4:冒険者ギルドの受付嬢、キャリー
四話目です。
不定期更新のため、時間があるときにしか、書けません。
最近疲れすぎて、パソコン開くのもつらくなってきました。
4:望遠者ギルドの受付嬢
ウィルは足が速い。
もちろん、今までの経験から、身体強化を使っているからなのだが、それでもほかのものより速く走ることができる。
その経験から、多少遅くなっても、一人でなら、徒歩で半日かかる場所でも、数時間もあれば、走ってついてしまう程に早い。
生身だから、休むだろうという人もいるが、彼は休まないのだ。
なので、馬車と同じかそれ以上の速度なのではといわれている。
競走したことがないので、本人はわかっていない。
王都の門前に来たのは、けがをした青年を、狩人小屋において、一晩明けたときだ。
手持ちの回復薬を置いてきたので、目を覚ませば飲むだろうと思っている。
夜の間は、ウィル自身も休み、陽が昇りかけたころに小屋を出た。
王都の門が開くだろう時間には、門の前の行列に並ぶこともできた。
身分証である冒険者賞を見せ、中に入る。
王都内はもう動き始めているのだ。
王都にある冒険者ギルドに行く。
依頼の達成を報告するためだ。
「ようこそ、冒険者ギルドへ」
いつものように、受付にいくと、いつものウサギの獣人が、受付にいた。
冒険者ギルドは、多種多様な種族がいるのだ。
「あら、ウィルじゃない。珍しいわね」
普段は朝から来ることのないウィルに、受付嬢であるキャリーがコロコロと笑いながら、対応し始める。
ウィルが冒険者ギルドに行く時間にたいていいるので、夜専門かと思っていたが、どうやら朝も勤務しているようだ。
「キャリーこそ、こんな時間からあんな遅くまでやっているのか?」
「仕事ってそういうものでしょ」
確かにそうかもしれないが、いつ来てもキャリーしか受け付けに座っていないように思える。
「あんたの担当が、私なだけよ」
そうだったのかと思う。
そういえば、冒険者になりたての頃、受付は、ある程度のランクになると担当ができると聞いた。
ウィル自身もいつからか、キャリーがずっと受け付けてくれている。
「そうだったか。まあ、ちょうどいいや」
「ちょうどいい?まさか、厄介ごと?」
キャリーの語尾が小さくなる。
今でこそ冒険者受付嬢をしているキャリーは、もともと隣国から売り飛ばされてきた奴隷獣人だった。
しかもどうやら、盗賊と組んでいる悪辣な奴隷商人が、外れのほうの村などを襲って、亜人を数人さらっては、他国に売り飛ばすということをしているのだという。
村人たちは、その時殺されているのだ。
キャリーも、十歳に満たないときに、家に入ってきた盗賊に襲われ、両親を殺されて、兄と妹とともに奴隷商人の馬車に乗せられたという。
売り飛ばすにしても劣悪な環境に、妹は衰弱死し、兄とは離れ離れになった。
なぜウィルがこんなことを知っているかというと、ウィルもまた、その盗賊団に襲われた村の、出身だからだ。
違うのは、ウィルのいた村に、ちょうど見回りの兵士集団がいたことで、村は襲われても助かったことくらいなもので、ウィルの親兄弟はその村の最初の犠牲者だった。
兵士集団は、盗賊からその奴隷商人のことをはかせ、奴隷商人を捕まえた。その時にまだ売られていなかった亜人の中に、キャリーがいたのだ。
ウィルとそう変わらない少女が、親兄弟を殺されて泣きじゃくるウィルを、慰めてくれ、はなしてくれたのだ。
ウィルとキャリーは、王都に連れていかれ、孤児院に入ることになった。
孤児院には自分と同じような境遇の子供たちがいて、悲しみながらもなじんでいった。
その時に冒険者という仕事も知り、ウィルは冒険者登録ができる年齢になったら冒険者になり、キャリーは孤児院で過ごしながら、様々な特技を生かし、ギルドの受付嬢に就職した。
幼馴染といえる間柄だが、キャリーとウィルの間には恋愛感情などはない。
キャリーは、孤児院にいたときに、自分より年長の少年と恋をし、今では二人の子供を持つ母親だからだ。
「まあ、厄介ごとだな」
ウィルの声も小さくなる。
「たのめるか?」
「内容によるけど」
キャリーの特技の一つに、早耳というのがある。
ウサギ族の特徴だと言っているが、本当なのかわからないが、数十キロ先の会話も聞こうと思えば聞こえてしまうらしい。
なので噂だろうが、ちょっと耳を澄ますとそれが普通に聞こえてくるのだ。しかも特定の会話を聞き分けることができる。
なので、早耳、と呼ばれているのだが、この能力は、キャリーがあまり話さないので、知っているのは、ウィルとキャリーの夫と、冒険者ギルドのギルド長たちくらいだ。
「ここじゃなんだし、ランチおごってよ」
「わかった」
昼過ぎに会う約束をし、今回の依頼料を受け取ると、冒険者ギルドを後にする。
ウィル自身もちょっとしたつてもあるので、情報を集めておかないといけないし、心もとなくなった回復薬を補充しておかないければならない。
ランチ時間まではまだ間がある。
それまでにやることはやっておこうと、ウィルは王都の街中を歩きだした。




