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外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!  作者: 武蔵野純平
第四章 中級ダンジョン

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第53話 捜索隊

 翌朝、冒険者ギルドへ行くとギルド内がザワザワしていた。

 いつも通りに出発する冒険者たちもいるが、一階のホールで立ち話をしている冒険者たちもいる。

 俺は混み合うホールでミレットとアンを探して合流した。


「ミレット! アン! おはよう!」


「ユウト! おはようございます!」


「おはよう! ユウト!」


 二人とも昨日の疲れはないようで、顔色も良いし、声にもハリがある。

 ミレットの後ろには護衛のシンシアさんが立っていて、俺が挨拶をすると無言で礼を返してくれた。


 俺はホールを見回しミレットに状況を聞く。


「何か雰囲気が違うね?」


「アンさんのお父さんたちを探す捜索隊を募集しているのです。あちこちで参加するかどうか相談しているようですね」


「そうか! 捜索隊か!」


 冒険者たちは、かなり真剣に議論している。

 俺、ミレット、アンで周囲の様子をうかがってみる。


「探しに行ってやろうぜ!」


「ああ、明日は我が身だからな! 俺は参加するぜ!」


「いや、待て! 気持ちはわかるが、ボランティアだぞ? 金は出ないんだ! 生活はどうする!」


「ウチはダメだぞ! 今日は商人の護衛だ。約束を破るわけには、いかないからな!」


 うーむ。

 お金の問題や仕事の問題か……。

 あくまでボランティア、善意の捜索隊だから、無理強いは出来ないよな。


 ミレットは、ちょっと不満そうな顔をしている。


「ねえ、ミレット。仕方がないよ。みんな自分のことで精一杯さ……。人を助ける余裕なんてないんだ。捜査隊に加わりたいと思っても、子供に食べさせるために仕事を休めない人もいるんだよ」


 俺がミレットを穏やかに説くと、ミレットはハッとして顔を上げた。


「そう……ですよね……。ごめんなさい。私が世間知らず過ぎました」


「いや、良いんだよ。ミレットの優しいところは大事にして欲しい。仕方のないこともあるとわかってもらえれば……」


 ミレットはお嬢様みたいだから、お金の苦労をしたことがないのだろう。

 でも、こうして話せばちゃんと理解してくれるところは素晴らしい。


 アンがスッとミレットに寄り、嬉しそうに話す。


「ミレット様。ありがとうございます。ミレット様の優しいお気持ちはありがたいです」


「アンさん……」


「さあ! 受付カウンターに行こう! 捜査隊に加わるんだ!」


 俺はミレットとアンを促して受付カウンターへ向かった。

 受付カウンターに近づくと、受付嬢のドナさんが目ざとく俺を見つけて、人差し指を、クイッ! クイッ! と動かして俺を呼ぶ。


「ドナさん。おはようございます」


「ユウト、アン、ミレット様。おはよ~う。良いニュースよ! 捜索隊の集まりは良いわ。アンのお父さんは義理堅く面倒見の良い人だったから、先輩、同期、後輩の冒険者が志願してくれてるわ。ざっと五十人は出せそうよ」


「「「おお~!」」」


「ただね。そう何日も続けるわけにはいかないから……。わかるでしょ?」


 ドナさんは、アンを気遣う。

 アンは、真剣な表情でうなずく。


「ええ。お金は出ないから、皆さんをずっと拘束するわけにはいかない……。ですよね?」


「そう。だからタイソン教官が指揮をとって、効率的に中級ダンジョンを捜索するの。アンタたちも捜索隊に加わるんでしょ?」


「「「もちろんです!」」」


「良い子ね~! あっ、ちなみに、捜索隊に加わると、ギルドからの評価が上がるのよ。お給金は出ないけど、評価がアップ! ね? ちょっとお得でしょ?」


 ドナさんは、明るくおどける。

 お父さんが行方不明のアンを気遣っているな。

 俺もドナさんに乗る。


「良いですね~。冒険者ランクを上げて、デカい顔出来るように頑張ります!」


「ガツガツして良いわね~! 新人はそうじゃなくちゃ! じゃ、集合場所は訓練場だから、訓練場へ行ってちょうだい」


「「「はい!」」」


 元気よく返事をして、俺たちは訓練場へ移動した。

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