私は… ''人嫌いの少女の物語''
わたしは都会が嫌いだ。右にも左にもひと、ヒト、人。わたしは敏感だったのかいつも誰かの気配がした。生まれてこの方、心が休まったことなんて一度もなかった。だった14年しか生きていないのに生意気な事だとは思うがこれがわたしの率直な感想だ。'疲れた'のだ。生きていることに。人の波に飲まれて人に合わせて生きる生き方に。
そんなある日、親の転勤が決まった。転校が決まったのだ。みんなよくアニメやドラマとかで見る別れのシーンみたいな事をやってくれた。わたしはいつも通りそれに合わせた。
転校先は自然が豊かな所だった。山の隙間に小さな集落があり、後は今の人生で見たことが無いほど美しく深い緑。正直に圧倒された。父はこの近くの山の調査として配属された為か集落から少し離れた山の中に暮らすことになった。正直な感想はジ○リのある作品の5月姉妹の気分になった感じだった。だが、私は彼女達ほど幼くなかった為にそんなにはしゃぎはしなかった。だが、この素晴らしい緑に虜になっていたのは紛れもなく事実だった。その為に私は足繁く山に行った。このまま山に溶けてしまいたい。そんな事を考えるようになった。ある日気づいたら私は見知らぬ神社の前にいた。その神社は何処か現実味が無かったがこの世とは思えない程美しく、魅力的だった。神社に見とれていると境内の裏手から幼い少女が現れた。そして少女は私を見るや否や青ざめた。”どうして人間がここに…”意味が分からなかった。まるで人間がここには来れないような言い方だったからだ。少女はため息を吐き私に近づき”突拍子が無いことですが冷静に私の話を聞いてください。そしてこれから話す事は全て事実です。”ありきたりな言い回しをした後にまるで中二病的な事を少女は言い出した。
簡潔にまとめるとここは影の中らしい。この世界はまやかしの世界で中にいる者の想像で簡単に世界が変わってしまうらしい。
私は為にし想像した。あの汚い人混みを。すると世界は一転、行け度も行け度も人、ヒト、ひと。そしてまた目を閉じて元の場所を想像する。すると世界は元の姿に戻っていた。少女は”分かったでしょ”と悲しそうな目で言った。そして最後にこう付けたした。''ここは元の世界に絶望した人が最期に訪れる終わりの地。つまりあなたの現実世界での活動が終了したことを意味します。”こいつが言った事は何故か理解出来た。回りくどく私に配慮して言ってくれたがつまり私は死んでしまったのだ。妙に説得力のある中二設定。全く違和感が無い世界。実は心の何処かでこうなることを望んでいた自分がいる。でも、どうして涙が出るのだろう。私は美しく深い緑に囲まれて泣き続けた。