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追放王子と生態系調査人  作者: 水野青色
18/23

18:育ち盛りなんです

お久しぶりの更新です。

短めです。

しばらくまだ忙しいので書けません。すみません。



    18:育ち盛りなんです



 野営地は、小さな湖のそばだった。

 森の中にあるわけではなく、小さな森のすぐそばの、開けた馬車道の近くにある。

もしかしたら、人工でできたのかもしれないと、ウィルは言う。

その辺りの詳しいことは、馬車の御者も、馬車の護衛も知らないらしい。


 野営地の食事は、各々用意しているので、ルードヴィヒもウィルも、荷物から取り出す。

だが、見た目以上に食べるウィルとしては、少々物足りなくなることも自分でわかっていた。


「ちょっと狩り行ってくる」

「おい?」

「夜にうろうろするやつでも、うまいのがいるんだ。それに、そういうのを調べるのが俺の仕事だからな」


 生態調査人としては、夜の獣の調査もやらないといけない。

 いつも馬車が通る道だから安全だろうと見過ごしていると、思わぬ獣に襲われるということもあり得るのだ。

 

「オレも行く」

「ダメだ。お前はここで待ってろ」

「オレだって夜の獣くらい戦える」

「ここにいて馬車の護衛の冒険者と仲良くなっておけよ。お前だって冒険者の端くれなんだからさ。顔見知りになって仲良くなっていけば、いい情報とかもらえるかもしれないんだぞ」

「それじゃウィルだって・・・」

「あのなあ、そんなのとっくに終わってるの。俺はお前と違って有名人だよ」


 苦笑する。

 生態調査員のウィルは、どこにでも知り合いがいるのだ。


「じゃあ行ってくるからな」


 いうが早いか、もう姿が見えなくなった。

 ルードヴィヒは仕方なく、ウィルが森に狩りに行ったことを、護衛の冒険者に伝えに行く。冒険者たちもわかっているようで、苦笑しながらもうなずいてくれ、ルードと話し始めた。


 野営地からさほど離れていない森の中といっても、夜は薄暗く、闇が深い。

 耳を澄ませば、夜に活動する鳥の鳴き声や、獣の足音もする。

 ウィルは小枝を拾って、ナイフで削り、それを樹上めがけて投げつけた。


 ドサリ


 何かが落ちる音がする。

 小枝が心臓を貫いているそれは、夜に樹上から襲い来る、サル型の魔獣だった。


「これ、食えるんだったかな」


 一瞬の殺気に反応して投げつけてしまったが、食べられなければ意味がない。

 まあいいかと、獣を拾う。

 次々と小枝を削っては闇に隠れる獣にあて、サル型3匹、ウサギ型4羽、鳥型6羽を仕留め、サル型の魔物は食べる気にならなかったので、近くに投げておく。

 ほかの獣がその死体を食べにくる間だけ、安全だからだ。

 その間に、ウサギと鳥の血抜きをした。

 本当は水にさらしたほうがいいのだが、ここではできないので、血と内臓を抜いた獲物を持って、森から出る。

 

「あー・・・腹減った」


 空腹が限界に達する前に馬車についてよかったと安堵し、起こしてある日の近くで調理し始める。

 いい香りが馬車の、そろそろ休もうとしているものたちの鼻腔をくすぐる。


「新鮮なウサギと鳥だ、みんな食べようぜ」


 どの魔獣も、大きさが人間の子供くらいあるので、馬車の乗客や冒険者に分けても大丈夫だ。

 食事も終わって寝る時間ではあったが、結局みんな起きだして、ウサギと鳥の肉を楽しむこととなった。

 

 一番量を食べたのはウィルなのだが、育ち盛りなんで、と笑って言う。

 いやいやいや。それはないだろう。

 乗客たち全員の心が一致した瞬間だった。


 夜は騒がしく更けていく。

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