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パニック・デッド  作者: サイラー
8/12

第八話「扉」

第七話が重複していたので、新たに作った八話を上書きしました。

暗い部屋、床は混乱の様子を感じ取れる程に散乱していた。

暗闇を彷徨い続ける中、ガラス瓶を踏み転び頭から落ちた。

しばらくして男は意識を取り戻した。

「痛ぇ。」後頭部を強く打ったみたいで右手でその場所を触った所、軽い出血を指先で感じ取った。

「暗〜な。どこなんだココは?」少し周りを見渡してみたが真っ暗闇で何も見えない。

「オイ!誰かいねのかよ。」その呼びかけに返事は無かった。

まだ全身麻酔から目覚めた状態のように意識が朦朧としていた。

呼吸を整えながらゆっくりと立ち上がった。

直感で壁際にあるだろう部屋の照明スイッチを探した。

しばらくすると手に壁らしきものが触れた。

その周囲を指先で情報を集めていくうちに、ドアノブを発見した。

「と、扉か。この先は廊下かな?」近くに照明のスイッチらしきものは無かったが。

ドアノブに寄りかかりながら、少し前の事を思い出した。

「そうだ、あの時だ!

俺は部屋の角のベッドで順番に採血に来るスタッフを待っていたんだ。

部屋に入ってきて採血を始めると思っていたら、突然俺たちを襲いやがった。

部屋の奴らが食い殺されて行くのを見た俺は、化け物共を押し退けその場から逃げたんだ。」

ドアノブを回してみた。

鍵はかかっていない事を確かめた。

体はさっきよりは若干マシになった。

「そうだ、青人のやつ大丈夫かな?」

これが夢か現実なのかわからないといった表情をだった。

「俺は世界で活躍できるアクション俳優になるって夢があるんだ。こんな所で死んでたまるか!」

絶対生き抜いてやると決意をして松田はドアを押し開けた。

扉の先も同じく暗闇が続いていた。

手探りで照明のスイッチを探した。

扉のすぐそばにあると思ったが指先からそれらしきものは見つからなかった。

「あるとしたら普通はドアノブ側だろう・・・。」

そう言ってさらに一歩、二歩と壁つたいを歩く。

「よし!」スイッチを松田の指先が触れた時だった。

闇の奥から足音と共に迫り来る恐ろしい気配を感じとった!

「誰だ!」松田の叫び応える事なく、唸り声が迫ってきた。

扉を閉めようとしたがドアが大きく開ききっていた為、今から閉じても間に合わないと判断した。

気配が間合いに入った事を感じとった松田は壁にもたれながら前蹴りで押し返した!

「感覚で蹴ったがタイミングは完璧!」

同時に照明が灯された。

やがて視力が慣れてきて周囲の情報も入ってきた。

目の前には怪物と化したスタッフがいた。

「やっぱり夢じゃねーのかよ。」扉の方へ逃げようと横を向いた時だった。

反射的に体は後ずさりしていた。

追い討ちをかけるが如く、ドアの側にもう一体怪物がいた。

「ヤバいのに挟まれた!」

松田は二体のイービルに部屋の角へ追いやられた。

見覚えのあるの男性医療スタッフだった。

そのうちの一体は首や腕を食われた様な跡が見える。

「俺はすぐに出て行くからよ、あんたらでお互いを食べあっててくれよな。」

まだ間合いはあるので何か武器は無いか見渡した。

壁にはスチールのロッカーが並んでいた。

ここはスタッフ用の更衣室だった。

この部屋の扉は入ってきた所にしか無い。

「開ける扉を間違えちゃったな〜これは、ハハハ。

そもそもここに来たのが失敗だったかな。

ちょっとは反応してよ、聞いてるおたく達?」

ロッカーは狭く人が中に入れる程の大きさでは無かった。

松田はロッカーを開けて武器になるものを探した。

「院内着に、傘に、他には〜。」息を抜く暇もなく二体の化け物が襲いかかってきた。

傘を手に取ろうとしたがそれをやめ、松田はロッカーの扉を上へ引き上げた。

取り外した扉を武器にみたて左には突きを打ち込み、続けて右になぎ払った。

しかしスチールのロッカーの為、倒す程のダメージを与える事は出来なかった。

それでも構う事なく、右にいたイービルに扉をシールドに見立てて体当たりを放った。

松田は倒れた化け物を上から見下ろした。

化け物の首は食われた事により、骨が半分見えていた。

その首めがけてスチールの扉をギロチンに見立てて力を込めて叩き込んだ。

首の骨を断つ事は出来なかったが、スチールの返りが首にめり込んだ。

スチール扉の底を力強く足で踏み込むと、首が転がり落ちた。

背後からもうひとつの気配を感じとり振り向いたが、

身構える体制を整える事ができない距離まで迫られ左肩に噛み付かれた。

強引に振りほどき怪物に拾い上げたスチールの扉で突き飛ばした。

噛み付かれた肩から血が流れ痛みにも襲われた。

体力も底をつきかけ扉を支えに立っているのがやっとであった。

「ハァ、ハァ、患者には優しく頼むよ。」

仰け反ったイービルだったが、再び間合いを詰めてきた。

扉で受け止めたが左腕に力が入らず、受け流す事で立ち位置が入れ替わった。

この事が功を奏し、後ろを振り向くと部屋の入り口が見えた。

松田は部屋を見渡したあと、天井の照明を叩き壊し部屋を再び暗闇にした。

照明の破片が散乱し破片を踏みつける音だけが聞こえた。

スチール扉をイービルに投げつけ、記憶を頼りに元の部屋に戻り扉を閉めた。

足の裏には蛍光灯の破片が食い込んで出血を伴っていたが、

この部屋で呼吸を整えて、気がつく頃には足の裏も肩の傷も癒えていた。

何度か扉を叩く音が聞こえたが、しばらくすると音は止んだ。

松田は力を使い果たし床に寝そべると同時に意識を失い別の何かに変わろうとしていた。

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