21:弱い自分をしる
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21:弱い自分をしる
隠れ家までの地図。
いや、この周辺の地図をウィルは見ている。
この辺りに隠れられる場所や、小屋などあっただろうか。
だが、盗賊たちはこの森を示したので、そこを目指すことに決めた。
雷虎は、子供のにおいや気配が分かるといいが、もし、何かあったら、この辺りの町や村も巻き込まれてしまうし、へたすれば雷虎自信を討伐しなければならなくなる。
ウィルにとってはそれは避けたいものだった。
雷虎は、たいてい森の奥にすみ、人を襲うようなことはしない。
神獣といわれているほどなのだ。
森は案外近くにあったが、そこに隠れ家があるようには思えない。
だが、雷虎が急に顔をあげたと思ったら、走り出した。
「追いかけるぞ」
いうや否や、ウィルはもう走り出している。
慌ててルードも走り出すが、雷虎にもウィルにも追いつけそうにない。
ウィルが木々に切り込みを入れながら走っていくのを見て、それを頼りに進んでいるだけだ。
ようやく追いついた時には、すべてが終わっていた。
森の奥の小さな小屋。
その中から漂う、おびただしいほどの血の匂い。
息を切らせながら中をのぞくと、雷虎が最後の一人だろう生き残りを、かみ殺している姿だった。
「ひっ・・・」
その声に気が付いた雷虎とウィルがこちらを向く。
雷虎はまだ興奮状態にあるようだ。ルードに今にも襲い掛かろうとしているのを、ウィルが落ち着かせた。
「遅かったな」
「あ・・・お・・・」
まだ、息が切れているため、うまく話せない。
今の状況を見て、ショックを受けているのも本当だ。
辺境にいたころ、仲間の死だって見てきたはずだ。なのに今のほうがショックが大きい。
「ああ、もう終わったよ。盗賊なんて、死んでても賞金首だからな」
周りを気にもせず、仔トラの奴隷紋を解除していく。
仔トラは三頭おり、どれも衰弱していた。
「こんな小屋で一晩明かすのは大変だが・・・、ルード、窓開けてくれ」
「あ・・・うん・・・」
いわれるまま窓を開けると、ウィルが死体となった盗賊をそこから外に飛ばしている。
「水魔法で洗っても、血の匂いは取れないかもな」
いいながら、血だらけの床や壁を洗い流し、風魔法で乾かしていた。
生活魔法できれいにしたが、残っていたにおいは取れなかった。
「雷虎、お前はここで子供たちについていてやれ。オレとルードは外で狩りして飯とってくるから」
その言葉に、雷虎はのどを鳴らす。
連れられるまま、ルードは外に出た。
そして出たとたん、吐いた。
「おい、大丈夫か?」
「う・・・うえ・・・・」
背中をさすってもらうが、胃液しか出てこない。
「こんなのなれないときついよな。でも、魔獣倒すのも、人が死ぬのも、そう変わんないぞ」
「そ・・・うえ・・・」
ウィルの言いたいことはわかる。だからといって、すぐに気持ちが切り替わることができない。
水を渡され、何とか落ち着いたが、その分だけ落ち込んだ。
自分はなんて弱いのだろう。
流されるままだ。
「おーい、早く飯狩りに行くぞ」
ウィルの言葉に顔をあげる。
今は考えてはだめだ。
ただついて行こう。
息を一つつくと、前を見据えた。




