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陰妖師  作者: スズメバチ
34/51

Welcome, And Walk up!

サブタイは「ようこそ、そしていらっしゃい!」です。

今回は新シリーズ。

新キャラも出ます。では、どうぞ!



   冷たい月に向かって

            消え入るような祈りの歌を口ずさむ






「リューヤ、頼みがあるんじゃが」

学校から帰るなり、祖父である白竜(はくりゅう)に告げられた言葉がそれだった。

「何?」

リューヤは制靴を脱ぎながら、聞き返した。隣で、薄桃色の着物を着たアヤカシが、リューヤの鞄を受け取る。


「お遣いをして欲しいんじゃ」




「なんでこんな小学生みたいな・・・・・」

ぶつくさと文句を言いながら、竜夜(りゅうや)は教えられた地図を頼りに、目的地へと向かっていた。

「ま、白竜殿の頼みだからな」

シモンが、黒いコートのポケットの中に手を突っ込みながら言う。

 

 二人は羽衣(はごろも)町の隣町・黒糸(くろいと)市に来ていた。

 

 白竜に渡された風呂敷包みを携え、竜夜は手にした地図を改めて見た。

「って言ってもなあ・・・・・」

渡された地図には、小学生でも書けるような簡易式の略地図と、白竜の手書きと思しき達筆で、『行けば直ぐにわかる』という文字が書いてあるだけだった。


「行けば直ぐにわかるって・・・・、ホントか?」

シモンも訝しげな声を出している。


「ああ・・・、あ」

竜夜がシモンに同意しようとしたとき、一匹の蛍が、竜夜の目の前に現れた。


「蛍?この季節に?」

竜夜が眼を奪われていると、その蛍は竜夜が持つ地図の、目的地が描いてある所にとまり、それから先導するように竜夜たちの前を浮遊している。


「ついて来いってか」

あの祖父からの頼みである。

 おかしなところがある点は重々承知していた。

 今更蛍が道案内したところで驚くものか。


 蛍が行く先には、周りを黒く、高い塀で囲まれた洋館があり、蛍はそこに入ってどこかに消えた。


「ここかよ」


 竜夜とシモンは、門の前に立った。

 と、門が勝手に開き、その奥にある玄関も勝手に開いた。


「行こうぜ」

「ああ」


 門を通り過ぎ、玄関に入った瞬間、竜夜とシモンは妙な感覚に襲われた。

 異空間に入り込んだような、迷路に一人で迷い込んだような・・・・。


「何だか妙だな・・・。なあ、シモン?」

竜夜はシモンに話しかけたが、返事が無い。それどころか、気配も無い。


「シモン!?」

 慌てて振り返ると、シモンの姿は忽然と消えていた。


「シモン!?おい、どこだ!!」

玄関の外に出ようとするが、玄関と外の境目のところで何かに阻まれるかのように足がそこから動かない。



「くすくすくす!」

後ろから、明らかに口で言った笑い声が聞こえる。


「くすくすくす!大丈夫!紅蓮の!」

「くすくすくす!白銀は別の場所にご招待!」

「くすくすくす!貴方はこちらにご招待!」

「くすくすくす!ご主人様がお待ちかね!」


 見れば、西洋の女中のような服を着た子供の女の子二人が、口元に手を当て、仲良く手を繋ぎながら

竜夜のほうを向いている。


「おい、シモンはどこだ?何をした!?」

近づくと、二人は

「こわーい!」

「こわーい!」

「くすくすくす!!!」

と、なおも手を繋ぎながら奥の方へ駆けていく。


「おい、待て!」

竜夜が引き止めると、


「おいでませ、選ばれた方!」

「おいでませ、選ばれた方!」

「様々な出来事に導かれ!」

「強くなろうとするお方!」

「おいでませ!」

「おいでませ!」


 二人は廊下をかけて行き、右側のある観音開きの扉の部屋に入って行った。


「おい!」


 竜夜も続いてその部屋に入ると、ふわり、とお香の匂いが漂ってきた。


 その部屋の中央には、玉座のように豪奢な椅子があり、一人の青年がその椅子に腰掛け、気だるそうに紅茶をすすっていた。



「いらっしゃい・・・・」



挿絵(By みてみん)














如何でしたか。何者なんでしょう。

次回はこいつらの正体とその次のシリーズに繋がるお話をちょこっと。

誤字、脱字、英語の間違い、矛盾点、ご感想などなど、お待ちしております!

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