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陰妖師  作者: スズメバチ
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Requiem Of Reunion Part 5 ≪Spider`s King≫

サブタイは「再会の鎮魂歌3≪蜘蛛の王≫」です。

意味は最初らへんで判ると思います。

期末テスト終わったー!!いろんな意味で。

そんな話はおいといて、十六話目、どうぞ!!

 血飛沫。


 一滴が、頬にかかる。


 顎を伝って、着物の襟に滴り落ちる。


「何だ・・・・、何が、起こった?」

 


「ふふふふふ・・・、ゴフッ!判らないでしょう・・・これからですよ、楽しい宴は!!」

 切り裂き男は、自らに突き刺した斧を深く突き刺し、さらに吐血する。

 自分を傷つけるその姿は、武士の切腹姿のようだ。


 と、男の傷口から妙な音がしだした。

 古びて、錆付いたドアを開けるときのような、ギギギ・・・という音。


 すると、男の背中から蜘蛛の脚のようなものが、ドシュッと言う音と共に生えてきた。


「ああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」


 男が叫ぶ。

 生えてきた八本の脚は血にまみれ、細かい毛のようなものが生え、先には小さな爪の様な物がついている。


「・・・・アレニエ」

 男が吊り上げた口で言った。


「ちっ・・・、気味ワリいな」

竜夜(りゅうや)が汗の吹き出た顔を拭う。自分を落ち着かせる為でもあった。




「竜夜!!」

上空で(アザミ)と対峙しているシモンが、竜夜の名を叫ぶ。

「解放しろ!!月夜鴉(つくよがらす)を!!」


「言われなくても!!」



 右手で月夜鴉の柄を持ち、左手を添え、力を込める。



「護 れ!!全 て を!!!月 夜 鴉!!!!!!」

 月夜鴉から、妖気が放たれる。

 熱い、焔のような妖気が。



『護る。 全てを』

 月夜鴉の解の口上である。以前シモンと戦ったとき、口に出した言葉が口上であったのだ。

 偶然か必然か、ただ口に出した言葉が。



 柄から長い紐のはえた月夜鴉を構え、竜夜は切り裂き男に向き合った。


「これからだぜ、本番は」




 一方、上空。

「ひゅーっ、なんだアレ?妖気の質も大きさも、さっきの比じゃねえじゃねえの。万が一、あいつが負けたら、俺がお相手してもらおうかな」

アザミが口笛を吹いて言う。


「させねえよ!!!」

アレスを持ったシモンが、アザミに襲い掛かる。


「お前もよくやるなあ」

アザミはそれを軽々と避ける。まるで、赤子に付き合って遊んでいるかのように。



 シモンは一旦距離をとった。

 そして、左手をアザミに向けて開く。



光陰矢(プファイル・アロウ)!!!」

すると、掌から数十本の光の矢が放たれる。

 しかし、アザミはその光の矢を飛んでよけた。



「まだだ」


 アザミがその言葉を理解できたのは、数秒後の事であった。


光陰矢(プファイル・アロウ)!ツヴァイ!!」

 親指と人差し指だけを伸ばした左手を、左方向に伸ばす。


「あん?何やって・・・」

と、アザミの後方から、先程の矢が再び襲ってきた。

「な・・・っ!?さっき・・・避けたはず・・・っ!!」

 

 アザミは再びそれを飛んで避けようとする。が、それをシモンは見越していた。


光陰矢(プファイル・アロウ)、ドライ」

左手の中指を伸ばす。

 すると、アザミが避けた光の矢から、上方向――――つまり、アザミが居る方向に向かって、同じような矢が生え、放たれる。


「なんだこれ!!何なんだよ!!」


 上空を蹴り、シモンと逆方向に向かって逃げる。


光陰矢(プファイル・アロウ)、フィーア」

左手の薬指を伸ばす。


 すると、またアザミに向かって矢が生えてきた。


「何なんだ・・・っ!!」



 シモンはアレスを構えて言う。

「『プファイル・アロウ』・・・それを薙ぎ倒さない限り、そいつらは永遠にお前を狙い続けるぜ」


「そうかよ・・・っ」


 アザミが右手で印を結ぶ。


網星(あみぼし)

と、印を結んだ先から網のようなものが飛び出し、光の矢を包み込む。


「捕らえろ」

網目が閉じ、光の矢が封される。


「爆発だ!!!!」


 袋は破裂。跡形もなく。


「さあ、次に爆発すんのはお前の番だ」

 アザミが、シモンに向かって印を結んだ右手を向ける。シモンはアレスを構える。


「・・・やってみろ」


「いい度胸だ」


 右手を構え、口を開く。


 が、それは阻まれた。

 アザミの右肩には、大きな白い虎が噛み付いていた。


「・・・んだ、こいつっ!!」


 アザミは肘鉄をくらわせ、さらに回し蹴り。

 しかしシモンはすぐさま攻撃に出た。



「ああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」



 アレスを振りかざし、アザミの左肩に一太刀入れようとする。


「甘いって」


 しかし、アザミは刀の右側面に蹴りをいれ、さらにその脚でシモンの顎にも一撃喰らわせる。


「くっ!!」


「シモン殿!!!!」


 先程、四神呪法を繰り出した(ひびき)が駆け寄る。


「あれ、また増えた」

アザミは意地の悪い笑みを浮かべる。




「ははははははははははははははははははははははははは!!!!!!!」

蜘蛛の脚を振りかざしながら、切り裂き男は高らかに笑う。

「どおしました?さっきから逃げ回るばかりで、ぜんぜん攻撃できてないではないですか!!全く、情けない!!!!!」

 次々と出される攻撃のせいで、空き地はボロボロになっていた。

「ち・・・くしょっ・・・!!」






 その近くに黒い人影があることを、誰も知らない。










































如何でしたか。今回でてきた技のおさらい。

『アレニエ』・・・切り裂き男が体張って出した術。蜘蛛の脚をだす。「アレニエ」はフランス語で「蜘蛛」って意味。


『プファイル・アロウ』・・・シモンの術。光の矢が出て、砕かないと永遠に敵を追い続ける。「ツヴァイ、ドライ、フィーア」は、ドイツ語で順に「2、3、4」って意味。ちなみに「プファイル」はドイツ語、「アロウ」は英語で、共に「矢」って意味です。


『網星』・・・アザミの術。先に言っちゃうと、この種類は全部で二十八種類あります。でも中にはあんまり字が良くないのもあって・・・。この技は網っぽいのを出して、密封して爆発。よくこれ使ってごみ処理とかさせられてます。エコ。


 本文中でアザミがボソッと言っている「菊一」なる存在は、以前にもちらっと出てきてます。

 誤字・脱字、矛盾点、英語の間違い、ご感想、辛辣なお言葉、いつでもお待ちしております!よろしくお願いします!


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