4.学園生活&ストーリーの始まり
いよいよ来てしまった。この学園に。バリキュールド学園に。弟は特例で一緒に入学。あとは私がヒロインと関わらずに生活しなければならない!と頭で考えていると近くから悲鳴が…はぁ…
「きゃー!」
「君、大丈夫かい?」
コケている少女、その子がヒロインである。その手を差し伸べるのはストーリー通りやはり王太子。ストーリーではこの時に2人は一目惚れ。…なんだけど。
「あっ、ルリー!!やっと見つけた。探していたんだよ?」
「えっ…」
王太子はまさかのヒロイン放置。代わりに王太子の側近である2人、ヒーバード・ルドルフ様とザランド・マルカー様がヒロインを助けてあげた。ヒーバード様は宰相様、ザランド様は騎士団長様のご子息。ホントは、この2人もヒロインと出会った時に一目惚れするが…あの様子じゃ惚れていない。なんでだろ…
「ルリ、あのね………でね!ってルリ聞いてる?」
甘えた声で王太子は話しかけてくる。もー惚れちゃうじゃない!やめてよ!
「ごめんなさい殿下。私ちょっと用事が…」
「ん?」
「だから用事が…」
「今しか時間ないよね?用事は後でも大丈夫なんじゃないかな?」
なんでこうなるの!!もう、無理…
私はほとんどの休憩時間を殿下によって奪われた。友達欲しいのに作れないじゃない!どうしてくれるの!?
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王太子side
今日からルリも同じ学園に通う!なんて嬉しい日なんだ!初めて会った時からの片想いで、ルリの弟と手を結んでやっと手に入れた婚約。ルリの弟は何故か僕の側近になりたいらしい。まぁ、確かに2人のお父様も王宮で働いているからね。そこまで偉い立場ではないけど。そして肝心のルリは全然気づいてくれない。なんでだろ…?そんなことを考えていると目の前で少女が転んでしまった。あまりルリ以外の女の子と話したくないけど仕方ない。手を差し伸べてあげた。
「君、大丈夫かい?」
「あ、ありがとうございます」
とその少女がお礼を言ってその手を取ろうとした時。僕はやっとルリを見つけた。その少女はもうどうでも良くなったので無視してルリのもとに向かった。ルリは驚いた顔をした。そんなことはほっといて僕はルリにたくさん寂しかった気持ちを話した。でもルリは全然聞いてくれない。
その後一緒に行動したいとお願いしても聞いてくれなかったのでちょっとした権利を使ってルリを独り占めした。これから毎日ルリに会える。その幸せで僕は本当に心が満たされた。
その日の放課後自分の側近とルリの弟にルリについて相談した。ルリの弟はルリのこと、側近は女の子に対する態度などなど…色々教えて貰った。ルリ、何があっても君を絶対逃がさないよ?