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神泡と天使

作者: 南砂 碧海
掲載日:2025/08/30

 ホテルの小部屋に降り注ぐ午後の日差しは暑かった。窓辺の椅子に座り外を見下ろすと白い砂浜、紺碧の海、専用ビーチの緑の芝生が広がっていた。(この景色は綺麗だけど、何か色が足りないよな……)と、ふと遠い昔に学んだ色相の三原色を頭に思い浮かべていた。


(確かYMCだったっけ。イエロー・マゼンタ・シアンか……ここに青と赤はあるけど、そう言えば黄色の彩りが足りないんだ……)


 拓也は冷蔵庫からビールを取り出し、グラスに注いで窓辺のテーブルに置いた。黄色い液体が景色の中に溶け込んで完璧な三原色になった……と自己満足していた。グラスの中の小さな泡が天空に昇っていく。小さな天使が集まってグラスの上で白い雲を作る。


(白い雲、これが神泡という奴かな。細かい神泡の定義なんてどうでも良いや)


 そんな事を思いながら、静かに2杯目をグラスに注ぐと小さな泡が弾ける音が天使の囁きのように聞こえた。


(そう言えば、開栓しない古いウイスキーの液面が減った分を『天使の分け前……Angel’s share』とか言ったよな。美味しいウイスキーになるために天使の助けが必要とか、どっかの酒造メーカーが言ってたな……)


 お酒の天使を思いながら心地良い睡魔に誘われると空白の時が流れた。目を覚ますと、窓辺から見下ろした海辺は赤く染まり、グラスの中の天使と神様は消えていた。YMCの色相バランスは崩れ、午後の至福の時間は流れて消えた。


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