表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
陰妖師  作者: スズメバチ
27/51

我が心恐れじ  

今回は異文化風。

前半はイタリアが舞台です。

良く知らないけど。

そしてシスターが登場!では、どうぞ!



            邪悪なものは、「神などいない」と言う





 イタリアのとある街中。黄色いテープで仕切られ、人一人として通らないある通りに、一つの人影が舞い降りた。


「・・・・・・・・・」

 影は静かに息を吐き、手にしている剣を地面に突き刺した。


「闇に住まう悪しき者どもよ・我の前に姿を現せ・闇にはびこる悪しき者どもよ・主の怒りを持って悔い改めよ・・・・・・」

 影はとりつかれたかのようにブツブツとその言葉を繰り返す。


「・・・主の怒りをもって悔い改めよ!!!!!!」

 影がそう叫んだ瞬間、地面がバッと割れ、中から黒いものが飛び出してきた。



「チクショオオ!!!!何なんだテメエはヨオオオオオオ!!!!」

 黒い塊が姿を形作る。

 髪はボサボサで、大きく裂けた口から覗く歯は真っ黒。

 肋骨が薄っすら見える胴体はひょろりと長く、肌は死人のように青白い。

 黒い塊はそんな悪魔の姿をとり、通りの一番高い建物に飛び乗った。



「何なんだ、あの子は・・・・」

 警戒を促す黄色いテープの外側には、また二つの人影があった。

「尼僧長。あの修道女(シスター)は、何者なのです?」

 恰幅の好い一つの影は、タバコをふかしながら腰に手を当てる。イタリア警察の警部であった。

「ふふふ・・・、あの子は素晴らしい人材です・・・とだけ言っておきましょうか」

 もう一つの影は修道服の袖を口に当て、コロコロと笑う。

 二人の視線の先には、先程降り立った影―――――、一人の修道女(シスター)が居た。




「何なんだテメエは!!!」

悪魔がもう一度叫ぶ。


「下品な言葉・・・・・。貴方なんかに『テメエ』なんて呼ばれたら恥辱感で失神しそうだわ」

その修道女(シスター)は眉をひそめ、悪魔が飛び乗っている建物に自分も飛び乗った。


 そして右手に手にした剣を振りかざし、悪魔を串刺しにしようとする。

「チクショ!!」

悪魔はひょろ長い体をうねらせ、その剣戟をかわす。


 シスターは左手に手にした経典を開いた。

 真ん中辺りを開き、足元に落とした。

 悪魔はその隙を見て、鋭く伸びた爪でシスターに襲い掛かる。


「・・・っ!!!」

シスターは寸ででそれを避け、下にしゃがみ込んだ。

 足元に落とした経典を拾い、そのまま地面へと飛び降りる。

 悪魔も背中から羽を生やし、その後を追う。


 シスターは経典を地面に落とし、そのままの落下の勢いで剣を経典に突き刺した。

 と、思われたが、剣が経典に突き刺さった瞬間、光がそこから溢れ出て、ひも状のものがそこから現れた。



聖なる鎖(ホーリー・カティーナ)!!!!!」

 

 ひも状の鎖はぶんぶんとうねり、落下してくる悪魔の体を絡めとった。


「!?」

 悪魔は身動きが出来ずに無残な格好でべしゃりと崩れ落ちるように地面に衝突した。


 シスターは経典を左手に持ち替え、その左手で首にかかった十字架を握った。

 右手に手にした剣を顔の前に持っていき、静かに悪魔に近寄って言った。


「『主は我が光・我が救いなり 我・誰をか恐れん

  主は我が生命(いのち)の力なり 我が恐るべき者は誰ぞや』」


 剣を悪魔の頭に持ってくる。



「『アーメン』!」

 


 ドンッ!という音と共に、黒い塊が霧のように広がり、消えうせた。

挿絵(By みてみん)





「尼僧長様!!」

 そのシスターは軽快に黄色いテープを飛び越え、傍に居た尼僧長に駆け寄る。

「はい、よく出来ました。ご苦労様」

にっこりと、まだ若いその尼僧長は微笑をたたえた。


「いやー、よくやってくれました。この通りで変死体がで続けるこの怪事件が、まさか悪魔のせいだったとはね」

 腹がでっぷりと出た警部は、そのシスターに近寄り、握手を求め手を差し伸べた。


「・・・・・・」

 シスターは嫌そうに顔をしかめ、ほんの気持程度手を握り、直ぐに離して、尼僧長の後ろに隠れた。


「まあ、この子ったら。失礼ですよ」

尼僧長がたしなめる。


「どんな方にでも分け隔てなく公平に。それが主の教えです」


「・・・はい。主・イエスの名の下に」

 そのシスターは十字架を握り締めた。






「リューヤ様あ!学校行きましょーよ!」

 日本のとある町、羽衣(はごろも)町にある仙宮寺(せんぐうじ)家に、梁間(はりま) 寧子(ねこ)の声が響く。


「うるせえ!!ついてくんな!」

 リューヤは追っ手を振り切り、一人で学校に向かおうとする。

「駄目です若様!まだ朝の占いで若様の星座が出てないんですよ!?最下位だったらどうします!?ラッキーポイント見てないと駄目でしょーが!!」

「お前はもっと頭を良くしないと駄目でしょーが!!なーにが占いだ!!お前のラッキーポイントは絶対『勉強』だわ!俺は占いは信じねえ!!」

 リューヤは叫んだ(ひびき)に向かってそう叫ぶ。


「いやいやリューヤ様。意外とこの占い当たるんですよ。この前はこの占いの通りにある有名芸能人が離婚しました」

 黒い狩衣を着た陰陽師・八条(はちじょう) 伊江紋(いえもん)が口を出す。


「占いの内容どんだけダークなんだよ!!朝っぱらからそんな占い見たくないわ!!」

リューヤが皆に羽交い絞めにされながらも鋭く突っ込む。



『では今日の最下位は・・・ごめんなさーい、天秤座の貴方!思わぬ災難の連続で身も心もぼろぼろになるでしょう。特に今、大勢の人に囲まれている人!その瞬間を大切にしなくてはいけません。占いではなんと、今日は事故に遭いやすい日となっています。命に気をつけてくださーい』

 と、テレビから軽やかな声でアナウンサーが言う。


「何これええええええ!?命に気をつけてって・・・えええええ!?どゆこと!?」

リューヤは声を荒げて叫ぶ。


「まあ、これは大変!よし!今日は私が責任を持ってお守りします!!」

「あ、ずるいぞ寧子!私がお守りするのだ!」

「やめろ!それが既に災難だ!!」



 

「アナスタシア。また依頼ですよ。今度は出張・・・しかも東洋です」

「東洋・・・・どこですか?」

「日本ですよ。何でも・・・悪魔と人間の女性の間に出来た子らしくて・・・。しかも、仲間である人間の親族に対してもひどく当たり、夜な夜な人間どもを狩っていると言う、何とも邪悪な悪魔です」

 尼僧長は手にした写真を、先程の悪魔祓いのシスター・アナスタシアに手渡す。


「・・・なんて邪悪な悪魔。許せません」


 アナスタシアは写真をぐしゃっと握りつぶす。


「・・・・仙宮寺 リューヤ。主の怒りをもって、罪を償うがいい!!」





如何でしたか。

次回はリューヤがピンチ!乞うご期待!


誤字・脱字、矛盾点、ご感想、辛辣なお言葉、どさどさお送りください!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ