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第4話

「この世界ってどんな場所があるんですか?どういった場所を巡ればいいんだろうと思いまして」

「そうだねー。それを説明するにはまず種族について話さないとかな?」


「……種族?」


確かにルアンにはいろんなアバターの人がいた気がする。


「そう!エルフとか絡繰とかいろんな種族がいるんだよね。

それぞれの種族の長が収めてる国があって、その国々を巡っていくのがいいと思うんだ!」

「なるほど、じゃあ雰囲気とか全然違いそうですね?」

「特色溢れてるよー。森に囲まれた所だったり、火山の麓にあるあっつい国とか多種多様だよ」


それぞれの種族に準じた場所にあるのか。

温度とか感じてるから火山とか本当に暑そうだな……


「暑い国だと暮らすの大変そうですね……」

「そうでもないよ?国が過ごしやすいように整えてるし意外と暮らしている人多いかなー。どこの国も住民の取り合いだよ!」

「住民……ですか?」

「そう!この世界のみんなはどこの国に住めるか決められるんだ。

国は住民がいる分出来ることも増えるから必死っぽいよ?そのせいで中が悪そうな国もあるし」


国ごとにできることが結構変わりそうだな。

僕はどこの国が向いてるのだろう?まぁでも


「本当に色んな国があるんですね。色んな場所を巡るのが楽しみになりました。

色々あって次の場所選びに迷いそうですね。」

「でしょ?でも今日はもう遅いし明日決めればいいんじゃない?」


もう遅い?


そう思いユーザーウィンドウを展開し確認してみると時計は23時前を示している。

夕方から始めたのにもうこんなに時間が経っていたのか。


明日の予定は確か……午前中に終わるMTGだけだった気がする。


「そうですね。明日の昼過ぎくらいに合流しましょう」

「分かった!じゃあ私は自宅に帰るねー。また明日っ!」


そう言ってエクスは目の前から消えた。おそらく転移みたいなものだろう。

僕も自宅を手に入れればできるのかな?


そう思いながら僕もログアウトをするのであった。


---


目の前に見えるのはゴーグルの待機画面。

ログアウトして戻ってきたようだ。


夜ご飯も食べてないためお腹がすいた。

ゴーグルを外しベッドから立ち上がる。


「マキナ。何かご飯とかあったっけ?」

『お疲れ様です。そうおっしゃると思いデリバリーにて生姜焼き定食を注文しておきました。

今から作るのも大変だと思いまして』


それは助かる。

正直作るのも億劫だったので軽食もなかったら何も食べないつもりだった。


『随分長時間プレイをされてましたね。楽しめましたか?』

「ああ。このゲームはすごいな。空気感も接触感もほぼ現実と変わらない。フルダイブを謳ってるだけはあるよ。」

『それはある意味おすすめした身としても良かったです。』

「まぁエクスは応募しただけだしな。棚ぼたゲームだが結構ハマってしまいそうだ。」


ここからいろんな国々を巡る旅が始まるのだ。ゲーマーとしては楽しみだろう?


「エクス、どこかで長期休暇とか取れないかな?」

『可能です。正確に言うなら明後日から一週間ほどであればMTGも入っておらず、通常の作業も私が代行できる範疇です。』

「それはありがたい。ゲームは一気に進めたほうが面白いからな」

『承知いたしました。せっかく楽しめるゲームを見つけたのですから昔みたいに思いっきり楽しんでください。

今後もいろいろ起きるでしょうからゲーム以外は私に任せてください。』

「頼もしいな。頼らせてもらうよ。」


ピンポーン


デリバリーが届いたようだ。

待たせるのも悪いから受け取りに行こう。






『ええそうです、現実世界はお任せください。ようやく、動き始めますから』


---


そこは、明らかに地上ではなかった。


床はある。

だが、壁も天井もない。

足元の白は霧のように揺れ、視線の先には、ただ明るさだけが広がっている。


円卓だけが、浮いていた。


先に腰を下ろしていた者がいる。

しばらくして、別の席に影が現れ、

また一つ、また一つと、空席が埋まっていく。


「いったいなんの呼び出しなんだぁ?めんどくせぇ。あいつもまだ来ねぇしよぉ」

「大人しく待ちなさい。あの方もお忙しいのですよ?待てもできないのかしら?」

「あぁん?森の中でしか威張れないおばさんが何言ってんだか」

「落ち着きたまへ。騒ぐことは合理的ではない」


最後に現れた影が、円卓を見渡す。全員が、同じ方向を向いた。


「――――」


「……そうか、そうかそうか!ようやくか!待ってたぜほんとによ」

「ついに、であるか。」

「……」


喜ぶ者、今後を見据える者、何を考えているのかわからない者。

それぞれの思惑が交差する。


「となると、我々の立場を整理する必要があるな。

迎えるのか、距離を取るのか。それすらも把握されてるだろうがな」

「それでも選択肢は多い方がいいですわ」


一つ間違えるとそれで終わりだ。

自らの目的のため、動かなければならない。


「けれど、最初は大切ですもの。最初に触れる場所で、その後は大きく変わります」

「待て待て!最初から無難に行く必要があるか?どうせなら、派手なところの方が面白ぇだろ」

「面白さを基準にする話ではありません、それに貴方様の国は難易度も高く危ないじゃありませんこと?」

「むぅ、でも俺がいるじゃねぇか!」

「貴方様も暇ではないでしょ?」

「そりゃそうだが……」


「迷わせない。傷つけない。この世界を好きになってもらうために」

獣が、鼻を鳴らす。

「……甘やかしすぎだろ」

「愛情ですわ」


即答だった。他の者に口を挟ませる気はない。


「……異論は、ありますか?」

長命種が、円卓を見渡す。

獣は、舌打ちを一つ。

人間は、目を伏せる。

絡繰は、何も言わない。

それで、決まった。


「では――最初は、私どもの国が迎えましょう」

誰も、反対しなかった。

明るい空間に、再び沈黙が落ちる。

その沈黙は、同意だった。


そう。我らは――


「すべては、あの方のために」


誰かが、そう口にした。

誰も、否定しなかった。

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