第6話
前書きに書くことってないよね。
「グスッ。ママどこにいるの…」
いた。お母さんが近くにいない。はぐれたのかな?
近くにゾンビは見当たらない。話を聞く時間くらいはありそうだ。
「ユキちゃん、大丈夫?」
「あのね、ママとはぐれちゃって」
やっぱりか…
またユキちゃんの目から涙が溢れる。
「おじさんがユキちゃんのママを探すの手伝ってあげる。」
これは本心だ。こんなに泣いている子を、
悲しんでいる子供を放っておけるわけないじゃないか。
「うん。お願い、おじさん」
ユキちゃんをおんぶする。
「しっかり捕まっててね」
「わかった!」
だいたいの生存者は北口の方に逃げたのか。
「北口の方にみんなが逃げてるから僕たちもあっちへ行こうか」
北口の近くまで来た。
「ッ……」
ざっと5人分の死体。この短時間で何があったんだ…
「ユキちゃん、目を瞑ってて欲しいんだけどできる?」
「うん!」
丁寧に頭が潰されている。ゾンビだったのか?
それにしても吐きそう…グロには耐性があると思ってたんだけどなぁ
「誰かー! 生きている人はいませんかー!」
反応は無い。人の気配がするってことはそういう事なんだろうなぁ。
ユキちゃんを背中から降ろし近くにあったヒノキの棒を握る。
………ヒノキの棒ではないかこれは。
「ユキちゃん、おじさんのそばから離れないでね。」
自分でおじさんって言うの傷つくな。俺まだ20代なのに…
そんなことを考えながら一歩一歩奥へ進む。
「痛ッ」
頭へ衝撃を受ける、意識の外から人が現れた。
「なんだ。人間か。」
分かっていたくせに。
「流石にいきなり殴る事ないじゃないですか。」
ユキゃんに後ろに下がるようジェスチャーをしながら言う。
「ア゛?ゾンビだと思ったんだよ。」
「声かけましたよね?」
「聞こえてねぇなぁ」
あ、この人話通じないタイプだ。
「で、何の用だよ。」
「この娘が母親とはぐれたので探しに来たんです。こっちの方に逃げた人が多かったので。」
「ご苦労なこった。けど、知らねぇな。」
「こっち側に来たのはほとんどゾンビになった。生き残りは俺とあと数人だ。そんなかに女はいねぇ」
意外と話は通じるな。チンピラっぽいけど。
「分かりました。外に逃げた可能性もあるので通っても良いですか?」
「ダメだ。」
「なぜですか?」
「出れねぇんだよ。外はもうゾンビだらけだ。ここから出たとすりゃとっくにゾンビだぜ。
「ッ…」
「幸いここには食料がある。多くはねえが俺らとあんたとその嬢ちゃんくらいならしばらくは
何とかなると思うぜ。」
「いえ、引き返して違う出口を見てきます。」
「見つからなかった場合、その後で戻ってきても構いませんか?」
「別にいいぜ。あいつらにも言っておく。」
「ありがとうございます。」
意外と良い人なんだな。いきなり殴ってくるあたり倫理観ヤバそうだけど。
まぁこの感じだとほんとに気づいてなかったっぽいし良いか。
「じゃ、次は東口を見に行こうか。」
「うん…」
ユキちゃんの元気がない…はやく見つけてあげなきゃな。
暇なのか?暇なんだな。
じゃあこれからも応援してくれ!