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氷室の野望(仮)  作者: 和音


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9 現し世【襲来】


「ふぅ……」

(うつ)()に戻った真紀は、大きく一息つきヘッドセットを外した。


そして、しばし呆然。


……

………

…………凄かった。

いやーーーー凄かった!!!!


完璧でも完全でもないよ?

しかし、

でも、

空前絶後の超絶怒涛の世界だった。

やばすぎた。


しばらく(もだ)える。


【落ち着くまでしばらくお待ちください。】




そして3分後――

落ち着いた。


冷蔵庫からペットボトル入りのコーヒーを取り出しカップに注ぎ、電子レンジへ入れる。

ブーンという音と共にコーヒーが温まり始める。


さて、と。

まずはいくつかの改善点を修正しよう。

頭の中で整理してみる。


・オープニングのぷかぷか文字の見直し

・ログイン時の画面全体回転の修正

・体感温度の調整

・尿意は無くす

・感情ログの表示。でもこれは検討かな。


ふと時計を見ると、実時間ではほんの30分程度のプレー時間だった。

それでもこれだけの改善点か。

でも、やりがいはある。凄くある。


そして、やはり一番気になるのは

―【警告】

―歴史乖離(かいり)率 1.1%

―許容範囲内

の表示。


ただの状況表示なら気にならない。

でも、【警告】の文字は気になる。


――"ピーピーピー"

コーヒーが温まり終わった。

電子レンジから取り出し、PCへ向かう。


椅子に座るとキーボードを取り出し、早速AIへ確認してみた。


『プレー中に表示された、【歴史乖離率】と【警告】は何?』

AIが答える。

『【歴史乖離率】とは、プレーした内容がもたらした結果により、実際の歴史との整合性がどれだけ乖離したかを数値化したものです。』


ふむふむ。


『【警告】とは、プレーした内容がもたらした結果により、実際の歴史と異なるストーリーになる事を喚起するものです。実際の歴史を体感したい場合に意向通りにプレー出来なくなる可能性があります。』


なんだ、そういうことか。


『実害はない?』

『実害とは何を指すかによりますが、実際の歴史を体感したい場合に意向通りにプレー出来なくなる可能性があります。』


さすがAI。言葉(日本語)に厳しい。


『現実の世界や、身体に対する実害はない?』

『現在のところ、そのような実害が発生する可能性はありません』


良かった。安心あんしん。




と、その時――


――"ピーンポーン"

家のチャイムが鳴った。


誰だ?こんな時に……。

そう思いながらドアホンのモニターを見る。

するとそこには、モニター越しでも分かる超イケメンかいた。


―げ。

美貌に似合わないコメントが思わず口から出てしまった。


そこに居たのは、弟の氷室誠人(まこと)(18)だった。

いきなりの襲来(しゅうらい)である。


そうか。

今日やっと例のヤツがプレーできる事をコイツには伝えていたんだった。


「あーけーてーよー」

ドアホン越しにのたまわる誠人。

「はいはーい」

そう言いながら玄関まで歩いて行き、開錠した。


すると誠人は入ってくるなり、

「どうだった??出来た?凄かった???」


いきなりの質問だらけである。

でも、悪い気はしない。


私はニヤリと笑って

「……やばいよ?」

と言うと、誠人はどかどかと部屋に入ってきた。


「やらせて!」

そう言って誠人は目をキラキラさせている。


「まぁ落ち着きたまえ、誠人くん」

そう言うと椅子に座り優雅にコーヒーを一口啜る。


「早く!ヘルメット2個あるんでしょ??」

喰い気味に誠人が言う。

「ヘルメット言うな(笑)。ヘッドセットと言いたまえ」


そう、実はこのゲーム。

複数プレーが出来る仕様なのだ。

ただ、今はまだ2人まで。


「でもね、ちょっと待ってて」

そういうと私は再びPCに向き合ってキーボードを打ち始めた。

「何なに?」

「ん。ちょっと調整」

改善点の即対応として、体感温度の調整と尿意を無くす部分をやる事にした。


―体感温度パラメータ、マイナス補正20%。

―排泄欲求フラグ、OFF


キーボードを叩きながら私は呟く。

誠人は後ろでうずうずしている。


「ねえまだ?」

「待て。品質保証ナメんな」

バグは潰す。これは絶対。


数値を再コンパイル。AI再同期。

ログに異常なし。

……一行だけ、気になる表示。


―adaptive_history_stabilizer : active


ん?

こんなモジュール名、つけた覚えない。


「ま、いっか」

深く考えない。今は楽しい方が勝つ。


私は立ち上がり、棚からもう一台のヘッドセットを取り出した。

「はい。誠人くんの分」

「きたあああ!!」

ほんとに18かこいつ。


「注意事項」

「はい先生」

「死なないけど痛みゼロじゃない。あと、勝手に歴史破壊しない」

「えー」

えーじゃない。


「乖離率っていう数値があるの。上げすぎると――」

言いかけて、止まる。

私はまだ"何が起きるか"知らない。


「……面倒になる」

「雑!」


二人でヘッドセットを装着する。


「いくよ」

「3、2、1」


クリック。



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