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追放王子と生態系調査人  作者: 水野青色
12/23

12:冒険者ギルドの規則

お読みいただきありがとうございます。

不定期連載12話目です。だいぶ遅くなり、申し訳ありません。




12:冒険者ギルドの規則



 街の食堂は、天気がいい日は、外にテーブルが出ているところが多い。

 特に、王都から近い街は、王都に向かう冒険者や、王都から出てきた冒険者で、食堂がどこも混雑するからだ。

 中で注文して、外に持ってきて食べる方式がとられているところが多い。


 ウィルも、さっさと一軒の店に入っていく。

 ルードにとっては初めての店だ。

 あれこれ頼んで、トレーに乗せてもらう。

 トレーの一つをルードに持たせ、外のテーブルに持っていかせた。

 さらにもう一つトレーに乗るだけの料理を頼み、あとから外にでる。

 ルードは、隅のほうのテーブル席で、所在なさそうだ。


「待たせたな。さ、食おうぜ」

「あ、ああ」


 所狭しと並べられている料理に、ウィルはどんどん手を付けていく。

 魔力を使ったり、ドーピング材を使ったりすると、なぜか食欲が増進されてしまうのだ。

 ルードも食べ始める。


「まあ、食べながら聞いてくれよ。時間もないしな」

 

 手と口を動かしながら、ウィルは話し始める。


「まず、冒険者になるには、冒険者ギルドに登録しなければいけない。登録するには、試験に受からなければいけない、ここまではいいな?」


 いわれてうなずく。


「冒険者登録料は、金貨一枚。高いと思ったろ。だけどな、これは、二割が登録料、あとの八割が冒険者がなくなった時に、遺族に渡されたり、家族がいない場合は墓を作ってもらって、永代供養代となる。引退した時にかえされたりとかだな。

 あとな、依頼料の一割は、冒険者ギルド預かりとなるんだ。それも返ってくるものだからな」


 一口飲み物を飲む。


「でも払えなかったらどうするんだ?」

「払えない時の措置として、冒険者ギルドに借りるというのがあるんだ。金貨一枚分まで、自分が登録した場所の冒険者ギルドの所属冒険者として、街専の冒険者になるんだ」

「街専?」

「そのギルドがある街専門でやる冒険者だ。いろいろ街の中のことや、ちょっとした討伐、採取などをやるやつらだな」

「どうやってお金返すんだ?」

「依頼料の二割が引かれる。だから、実質、三割が依頼料からひかれて渡されるんだな。渡された依頼料をためて、たまった分で先に帰せば、街専からは卒業できるしな」


 料理があらかたなくなっていく。

 ウィルの食べる速さは、ルードの目の見張るものがある。


「依頼はもちろん、失敗したら、違約金も発生する。依頼料の1,5倍だ。結構痛手だぞ。」

「なんで、そんなに」

「そりゃ、依頼主が頼んだ日までの時間が無くなるからだろ。十日あった依頼を受けたとしよう。五日やりましたが、失敗しました。あと五日でできるかどうか、ということだ。なので、違約金は、依頼主に渡すお詫びと考えればいい。ほかの冒険者に緊急で頼まなければいけなくなるからな。緊急依頼は高くなるんだぞ。あと依頼失敗の違約金、払えなかったら、奴隷おちだな」


 ルードはうなずく。

 

「だから、最初は、期日なしの依頼を受けたり、自分のランクにあった依頼を受けることを勧める。自分の実力以上の依頼を受けて、できなかったじゃすまないんだからな。ギルドの信頼にもかかわるから、受付でたいてい言われるんだが、ちょっと強くなったり、ランクが上がった冒険者が陥りやすいんだよ」

「なるほど・・・」


 ウィルは飲み干したコップを振る。

 中から、それを見ていたのだろう店員が出てきた。

 金を渡し、ルードの分も違う飲み物を頼む。


「で、冒険者ランクな。一番下が、Hランク。これが、お前が受かればなれるランクだ。で、一番上が、SSランク。・・・過去にはいたが、今はいないな。Sランク冒険者が、大きな国に一人いるかどうかだな。片手程だ」

「ウィルは?」

「俺はAランク。ほら」


 ギルドカードを見せる。

 金色のカードに大きくAと書かれている。


「カードは、魔道具だからな。ほかのやつは使えない。依頼料をギルドに預けておけば、どこのギルドでもこのカードで金を下ろせるぞ」

「・・・すごいんだな」

「それだけじゃない。依頼中に亡くなったとしよう。魔獣に食われたりしたら行方不明とかになってしまうだろう。だが、このカードが、本人の魔力に反応するから、なくなったと判断された途端に、最初に登録した冒険者ギルドに現れるんだ」

「えっ!」

「そういう魔道具だ。冒険者ならだれでも知っている」

「ほんとにすごい魔道具なんだな」


 知らなかったことだ。

 自分は何も知らない、ルードはため息をつく。


「あとは・・・お前、植物の区別つく?」

「植物の区別?」

「試験は採取だぞ」

「・・・ああ、それなら、食べられるものと食べられないもの、薬になるものくらいなら」


 辺境にいたとき、飢えを満たすために、森の中の植物を食べた。

 あの頃も今もは生きることに必死だった。


「それなら大丈夫だな。・・・よし、そろそろ行くぞ」

「ああ」


 片付けをするのも、外テーブルを使っているものの仕事だ。

 食器を中の店員に渡し、歩き出す。


「冒険者ギルドに行くんじゃないのか?」

「ん?まず、この街でとまるとこ、宿に入ってからだ」


 ウィルが指さすほうには、大きな宿泊施設があった。

 看板には『冒険者専用宿 ヤラナイカ』と書いてある。


「変わった名前だな」


 ほかの街で見たものは、専用でもなかったし、強そうな魔物の名前がついてたりとかしていた気がする。


「あれは、あの宿と、この街の歴史が関係しているんだ。ここって王都まですぐだろう。街専門の冒険者がいなかったんだ。王都で登録したほうがいいからな。で、この宿を作った主が、泊まる客泊まる客に、街専門冒険者をやらないかって、勧誘していたんだ。で、それに迷惑と困惑した街長が、この宿の名前に変更させて、今に至る。・・・最初は冒険者専用じゃなかったらしいぞ」

「なんで今は?」

「冒険者ギルドの規則で、さっき言ったろう。借金して冒険者になるやつが増えたからだな」

「なるほど」


 そう考えると、自分はウィルに払ってもらったので、街専門冒険者にならなくて済むのだ。

 ウィルにかえしていけるようになればいい。


「ほら、早く入って、宿確保するぞ」


 ウィルに促される。

 ここもウィルが払い、というより、ウィルは、ここに自分の部屋を確保しているのだそうだ。

 年単位で契約して、先払いし、泊まる人が増える場合、その人用の寝台や、食事代だけ、払えばいいのだ。


「ここの部屋だ。あとはお前の武器を買って、冒険者ギルド行くぞ」


 荷物を置くと、すぐに外に出る。

 鐘がなるまで、もう、半刻もないかもしれない。


 武器屋は、初心者用から、ベテラン用、鑑賞用まで、何でもそろっていた。


「合いそうなやつ選べよ」

「わかった」


 辺境にいたときは、ちょっと長めのショートソードを使っていたので、それを選ぶ。

 ふりやすさを重視した。

 ここでもウィルが払う。

 申し訳ないと思いながら、確実に受かって、早めにかえそうと心に決めた。


「冒険者ギルドに急ぐぞ」


 ほぼぎりぎりの時間でつく。


「ルード、オレは手伝えないんだから、頑張って来いよ。終わったら、宿に来いよ」

「わかった」


 ギルドの前で分かれる。

 中に入っていったのを見届け、ウィルはおおきく伸びをする。

 やっと眠れる。

 宿に戻ると、ベッドに横たわった。


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