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追放王子と生態系調査人  作者: 水野青色
21/23

21:弱い自分をしる

お読みいただきありがとうございます。

久しぶりの更新です。




     21:弱い自分をしる



 隠れ家までの地図。

 いや、この周辺の地図をウィルは見ている。

 この辺りに隠れられる場所や、小屋などあっただろうか。

だが、盗賊たちはこの森を示したので、そこを目指すことに決めた。

 雷虎は、子供のにおいや気配が分かるといいが、もし、何かあったら、この辺りの町や村も巻き込まれてしまうし、へたすれば雷虎自信を討伐しなければならなくなる。

 

 ウィルにとってはそれは避けたいものだった。

 雷虎は、たいてい森の奥にすみ、人を襲うようなことはしない。

 神獣といわれているほどなのだ。


 森は案外近くにあったが、そこに隠れ家があるようには思えない。

だが、雷虎が急に顔をあげたと思ったら、走り出した。


「追いかけるぞ」


 いうや否や、ウィルはもう走り出している。

慌ててルードも走り出すが、雷虎にもウィルにも追いつけそうにない。

 ウィルが木々に切り込みを入れながら走っていくのを見て、それを頼りに進んでいるだけだ。


 ようやく追いついた時には、すべてが終わっていた。

 

 森の奥の小さな小屋。

 その中から漂う、おびただしいほどの血の匂い。

 息を切らせながら中をのぞくと、雷虎が最後の一人だろう生き残りを、かみ殺している姿だった。


「ひっ・・・」


 その声に気が付いた雷虎とウィルがこちらを向く。

雷虎はまだ興奮状態にあるようだ。ルードに今にも襲い掛かろうとしているのを、ウィルが落ち着かせた。


「遅かったな」

「あ・・・お・・・」


 まだ、息が切れているため、うまく話せない。

今の状況を見て、ショックを受けているのも本当だ。

 辺境にいたころ、仲間の死だって見てきたはずだ。なのに今のほうがショックが大きい。

 

「ああ、もう終わったよ。盗賊なんて、死んでても賞金首だからな」


 周りを気にもせず、仔トラの奴隷紋を解除していく。

 仔トラは三頭おり、どれも衰弱していた。


「こんな小屋で一晩明かすのは大変だが・・・、ルード、窓開けてくれ」

「あ・・・うん・・・」


 いわれるまま窓を開けると、ウィルが死体となった盗賊をそこから外に飛ばしている。

 

「水魔法で洗っても、血の匂いは取れないかもな」


 いいながら、血だらけの床や壁を洗い流し、風魔法で乾かしていた。

 生活魔法できれいにしたが、残っていたにおいは取れなかった。


「雷虎、お前はここで子供たちについていてやれ。オレとルードは外で狩りして飯とってくるから」


 その言葉に、雷虎はのどを鳴らす。

 連れられるまま、ルードは外に出た。

 そして出たとたん、吐いた。


「おい、大丈夫か?」

「う・・・うえ・・・・」


 背中をさすってもらうが、胃液しか出てこない。


「こんなのなれないときついよな。でも、魔獣倒すのも、人が死ぬのも、そう変わんないぞ」

「そ・・・うえ・・・」


 ウィルの言いたいことはわかる。だからといって、すぐに気持ちが切り替わることができない。

水を渡され、何とか落ち着いたが、その分だけ落ち込んだ。

 自分はなんて弱いのだろう。

 流されるままだ。


「おーい、早く飯狩りに行くぞ」

 

 ウィルの言葉に顔をあげる。

 今は考えてはだめだ。

 ただついて行こう。

 息を一つつくと、前を見据えた。


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