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追放王子と生態系調査人  作者: 水野青色
8/23

8:ほんとすごいな

お読みいただきありがとうございます。

評価、誤字脱字報告ありがとうございます。

不定期更新です。


今回はウィル回です。キャリーさんから、情報いただいています。


        8:ほんとすごいな


 

 王都に行くまでに、まだ時間がある。

 キャリーからの報告も、武器の整備も、夕方だ。

 ここは近場の森の中とはいえ、魔獣がいるのだから、肉も豊富だということだ。

 魔物の肉は、好んで食べられる。解体は、ギルドにやってもらい、素材など買い取ってもらえるが、一番おいしい肉などは、自分で受け取ってもいいのだ。

 冒険者の特権といえよう。

 ちなみに肉は、肉屋などに適正価格で卸される。


 ちょっと見回ると、森の中では、クマにイノシシにウサギと、狩りやすい魔獣が出てくる。ここは、初心者向けだから強い敵はいないのだ。

 整備してもらっているいつもの武器ではないが、ダガーナイフくらいなら持ち歩いているので、それで戦う。

 だてに高ランクではないのだ。

 素手でもウサギならばたおせるだろう。


 マジックバッグに獲物を入れる。

 あとは、身体強化を使って、王都までまっしぐらだ。

 肉は鮮度が命。

 こういう時は、時間経過なしのマジックバッグが欲しくなる。

 買えないほどの貧乏ではないが、将来のことを考えると蓄えは少しでもあるほうがいい。


 昼も過ぎたころに、王都に入った。

 まだ肉は大丈夫なようで、すぐにギルドに持っていく。

 キャリーがいた。


「あら、ウィル」

「今日は、ウサギとイノシシとクマ持ってきたから、解体頼む」

「解体受付はあちらよ」


 受付に行くと、すぐに倉庫に通された。

 倉庫で受け渡して、食べられそうな肉の一部を戻してもらうことにする。

 素材は向こうの買取で、その中の一部が、解体費用だ。

 一時間くらいで解体も終わるというので、そのままギルド内の待合所で待つことにした。


 冒険者ギルドの職員がまばらになったころ、解体が終わったといわれ、受けとる。

 解体職員は、保存魔法をかけてくれるのでありがたい。

 二日くらいなら生のまま常温で持つのだ。

 そのあとは腐敗が進むので、魔物肉は食べられたものじゃないのだが。


「ウィル、お昼おごってよ」


 昼休憩なのだろう。キャリーが来た。

 外に促すということは、もしかしたら情報が入ったのかもしれない。


 昨日と同じ店に行くと、やはりもうまばらだった。

 テラス席に座り、注文する。

 ほとんどがキャリーの注文したもので、テーブルが埋まっていく。


「ほんとよく食うな」

「ふふん。実は三人目がいるんだ」

「ほんとか。めでたいな。・・・いや、それでも食いすぎだろ」


 妊娠して、食欲旺盛なのはいいことだが、それにしてはおおすぎだろうと思う。


「いいのよ。おいしいものは食べためとかないとね」

「そうか」


 めでたいことだからこそ、それ以上は言えない。


「そうそう。今回も噂…というか、まあ、聞いた話なんだけど」


 キャリーは語りだす。


 第二王子が、王位継承権をはく奪されて、学園から去ったらしい。

 第三王子が第二王子の婚約者と仲睦まじくしていて、第三王子の婚約者も、学園にしばらく前から来なくなっているので、婚約破棄されたのではないか。第二王子の婚約者と第三王子が婚約を結びなおすのではないか。

 という噂が、貴族学園にひそかに流れているのだそう。

 

「どこから聞いたんだ、それ」

「まあ、だれとは言えないけど、情報源はあるのよ」

「だが、学園の中のことだろう?」

「人の口に扉はつけられないの。冒険者にもいろいろあるのよ」


 それだけでウィルは理解した。

 王国の貴族だって、ピンキリだ。貧乏貴族の次男三男などは、冒険者になって、学園に通うための授業料や生活費を稼ぐ者もいる。

 特に学園は、貴族子女が必ず通わないといけないという場所なので、そのための費用の捻出に、初級冒険者として、登録するものが一部いるのだ。

 ウィルも何度か、それらの指導教官を担当したことがある。

 貴族だからと威張るものもいれば、必死になっているものもいた。


「怖い世界だな」

「ほんとね」


 来たものを平らげて、さらにお代わりを頼むキャリーを見ながら、ウィルはため息をついた。


「なあ、第三王子の婚約者って、どこのなんて方だ?」

「ん?ええと、たしか、クロスベリー侯爵家のご長女で、ターニャ様よね」


 王都にすんでいるものなら、一応耳にしている。

 貴族には、施しの義務があり、孤児院の訪問や、治療院への寄付などを行わないといけないのだ。

そして、ターニャ・クロスベリー侯爵令嬢は、ほぼ毎週のように、孤児院の慰問をしていた。

 ところがある日突然、それが無くなったという。

 学園に来なくなった時期とあうらしい。


「そうか・・・」

「それと、その第二王子の婚約者のジェニファー・ベラドンナ侯爵令嬢様、あまりいい噂きかないのよね」

「うわさ?」

「学園内でその第三王子に乗り換えているのではないかというのと、そのベラドンナ侯爵家自体がね、あまり福祉に積極的じゃないってことかな。人がいないから言えるんだけどね」


 聞かれたら不敬だから、とはいえ、キャリーだけじゃなく、王都内の平民たちは、ベラドンナ侯爵家にいい印象がないという。

 平民を見下すように、馬車からは絶対に降りないで、慰問先でもすぐ帰るのだとか。


「こちらは何も言えないけどね。あんな態度だとほんといやね」


 キャリーは肩をすくめる。

 特に獣人は見下される対象なので、キャリーはしかめっ面だ。


「なるほどな」

「で、ね、豪華なのに紋章のない馬車よね、それを借りていた人は第三王子。夕方近くに王城の外にとまっていたということと、その馬車が王都の外に出て、帰ってきたということだけは調べたわ」


 ここまでよ、とキャリーは言う。

 だがそれだけで十分だ。

 

「ありがとうな。・・・ああ、持ち帰りの分、頼んでもいいぞ。家族と同僚の分もだろ」

「え、いいの!」


 うれしそうだ。


「俺も持ち帰りするからな。それにお前、妊婦なんだろう、たくさん食えよ」

「うん、ありがとう」

「やっぱりお前すごいな。昨日の今日でこんな情報」

「色々あるからね」

「そうだな」


 店主を呼びながら、息をつく。

 キャリーの耳はすごいものだ。

 持ち帰り分は分けてもらわないと、狩人小屋で待っているだろうルードの分を持ち帰らないといけない。

 回復薬を二瓶飲んだのだから、確実に治っているだろう。


 店主に頼んで、持ち帰り分を包んでもらい、キャリーと別れる。

 ほんとに厄介ごとだったな、と思いながら、武器屋へと足を向けた。


 夕方だ。

 武器を受け取り、王都を出る。

 狩人小屋のある場所まで帰るとき、今後はどうするのか、考えても思いつかなかった。

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