11 続きからはじめる(1567年4月15日 徳川家)
目の前に浮かぶのは、選択肢。
―1. 母娘の親睦を深める
―2. 情報収集(築山派の動向)
―3. 将来フラグ対策
3番、物騒すぎる。
でも当然3だよね。
えいっ。目力クリック。
私は築山御前の袖をちょこんと掴む。
「ははうえは、いつもお忙しいから」
築山御前の目が柔らかくなる。
―築山御前 好感度 +8
―内部政治安定度 +2
いいねいいね。
すると家康が立ち上がった。
「ならば皆で参るか」
え、みんなで?
忠勝と康政も来る流れ?
豪華すぎる。
その瞬間、またノイズ。
ピシッ。
視界右上が赤くなる。
―歴史乖離率:1.8%
―安定化モジュール:出力上昇
出力上昇って何。
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現実世界――
同時刻。
PC画面の裏側で、AIログが静かに流れていた。
―deviation detected
―long-term cascade risk: minor
―corrective probability seeding initiated
―(逸脱を検出)
―(長期的な連鎖リスク:軽微)
―(是正の成功確率を計算するための初期化処理を開始)
※()内は訳
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岡崎城――はじまりの部屋(いま命名した)
誠人が小声で言う。
「姉ちゃん、今一瞬画面チカッとした」
「うん。見えた」
「なんかさ……俺のステータス、ちょっと変わった」
は?
目力で誠人(本多正信)の△をクリック。
―知力:57 → 60
―政治:41 → 44
え。
「何した?」
「何もしてない」
AI補正?
それとも――
adaptive_history_stabilizer。
歴史を"大きく外れないよう"に人物能力を自動補正している?
つまり。
歴史を改変しようとすると、世界が帳尻を合わせにくる?
うわ。
これ、ただのゲームじゃない。
誠人がにやりと笑う。
「面白くなってきたじゃん」
私はゆっくり息を吐いた。
怖い。
でも。
最高に楽しい。
築山御前が優しく言う。
「参りましょう、お亀」
私は小さな手を握り返す。
――この人を救えるかもしれない。
でも。
もし救ったら?
信康は?
信長は?
本能寺は?
関ヶ原は?
歴史乖離率が10%、20%、50%と上がったら?
100%になったら?
そのとき――この世界はどうなる?
そして――私たちは戻れるの?
さっきの"視界右上赤い状態"の時、視界の端にほんの一瞬だけ見慣れない表示が出た。
―【長期乖離予測:不可視】
不可視って何。
でも私は気付かないふりをした。
だって今は、戦国の風があまりにも気持ちよすぎるから。
そして私は思う。
――歴史を守るゲームか。
――歴史を壊すゲームか。
どっちにする?
歴史乖離率:1.8%。
まだ、ほんの序章にすぎない。
誠人が言う。
「姉ちゃん」
「なに?」
「天下、取る?」
私は笑った。
7歳の顔で。
「当然でしょ?」
三河の空に、春の風が吹き抜ける――
<1567年4月15日時点>
亀 姫【真紀】( 7)…統12 武 3 知69 政26 魅51
本多正信【誠人】(29)…統38 武22 知60↑ 政44↑ 魅65
徳川家康(24)…統70 武72 知69 政70 魅82
築山御前(28)…統14 武 5 知46 政19 魅83
本多忠勝(19)…統69 武85 知57 政49 魅75
榊原康政(19)…統71 武79 知65 政57 魅70
空 誓(58)…統21 武 8 知74 政63 魅88




