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陰妖師  作者: スズメバチ
10/51

Eyes Where Flame Lit Up

週末をはさんでまだテスト中。

・・・どーでもいいですね。

サブタイは『焔の点いた眼』。何のことかは本文読んだらまんま書いてあるんで、すぐわかると思います。

では、どうぞ!

 

 二度と

 その名を

 聞くことは無いと

 思ってた


 



 「切り裂き男・・・・・」

 竜夜(りゅうや)の脳裏に六年前のあの記憶がよみがえる。

 

 目の前で殺された轆轤首(ろくろくび)

 黒い服に包まれた包帯男。

 自分を護って倒れた寧子(ねこ)(ひびき)

 血。涙。刀。決意。

 自分が『陰妖師(おんようじ)』になった日。


 

 「・・・ああ。確かな情報だ。(スズメ)のところのだからな、信用しても良いと思うぜ」

シモンがレイピアを鞘に納めて言う。

「・・・竜夜様・・・」

寧子がシモンの腕の中から言う。

「っ、あの下郎!今度は翠子(みどりこ)君を!?シモン殿!奴の所在は!?雀サンから、買ったのではないのですか!?」

地上から、響が言う。シモンは響の傍に降り立ち、寧子を放す。

「それが、雀でも判ってねえらしいんだ。どうも、奴のバックに強力なのがついたらしい。容易に近づけないってことだ」

先ほどの技で葉が焼け焦げた木にもたれ掛かり、竜夜に向かってシモンが言った。

「・・・・・・・」

竜夜は答えない。正確には、何を言ったら良いのか分からなかった。

 

「竜夜様。とりあえず、雀さんのところに行きましょう。情報源は明かせずとも、何か分かる事があるかもしれません」

 寧子が手を握り締めながら言った。竜夜を元気付けようと一生懸命である。

「・・・それが良いかもな。俺も、当分日本に居る予定だし」

シモンがさらっと言う。

「はい?」

寧子がおおきな目をさらに大きくして言う。願わくば、聞き間違いでありますように。

「お前弱い上に耳も悪いのか。当分この国に居るって言ってんの。最近、こっちの世界が騒がしいんでな」

シモンが哀れむような目で見てくる。響と寧子は硬直。

「い――――――――――――や――――――――――――っ!!!!!です!シモン様は・・・そのう・・・そう!ドイツに本家をもたれているではありませんか!その大切なお役目をはたさずにここに居るなんて、駄目なのではないでしょうか!」

「その通り!!レイチェル殿がお可哀想です!特別顧問秘書としてのお役目さえ大変でいらっしゃるのに、その上正統後継者のシモン様の名代まで務めるとなると、ご心労は計り知れませんぞ!」

 響と寧子が必死にまくし立てる。

「レイチェルは納得させた。アメリカの師匠も承認されてる。ついでに言うと、お前らのところの白竜(はくりゅう)殿もだ。何か問題でも?」

「だからって・・・!」

 

 寧子と響は何とかしてシモンを帰国させようと必死である。それもそのはず。小学校一年から二年までの約一年間、竜夜・寧子・響・シモンは仙宮寺(せんぐうじ)の家で共に暮らしていた。

 シモンの本家である家のその時の当主でありシモンの師匠・アシュリーと、竜夜の祖父・白竜は昔からの親友であり、古くからお互いの家の親交も深かった・・・のだが・・・・・。


「シモン様はイタズラ好きでいらっしゃいますから!ああああ、思い出したくない悪夢!なんで朝起きたらカエルで部屋中が埋め尽くされているのですか!死ぬかと思いました!」

寧子が当時の恐怖を語る。しゃがみ込み、膝を抱え、ガクガク震えている。

「いや、猫ってそういうの好きかなって思って。有り難く思えよ」

さっくりシモンは切り返す。

「俺だって!なんか気付いたら顔が閣下みたいになってたし、朝起きたら何故か烏丸(からすま)山の山頂付近だった!」

響が堰が切れたようにシモンに突っかかる。

「お前、トップに立ちたいとか言ってたじゃん。よかったな。トップに立つだけじゃなく、寝転べたんだぞ」

返すのも腹立つくらいの屁理屈をシモンが無表情に言い放つ。

「とにかく!我らは反対です、竜夜様!シモン様には、お帰りいただきましょう!」

寧子と響が竜夜に詰め寄る。


じっと目をつぶっていた竜夜が目を開け、じっと二人を見据える。

「・・・言いたい事は、それだけか」

ビクッと、二人が肩をすくめる。

「あの野郎は・・・俺の敵だぜ」

地面に降り、月夜鴉(つくよがらす)をピュッと振る。むき出しのその刀を前に出し、寧子と響の顔が映る。

「あいつはお前達と轆轤首を傷つけて・・・翠子に、怖い目させた」

刀身に映った自分の眼を見て、竜夜が言う。

「倒さなきゃいけない。その為に、シモンの力はあっても良いんじゃねえか?」

 竜夜がシモンを見つめる。


 

 シモンは真っ直ぐその眼を見た。



「・・・やっと、生きた眼ぇしやがったな」

にっと笑ってシモンが言う。寧子と響を押しのけ、竜夜に近づく。

「初め会ったときは、本気で大丈夫か、とか思ってみたりもしたんだが・・・。何があったかは知らねえし、知りたいとも思わない。だが、この分だと大丈夫そうだな」

人差し指を立て、竜夜の紅い眼を指す。


()の点いた眼、してる」


 


「ハッ・・・」

その手を振り払い、

「カッコつけた事、言ってんじゃねえよ」

竜夜がシモンに言った。

「かもな」

シモンがにっかり笑う。



「~~~~~~~~~っ」

寧子はまだ不満そうだ。


「竜夜様っ!早く雀さんの所に行きましょう!さ!早く!夕飯に間に合いませんよ!」

どんっと竜夜の背中を押す。

「これから雀のとこ行ってたらどっちにしろ間にあわねえだろ。式神飛ばして、連絡しとこう。あと、それから・・・」

竜夜が変化を解き、リューヤに戻る。

「寧子は翠子の護衛についてよ」

口調と声質が若干変わる。

「うえ・・・うえええええええ!?」

寧子が自分を指差し、声を上げる。

「頼むよ、寧子。響は・・・その・・・ただのストーカーみたいになっちゃうだろ?」

「若様ひどいっ!」

響の叫びは無視し、リューヤが寧子に頼む。

「う・・・ううう・・・判りましたぁ」

半分泣きかけで寧子が承諾する。


「じゃあ、行こうか」

翠子の家に向かった寧子を見送り、リューヤが言った。


「情報屋・・・吉原(ヨシワラ) (スズメ)の所に!」






























如何でしたか。今回は響の内容も少しは入れられたのではないでしょうか。

話の都合上、新キャラが続々出てきます。落ち着く感じになるのは次次次々回くらい。適当なんで、そこんとこは悪しからず。

次回は寧子はほとんど登場しない予定。代わりにおねいさんが出てきます。

誤字・脱字・矛盾点・指摘・感想お待ちしております!

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