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プロローグ

 作者です。

 これは以前から少しずつ書いてた作品です。


 もう1つの方と違って、こっちはログアウト不可。おまけに現実の世界になっている、という設定です。

 読んで、面白いと思って頂ければ幸いです。


「う、う~ん・・・あれ? ここは・・・」


 目を開けて最初に入って来たのは、豪華な装飾が施された家具類が並べられている一室。

 眠ってたみたいな少しボーッとする頭を動かして部屋全体を見ると、間違いようも無い。ギルド内にある僕の部屋だ。

 それにさっきから、視界の端にチラチラと白銀の長い髪が見えて、おまけにそれが肩や背中に当たっている感触がする。

 変だな。僕は確か、現実の自分の部屋で寝てた筈・・・だよね?


 うん。頭もしっかりとしてきて思い出してきたけど、宿題を終わらせてベッドに入って寝た、それは間違いない。

 なのに、何で・・・・・・

 まあ、良いや。取り敢えず、ログアウト・・・・・・あれ?ログアウトボタンが無い?


「い、いや。そんな筈は無いよ。まだ寝惚けてるのかな? えっと・・・・・・無い。やっぱり無い!」



 ログアウトボタンが無くなってる?それじゃあどうやって終われば・・・!そうだ、GMに連絡すれば良いんだ。そうすれば・・・・・・無い。GMコールも無くなってる。

 何で、一体何で・・・・・・


  コンコン


 っ!ノックの音。誰か居るんだ。そうだ、何も僕自身が連絡しなくても、他の人にして貰えば良いんじゃない。は、はは、あ~焦った焦った。


「はい、今開けます」


 僕はベッドから起きると、扉の前まで行ってドアノブを捻って扉を開けた。

 すると、そこに居たのは


「ダン! 良かった。実は・・・」

「リリィ! ログアウトかGMコール出来るか?」

「へ?」


 今、ダンは何て・・・ログアウトにGMコール、もしかして


「ログアウトとGMコールボタンが無くなってるの?」

「っ! リリィもか・・・」


 ダンは落胆するみたいに項垂れたけど、リリィ『も』って事は・・・


「ダンも無いの?」

 

 僕が恐る恐る聞いてみると


「ああ、どっちも無くなってた」


 そう呟いた。


「う、ウソ!」


 そんな、大丈夫だって思ってたのに・・・それじゃあ


「それと、城の中を見て回ったけど、誰も居なかった。プレイヤーは勿論、NPCまで、誰1人としてな」

「え?ちょっと待った。プレイヤーは兎も角、NPCまで居ないなんて・・・」


 城内にはプレイヤーを手助けしてくれるNPCから、会話だけのNPCまで複数存在している。だから城内にNPCは絶対に居る筈なのに。誰もなんて・・・


「それで、最後にこの部屋に来てリリィと会った、って訳だ」

「そっか・・・」


 僕とダン以外は誰も居ない?ゲームのバグ?それとイベント・・・・・・いや、バグは兎も角、イベントでは無いな。

 でも、それじゃあ・・・


「それと、(ほお)(つね)ってみろ」

「へ? (ほお)を?」

「良いからやってみろ」


 やってみろ、って言われても・・・イタタタ・・・あれ?何で・・・


「感覚があるだろ?」

「うん。でも、ゲームなんだよ。痛みを感じる筈が・・・・・・っ!」


 ゲーム内では多少の感覚はあるものの、そこまで強い感覚は無い。

 まあ、それは当然と言えば当然だ。モンスターに倒されたりした時の痛みが、そのまま伝わったらショック死する可能性だってある。だから、『痛い』なんて感じる筈がない。

ま、まさか。でも、そんな事って・・・・・・


「ゲームの世界に転移。って事だな」

「そんな・・・でも、そう言えば五感がハッキリとある」


 さっきまでは慌ててた所為で気が付かなかったけど、服の感触とかがある。

 そういった類のラノベは読んだ事があるけど、まさか自分が体験する事になるとは夢にも思って無かったな。

 それにしても・・・・・・う~、気にし始めたら、何か恥ずかしくなってきたな。よく考えたら、今僕が着てるのは真っ白な軽装の服に淡い水色のスカートっていう、完全に女性用装備だからスース―する。


「とりあえず、外に行ってみないか? まだ外は探して無いから、もしかしたら誰か居るかもしれないしな」

「そっか、よし! ここで考えてても仕方ないし、探しに行ってみよう」


 そうだね。もしかした外には、誰か居るかもしれないし・・・・・・。





――――――――――――――――――――





「誰も居ないな」

「うん、誰も居ないね」


 外に出てみても、やっぱり誰も居ない。

 ギルドに続く大通りは勿論、裏道や脇道、並んでる店の中まで探したけど、誰も居なかった。

 もしかして、って可能性を信じてたんだけどな。おまけに、家や店の中はガランとしてて、ほとんど何も無かった。これは、ギルドの各部屋にも言えた事。唯一例外だったのが、僕とダンの部屋だけ。

 けどこれって・・・・・・。


「訳が分からん。一体全体、何が起こったんだ?」

「・・・少なくとも、今分かってるのは、

①僕達はゲームの世界に転移、もしくは取り込まれた。

②ギルド内には誰も居ない。

③ゲーム時の魔法や装備は使用できる。

っていう、この3つだけか・・・」


 はあ、どうしたもんか。一応、魔法を使ったりアイテムを使えるのは確認できたけど、やっぱり・・・不安だな。


「仕方ないな。ちょっと遠くまで行くか。リリィ、移動用ドラゴンを出してくれ」

「ん、了解。【セリア・リ・デミン・サモチェンエス】 召喚『ホワイトドラゴン』」


 僕がゲームで使う時と同じ様に詠唱を唱えて召喚魔法を使うと、目の前に白い魔方陣が現れて、そこから1匹の真っ白なドラゴンが召喚された。

 ゲームの時でも充分臨場感があったけど、今じゃその時の比じゃない。なんせ息とか翼の羽ばたきから来る風まで、しっかりと感じられる。


「それじゃあ、行こっか。それで、目的地は?」

「そうだな・・・とりあえず、1番近い『デフィリア町』まで行ってくれ」

「了解」


 ゲームと同じ様に僕とダンが背中に乗ると、『ホワイトドラゴン』はこっちを見て『キュルル~』と声を上げると翼を羽ばたかせながら飛翔した。

 

「「・・・・・・」」


 移動中、僕とダンの間に会話は無かった。

 ただ、揺れる髪と肌に感じる風が現実味を帯びてる。それが余計に、この世界がリアルだと感じさせた。

 それから、5分位飛び続けると、町が見えた。


「あ、あれだね。・・・ん、あっ、ダン! 人が居るよ」

「ああ、どうやら誰も彼も居なくなった、って訳じゃ無さそうだな。とりあえず、近くに降ろしてくれ」

「了解」


 ダンに言われて僕はホワイトドラゴンを町の近くの開けた場所に着陸させた。ダンは口にはしてないけど、口調が少し柔らかくなってる。やっぱりダンも誰も居ない事に不安だったみたい。

 ホワイトドラゴンから降りると、ゆっくりと霧の様に消えていった。

 そこから、少し歩いて行って町に到着した。

 町には人が居て賑やかだ。


「良かった、それじゃあプレイヤーを探して話を聞いてみよっか」

「そうするか。んじゃ、俺はあっちを探すから・・・」

「僕は、こっちか。了解、それじゃあ時間はどれ位にする?」

「んん~、大体1時間で良いだろ。んじゃ!」


 あ、行っちゃった。・・・・・・よし、僕も探すか。






 ―――――1時間後


 ・・・はあ、まさかとは思ってたけど、本当だったとは・・・・・・。


「リリィどうだった、って、その様子じゃ・・・」

「ダン。うん、やっぱりというか薄々そんな気はしてたんだ。でも、まさか・・・この世界が現実(・・)だなんてな・・・」


 ゲームの世界に転移、いやキャラに憑依の方が正確か?

 まさか自分が当事者になるとは思ってもみなかった。


「やっかいな事になったな」

「うん・・・ところで他に分かった事はあった?」

「ん? ああ、他には話しを聞く限り、

1、この世界は俺達がプレイしてたゲーム時代より、さらに1000年後だって事。

2、ステータスが普通にあってそれを見る事が出来る事。

3、ゲームの時より、武器や防具、魔具の性能が低いって事。

4、レベルとスキル値が軒並み低い。

それと、これが1番重要かもしれないな。この世界には所々に入る事が出来ない場所が点在してる。そして、『ジェネシック』のある場所もそれに分類されてる・・・」


 『ジェネシック』、それは俺達が作ったギルドで、さっきまで居た場所だ。

 そこに入れないって事は・・・


「まだ、ギルドのゲートプログラムが動いてるって事?」

「多分な。それにこの世界が現実でゲームとは違うとなれば、NPCもプレイヤーと同じ扱いになってる。だから、商人すら入れなかったんだろ」


 ゲートプログラム、早い話がギルド内に入る事が出来るのは、ギルドメンバーとギルドマスターが許可書を渡した者、それからNPCのみ。

 それ以外のプレイヤーは勿論、モンスターさえ一定の条件以外では入れない様になってる。

 ちなみに『ジェネシック』のギルドマスターは僕で、ダンは副ギルドマスターをしていた。


「とりあえず、もう少し情報が欲しいな。ここから1番近くて大きい街となると・・・」

「『デルバルン』だね。確かそこまでって・・・」

「ホワイトドラゴンで10分だな」


 本当ならすぐに飛んで行きたいけど・・・


「ホワイトドラゴンは止めた方が良いな。話を聞く限り多分、召喚魔法を使える奴なんて、ほとんど、もしくは全く居ないって事だろうからな」

「うん、でも何でこんなにもスキルレベルの低い人達ばっかりなんだろ・・・」


 まあ愚痴ってても仕方ないし、歩いて行くか。

 幸い、というか。この付近に出現するモンスターのレベルは僕達よりも遥かに下。

 分かりやすく言うと、ドラゴンとスライム位のレベル差がある。はい、そこ!スライムでもレベルが高かったらドラゴンに勝てる。とか言う屁理屈は言わない。あくまでも、分かりやすい感じで言っただけだから。

 とは言っても、これは現実になった世界。ゲームの時とは、勝手が違う。

 現実とは体の性能が違い過ぎて、上手く扱えない。

 下手したら、動きに意識が付いていけず、とんでもない事になりかねない。

 だから、なるべく体を動かして慣れた方が良いかな・・・・・・。


「『デルバルン』行き、もう出るよ。これで全員か?そうなら行くぞ」


 ん?何だ?

 僕が見付けたのは、町の入り口近くで馬車が数台と、そこで呼び込みをしてるおじさん。それに、その馬車に乗ってる数十名の人達。


「あの、何ですか?これって・・・・・・」


 取り敢えず、指示をしてる人に聞いてみた。


「ん? ああ、『デルバルン』に一緒に行く人達だよ」

「一緒に・・・そっか。あの、僕達も一緒に乗せて貰えませんか?」

 

 正直、歩いて行くよりも楽そうだし、ついでに色々聞けるかも・・・


「それは良いが嬢ちゃん金は持ってるのか? この馬車は有料だ」

「えっと、幾らですか?」


 まあ、僕もダンも所持金は、かなりあるから足りないって事は無いと思うけど。


「1人2,000Zだ。それで良いなら乗んな」

「はい。ダン、良いよね」

「まあ、俺も早く着きたいから良いぞ」


 んじゃ、決定!

 アイテムウィンドウから2,000Zを出して渡した。ダンも同じ様に渡してた。

 それを確認したら、「こっちだ」と言われて、幾つかある馬車の内の1つに乗った。

 僕達が乗った馬車には、他にも5人程居る。

 

「えっと、よろしくお願いします・・・」

「ども」


 僕達が挨拶をしたら1番近くに居る小さな女の子が近付いてきた。


「こんにちは。あのね、私、メアリって言うの。お姉ちゃんは?」

「僕の名前はリリィだよ。よろしくね」


 僕達が互いにあいさつをしてたら、この子のお母さん?が来て


「はじめまして、私はこの子の母のメリーと言います」

「あ、ご丁寧にどうも」

「いえ、えっと・・・後ろの方は」

「ああ、俺はダン。よろしく」

「こちらこそ、よろしくお願いします」


 それから4人で少し話してたら


「それじゃあ出発するぞ」


 武装した男の人がそう言って、馬車は出発した。

 






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