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プロローグ 見つからない
「誰か、いないのか」
そうやって言葉を送っても、きっと誰にも届かなかった。
孤独を腐らせる僕の目に映る風。
今僕は立っている。
道の上に立っている。
どこから来て、どこに行くのか。
ただずっとまっすぐ続く道の上に立っている。
「ここは、どこなんだ」
誰に言うでもなく、僕はつぶやく。
砂と岩の大地。
その果てへと続いている、アスファルトの舗装。
「僕は、誰なんだ」
僕は、気がついたらここにいた。
ただずっと続いている道と大地。
どうしてこんな場所にいるのか、分からない。
自分の名前も分からない。
いつからここにいるのかも、よく分からない。
よく分からないまま、僕はそれでも歩くことにした。