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追放王子と生態系調査人  作者: 水野青色
4/23

4:冒険者ギルドの受付嬢、キャリー

四話目です。

不定期更新のため、時間があるときにしか、書けません。

最近疲れすぎて、パソコン開くのもつらくなってきました。

     

       4:望遠者ギルドの受付嬢


 ウィルは足が速い。

 もちろん、今までの経験から、身体強化を使っているからなのだが、それでもほかのものより速く走ることができる。

 その経験から、多少遅くなっても、一人でなら、徒歩で半日かかる場所でも、数時間もあれば、走ってついてしまう程に早い。

 生身だから、休むだろうという人もいるが、彼は休まないのだ。

 なので、馬車と同じかそれ以上の速度なのではといわれている。

 競走したことがないので、本人はわかっていない。


 王都の門前に来たのは、けがをした青年を、狩人小屋において、一晩明けたときだ。

 手持ちの回復薬を置いてきたので、目を覚ませば飲むだろうと思っている。

 夜の間は、ウィル自身も休み、陽が昇りかけたころに小屋を出た。

王都の門が開くだろう時間には、門の前の行列に並ぶこともできた。


 身分証である冒険者賞を見せ、中に入る。

 王都内はもう動き始めているのだ。

 王都にある冒険者ギルドに行く。

 依頼の達成を報告するためだ。


「ようこそ、冒険者ギルドへ」


 いつものように、受付にいくと、いつものウサギの獣人が、受付にいた。

冒険者ギルドは、多種多様な種族がいるのだ。


「あら、ウィルじゃない。珍しいわね」


 普段は朝から来ることのないウィルに、受付嬢であるキャリーがコロコロと笑いながら、対応し始める。

 ウィルが冒険者ギルドに行く時間にたいていいるので、夜専門かと思っていたが、どうやら朝も勤務しているようだ。


「キャリーこそ、こんな時間からあんな遅くまでやっているのか?」

「仕事ってそういうものでしょ」


 確かにそうかもしれないが、いつ来てもキャリーしか受け付けに座っていないように思える。


「あんたの担当が、私なだけよ」


 そうだったのかと思う。

 そういえば、冒険者になりたての頃、受付は、ある程度のランクになると担当ができると聞いた。

 ウィル自身もいつからか、キャリーがずっと受け付けてくれている。


「そうだったか。まあ、ちょうどいいや」

「ちょうどいい?まさか、厄介ごと?」


 キャリーの語尾が小さくなる。


 今でこそ冒険者受付嬢をしているキャリーは、もともと隣国から売り飛ばされてきた奴隷獣人だった。

 しかもどうやら、盗賊と組んでいる悪辣な奴隷商人が、外れのほうの村などを襲って、亜人を数人さらっては、他国に売り飛ばすということをしているのだという。

 村人たちは、その時殺されているのだ。

 キャリーも、十歳に満たないときに、家に入ってきた盗賊に襲われ、両親を殺されて、兄と妹とともに奴隷商人の馬車に乗せられたという。

 売り飛ばすにしても劣悪な環境に、妹は衰弱死し、兄とは離れ離れになった。


 なぜウィルがこんなことを知っているかというと、ウィルもまた、その盗賊団に襲われた村の、出身だからだ。 

 違うのは、ウィルのいた村に、ちょうど見回りの兵士集団がいたことで、村は襲われても助かったことくらいなもので、ウィルの親兄弟はその村の最初の犠牲者だった。

 兵士集団は、盗賊からその奴隷商人のことをはかせ、奴隷商人を捕まえた。その時にまだ売られていなかった亜人の中に、キャリーがいたのだ。

 ウィルとそう変わらない少女が、親兄弟を殺されて泣きじゃくるウィルを、慰めてくれ、はなしてくれたのだ。

 ウィルとキャリーは、王都に連れていかれ、孤児院に入ることになった。

 孤児院には自分と同じような境遇の子供たちがいて、悲しみながらもなじんでいった。

 その時に冒険者という仕事も知り、ウィルは冒険者登録ができる年齢になったら冒険者になり、キャリーは孤児院で過ごしながら、様々な特技を生かし、ギルドの受付嬢に就職した。

 

 幼馴染といえる間柄だが、キャリーとウィルの間には恋愛感情などはない。

キャリーは、孤児院にいたときに、自分より年長の少年と恋をし、今では二人の子供を持つ母親だからだ。


「まあ、厄介ごとだな」


 ウィルの声も小さくなる。


「たのめるか?」

「内容によるけど」


 キャリーの特技の一つに、早耳というのがある。

 ウサギ族の特徴だと言っているが、本当なのかわからないが、数十キロ先の会話も聞こうと思えば聞こえてしまうらしい。

 なので噂だろうが、ちょっと耳を澄ますとそれが普通に聞こえてくるのだ。しかも特定の会話を聞き分けることができる。

 なので、早耳、と呼ばれているのだが、この能力は、キャリーがあまり話さないので、知っているのは、ウィルとキャリーの夫と、冒険者ギルドのギルド長たちくらいだ。

 

「ここじゃなんだし、ランチおごってよ」

「わかった」


 昼過ぎに会う約束をし、今回の依頼料を受け取ると、冒険者ギルドを後にする。

 ウィル自身もちょっとしたつてもあるので、情報を集めておかないといけないし、心もとなくなった回復薬を補充しておかないければならない。

 ランチ時間まではまだ間がある。

 それまでにやることはやっておこうと、ウィルは王都の街中を歩きだした。


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