロ。


 ・・・・・・。・・・・・・。・・・・・・。


 「え、えっと、角、取れちゃったね」


 「・・・・・・単に生え変わりだっただけだ、ほれ」


 王子が少し触れると少女の角は取れ、地面に転がってしまった。

 気まずい沈黙の中、声をかけた王子に少女が返した言葉と共に前髪をかき上げ見せた角の根元には、丸い穴が開いており、骨が見えていたが、その骨からは螺旋を描き絡み合わんとするように見える小さな二本の角が見えていた。


 「角が二本見えてるだろ、これが伸びながら絡み合って一つのさっき落ちた角になるんだよ」


 だから気にすんな。


 言外にそういう少女の優しさを感じ取った王子は笑顔になりながら。


 「そういえば言ってなかったね、僕はディア、ディア=パゾン=グラムス、グラムス王国の第一王子だよ、君の名前は?」


 「ディアパゾン・・・・・・名前負けしてんな、それと名を教える気は無い、好きに呼べ」


 「じゃ、ポt「アカネ、それが俺の名だ」・・・・・・せっかく考えてたのに」


 (それは犬の名前だろうが、危なかった)


 冷や汗をかきながら訂正が間に合った事をアカネは喜んだ。


 「それと、名前負けは余計だよ、自分でも分かってるから」


 シクシクと泣きながらも、自分の名前と容姿が合っていない事を嘆くが。


 「神代の時の剣士の名だもんな、それも筋骨隆々の大男の」


 同情の目で見るアカネに更なるダメージを貰うディアであった。


 「僕はまだ9歳だ、だからまだ未来が!」


 「そっか~がんばれ~ってな訳で出せ」


 「あ、うんってどんなわけ!?」


 「ちっ」


 危うく檻を開けかけたディアは直前に気づいてつっこみを入れた。

 適当に相槌を打ちながら脱走を目論んでいたアカネは、残念そうに舌打ちする。


 「まぁ開けたところで逃げられないと思うけどね」


 何かを思い出した彼は一度は躊躇した檻を開けた。


 「あんがとよ」


 礼を言いながら外に出たアカネは、一度伸びをした後、窓に向かって走り出した。


 「ちょっと!」


 ディアが止めようとするが、彼女はそのまま窓の先にあるテラスへと向かい。


 「じゃ~な~」


 別れを口にしながら窓を越えようとし。


「あ~あ、やっちゃった」


 ディアが呆れてため息をつく目の前で


 「ギャアアアアアアア!!?」


 雷撃によりまた焦げる事となった。


 「城壁の外には出れないって、言ってなかったっけ?」


 玉座での言葉を思い出しながら言うディアにアカネは。


 「テラスは・・・城壁内部以前に・・・城内じゃないのか?」


 痺れながらも至極当然の疑問を口にした。


 「ごめん、そのテラスは城壁の外に出っ張ってるんだ」


 「そうか」


 (なんでそんなへんな造りしてるんだよ)


 不思議すぎる構造の城に疑問を持ちながら、アカネの意識は闇に呑まれていった。





 ディアの部屋でアカネが痺れている頃、王城の一角にある塔では。


 「光ったね~」


 「光りましたね」


 そこには、玉座の間でアベルトと呼ばれた男と白衣を着た科学者風の男がいた。


 「爆発するんじゃなかったのか?」


 アベルトは聞かされていた筈の事と違う現象に首をかしげながら問いかけた。


 「それは城外かつ城壁の外に出た場合だね、今回はテラスに出ようとしたみたいだし、そもそも城壁上に上った時点で警告の為に雷撃が放たれる、それに耐えて城壁を越えたら爆発するんだよ、まぁ死なない程度の爆発だけどね、意識刈り取るには十分な威力だ」


 クックックックックッ。

 マッドな笑いを浮かべる男にアベルトは引きながらも。


 「ちゃんと正規品は威力を落とせよ」


 あれを使われる事になるだろう者達の為に念を押すのだった。

一応今回で名前を除けば主要キャラは出揃いました。

さて、これから彼らはどんな物語を繰り広げてくれるのでしょうか?


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