再会の鎮魂歌 2 ≪月・見ゆる≫
パソコンがダウンしてちょっと遅れてしまいました。ごめんなさい。
15~20分ついたら直ぐにダウンという腹立つ行動を繰り返すんです。
そんなどうでもいい話はおいといて、十三話目、どうぞ!!
「はああああああああああああああ!!!!!」
長い足が、男に向かって放たれる。
「まだまだですねえ、なんにも変わっちゃいない」
その男は寧子の足を掴み、向こう側へと投げ飛ばす。
「あなた、私の事を知っている風だけど・・・どこかでお会いしたかしら?」
両手を突き、バック転を一回、道路の植え込みのギリギリで止まる。
「ふふふ・・・貴方は知っているはずですよ。ただ、認めるのが怖いだけだ」
男は不敵な笑みを浮かべながら言う。
その通り。私は貴方が誰かを知っている。忘れてなんか無い。忘れられるはずも無い。
「・・・・・・・・・・切り裂き男・・・・・・・」
願わくば、違っていてほしい。
「ようやっと思い出してくれましたか」
男は帽子を取り、軽くお辞儀をする。
「昔会ったときは包帯だらけのブ男だったから、全然判らなかったわ。包帯取ったらそんな顔なの」
汗が流れる。何とか気取られまいとするが、声が震える。
「ええ・・・、お褒めに預かり光栄です。しかしそろそろ貴方の相手をするのも飽きてきましたね。・・・こうしましょう」
パンっと両手を叩く。寧子が身構える。
「貴方を倒して、神部 翠子を無茶苦茶にしにいきます」
にいいい、と気色の悪い笑みを浮かべる。あの時と何にも変わっていない。蛞蝓の様な口。
「させないわ」
ふっと寧子の姿が消える。
男が一瞬ひるむ。
「千獄通」
靴を突き破って出した、毒爪。
男に向かって右側に、右足で蹴り。
反射的に男は左に避ける。
それを見越して、蹴りを入れた右足のつま先を男に向かって突き刺す。
死せる者さえ殺す爪。
それが私の爪に与えられた称号。
逃すものか。
「終わりね」
今度は確かな手ごたえを感じた。
自分の爪の先が、男の体に食い込み、毒を流す。
傷口から血管へと毒が流れ込み、全身へと回るのにそう時間はかかるまい。
男の白黒のコートに体を近づける。
右足に力を込め、そっと抜く。
私が止めを刺してもよかったのかしら・・・・。
そんな事を考えていた。
「終わりなのは貴方だ」
手が伸びる。
寧子の首を掴む。
そのままマンションの塀に押し付けられる。
「か・・・っは・・・」
息も絶え絶えになりながら、寧子は男の手に自分の手をかける。
「無駄ですよ。貴方ごときの腕力で私の力に勝てると思っているのですか」
ぐうう、とまた手に力が込められる。
「ど・・・っは、どう・・・し・・・てっ・・・・」
寧子の体が浮く。脚が宙ぶらりんになり、靴が脱げかけになる。
「あなたの力は知っていました。その私が、毒消しを持っていなかったとでも?」
例の、気味の笑い笑みを浮かべる。
「は・・・・・・・・っ」
寧子の意識が遠のく。息ができない。
「んー、貴方をいたぶりたいとは思わないんですねー。私の好みはホラ、神部 翠子のような従順なタイプですから」
寧子に顔を近づける。男の鳩尾に蹴りを喰らわせようと試みるが、男の体が近すぎてそれもままならない。
「さあ、逝ってらっしゃい」
男の手に力が込められ、さらに寧子の体が浮く。
「リューヤ様・・・・・」
「蒼き竜よ・雲海の上・青磁の社・天高く翔け上がれ!四神呪法・龍磨!!」
蒼い稲光が一閃、
寧子と男の間に放たれた。
「・・・!?」
土煙が晴れ、その向こうに見えるのは――――――――
「やっと、来ましたか・・・」
左脇に寧子を抱えた、竜夜の姿。
右手には、刀、月夜鴉が握られている。
「・・・・・響・・・・」
髪が伸び、御所車に乗せてあった家紋入りの羽織を羽織った制服姿の竜夜が、響に話しかける。
「っはい!!」
勢い良く、響が答える。
「寧子を、どこか安全なとこにおいて、式神に治療させてくれ。それが済んだら、お前はこっちに帰って戦闘に参加しろ」
静かに、だが怒りを帯びた声で竜夜は言う。
「・・・はい」
寧子を抱きかかえ、走り去っていく。
「竜夜!奴か!?」
隣にシモンが降り立つ。右手にレイピア・アレスを持っている。
「ああ・・・・あの妖気・・・違いねえ」
ぎゅう、と月夜鴉を持つ手に力がこもる。
「お久しぶり、仙宮寺 竜夜君。風の噂によると、ようやっと覚醒したらしいですね。・・・楽しみだなあ。さあ、見せてくださいよ、君のチカラを」
男が竜夜に向かって手を差し出す。
「・・・・・・・・」
月が、雲の切れ間から見えた。
いかがでしたか。四神呪法については次回も引っ張ると思うので、まとめてお話します。
切り裂き男はやっぱり変態でした。そんな気無かったのに、気付いたらあんなキャラに・・・・。
寧子が今回がんばってくれました。次回は十分お休みください。
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