白い部屋の攻防
お久しぶりです。
時間空きすぎて前の話忘れちゃった!って方、どうぞもっぺんお読みください。
自分も読んだんで。よかったら最初から読んでください。
では、どうぞ!
どうしてお前は
そんなにも
どうして俺は
こんなにも
目の前にはむき出しの月夜鴉 。
竜夜は当惑した。
「は・・・・・?」
間の抜けた声を出して現状を打破しようとするが、無駄である。
声は宙にむなしく響き、それが鳴り止んだのを合図にするかのように、月夜鴉が動いた。
切っ先を竜夜の瞳に真っ直ぐ向ける。
そして、直進する。
「あぶねっ!!!!!!!!」
寸前で避ける。こめかみから血が流れる。
「おいおい、何だよ、何だよこれ、どうなってんだよ・・・・・・・」
うろたえている間にも、月夜鴉は次の一手を構えている。
大きく振りあがり、竜夜を袈裟懸けに斬ろうとする。
竜夜はとりあえず立ち上がり、横にそれを避ける。
何とか月夜鴉の後ろに回ろうとし、必死に駆けた。
そのはずみに、狭い空間の四隅に置いてある燭台に足を引っ掛けた。
「痛!!狭いな、この部屋!」
そして、月夜鴉の柄に手を伸ばそうとしたとき、
ザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザバババババババーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
上、下、右、左、前、後ろ、とにかく全方位から水が流れ込んできた。
「ぶふぉ!!!!!」
たまらず竜夜はもがく。
水かさは急激に増し、たちまち息が出来なくなる。
足が地面から離れる。
そこで、竜夜は不思議な光景を目撃した。
これほどの水圧なのに、四隅に立てられた燭台は、竜夜が倒したもの以外びくともしていないのだ。 月夜鴉も、振りかぶった形で水の中に浮いている。
「これは・・・・・・」
竜夜は一旦水の中にもぐり、とりあえずもう一つ燭台を倒してみた。
すると、先ほどまでの水は嘘のように消えうせた。
しかし、びしょ濡れとなった竜夜の体が、嘘でないことを物語っている。
「母さん・・・・、一体これは何なんだよ」
と、呟いた瞬間、月夜鴉がもう一度襲ってくる。
「うお!!!!」
地面に伏せてそれを避ける。すると、今度は右から殺気を感じた。
「何だ!?」
そのまま前転をすると、狭い部屋の壁に腰をぶつけた。
しかし、竜夜がさっきまで伏せていた場所には、
太さ5cmほどの巨大な針が、横の壁から突き出ていた。
「えっ」
思わず竜夜が疑問の声を漏らすと、続いて月夜鴉が上から狙ってくる。
「ちょっと、タンマ、タンマ!!!!」
嘆願むなしく、月夜鴉は竜夜の脳天を狙う。
「くそっ!」
慌てて左に避ける。すると、今度はそこから針が襲ってくる。
「何なんだよ、これは!!!!!!!!!!!!!!」
一方、こちらは仙宮寺邸に乗り込んできた二人組みである。
「ここに何があるんですか」
「さあな。ただ、仙宮寺 竜夜が居ることだけは確かだ」
二人はゆかりの部屋をぶち壊した後、地下へと入っていった。
「ていうか、こんな事していいんですか」
鷹海が言う。娘は答えない。
「だいたい、今回の命令ってそこまで強制力のある物じゃなかったじゃないですか。なのに、家にまで入ったりして、部屋ぶち壊して」
「黙れ」
「この家の人と何かあったんですか」
「黙れ」
「そういえば、昔、陰陽寮に居た人の名前、知ってます?」
「何の話だ。陰陽寮を退役した奴など腐るほど居る。それに私はいちいち下っ端の名前など覚えん」
「姫小路 ゆかり」
その名を聞いた瞬間、娘は鷹海に飛び掛り、体を地面に押さえつけた。
鬼の形相で鷹海を見る。
「いいか。再び私の前でその名を口にしてみろ。二度と口がきけない様にしてやる」
娘はそういって立ち上がり、また歩き出した。
鷹海も遅れて立ち上がる。
その口には薄ら笑いが浮かんでいた。