I Will Become Your Shield
サブタイは「私は貴方の盾になろう」です。
今回は結構前から伏線張ってた展開。
ばれてるかも知れないけど・・・・、ではどうぞ!!
私は 貴方の 盾になる
竜夜の目の前が真っ白になった。
それは別に、ピンチにたたされた故に、だからじゃなく、本当に、目の前が真っ白になったのだ。
その真っ白な物体は、数秒間、柔らかに棚引き、ゆっくりと動きを落ち着かせ、竜夜の顔にバサッとかかった。
それは、純白の布であった。
「オ、マエ、ダレダ。ダレダレダレダレダレダレダレダ」
巨大なウサギ人形が呟く。布で視界を覆われた竜夜は、答える余裕がない。
竜夜の目の前で何かが動く気配がした。その瞬間、目の前にある布は去り、竜夜に視界が戻った。
その一瞬後、再び竜夜の視界を遮るものがあった。
それは、竜夜の理解しきれないものであった。
黄色い、十字架型の巨大な花弁の様なものが、突如として竜夜の目の前に現れ出たのであった。
再び視界を封じられ、さらになぎ倒された木々で足を封じられている竜夜は、なんとかして目の前の状況を理解しようと、出現した黄色い花弁の向こう側を見ようとするが、かなわない。
すると、
バシュンッ
という音と共に、「ギャアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!・・・アアア・・アア・アアア・・・・」という声が聞こえ、次いで轟音と共に目の前に巨大なウサギ人形が倒れる姿がチラッと垣間見えた。
百合姫は、竜夜と状況こそ違いはすれど、竜夜と同じく目の前で起きている出来事が理解できてはいなかった。
人形に後を任せ、窓枠に腰掛けていたが、突然人形の肩越しに得体の知れぬ黄金色に輝く物体が見えた、かと思ったら、人形が突然倒れた。
百合姫は、人形が倒れ、土煙がもうもうと立ち込める中に立っている人影を凝視した。
「・・・・だあれ・・・・?」
百合姫は柔らかい声音の中にも、明確に敵意を表して聞いた。
「誰なの?」
と言いつつ、百合姫は袂から拳銃を取り出す。弾を補充し、ぼやけて見える人影に対して真っ直ぐ向ける。
「答えて!!!!!」
我慢しきれなくなった百合姫は、二発連続で人影に向かって撃った。
弾は真っ直ぐ人影に向かっていった。が、
キンッ!!!!
という音がしただけで、別段人影に傷を与えた気配はない。
「?どういうこと・・・?」
百合姫が怪訝な声を上げる。
「・・・・もういいわ、お人形たち、あの訳分からない奴を殺して!」
百合姫が人差し指を立てたまま右手を上げる。と、そこかしこから大小様々なウサギ人形たちが現れ、人影向かって突進していく。
「ワアアアア!!」
「シネエエエエ!!!」
「ヤレエエエエエエエエエエ!!!!!!!」
甲高い声が聞こえる中、一つだけ、冷たくて、凛とした響きを持つ声が聞こえた。
「四翼守扇」
その言葉が聞こえるや否や、猛進していたウサギ人形たちが、何かにはじき返されたように空中に舞い上がった。
「!?」
百合姫が息を呑んでいると、直後に
「一翼殺扇」
と言う声が聞こえ、空中に舞っていた人形たちは次々に弾け飛び、代わりに綿が舞った。
「貴方誰よ・・・・・、何なのよ!!!!」
百合姫が声を荒げる。
ゆっくりと、土煙がはれゆく。
百合姫は人影を射るような目つきで睨む。
「竜夜君を、傷付けたのは、貴方・・・?」
人影がしゃべる。
「そうよ。貴方だあれ?名乗りなさいな」
百合姫は人影を見つめる。
「なら、私は貴方を許すわけにはいかないわ」
はれた土煙の中にたたずんでいたのは―――――、
翠子、であった。
私は 貴方の 盾になる。
燦然と輝く剣が折れ、
玲瓏たる月が雲隠れしたとしても、
私だけは 貴方の 盾になる。
いかがでしたか。翠子!実はだいぶ前から伏線張ってました。張りすぎてて皆さん分かってたかも知れませんが・・・。
次回はそこもつつきたいと思います。
誤字脱字、英語の間違い、矛盾点、ご感想などなど、お待ちしております。