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氷室の野望(仮)  作者: 和音


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2/15

2 プロローグ②


ストラテジー。

シミュレーション。

タクティクス。


私が好きなゲームの部類だ。


某ゲーム会社が長年に渡りシリーズで出している『○△の◇□」。

私が生まれる前からのシリーズ含め、全作品を遊んだ。

もちろんオンラインも。


そして、このゲームをやった事がある人なら、誰もが想像し夢見た事があるはずだ。


――この世界の中に入りたい。



私もそうだった。


ここ数年で映像も格段にキレイになり、VRやARが普及し、モノによっては没入感が凄いゲームもある。

ただ、私が求めるもの。

誰もが一度は求めるのはその「世界の中に入りたい」だ。


視覚。

聴覚。

触覚。

嗅覚。

味覚。

……痛覚だけは御免だけど。


大手ゲーム会社のディレクターやプログラマーも、少なからず一度は夢見たはずだ。


そんなゲームを、私は大学在籍中から作ってきた。

けれど私のような美形をもってしても(関係ないけど…)多くの壁にぶち当たっていた。

そんな、行き詰っていた私に光が差した。


AIエー・アイである。


AIとは――

Artificial Intelligenceの略。

日本語で言うところの『人工知能』の略称で、人間のような知的活動をコンピューター上で再現する技術の総称を指す。


実はこのAI、中身は多種多様なのである。

大きく分けると2種類。特化型AIと汎用型AIがある。

後者の汎用型AIは、人間と同様の知的行動が出来るAIで、現時点では研究段階にある。


私が着目したのは前者の特化型AI。

このAIは、大量データの高速処理やパターン認識、反復作業の自動化などが得意なのだ。

医療分野や自動車の自動運転技術がこれに該当する。


私は、この特化型AIにこれまで培った技術と、「僕(私)が考える最高のげーむ」の内容を徹底的にインプットした。


有名武将の性格や思考回路、各能力を見える化してそのパラメータを。

自動生成のアルゴリズムを作って、その世界だけで登場する仮想人物や仮想武将。

そこらに存在する農民や町民、大工や医者などの職業、犬や猫にまで至る性格などの自動生成。

天候、時間などなど。


その結果出来たのが――

体感型の戦国シミュレーションゲーム、『氷室の野望(仮)』である。

うーん……控えめに言って名前はダサい。



がしかし、この氷室の野望(仮)。


ざっくり言うと電子回路を組み込んだヘルメットを被ると、物理的に脳波に干渉して

―視覚

―聴覚

―触覚

―嗅覚

―味覚

この全てを体感することが出来るのだ。


但し、痛覚だけはある一定のレベル以上は体感出来ないようにプログラムが組まれている。

そして、死ぬこともない。

ゲームを中断したい時は、そう念ずる事で現実世界に戻ってくる事も出来る。


そして、遂に今日完成し、初めて自らがそのゲームに入る予定なのだ。


どう?

凄いでしょ??


ただ、凄い(イカれてる)のは、私は一切これを公表するつもりはない。

お金儲けではないのだ。

全てが自分のための、別の人生をバーチャルで楽しむためだけのモノだった。


うん。自分でも頭おかしいと思う。

コレ、親にも言ったことが無いもん。


そんなこんなで私は今、仕事どころではないのだ。

時計の針は16時50分を指している。

あと10分。


いよいよなのだ……ワクワクであるっ。




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