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外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!  作者: 武蔵野純平
第四章 中級ダンジョン

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第63話 発見

 俺たちは新二階層――鉱山フィールドを密かに探索した。


 鉱山フィールドには、砂や岩が山になっている場所や木製の小屋など、鉱山労働者であるコボルトが作業するのに利用するであろう造作物が所々にある。

 かがり火がない暗い場所もある。


 俺のスキル【気配察知】を使いコボルトとの戦闘を回避し、俺たちは慎重に歩を進めた。


 砂山の影に身を潜める。

 スキル【気配察知】によれば、動かない四つの気配はすぐ近くだ。

 俺は小声でミレットとアンに伝える。


「この先だ……」


 砂山からそっと顔を出し、四つの気配がある方を見てみる。


(あっ……!)


 いた!

 冒険者が四人いる!


 四人の冒険者は木製のエレベーターのような物に乗って高い位置にいる。

 あのエレベーターっぽい物は、鉱山で掘った鉱物を上げ下げするのに使う手動リフトなのだろう。


 高い位置にいるので、魔物から攻撃されることはないが、リフトの下にはコボルトが二十匹集まって冒険者たちを吠え立てていた。


 コボルトの足下には、沢山の魔石が転がっている。

 四人の冒険者が戦って倒したコボルトの魔石だろう。

 魔石はかなりの量だ。

 激戦がうかがえる。


(なんでリフトで上へ逃げないんだ……? あー!)


 リフトの上の方は、ガイドになるレールが壊れていた。

 上の方へは逃げられないようだ。


(あそこで立ち往生か……)


 ミレットとアンも砂山からのぞき込んで状況を確認している。

 アンの拳がギュッと握られ、ミレットの手がアンの拳にそっと添えられた。


 俺たちは一通り目視で状況確認をした後、砂山の影に引っ込んだ。

 ひそひそ声で打ち合わせを始めた。


 まず、アンが口を開いた。


「お父さんです! 怪我していました!」


 グッと緊張感が増す。

 ミレットが冷静に分析する。


「前衛と思われるお二方が怪我をされていましたが、戦闘はこなせそうです。問題は怪我の具合が悪そうな方がお一人いました……」


「くすんだ金髪に長い髪で若そうだった。大怪我しているのは、新人のタナーさんだろう……」


 俺はため息交じりに言葉を吐き出す。

 新人で張り切って無茶をしたのか、ドジを踏んだのか……。


 新人のタナーさんは、リフトの上に座り背中を仲間が支えていた。

 出血が多いのだろう。

 顔から血の気が引いていた。


「仮に……、これから冒険者ギルドへ戻り、応援を連れて救出に来るとして、タナーさんは保つかな?」


「「……」」


 ミレットとアンは、無言で首を振った。


「じゃあ、救出だ。この戦力で実行可能な方法を考えよう」

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