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パニック・デッド  作者: サイラー
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第五話「出口」

2階へ降りた時、松田がアンディーに襲いかかっていた。

どうなっているんだ。「松田しっかりしろ!」と叫んだ。

3人がかりで松田を近くの部屋へ押し込み扉を閉めた。

今は凶暴化しているけど、きっと元に戻る。そう信じて僕達はここから脱出する事にした。

幸いアンディーは噛みつかれてはいないようだが、不意打ちで倒された時の傷から出血していた。

止血処置を施したものの、万全の状態では無いようだ。

英語も日本語も話せる高君にアンディーの言葉を通訳をしてもらいながら状況を確認しあった。

大部屋にいたアンディーは検査にやってきたスタッフ達に突然襲われたが、命カラガラ逃げ出す事が出来た。

他の治験者達は襲われた時に殺された様だ。

どうして凶暴化して襲ってきたのか僕達は分からなかった。

僕達はこの得体の知れない化け物の事を「イービル」と呼ぶ事にした。

奴らの特徴は異常な再生能力であり、頭部を破壊しない限り何度でも襲って来る。

なぜこんな事態になったのか理解が出来ない恐怖で冷静さを見失いそうになりかけた時、

「スタッフの皆さんがおかしくなったはストレスが原因ですかね?これはブラック企業かも」と

高君が冗談を交えてくれたお陰で少し緊張が緩和された。

とにかく脱出しなければ。3人で出口に向かった。

出口は1階中央ホールを出て待合室を通り抜けた先にある。

2階の廊下にパイプ椅子があったので、僕はこれを武器として持って行く事にした。

僕達3人は周囲を警戒しながら1階へ降りた。

何事もなく出られないかと願ってみたが、運悪く待合室に2体いた。

ここを抜けないと外に出れそうに無い!

3人で協力して倒す事にした。

待ち合い室に入ると向こうもこちらに気づいた様で、襲いかかってきた。

負傷中のアンディーをかばいながら、身を守るには心許無いパイプ椅子という武器で戦った。

いくら殴っても起き上がってくる化け物を相手に、負けそうになった時だった。

アンディーが何かを見つけた、「Disaster prevention」の文字が。

それは防災時に使用する斧だった。

斧を収納ボックスから取り出しその刃先を化け物共の頭に叩き込んだ。

頭部を破壊する事によって、イービルの動きが止まった。

僕と高君がアンディーに礼を伝えた。

よし、これで脱出できる。

そう思い出入り口扉の先を見たら鉄条網のバリケードが強固に張り巡らされて出られなくなっていた。

いつの間にか建物は封鎖されていた。

ここからはバリケード以外は何も見えないが、多数の動く影が所々に見えた。

僕達は大きな声で助けを求めた。

しかし僕達の声は暗闇の中い吸い込まれるだけで応答が無かった。

「ウソだろ、聞こえていない訳がない!」

アンディーが怒りをあらわに斧でバリケードを切りつけた。

道の奥の茂みの中から微かな光の反射に区づいた時、僕達は銃口で狙われている事に気がついた。

このままでは撃たれると感じ、アンディーを連れて中へ引き返す事にした。

この状況で救助が無いと言う事は、何者かの計画に巻き込まれたとしか思えない。

軍か警察かわからないが、病院内から誰も外に出さない様に警戒している。

さっきまでは化け物の正体がわからずパニックに陥っていたが、

何者かに嵌められたと悟った僕達の感情は恐怖から怒りへと変わった。

怒りは収まらないけど、ここからの脱出が最優先という事は3人ともわかっているので、他に出れそうな所を探す事にした。

窓には鉄格子があり、人の体が通り抜ける事が出来ない作りになっていた。

2階そして3階とこの建物の窓には全て鉄格子が付いていた事に、今さらながら気付かされたのだった。

僕達は行き詰まってしまった。

部屋の時計は夜中の2時を回っていた。

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