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鬼の祭典  作者: 月海創
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どうやら世界は滅びるらしい

 それは唐突であった。

 お茶の間のテレビが、憎たらしい顔と共に申し上げたことによると世界は滅亡するらしい。

 それは自分が考えていた事よりもあっけなく説明され、「見てくださいこの数式、だからこの結果が生まれるのですね」と言わんばかりに、置いてきぼりに、また、必然だ、というように。驚きもせず、慌てもせず、ただ重要な事なのだということだけが胸にしみる。アナウンサーすらも、半信半疑、ただ職務をまっとうしているようにすら思える。

 だってそうだろう、私は、世界滅亡が核戦争で来るものだと思ってた。友人は小惑星の衝突を強く主張していた気がする。他のある人は大災害を想定していただろうし、きっと大氷河期の到来を考えた人もいただろう。

 だが、このキャスターは何一つそういうことについて語らない。ただ、ある人が世界滅亡を予言して、方法も何も語っていないかのように。

「続報です。存在Rから、世界滅亡に関する具体的手法が伝えられたそうです」

 それは

「隠匿された数多の叡智の複合術、だそうです」

 よくそのクエスチョンマークがつきそうな気持ちを抑え切れたと思う。確かに、何を言ってるかわからないし、もしこれが真実なら古代のオーパーツで世界を滅ぼすとでも言い始めるのだろうか?

「では、これからその存在Rからのデモンストレーションがあr」


 画面が、砂漠のものに映り替わった。


 あまりにも突然で、それでいてありえない。だが、ニュースが見れないなら、私の目的と違うから、テレビをつけとく理由がない。私はリモコンのボタンを押してテレビの電源を落とした。

落ちない。

 何度ボタンを押しても、本体の電源ボタンを押しても、果てはコンセントを引っこ抜いても、その映像は流れ続ける。ただ、荒廃した砂漠に風が吹く、その映像だけがあいも変わらずそこにあった。その圧倒的な不気味さに私は背筋が寒くなっていく。不可思議だ、何が理由かわからない、意味不明、ただ簡潔に恐ろしい。

 私は近くにあったブランケットをかぶり、スマホの電源を点ける。せめて彼氏の声が聞きたい。ほんの少しでも安心したい。その思いでスマホの電源を点けた。なのに、その画面には風の吹く砂漠だけが広がる。テレビと全く同じ映像がそこにあった。

 つい小さく悲鳴を上げ、スマホから飛びのく。固定電話に走り、急いで彼氏の携帯番号をダイヤルする。いや、またこれもむなしく、ただ、風の音がする。恐る恐る覗いてみれば、荒いドットのスクリーンはそこが窓だと言わんばかりの美しい砂漠の光景を映していた。

 そして、突如、そのスクリーンに同時に一人のフードを被った人間が映された。

 そして、比喩ではなく、世界滅亡のカウントダウンが始まった。

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