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陰妖師  作者: スズメバチ
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スズメは方々に散り 風を集める

サブタイの意味は不明。なんとなく情報屋って雰囲気を出したかっただけです。

今回初登場のキャラはかなり強烈です。

では、どうぞ!

 

 仙宮寺(せんぐうじ)家当主・仙宮寺 白竜(はくりゅう)の自室の障子の前に、一羽の黒い鳥が舞い降りた。

「んん?なんじゃい。烏天狗(からすてんぐ)か?生憎、今日はあげる物などないぞ。あ、でも甘納豆あった。いるか?でもお主は確か辛党じゃあ無かったのかぇ。えーと、柿ピーとかあったかのう」

 白竜がガサゴソと棚を探る。が、その黒い鳥はくちばしで障子を破り、部屋の入ってきた。

「おおう!何してくれる!ゆかりさんに叱られるじゃろ!」

と、白竜が振り向く。

「・・・・・・・お主は・・・・・」

『仙宮寺リューヤ様から伝言があります。お聞きになりますか?仙宮寺リューヤ様から伝言があります。お聞きになりますか?』

仙宮寺家の家紋が胸にある黒い鳥は繰り返し、目覚まし時計のように言う。

「リューヤの式神かい。どれ、聞かせておくれ」



「お義父様?リューヤ達がまだ帰ってこないのですが・・・」

 母・ゆかりが白竜の元に来た。

「ま、障子が破けてる。また配下の小妖怪が来たのですね?遊びに来るのは良いけど、物を壊さないでって言いましたのに・・・。お義父様?判ってらっしゃいます?」

と、障子をがらっと開ける。

「おお、ゆかりさん。悪い悪い。リューヤなら恐らくまだ帰ってこんよ。なんせ、吉原雀(ヨシワラスズメ)のとこに行くらしいからのう。遅くなるじゃろうな」

白竜が式神を手に止まらせて言う。

吉原雀(ヨシワラスズメ)ちゃんの所に?まあ、一言言ってくれれば、お土産持たせたのに・・・」

ゆかりが頬に手を当てる。

「しかし、スズメの所かい・・・。大変じゃな」

白竜は机の上の茶をすすり、言った。







「リューヤ様、私、あまり吉原殿に詳しくないのですが・・・、どういったお方なのです?」

妖怪・御所車(ごしょぐるま)に乗った(ひびき)が、座っているリューヤに向かって聞く。

「吉原雀・・・。あいつは、闇の世界随一の情報屋だ。奴がこの世界でしらない事なんて、無いくらい」

リューヤが頭を掻きながら言う。

「ああ、奴の情報なら、信用できる・・・・ん・・・だが・・・・」

シモンが腕組しながら、だんだん顔色が悪くなっている。

「?シモン殿?どうなされました?」

具合が悪くなったのかと思い、響がシモンに近づく。

「・・・・・・奴は・・・・・恐ろしい奴だぞ」

シモンが顔を真っ青にしながら言う。

「は?」

「・・・・・シモン・・・・言うなよ・・・・・」

リューヤも同様に青くなっている。

「え・・・どういう・・・」

響は訳がわからず、ワタワタしている。

「ま、着いたら判るさ」

シモンが車酔いしたように、口に手を当てる。


 ガコン、と御所車の車輪が地に着く。車輪に纏われた薄紫の紫雲が晴れる。

「お、ついたか・・・」

リューヤが青い顔のまま、外を見やる。

 羽衣(はごろも)町より町二つほど離れた霊山・双守山(ふたかみやま)に、リューヤたちは居た。

 辺りはもう既に暗く、霧が立ち込めている。

「あそこに小さな茅葺屋根の家が見えるだろ。あれがスズメの住処だ」

シモンが右手側を指差す。そこには明かりが薄暗くついた、こじんまりした小屋があった。

「なんですか・・・この・・・」

響が冷や汗を流しながら、震える声で言った。

「この・・・むき出しの敵意は」


 殺気、とでも言うのだろうか。

 喉元に刃をつきたてられている様な感覚が、この場所に降り立った瞬間からずっと放たれているのだ。

 どこから?

 あの小屋から



「・・・歓迎されてない感じ・・・だね」

リューヤがその小屋をみて言う。

「バリバリ嫌がられてるじゃないですか!なんですかこの途轍もない妖気!もちょっとオブラートに包め!」

と、響が小屋に向かって叫ぶと、ゴウッとまた殺気を帯びた妖気が周りを包んだ。

「・・・ま、行って見ようぜ。・・・苦しいがな」


 息が詰まるほどの殺気の中を、三人は進み、小屋にたどり着くのに結構な時間を要した。

「・・・リューヤ、お前が戸を開けろ」

シモンがつん、とリューヤを押す。

「え!?ヤダよ!シモンがやれよ!俺そんな勇気無い!」

二人がやいやいと言い合う。

「じゃあ、リューヤ様、私がやります。主人の代わりに部下がやるのは当たり前ですからね」

響が手を上げる。

 ぐるんと二人が振り向く。

「やめろ!危険だ!ここは奴がどんな奴かを知っている俺かリューヤ、てかリューヤに任せろ!」

「本当に危ないんだぞ!本気で危ないんだぞ!ここは、よし、シモンに任せろ!」

二人が響をいさめる。

「いいえ!やらせていただきます。戸開けるだけでしょ。簡単ですよ。そーら・・・」

 

 響が戸に手をかけ、左に引く。

「お頼み申す!私、仙宮寺家の・・・・」

 大声で挨拶をし、足を踏み入れようとする。

 と、




「声がうるさあいっ!!!!!!!!!!!!!!」

という声と共に、数十本の暗器が投げられてきた。


「うおわっ!!!!」

「響、こっち来い!」

リューヤが響の首を掴み、手前に引き寄せる。


「・・・そこの薄紫髪陰陽師。あんた、仙宮寺の坊やの側近ね。声がでかい」

と、小屋の中に居る女性は煙管を響に向ける。


 昔の遊郭にいる女性のような、つまりは花魁のような髪形。

 帯を前で大きく結わえ、胸元を大きく開けた着物。

 顔はきつい眼、その眼の周りには緑色のアイシャドウが広く塗ってあり、唇には真っ赤な紅。

 そんな出で立ちの女性が、吉原雀である。

 天蓋つきのベットに寝そべり、煙管をふかす。


「あら、白銀(しろがね)の魔術師。また会ったわね。それから紅蓮の若獅子。お久しぶりぃ。最後にあったのは貴方が結構小さいときだったからね。覚えてるかしら」

 スズメはにっこりと笑い、煙を燻らせた。

「ぐ、紅蓮の若獅子?」

リューヤがたじろぐ。

「そおお。あんたらびっくり人間にはねえ、それぞれ通り名っていうか、称号が与えられるのよ、陰陽寮(おんようりょう)から。あんたは紅蓮の若獅子。シモンは白銀の魔術師。そおねえ、有名な所で言ったら、あんたの母さんは玲瓏(れいろう)の陰陽師、とかね」

ふうう、と煙を吐く。

「で、何の用かしら」


 響が戸を閉める。

 シモンが脇にある椅子に座り、リューヤはその隣のソファ、スズメの目の前に腰を下ろす。

 

「スズメ、情報を売ってほしいんだ」

リューヤが手を膝の上で握り締め、言う。

「・・・まあ、あたしは情報屋だから、対価をくれればそれに見合った情報は渡すわよ。お金であったり、魂であったりね。で、何の情報がほしいの?」

リューヤが口を引き結ぶ。知りたいのは、六年前の、あの男。



「・・・切り裂き男」



 ぷかり、とスズメが丸い輪の煙を吐き出す。

「ふううん・・・・」


「六年前、こいつらが奴に襲われたのは知ってるよな。その後、あいつは逃げて、行方をくらませてた。が、最近、リューヤの幼馴染が、奴に狙われてるって・・・」

シモンが口を挟む。

「そお。それが、この前あんたに教えた情報。でも、それ以上の事ってなると、かなりの対価が必要になるけどいいの?」

 スズメがリューヤを見据えて言う。

「かまわない」

間髪入れず、リューヤは答える。


「あいつ、翠子(みどりこ)殿をまた狙おうと!許せません!」

「あんたは黙ってなさい」

響に向かって枕を投げる。


「いいわ、教えたげる。切り裂き男について。あいつ、最近強力なバックがついたらしいのね。それも、陰陽寮最高幹部団のうちの、誰か。さすがにそれはまだ判ってないわ。そんなの、すごいスキャンダルですもの。あんたの幼馴染を狙うのは、まあ単純に復讐。妖力増幅装置かなんか使って、強くなってるらしいわよお。奴の武器は斧。あんたらみたいに異能の才は持ってない。妖怪なんだけど、元は人間よ。反射神経がずば抜けて高くなってるらしいわ。他には?」

 早口に喋る。その間、リューヤはずっと手を握り締め、響はずっとズボンを握っていた。

「・・・・奴が、翠子を襲う日取りとかは、わかるか?」


 ゆっくりと、リューヤが喋る。


 スズメは煙管をくわえ、煙を吐き出して、リューヤを真っ直ぐ見ていった。





「・・・・・今日よ」

































































いかがでしたか。雀サンはお色気キャラ。寧子には無いですね、お色気なんて。

最後にとんでもない情報を言ってくれました。

次回は翠子と寧子も加わってわたわたわた。戦闘回です。

誤字脱字・矛盾・感想、首を長くしてお待ちしております!

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