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来訪者

テュアが出ていったあと、大河は頭を悩ませていた。

『ここに来た経緯』と言われても、どう説明すれば理解してくれるか、皆目見当がつかないからだ。


(そもそもグラナート王国ってどこだよ?タイ王国くらいしか思い付かないぞ……)


とは言え、ここが日本、ひいては地球ではないことは確実にわかる。

ましてや映画の撮影現場でもない。


(お月様が2つあるもんなぁ……しかも赤と青…混ざって紫色の光なんて見たことない…)


なんだかんだで時間がたったため、外は完全に暗くなっていた。

窓からは格子ごしだが外が確認できる。

所々灯りは見えるが、さすがに暗くなっており、日本の都会では考えられないような暗さだ。

しかし、それでも空に煌々と浮かぶ見慣れた天体が何であるかはわかる。

しかも2つあり、赤と青となれば、今居る場所が全く未知の世界というのは嫌でも理解させられる。


(ここに来た…経緯か)


気付いたらここに居ました!

→…論外


次元の壁を越えてきたんです(キリッ

→…もっと駄目だろ


世界に誘拐されました…

→…これもNG


どれもこれも理解してもらえないようなパターンをいくつか自問自答しながら考える。

そもそも当の本人が現状を理解出来ていないのだ。

その状態で説明しろと言われても到底無理な話しだろう。


(ってことで納得…してくれないよなー)


果たしてどう説明すべきか頭を悩ませていると、早足で近づいてくる足音が扉の前で止まった。

直後に頑丈な金属でできた扉が軋みながら開く。


「おっ、彼が尋問中の男か?」


入ってきたのはテュアではなかったが、その場にいる警備員が全員背をただしたため、それなりの地位の人物であるようだ。

金髪をオールバックにしており、白を基調としたコートを着用している。

そして腰には定番の剣が携えられてる。

円形のパーツが目を引く変わった形をしていた。


「って、お前ら以外に誰もいないのか?」

「はっ、ウォレイズ様が尋問を担当しております。現在は用を……必要な書類を取りに戻られております」


金髪の男は警備員の話を聞き流すと、大河に近付く。


「ふーん…お前さんが異世界人ねぇ…初めてみたけど俺たちと変わらんな」

(身体検査はあいつがやって、尋問はテュア君がやるってことは、現状特段脅威とはみなされてないわけか…今日は紫夜なんで来てみたが…)


男は目を瞑ったまま、顎に手を当て1人で頷き、しばらく考え込んだあと、一つため息をついた。


「…んじゃ俺はテュア君が戻らない内に退散すっかな」


そう言うと手をヒラヒラさせながら男は部屋をあとにすると、結構なプレッシャーだったのか、心なしか警備員たちの表情に安堵が戻っていた。

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