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パニック・デッド  作者: サイラー
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第六話「イービル」

脱出に行きづまって諦めかけた時だった、高君の提案に光明の光が差し込んだ。

その作戦はこの状況をネットにライブ配信をしてマスコミやユーザーをこの現場に集めるのだと。

そうすれば大衆の目前で銃撃される事もなく、安全に出ていく事ができるんじゃないかと。

その作戦はいいがここは圏外である。

屋上に出れば電波が入るかもしれない。

そうだとしたら可能性を信じて上に行くしかない。

3人は拳を合わせて、生き残りをかけた戦いに挑んだ。

まずは4階に上がってそして屋上への階段を探そう。

僕達は誰も4階の情報を持ち合わせていなかった。

何故なら入院初日に病院側に言われた事があった。

4階は別の治験中の為に関係者以外は立ち入り禁止となっていた。

しかし今はもう他に打つ手がないので、意を決して4階へ進む事にした。

1階から3階までの安全は確保できたが、4階にはどんな危険が待ち構えているかわからないので、ひとまず僕達は準備をする事にした。

応急手当て用の備品をマイリュックにに入れ込んだ。

3階の奥には生活用の水回り関係があり、そこには浴室、洗濯場、乾燥室が備えられている。

乾燥室にはアルミ製の物干し竿があったので、

高君はこの物干し竿の先端をアンディーの斧でカットして槍をこしらえた。

僕もそのアイデアを真似る事にした。

ただ、長モノは狭い場所では扱いにくい事を想定して、ドラムのスティック程の長さにカットして二刀流だ。

武器は斧と槍と棍棒2本。

護身用には心許無いが、無いよりはマシと言ったところだ。

椅子の背もたれ部を取り外して、プロテクター代わりに体に結びつけた。

僕達はお互いのサポートと連携を確認した後4階へと進んだ。

4階は3階と違って入り口の扉に鍵が掛かっていて中には入れなかった。

僕達がいた3階の扉は絶えずオープン状態で人の出入りが自由だったのに対して、4階はセキュリティーがしっかりしていた。

壁にはカードリーダーが設置されている。

どうやらカード読み取り式のドアロックの様だ。

扉を開けるにはカードキーが必要なので、一旦ありそうな所を探す事にした。

「多分病院の関係者が所持していると思いますよ。」

「そうだよね、僕もそう思うよ。ついでに証拠となる動画を撮りつつ捜索をしよう。」

ドクターやスタッフがカードキーを持っていると思うので倒れている死体の所持品を調べる事にした。

先ほどみたいに死体が急に襲いかかって来ないか警戒しつつ近づいた。

スタッフの所持品からはカードが見つからなかった。

あとはトイレに閉じ込めているドクタータッカーが怪しい。

トイレ内からは歩き回る音が聞こえて来る。

私服に着替え終えたアンディーは取り出したタバコに火を着けて一息ついた後、

斧を片手にトイレの中に入っていった。

しばらくするとアンディーが出てきた。

「これでいいのか?」手にはカードキーを持っていた。

頼もしい男だと感心せずにいられなかった。

僕達は階段で上の階へと進んだ。

カードキーで扉のロックを解除して扉を開けた。

中を覗くと死体も血溜まりも無かった為、少し安心感が生まれた。

間取りは3階と同じで扉を進むと中央広間があり、奥にはスタッフルームやベッドルーム等があった。

スタッフルームの3人がこちらに気付いた。

白衣を着ているので医者だろう。

スタッフルームに乗り込んだ僕達は「今すぐ警察に連絡して助けを呼んでくれ。下の階では沢山の人が死んでいるんだぞ。」と訴えた。

しかしスタッフの1人が「ここは立ち入り禁止だと知っているのか?」と。話を遮った。

信用していないのか、証拠用の携帯で撮った動画を見せる事にした。

すると、「ああ、知っている。」そう答えると机から取り出した拳銃を突きつけてきた。

「ここは大事な実験エリアだ、大人しくその携帯をこちらに渡してもらおうか。」

まさか、この惨劇を仕組んだのはこいつらか。

「お前達があのバケモノを作ったのか!」と問いつめると。

奥にいる男が笑い出した。

「ひゃひゃひゃ。すまない、今回の惨劇は我々としても予想できない事態で申し訳ないと思っている。」

この施設の責任者ショーン博士が話しかけた。

「ショーン博士!」スタッフの一人が声をだした。

「この状況の説明ぐらいしてあげようじゃないか。」

「君たちが考えたイービルという呼び名、良いじゃないか採用しよう。」ショーン博士は笑いながら話し続けた。

高くんに通訳をしてもらいながら僕は話を聞いた。

ここはクローン人間研究所で、その内容は再生医療やクローンの製造方法の運用方法だった。

更に耳を疑ったのが、それらの研究施設が世界中にある事であった。

「アクシデントが起きなければ簡単なこずかい稼ぎで済んだようだが、運が悪かったと思ってくれ。

いい実験データはとれた。あとは貴様らも死んでイービルになりなさい。ひゃひゃひゃ撃てっ!」

スタッフは2回引き金を引いたが、弾丸は誰にも当たらなかった。

しかも2発目の薬莢が装弾不良を起こしてしまった。

「あぶねー、ふざけるな!」

アンディーは斧を投げつけ、それに続く様に僕達も反撃をしかけた!

斧はスタッフの頭に刺さり倒れ込んだ。

高君は槍でもう一人のスタッフに対して銃口を定めさせなかった。

僕は倒れたスタッフから拳銃を奪った。

「ここは一度、体制を立て直すぞ。」

ショーン博士とスタッフが扉の奥へ逃げ出した。

追いかけたが扉に鍵がかけられて開けることができなかった。

「クソ、この扉開かねえぞ。」

追跡は後回しにして、当初の予定通り携帯を使って助けを呼ぶ事にした。

携帯の電波状況を確認したが、この場所は圏外のままだった。

「建物内はやっぱりダメね。

やっぱり一度外に出て確かめてみるしかないね。」

屋上へと続く階段を探す為、大部屋のベッドルームの方を確認しに行く事にした。

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