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外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!  作者: 武蔵野純平
第三章 行方不明

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第43話 ドロップアイテム(五階層)

 俺とミレットは、五階層の攻略方法に迷った。


 レッサートレントをミレットの火属性魔法で吹き飛ばせば楽で時間がかからないが、ミレットの魔力が減る。

 だが、ミレットの火属性魔法を使わずにレッサートレントを倒すとなると、なかなか大変そうで時間が掛かってしまう。

 時間が掛かれば俺たちの体力が削られて、初心者ダンジョン突破が難しくなる。


 するとアンがアイデアがあるという。

 俺はアンに話の続きを促す。


「父が話していたんだけど……。火属性魔法に弱い魔物は、本物の火にも弱い。松明や油でも倒せるんだって。ミレット様。松明やランプはないですか?」


 なるほど!

 俺とミレットは目を見合わせた。

 ミレットは、すぐにマジックバッグに手を伸ばした。


「松明とカンテラがあります! シンシアが心配して持たせてくれましたわ!」


 ミレットは松明とカンテラを取り出した。

 カンテラは金属の枠と厚いガラスで作られていて、それなりのお値段がしそうだ。

 戦闘で使うのはもったいない。


「松明を使おう! 松明なら投げやすい!」


「そうですね!」


「じゃあ、火をつけるね!」


 アンが腰の道具入れから火打ち石と木くずを取り出し、手早く種火を作った。

 俺はアンの手慣れた様子に感心する。


「アン! 凄いね! 手慣れてるね!」


「へへへ。お父さんに教えてもらったんだ。私も意外と役に立つでしょう。ほら! 松明に火がついたよ!」


「そっか。お父さんが冒険者だから色々教えてもらったんだ」


「うん」


 アンは役に立って嬉しそうな顔をしたが、どこか寂しげでもある。

 早くお父さんに会わせてあげたい。


「よし! 出発だ!」


「はいっ!」


「行こ~う!」


 俺たちは、五階層の通路を駆け出す。

 松明は交代で持つことにした。


 最初に遭遇したのは、レッサーツナだ。

 四階層と同じく、通路をグルグルと回遊している。


 アンが松明をダンジョンの床に放り、ショートソードを構えた。

 ミレットも杖を構えて、準備万端だ。


 俺は盾を構えて、レッサーツナの攻撃範囲に足を踏み入れた。


(来た!)


 俺がレッサーツナの攻撃範囲に足を踏み入れると、レッサーツナは突撃してきた。

 先ほど四階層で何度も繰り返してきたパターンだ。


「セイッ!」


 俺がレッサーツナを受け流し、ミレットとアンが床に落ちたレッサーツナをタコ殴りにする。

 安定の戦闘パターンだ。


(ツナなのにタコとは、これ如何に!)


 俺は余裕を持つ。


 レッサーツナが、ボワンと消えると、水色の魔石と何かがドロップした。


「おおっ!? ドロップアイテム!?」


「五階層は低確率ですけれど、魔石以外もドロップすると聞いていました。嬉しいですね!」


 ミレットがドロップアイテムを拾い上げた。


 ドロップしたのは、マグロの切り身だった。

 前世日本のスーパーでパックに入っていた感じの四角いマグロの切り身だ。


「香草とオリーブオイルと一緒に焼くと美味しいのです」


「へ、へえ……」


 ミレットの料理コメントに、ちょっとビビる。

 やっぱりミレットはお嬢様なんだな。


 香草とオリーブオイルって、何だよ!?

 そんなの見たことないぞ!


 それに、刺身じゃないんだと考えたら、お寿司が食べたくなった。

 あっ! ツナマヨおにぎりも良いな!


 俺が食欲に心を奪われている間に、ドロップアイテムのまぐろの切り身は、ミレットのマジックバッグに収納された。


 再びダンジョンの通路を走る。


 五分もせずに、次の魔物とエンカウント。


「いた!」


 エンカウントした魔物は、問題のレッサートレントだった。

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