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吟遊詩人の流離い歌

大罪の花

作者: 綾織 吟

その花は戦火の中にありながらも力強く咲き誇っていたそうだ。誰よりも気高く、誰よりも高貴で、誰よりも強かった戦場の花だ。

その花は真っ白な花で誰もが魅了されたのであろう。

しかし、いつからだったのか、その花は紅く染まり始めた。そう、血という紅でその白い花弁を自ら穢していったのであろう……

一体どれほどの人を殺めたのかも知れない中、一輪の花はふと気付いた。

自分の周りにはだれ一人として立っていなかったのだと……

これは一輪の花が犯した大罪、どんな罰をも受け入れることはできなくなってゆく大罪であり、一生に渡って掛けられた大罪という名の呪いだ。

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