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外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!  作者: 武蔵野純平
第四章 中級ダンジョン

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第58話 井戸

 俺たちは水場から北に向かって歩きだした。

 北、東、南、西と時計回りに、水場周辺のエリアを探索するのだ。


 北に向かって進むと『ヤー!』と笑顔が暑苦しく甲高い叫び声がうるさいパワーラビットが出現する。

 パワーラビット二匹を討伐。

 一階層で合計の討伐ポイントは12ポイント追加だ。


 俺たちの目の前に森が見えてきた。


「森だ! 中を探索するよ!」


「「了解!」」


 森の中でもパワーラビットの襲撃を受ける。


「パワー!」


「セイッ!」


「アーッ!」


 ミレットによれば、森の中では木々がブラインドになり奇襲を受けやすいそうだ。

 だが、俺のスキル【気配察知】の前では、木の陰に隠れても無効。


「死! あるのみ!」


 俺は世紀末気分で、パワーラビットを斬って捨てる。

 アンは森の木を盾代わりに上手に使う立ち回りをしている。

 無駄な体力を使うことなく効率の良い探索が出来ている。


 森の中で、さらにパワーラビットを三匹仕留める。

 討伐ポイントを18ポイント追加。


 パワーラビットの倒し方もパターン化した。

 アンが囮でパワーラビットの気をひき、俺が背後から仕留める。

 もはや敵ではない。


 俺は上機嫌で森の中を探索する。

 スキル【気配察知】で人やモンスターの気配を探りつつ、目視で森の中に人がいた痕跡がないかを探す。


「痛っ! あれ?」


 俺は森の中で足を止めた。

 前へ進めないのだ。

 ミレットが心配して後ろから声を掛けてきた。


「ユウト。どうしたのですか?」


「何か……目に見えない壁があるんだ……」


 ガラスとは違う。

 何かが俺の行く手を遮っている。

 森は続いているが、前へ進むことは出来ない。

 手を伸ばすと、何もない空間に硬質な感触。


「ああ。階層の端まで来たのですね」


「ここが端か……」


 なるほど。

 フィールド型のダンジョンの端は、こんな風になっているのか……。

 俺は妙に感心をしながら、進む方向を東に転じる。

 ダンジョンの端を伝って進む。


 パワーラビットを二匹仕留め、討伐ポイントを22ポイント追加。


 前方で森が終っている。


(停止!)


 俺は後ろを振り向き手で合図を送る。

 ミレットとアンは、コクリとうなずく。


 俺はそっと進み木の陰から前方をのぞく。


(井戸だ……)


 森の先は草地で、草地の中にポツンと井戸がある。

 井戸は石造りの何の変哲もない丸い井戸だが、自然溢れるフィールドの中に人工物があるのは妙な印象を受けた。


 目視で魔物はいないが……。


 俺は振り返り、ミレットとアンを手招きする。

 口に指をあて『静かに!』とジェスチャーして、ゆっくり森を出る。

 アン、ミレットの順で俺に続く。


 アンはキョロキョロと辺りを警戒し、ミレットはあからさまに出現した井戸を不審がる。


 俺は井戸をのぞき込む。

 中は暗くて見えない。


 ミレットは井戸の周囲に手をあてている。

 目に見えない壁があるのだろう。


 どうやら井戸はフィールドの角――北東端にあたるようだ。

 俺はマジックバッグから、タイソン教官から渡された地図を取り出す。


(井戸は描かれてない……)


 地図に井戸は描かれていない。

 ミレットが近づいて来たので、地図を見せ小声で話しかける。


「ミレット。井戸なんて地図にない」


 ミレットは、ジッと地図を見てからつぶやいた。


「おかしいですね……」


「隅っこだから、みんな知らなかったとか?」


「いえ。中級ダンジョンの浅い階層は探索し尽くされています。井戸は水場にもなりますから、冒険者にとって重要な情報です。井戸が存在するのに、知られていないということはありえません。考えられるのは……」


 ミレットが嫌そうな顔をする。

 考えられるのは何だろう?


「ミレット? 何?」


「ダンジョンが広がっているのかもしれません」

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