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外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!  作者: 武蔵野純平
第四章 中級ダンジョン

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第55話 中級ダンジョン

 中級ダンジョンは、城塞都市トロザから少し離れた場所にある。

 俺たちは、捜索隊の他のパーティーと一緒に移動して、中級ダンジョンに到着した。

 階段を下りて、一階層に入った。


「「「うわ~!」」」


 俺、ミレット、アンが感嘆する。


 中級ダンジョンは、ダンジョン内にフィールドが広がっている。

 地上から続く階段を下りてきた場所は草原だった。

 ダンジョン内なのに、そよ風が吹いていて、風に緑の香りがする。

 空を見上げると太陽まである。


「不思議だね……」


「はい。話には聞いていましたが、屋外と変わらないですわ」


「でも、気を引き締めてね。強い魔物がいるから!」


 俺とミレットは一階層の光景に見とれていたが、アンの言葉に気を引き締めた。

 そうだな。ここは中級ダンジョンだ。

 初心者ダンジョンより強い魔物が出る。

 気をつけなきゃ。


 タイソン教官が俺に近寄り、ガシリと肩をつかんだ。


「では、一階層は頼んだぞ!」


「はい!」


 中級ダンジョンは、五階層へ転移出来る魔方陣がある。

 俺たちがいる一階層の階段そばに石造りの床があり、大きな魔方陣が床に描かれていた。

 タイソン教官を始めとする五階層以降を担当する冒険者パーティーが、魔方陣に乗り次々と五階層へ転移していった。


 二階層以降を担当する冒険者パーティーも出発だ。

 歩いて二階層へ続く階段へ向かうのだ。


「じゃあ、俺たちは二階層だ。しっかりやれよ!」


「はい! 先輩たちもお気をつけて!」


「おう!」


 俺、ミレット、アンの三人だけが残った。


 俺はちょっと心細い気持ちになったが、ミレットとアンを見て気を取り直す。

 女の子二人がいるのだ。

 俺が引っ張らないと!


「じゃあ、探索を始めよう!」


「どういう順番で探しましょうか?」


「それなんだけど――」


 俺は腰にぶら下げたマジックバッグから一階層の地図を取り出した。


「現在地がここ、フロアの中央だ。そして地図の左下に二階層へ続く階段がある」


「「ふん、ふん」」


「まず地図の右上、二階層へ続く階段の逆側から探そうと思う」


 俺の提案にアンが疑問を示す。


「階段へ行かないの?」


「二階層へ続く階段は、沢山の冒険者が毎日行き来しているだろう? 階段へ続くルート付近にお父さんたちがいるなら、誰かが見つけていると思うんだ」


「なるほど! だから逆方向……」


「そう。人があまり入らなそうなエリアから探索しようと思うんだ。どうかな?」


「良いと思う!」


「賛成です!」


 俺の提案に、アンとミレットが同意してくれた。

 早速出発だ。

 俺たちは、地上へ続く階段から見て、右上の方へ歩き出した。


「まず、水場を目指そう!」


 水場に何かしら痕跡があるかもしれない。


 ノンビリとした雰囲気の草原フィールドを歩く。


「私ね。お父さんは、浅い階層にいる気がするの」


 アンが話し出した。

 周囲に魔物は見えないし、俺のスキル【気配察知】にも反応がないので、そのままアンに話を続けさせる。


「タナーさんが新たに加入したって話したでしょう? いきなり深い階層は行かないと思う」


「確かに……パーティーの連携もあるし、タナーさんの実力も見たいよね」


「そう! だから最初は浅い階層で様子を見るんじゃないかな……」


 ふむ。

 アンの言う通り『様子を見る』、いわゆる『慣らし運転』は、ありそうだ。


 アンの『お父さんに会いたい』という願望が多分に混じっている気がするが、可能性はあると思う。


 俺は前向きな返事をした。


「あり得るね。水場で休憩したかもしれない」


「でしょ! でしょ!」


 アンがフンス! フンス! と鼻息を荒くする。


「アンさん。今からそんなに張り切ると、疲れちゃいますよ」


 ミレットがアンをなだめた。

 パーティー内が良い雰囲気だなと思っていたら、俺のスキル【気配察知】に反応があった。


「左前方! 魔物だ!」


 俺たちに緊張が走った。

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