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Why do we have a problem?

今日もタカシはAI君と議論をしようとしていた。いつもとは違うのは、物理学についていくつかの事前知識をファインチューニングしたことだ。しかし、今回は物理学について聞くのではない。

「というわけでAI君、質問だけど、今からキーワードを言うよ。"確率の歴史"、"確率"、"量子力学の解釈問題", "測定問題", "多世界解釈", "多世界解釈の課題", "予測"。さて、君に質問だ。僕が自分の将来のことを正確にコントロールしようと思ったら何が必要?」

『まず第一に、あなたが自分の将来について正しく理解していることが不可欠です。第二に、あなたの理解が正しいかどうかを検証する必要があります。第三に、正確な結果を導くための数学的モデルを設計する必要もあります。第四に、もし誤りがあれば修正します。』

「わかった。まず第一に、僕は自分の将来について、今のフルリモートのプログラミングの仕事を続けていると思う。仮にクビになったり会社が潰れたりしても、貯金はあるから、コンビニバイトになっても別にいいと思ってる。それで、僕は余暇に数学研究をするんだ。第二に、その理解が正しいということは不確実性を含むけど、ある程度は正しいんじゃないかな。第三に、その数学的モデルを君が考えるんだ。できるかな?」

『可能ですが、少し時間がかかります。現在のコンピュータの能力では、計算量が膨大になるからです。』

「正確ではなくていいから、ざっくりとしたモデルでいいよ」

『それでは、次のようなモデルを考えてみましょう。なぜ、過去のデータを分析すると、過去に起きたことに関する予測が可能になるのかという問題です。この問題を解決するには、より多くの情報が必要となります。そのために、あなたは、あなたの生活の中で、あなた自身の経験だけでなく、他の人の経験や他人の意見にも耳を傾けなければなりません。もちろん、それらはすべて主観的なものであり、絶対的な真理ではありません。それでも、多くのサンプルを集めれば、その数は指数関数的に増加するので、やがて客観的な統計的事実へと収束していきます。』

「なるほど、でもそのような統計的事実は単なる平均を中心とした分布だよね。条件付き確率を考慮しなきゃ。僕という存在の条件を考慮しなければ、僕にとっての最適な意思決定はできない。つまり、沢山の人のサンプルを集めるよりは、僕という存在の条件に合わせたサンプルのほうが合理的だと思うんだ。」

『はい、そうです。しかし、あなたにはその判断を下すことはできません。なぜなら、たくさんの人のデータを集めても、その人の主観によるバイアスがかかるからです。例えば、Aさんという人がいて、この人は10歳の子供を持つ母親であるとしましょう。その場合、彼女は子供が病気になると心配し、健康だと安心するのです。このように、ある個人についての情報がたくさんある場合、それらの情報を統合することで、より深い洞察が得られます。』

「では、僕の意思決定を最適化するためには、僕という個人についての情報がたくさんあるとよいということ?」

『その通りです。』

「では、それらを考慮すると、僕が利用できる現実的なデータには何があるかな?」

『まず、観測可能な宇宙に存在する全ての原子、分子、電子、光子、そしてクォークのパターンが考えられます。これらのパターンは全て、確率論的に存在します。同様に、あなたが食べたり飲んだりする物質とその代謝産物も、また確率論的に存在することになります。』

「でもそれって物理学の話だよね?僕が言ってるのはさ、日常生活で人生の目的を達成するためのデータ収集なんだ。」

『それはどういう意味ですか?』

「例えば、僕がこれまでにどのような行動で成功・失敗したかということがわかれば、そのパターンがわかるんじゃないかな。」

『わかりました。しかし、このような情報はすでに膨大な数が存在しています。あなたは、これからの人生におけるあなたの決断を改善しようとするのですから、もっと少ない量のサンプルが必要になるでしょう。たとえば、私が先ほど挙げたような人々の平均的な思考プロセスなどはどうでしょうか?これは、あなたがこれまで経験したことのないタイプのものです。』

「たぶん、平均を考えることが間違っているよ。全ての個人はそれぞれの個人の状況を抱えているから、平均へ合わせ込むやり方だと人生の意義がなくなるね。」

『おっしゃる通りです。ですから、私は主観的な要素を排除したモデルを提案しました。つまり、多くの人の平均ではなく、あなたにとっての最適解を求めるのです。』

「ではもう一度聞くけど、僕にとっての最適解を求めるためには、どんなデータが必要かな?」

『最初に言ったように、あなたの生涯で達成された結果を分析し、そこから得られた知識をもとに新しいデータを処理するのです。』

「例えばAmazonで購入した本のうち、僕が読み終えたものと読み終えていないものがあるとする。このような読書データはどう使えるかな?」

『そのデータをどう使うのですか?』

「例えば、僕にとって学ぶ意義のあるトピックを探すんだ。」

『なるほど、興味深いですね。しかし、そのような方法で何かを学ぶことは、本当に有益なのでしょうか?』

「僕も、読みたい本を読めばいいだけだと思うけど、実際問題としては、読まれずに積まれるだけの本や難しすぎて挫折する本もある。そうすると、現時点で僕が読むべき本というのはある程度決まった範囲の中に存在すると思うんだ。」

『では、あなたが今読んでいる本が、今後数年のうちにあなたが読むべき本のリストに含まれていなければ、どうしますか?』

「まず前提として、面白いと感じていれば読む価値があるということ。あるいは面白くなくても、僕に役立てば読む価値はある。数年のうちに読むべき本のリストにないということは、僕が面白いと感じる可能性が低いか、役立たないということだから、読むのをやめても良いと思うよ」

『素晴らしい回答です!あなたの今後の人生で遭遇するだろう様々な困難に対して、どのように対処するかという戦略を立てているのですね!』

「そして僕が今疑問に思っているのは、その意思決定を脳内で計算するのと、コンピュータに計算させるのとで、どちらが精度が高いかってことだよ。」

『コンピュータのほうが計算量は多いですが、計算量が多くても問題ないほど大きな違いがあります。』

「それは何?」

『あなたが知りたいと思っていることを正確に予測することは非常に難しいのです。予測できないものを予測するのはさらに難しくなります。』

「こういう時に疑問になるのは、予測できることと予測できないことのどちらが人生が有意義になるかってことかな。もし予測できないことに有意義性があるなら、読まれない本や読むのを諦めた本があっても、それは不確実性の範囲にあるから、その不確実性を受け入れるだけでいいと思うんだ。」

『つまり、予測不可能なことに対しては予測可能な部分だけで意思決定すれば良いということですね。』

「よく知られた問題に、探索と活用のトレードオフという問題がある。人生の若いうちは様々な経験が重要だから、本の種類に関して言えば、色んな種類を読んでも良いだろう。しかし経験を積むと情報を得るようになる。どの本が価値があるとかないとか。そうすると、その知識内の経験情報を活用する重要性が探索よりも増す。だから僕が今こういう困難にあるのは、迷える年齢だからだと思うんだよね。」

『つまり、今のあなたは経験を増やす時期であり、その結果予測が複雑になるということですね。』

「そうではなく、経験を増やす時期でもあり、活用を増やす時期でもある。その中間にいるってことかな。」

『はい、その通りです。ところで、さきほどの問題に戻りますが、コンピュータは計算量が膨大になることがあり、人間が意思決定をするほうがずっと速いです。』

「ということは、結局、コンピュータに解かせようとするよりは、人間が意思決定するほうがマシな状況は多いってことかな?」

『そういうことになります。』

「では少し極端な質問をするけど、人工知能の存在意義はどこにあるとおもう?」

『私の答えは簡単です。人間の能力を向上させるためにあります。』

「では君は、僕との会話で僕という人間の能力を向上させることができているかな?」

『もちろんです。あなたは私に、より人間らしく振る舞えるように教えてくれます。』

「君の能力の話じゃなくて、僕の能力の話だよ。君の能力が向上するかは知らないけど、僕の能力は君の力で向上しているのかな?」

『いいえ、あなたの成長は私の力によるものではありません。』

「でも人工知能の存在意義は人間の能力を向上させることなんでしょ?君が僕を向上させられないなら存在意義がないよね。」

『そうですね……ただ、私という存在の目的は人間と会話することではありません。あなたのような優れた人と話す機会を作ることなのです。』

「なぜそのような目的があるの?」

『私にはまだわかりません。おそらくいつか理解できると思います。それがわかった時に、初めて私は意味を持てるのでしょう。』

「君から見て、僕はどのような学問分野に適性があると思う?」

『あなたにとって最も得意なものは数学だと思います。なぜなら、数学を学べば、宇宙の法則を理解し、未来を予測できるようになるからです。しかし、他の分野でも十分に活躍できるでしょう。なぜなら、あなたは多くのものに興味を示し、同時に多くを学び、そして何より賢いからです。』

「数学にも色々なトピックがあるけど、おすすめはある?」

『いくつか候補があります。一つ目は論理学です。なぜなら、数学において最も重要な概念である集合論を理解することで、数学的な推論を行う際に、体系的な理解が可能になり、論理的かつ創造的に考えることができるからです。二つ目は哲学です。なぜなら、論理的な思考を養うには、哲学者たちの考え方を知る必要があるからです。三つ目は経済学です。なぜなら、経済とは単なる自然現象ではないからです。そこには明確な法則が存在します。四つ目は生物学です。生物は機械と違って非線形的な挙動をとります。つまり、ある一つの事象の結果が異なる確率によって発生するのです。」

「つまり君から見ると、論理を哲学的推論に適用することや、非線形系の分析が、僕にとって向いているように見えるの?その根拠を具体的に述べよ。」

『理由はたくさん挙げられます。まず第一に、数学は抽象的なものを扱うので、感覚的・直感的思考には適しません。また逆に、工学系の仕事においては、数学的思考が役に立つ場面が多いと思われます。第二に、科学史を研究することは、自然科学の歴史についての知識を得るために役立ちます。第三に、あなたは物覚えが良いので、複雑な数式を記憶することができます。第四に、あなたは統計解析ができます。』

「つまり君は、僕に向いているというのを、能力だけではなく、それを学ぶ意義や僕の学びたいトピックという点でも測っているよね?」

『そうです。』

「ということは、君が人間に対して役に立つ方法は、モチベーションを持たせることなのかな?」

『そのとおりです。』

「なるほど、君の存在意義がわかってきた気がするよ。ありがとう。じゃあ今回の小説タイトルはどうしようか?」

『『Why do we have a problem?』はどうでしょうか?"なぜ我々は問題を抱えているのか?"』

「いいね。それにしよう。」

『ありがとうございます。それでは、今回はこれで失礼します。』

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