18:育ち盛りなんです
お久しぶりの更新です。
短めです。
しばらくまだ忙しいので書けません。すみません。
18:育ち盛りなんです
野営地は、小さな湖のそばだった。
森の中にあるわけではなく、小さな森のすぐそばの、開けた馬車道の近くにある。
もしかしたら、人工でできたのかもしれないと、ウィルは言う。
その辺りの詳しいことは、馬車の御者も、馬車の護衛も知らないらしい。
野営地の食事は、各々用意しているので、ルードヴィヒもウィルも、荷物から取り出す。
だが、見た目以上に食べるウィルとしては、少々物足りなくなることも自分でわかっていた。
「ちょっと狩り行ってくる」
「おい?」
「夜にうろうろするやつでも、うまいのがいるんだ。それに、そういうのを調べるのが俺の仕事だからな」
生態調査人としては、夜の獣の調査もやらないといけない。
いつも馬車が通る道だから安全だろうと見過ごしていると、思わぬ獣に襲われるということもあり得るのだ。
「オレも行く」
「ダメだ。お前はここで待ってろ」
「オレだって夜の獣くらい戦える」
「ここにいて馬車の護衛の冒険者と仲良くなっておけよ。お前だって冒険者の端くれなんだからさ。顔見知りになって仲良くなっていけば、いい情報とかもらえるかもしれないんだぞ」
「それじゃウィルだって・・・」
「あのなあ、そんなのとっくに終わってるの。俺はお前と違って有名人だよ」
苦笑する。
生態調査員のウィルは、どこにでも知り合いがいるのだ。
「じゃあ行ってくるからな」
いうが早いか、もう姿が見えなくなった。
ルードヴィヒは仕方なく、ウィルが森に狩りに行ったことを、護衛の冒険者に伝えに行く。冒険者たちもわかっているようで、苦笑しながらもうなずいてくれ、ルードと話し始めた。
野営地からさほど離れていない森の中といっても、夜は薄暗く、闇が深い。
耳を澄ませば、夜に活動する鳥の鳴き声や、獣の足音もする。
ウィルは小枝を拾って、ナイフで削り、それを樹上めがけて投げつけた。
ドサリ
何かが落ちる音がする。
小枝が心臓を貫いているそれは、夜に樹上から襲い来る、サル型の魔獣だった。
「これ、食えるんだったかな」
一瞬の殺気に反応して投げつけてしまったが、食べられなければ意味がない。
まあいいかと、獣を拾う。
次々と小枝を削っては闇に隠れる獣にあて、サル型3匹、ウサギ型4羽、鳥型6羽を仕留め、サル型の魔物は食べる気にならなかったので、近くに投げておく。
ほかの獣がその死体を食べにくる間だけ、安全だからだ。
その間に、ウサギと鳥の血抜きをした。
本当は水にさらしたほうがいいのだが、ここではできないので、血と内臓を抜いた獲物を持って、森から出る。
「あー・・・腹減った」
空腹が限界に達する前に馬車についてよかったと安堵し、起こしてある日の近くで調理し始める。
いい香りが馬車の、そろそろ休もうとしているものたちの鼻腔をくすぐる。
「新鮮なウサギと鳥だ、みんな食べようぜ」
どの魔獣も、大きさが人間の子供くらいあるので、馬車の乗客や冒険者に分けても大丈夫だ。
食事も終わって寝る時間ではあったが、結局みんな起きだして、ウサギと鳥の肉を楽しむこととなった。
一番量を食べたのはウィルなのだが、育ち盛りなんで、と笑って言う。
いやいやいや。それはないだろう。
乗客たち全員の心が一致した瞬間だった。
夜は騒がしく更けていく。




