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外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!  作者: 武蔵野純平
第三章 行方不明

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第46話 ボス戦 氷の守護者1

「おおおお!」


「えええい!」


 俺とアンが雄叫びを上げながらボス部屋に突入した。

 大きな声を出して魔物の注意を引き、魔法使いミレットが攻撃する時間を稼ぐのだ。


 アンが手に持った松明を氷の守護者――ゴーストに向かって放り投げた。

 松明はくるくる回って、半透明な氷の守護者を通過した。


 氷の守護者は、ノーダメージ。

 残念だが、何か効果があればラッキー程度の攻撃だ。

 俺とアンに動揺はない。


 俺はショートソードと盾を装備したゴブリンに斬りかかり、アンは棍棒を持ったゴブリンを攻撃する。


「セイッ!」


 俺はゴブリンに向かって思い切りショートソードを振り下ろした。


「グギャ!」


 ガツンと鈍い音。

 ゴブリンは盾を使って、俺の斬撃をしっかり受け止めた。

 俺は思わずつぶやく。


「コイツ! 強い!」


 グッとショートソードに力を入れて押し切ろうするが、ゴブリンも盾を持つ腕に力を入れて、俺の好きにさせてくれない。


 ゴブリンの右手が動いた!

 ヤバイ!


 俺はすかさずステップバックして、ゴブリンから距離を取る。


 俺がいた場所を、ゴブリンのショートソードが通過した。

 ゴブリンが横薙ぎしたのだ。


 ボス部屋のゴブリンが強化型なのは間違いない。

 動きもパワーも違う。

 俺はアンに警告を発する。


「アン! 気をつけろ!」


 俺は、もう一匹のゴブリンを相手取るアンに視線を向ける。


「えい! やあ!」


 アンは棍棒を持ったゴブリンにショートソードで攻撃しているが、ショートソードを振り回してしまっている。

 それに足が止まっているので、ゴブリンは楽々回避している。


「キイアアアアァァァァァ!」


 氷の守護者が甲高い声で叫んだ。

 するとアンの足下が白っぽくなり、みるみるうちにアンの足が凍りつく。


「えっ!? やだっ!? うそっ!? 動けない!?」


「アン!」


 不味い! アンの動きが封じられた!

 棍棒を持ったゴブリンが、アンに襲いかかる。


「キャッ! やだ! この!」


 アンは盾でゴブリンの棍棒を防ぎ、ショートソードを突くようにして、何とかゴブリンの攻撃に耐えている。

 だが、足が動かないのでバランスが悪い。

 踏ん張りもきかない。


「ギガァ!」


 こっちのゴブリンも勢いづく。

 ショートソードを振りかぶり、俺に襲いかかってきた。


 だが、動きは丸見え!


 俺は落ち着いてさばく。


「ふんっ!」


 ゴブリンのショートソードを盾で受け流す。

 バランスを崩したゴブリンは、とっとっと足を踏み出し転がった。

 俺がショートソードを振り下ろすが、ゴブリンは転がって逃げ距離を取った。


(それなら!)


 俺は距離を取ったゴブリンに背を向けて、ダッシュして床に転がる松明を拾い上げた。

 そして、アンのところへ。


「それ!」


 アンを攻撃する棍棒ゴブリンに横から盾を使ってタックルする。


「ギヒョ! ギヒョ!」


 棍棒ゴブリンは、俺に吹き飛ばされて床を転がる。


「アン! この松明で氷を溶かして!」


「ありがとう!」


 アンに松明を手渡し、俺は盾を構える。


 左からショートソードのゴブリン。

 右から棍棒ゴブリンがジリジリと距離を詰める。


 二対一の状況。


 早く! 氷が溶けてくれ!


 俺は棍棒ゴブリンに一歩踏み出し、大きくショートソードを横に振る。

 牽制だ。


 棍棒ゴブリンは、俺のショートソードをかわすために、再び距離をとる。


 ショートソードを持つゴブリンが、襲いかかってきた。

 俺は盾を使ってしっかり斬撃を受け止める。


 俺が棍棒ゴブリンを牽制し、ショートソードゴブリンの攻撃を盾で受ける。


 ――ボス戦は思わぬ苦戦から始まってしまった。

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